少子高齢化や環境問題に直面する製造業界。持続可能な経営に向けてDX、SXが加速
我々は、製造業のお客さまがめざす「サステナブル経営」をITの力で支援しています。各企業を取りまく環境はめまぐるしく変化していますが、利益だけを追求するのではなく、社会や環境、経済とのバランスを取りながら長期的な目線で持続可能性を探っていかなければなりません。
その実現に向けた取り組みのひとつが、工場のIoT化です。日立グループやパートナー企業とタッグを組んでソリューションを提供し、DX、SX(サステナビリティトランスフォーメーション)を支えています。例えば製造ラインの物流、検査の各種データや品質について、手作業や紙で管理されていた部分のデジタル化を進め、現場の課題解決と競争力の向上をめざすイメージです。
サプライチェーンが複雑化する昨今では、デジタル化されたSCM(サプライチェーンマネジメント)も欠かせません。外部環境などの変化に応じて事業計画を迅速に見直すことが企業の重要課題となる中、当社は仮想空間上にサプライチェーンのデジタルツインを再現し、利益やコストなどを試算するシミュレーションサービスを提供。カーボンニュートラル対応としてサプライチェーン全体でCO2(二酸化炭素)排出量を把握していく流れを踏まえ、排出量のシミュレーションも行います。
一方、この取り組みで先行する欧米のソリューションについては、日立グループのグローバル拠点と連携していち早く取り入れ、国内製造業に展開する協業も始めています。
もうひとつの事業の柱は、30年ほど続くSAPソリューションの展開です。企業のDXの中核を担うERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)の導入から運用保守までを、ワンストップで提供しています。ビジネスに関わるあらゆる情報をリアルタイムにどう可視化し、蓄積したデータをどのように活用するかが重要なテーマになっています。
これらの各事業について、お客さまとともにどう発展させていくのかを協議し、施策を決めていくのが私の役割です。大型プロジェクトが多い中、ステアリングコミッティ(全体の利害調整や最終的な意思決定を行う組織)にフロントとして出席するなどし、プロジェクトの監視、コントロールを進めています。また、人財育成やパートナー企業との協業に向け、体制を整えていくことも大事な仕事です。
製造業における課題は実に多岐にわたります。少子化が進み、労働人口の減少に歯止めがかかりません。品質が高く、世界に冠たる日本の製造業ですが、優秀な熟練工の高齢化に伴って技術継承が難しくなっています。環境問題も大きなテーマで、部材や原材料の調達においては各国の規制を考慮しなければなりません。厳しい状況に置かれる中、我々の支援に対するニーズはいっそう高まっていると感じています。
他業種と手を携え、支えた工場のリニューアル。原動力は「ものづくりへのリスペクト」
私は、日本のものづくりをとてもリスペクトしています。当社が製造業への支援を加速させることが、ひいては社会への貢献につながると信じています。
ある工場をリニューアルするというプロジェクトがありました。お客さまにとって、何十年に一度のビッグイベントですが、「環境への配慮や可視化などをどう進めればよいのか分からない」とおっしゃっていました。そこで日立グループ各社やグループ外の建設会社と連携しつつ、当社がリーダーシップをとって構想を策定し、実行スケジュールやDX、SXの施策を検討しました。
その結果、現場ではデジタルデータを取得、蓄積することでペーパーレス化を図ったほか、デジタル設計技術を用いて最適な梱包仕様とすることで材料の無駄を省きました。さらに、構内物流の最適化を進めたのです。効率的なマテリアルハンドリング設備を導入して作業者の労働条件を改善し、作業中のけがやストレスを減らしたのに加え、最適な動線をとるように設定しました。
設備からデータを拾う作業は設備メーカーが得意とする一方、当社はそのデータをデジタル化するのが強みです。構内物流の最適化で言えば、この2社に加え、物流の設計を考える建設の設計・施工会社の知見も必要になります。
そして集まったデータをどう活用するかを、3社で協力してお客さまに提案するのです。IT分野を専門とする我々がこの領域を手がけていきたいと5、6年活動を続けていく中、人脈や協力関係を徐々に築き、他業種と協業しながら提案にまでこぎつけたという意味では、非常に感慨深いですね。
持続可能な社会の実現を考えた時、このような「協創」がカギになると思います。工場へのIoT導入やデジタルSCMの領域では当社が持つITの知識だけでなく、さまざまな業種と手を携え、互いの知見を持ち寄ることで話が大きく進展するのです。
海外スタートアップとの協業も進めています。デジタル化されたSCMの場合、海外スタートアップ側から見ると日本の製造業はこだわりが強く独特な世界であり、自分たちだけではお客さまにソリューションを導入しづらいようなのです。そこで、我々が連携して知見を提供することで、互いの強みを最大限に生かしながら相乗効果を生みだせると考えています。
手探りで始まった工場IoT事業。チャレンジを続け、知恵の結集で壁を乗り越える
工場へのIoT導入については、そもそもチャレンジの連続でした。10年ほど前、我々にはまだ業界の知識がなく、社会にもスタンダードとなるようなソリューションがありませんでした。その中で事業を立ち上げるのは文字通り、挑戦だったのです。
製造業には汎用性のある業務が少なく、各社が独立して自分たちのナレッジを蓄えています。ひと口に「組み立て加工」と言っても、最終製品を作るのか、その部材を作るのかなどが各社で異なり、設備や工程も違います。
そこへ、1社1社の独自性が加わってきます。お客さまとしてもその強みを捨てることはありえないので、強みを生かした上でデジタル化できるものは何なのかを探るのです。スタンダードに合わせて業務を変えることができない中、日立グループ各社やグループ外の設備メーカーなどが集まり、みんなで知恵を出し合って壁を乗り越えてきました。
製造業として大みか事業所や神奈川事業所でデジタル化を進めている日立製作所の各事業所と連携できる点も、我々の武器です。お客さまのデータから価値を生み出し、DXを加速させるための同社のIoTプラットフォーム「Lumada(ルマーダ)(※)」にナレッジやノウハウを蓄積し、課題解決に役立てていく活動が始まったところです。かつてはIT領域に特化し、専門性を高めてきた当社でしたが、こうして他業種との関わりが増えるうちにリレーションもかなり広がってきました。
※ Lumada:illuminate(照らす)とdata(データ)を組み合わせた造語。先進的な技術を活用してDXを加速する、日立製作所のソリューションやサービス、テクノロジー体系の総称です
今こそ、当社の持ち味を存分に生かしていきたいと考えています。まずは人財育成力です。日立グループの一員として若いうちからものづくりの経験を積み、技術者としてのベースを備えた上で、上位のコンサルテーションやプロジェクトマネジメントのキャリアを形成していく流れを大事にしています。
プロジェクトを支える体制も強みです。社内でプロジェクトが立ち上がれば、プロジェクトマネジメント本部や品質を担保する検査部門、企画部門など、さまざまな組織から支援が受けられます。何より、日立グループ全体を見渡せばさまざまな分野に専門性の高いメンバーがそろい、その豊かな知見を最大限に生かせるのです。
社内には、チャレンジを後押しする風土があります。難しい領域に挑む際、すぐには結果や利益が出ませんが、それでも我々はチャレンジを続けさせてもらっています。それは当社として「今後はDX、SXの必要性が高まる」という社会的価値を認識し、強い信念を貫いているからです。
一般的に事業では、売り上げにこだわるあまりチャレンジから遠ざかることもあります。しかし日立グループには「開拓者精神」という企業理念が存在し、当社にも「改革」や「挑戦」のマインドが浸透していると実感しています。
願うのはすべてのステークホルダーの幸せ。革新の志を胸に、事業の発展に尽くす
我々の進む先には、決まった「道」がありません。このような仕事に向いているのはチャレンジ精神にあふれ、道なき道を開拓する行動力を備えた人財だと思います。
与えられたものをこなすだけではなく、プロジェクトの特徴を踏まえて足りない部分を見つけ、よりよい結果をめざして挑戦し続けられる人と一緒に働きたいですね。我々のベースは、ITベンダーです。「自分たちの持つ価値をお客さまや社会と共有したい」という強い思いを抱きながら、新しい技術について興味を持って調べたり、お客さまとやりとりしたりと、精力的に活動する姿勢が大事なのではないでしょうか。
私自身としても、社員たちがより安心してチャレンジを続けられるような組織をつくっていきたいと考えています。例えば、個々が持つリレーションの範囲をもっと広げていかなければなりませんが、それをバックアップできるような存在でいたいです。
そのために重視したいのはコミュニケーションです。かつてはひとつのルームに集まり、自分が直接プロジェクトに関わっていなくても進捗状況が良いのか悪いのか、メンバーのモチベーションが保たれているのかどうかを感じとりやすかったのですが、リモートワークが中心の今ではそれが難しいケースもあります。
なので、上位職の社員に状況をこまめに聞いたり、若手社員との懇親会を開いたりして、より工夫を凝らしながら上手にケアしていく必要がありますね。何より、一人ひとりの活力や健康が保たれることが大事だと思っています。
当社の産業イノベーション事業部は「SE力/PM力で企業のDX/SXを支え続ける協創パートナーをめざす」というビジョンを掲げています。今後、お客さまにITをより活用していただくためには、日立グループはもちろん、海外のスタートアップとのリレーションも含めたナレッジ、技術を蓄積し、協創パートナーとして「選ばれる存在」であり続けなければなりません。
工場へのIoT導入やデジタル化されたSCMの事業は、まだ道半ばです。今後、難局に直面したとしても挑戦する気概を失うことなく、新しいものを貪欲に取り入れ続け、いっそう魅力ある事業へと発展させていきたいと考えています。最終的に我々がめざすのは、何を実現したいのかというゴールをすべてのステークホルダーと共有した上で、その全員が幸せになることです。
※ 記載内容は2024年1月時点のものです
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