プログラマーからアカウントSEへ。大規模システムで中部圏の鉄道インフラを支える
日立の社会システム事業部 モビリティソリューション&イノベーション本部で、鉄道関係システムのアカウントSEを務める田屋。そのキャリアは、新卒で入社した愛知県の自動車関連のシステム会社から始まりました。
「プログラマーとして、部品物流・管理に関するシステムの開発や改修などに携わりました。リーダーとして協力会社とのやり取りも担う中で、私は現場でコードを書くよりも、全体を俯瞰してチームをまとめる役割におもしろさを感じると気づいたんです。しだいに、より上流工程でお客さまと対話しながらプロジェクト全体を動かしたいと、転職を考え始めました」
転職活動の軸にしていたのは、「お客さまと直接関わる超上流工程の仕事ができること」そして「社会にインパクトを与えられる大規模な案件に携われること」。さまざまな企業を見ていく中で、日立が新たに名古屋拠点で社会インフラ分野のアカウントSEを募集していることを知ります。
「結果として、求めていた軸にぴったりの内容でした。一番の決め手は事業規模の大きさです。前職でも大規模システムは扱っていましたが、せっかくならば、より多くの人の目に触れ、利用してもらえる社会インフラに携わりたいと考えていました。
また、大規模な案件であれば、多くの人が関わりチームワークが重要になります。たくさんのメンバーを率いてチームで協力して働きたいという想いも、この会社なら実現できると考えたんです。
当初は通信分野を希望していましたが、最終面接で『鉄道分野はどうですか?』と打診がありました。未経験ではありましたが、鉄道領域は日立の事業を代表する大きな柱の1つ。二つ返事で承諾しました」
こうして2019年にキャリア採用で入社した田屋。モビリティソリューション&イノベーション本部に所属し、名古屋を拠点に、中部圏の主要な鉄道インフラを支えるミッションに挑んでいます。
「主に大手鉄道会社さまを担当しており、日々の運行を支える運行管理システムや、列車運行計画や運転士・乗務員の乗務計画に関わるシステム、沿線設備メンテナンスに関わるシステム、ICカード関連システムなど非常に幅広い領域を扱っています。
グループのメンバーは20人ほどで、鉄道好きな人もいれば、情報系出身のプロフェッショナルも。多くの人が利用するシステムゆえに、万が一障害が発生すればニュースになるほどの重責がありますが、それこそが社会インフラを支えるやりがいだと実感しています」
出向で得た学びを生かして。お客さまとの対話に社内外の知見を加えシステムを形にする
入社後、田屋にとって最初の大仕事となったのは、在来線の運行を支える列車運行計画や運転士・乗務員の乗務計画に関わるシステムの刷新という大規模プロジェクトへの参画でした。
「プロジェクトを通して日立の仕事の進め方を覚えながら、一担当として全体像を把握することに努めました。鉄道特有の専門用語など苦労することもありましたが、先輩に教えてもらったり、自分で調べたりしながら知識を習得していきました。
一方で、前職の経験は大きな武器になりました。プログラムの内容が理解できるからこそ、協力会社の方々と対等に話し、的確な指示を出すことができたんです。
そして、日々何気なく乗っていた電車の裏側で、どれほど多くのことが行われているか、秒単位のダイヤがいかに緻密な職人技で支えられているかを知り、驚きと同時に鉄道の仕事の奥深さを実感しました」
入社から1年、大きな転機が訪れます。大手鉄道会社さまへの2年間の出向メンバーに抜擢されたのです。
「めったにないチャンスだと前向きに挑戦しました。配属されたのは現場に近い非現業の部署。隣では信号工事などの計画を立てているような環境の中で、システムの保守・運用を担いました。現場から届く不具合報告に対応しつつ、システム開発の際は、鉄道側の立場でメーカーと話し、プロジェクトを進めていきました。
とくに『ITのプロ』として、現場の方々から新しいシステム構成やセキュリティ対策などについて相談を受けることが多く、メーカーに依頼する前のアドバイザーとして頼りにしていただけたことが嬉しかったですね」
お客さまの現場に深く入り込むことで、田屋の視座は大きく変わったと言います。
「お客さまの立場で予算編成に携わってみると、コストダウンの要望1つにしても、業務効率化の効果を緻密に算出した、非常に論理的な根拠があることが分かったんです。その視点を学べたことは、今の活動にも生きています。
出向期間が終わる際に、お客さまから『もう1年延長できないか』と打診をいただけたことも、お役に立てていたという実感を持つことができ、自信につながりました」
日立に戻った田屋は、現在、超上流の提案業務に取り組んでいます。
「大みか拠点のインフラ制御システム事業部と連携して、列車制御を行う運行管理システムと工事計画システムを掛け合わせた、設備メンテナンスに関する提案を行っています。部門を超えてタッグを組むことで、インフラの安全と現場の効率化を両立させる高度な解決策を提示できるのは日立の強みです」
日立では、エンジニアがプレゼンから主体的に関わります。田屋はアカウントSEとして、その醍醐味を実感しています。
「お客さまと直接対話しながら、課題をどう解決するか一緒に考えていく。そのプロセスや距離の近さが何よりの魅力です。自分の力だけで解決策が見えない時は、日立が取り組んできたさまざまな事例を調べたり、社内にいる専門家に話を聞きに行くこともできます。
また、出向先でのつながりから新たな案件にお声がけいただくケースもあります。そうして社内外に人脈が広がっていく過程も楽しいですね。転職してやりたかった超上流工程の仕事を、今まさに実現できていると実感しています」
半年間の育休で子育てに専念。自身の裁量で仕事と家庭を両立できる柔軟な働き方
仕事に邁進する一方、田屋は2023年にプライベートでも大きな節目を迎えました。大規模な提案業務が一段落したタイミングで、半年間の育児休暇を取得したのです。
「育児休暇の取得に伴い、長期間職場を離れることに対して少なからず不安を感じていましたが、取得したい意向は伝えていました。周囲のサポートのおかげもあり、業務の引き継ぎはスムーズに進められ、上司からは『育休中は、仕事のことは何も考えなくて大丈夫』と言ってもらえ、安心して休むことができました。
何より会社全体で社員の子育て参加への深い理解があり、育休取得前後には研修が用意されているなど、会社からのサポートが手厚いと感じました。子育てのための制度を詳しく知ることができたり、悩みを相談できる場があったりと非常に心強かったですね。おかげで復帰後のイメージもつかめ、制度もフル活用させてもらっています」
実際の子育ては予想以上に大変だったと振り返ります。
「最初は1~2カ月の育休でもいいかと思っていたのですが、夫婦ともに実家が遠いこともあり、生活が落ち着くまでは非常にハードな日々でした。半年間という余裕があり本当によかったと感じます。
復帰後は、技術開発の試作案件など、復帰直後でも取り組みやすい業務から任せてもらい、スムーズに仕事に戻ることができました。現在は在宅勤務と出社を半々にしたり、早めに帰宅し育児をしてから仕事をしたりと、うまく両立できています」
こうした働き方を支えているのは、日立の柔軟なワークスタイルと互いを尊重し合う風土です。
「自身の裁量でリモートワークや出社など、ライフスタイルに合わせた働き方を選べることは大きな魅力です。Teamsでのチャットや全員出社日、1on1などの取り組みにより、対面が減っても不便は感じません。もちろん、自分から積極的にコミュニケーションを取る姿勢は重要ですが、それさえあれば、キャリア採用で入社したメンバーでもスムーズになじめる風土があります」
仕事と家庭のバランスを整えながら、田屋はあらためて、鉄道という社会インフラを支える仕事のやりがいを感じています。
「案件規模や社会に与える影響が非常に大きいので、そこに携われるのはやりがいです。その分責任も重く、万が一不具合やミスが起きても安全を最優先にする『フェイルセーフ』の視点が常に求められますが、お客さまと一緒に考えていくプロセスに大きな価値を感じます」
周囲を巻き込み、日立の強みを生かして、鉄道業界の職人技を次世代へつなぎたい
鉄道業界は今、変革期を迎えています。日立で、この分野をともに追究していきたい人財について、田屋はこう語ります。
「積極的にコミュニケーションを取りに行ける人が理想です。自分1人でできることには限界があるからこそ、主体的に動きながらも、周りを巻き込んでチームプレイができる人が活躍できるでしょう。
私自身、そのために意識しているのは上位者を早く巻き込むこと。社内ネットワークがまだ広くないこともあり、部長や本部長を頼って『こういうことに悩んでいるのですが、本部で同じようなことをやっている人はいませんか?』と相談して適切な人につなげてもらうよう心がけています。独りで抱え込まないことが、大規模プロジェクトを動かす鍵だと考えています」
未経験から鉄道分野に飛び込み、着実に信頼を築いてきた田屋。その視線は、さらなる高みをめざしています。
「鉄道分野は未知の世界でしたが、業務知識がつき、お客さまの困り事や喜びの勘どころが分かるようになってきたことで、仕事が楽しくなりました。将来は『この分野のことなら田屋に聞こう』と思ってもらえる存在になりたいです。これまでは既存の業務を確実に遂行することに注力してきましたが、今後は新規案件を自ら獲得し、日立の事業の幅をさらに広げていきたいと考えています。
また、鉄道業界は技術者の高齢化や技術の属人化・継承といった課題も抱えています。例えば生成AIを活用して列車運行・乗務の計画業務や、設備メンテナンスの計画業務を自動化するなど、今も職人技に頼っている部分を新たな技術を駆使したシステムに置き換える。そういった提案を通して、技術を次世代へつなぐ手助けをしたいと考えています。
日立の魅力は、研究所などを通じて、最先端技術を独自の技術として昇華させていくところにあります。この強みを生かし、鉄道業界の未来をより良くすることに貢献できたら嬉しいですね」
※ 記載内容は2026年2月時点のものです
