経営判断を支える「ハブ」として。法務の専門性で会社を前進させる
私は法務部コーポレート法務課に所属しています。法務部のミッションは、法務という専門性を駆使して、変化するビジネス環境の中で、事業を前進させる「仕組みと燃料」となり、攻守両面から会社の成長を支えることです。このミッションは、私たちの仕事の本質を非常によく表していると感じています。
現在の業務は大きく2つの軸があります。1つ目は、株主総会・取締役会・経営会議・特別委員会・リスク管理委員会等、会社の重要な意思決定を行う会議体の運営です。単なる事務局対応にとどまらず、上程資料のレビュー、論点整理、議事録作成、進行設計などを通じて、経営判断が円滑かつ適切に行われるよう支援しています。経営陣に近い距離で会社運営を支えている点が、この仕事の大きな特徴です。2つ目は、契約書審査や法務相談、トラブル対応です。新規ビジネスのスキーム検討、リスク分析、契約交渉支援など、事業部門と伴走しながらビジネス推進にも関与しています。単なる「守りの法務」ではなく、経営・事業・ガバナンスのすべてに横断的に関われる環境であることが、現在の仕事の大きな魅力です。
私はコーポレート法務課のリーダーポジションとして、自身で実務対応を行うだけでなく、案件の優先順位整理、論点の交通整理、他部門との調整やフォローなども行っています。法務部は事業部門・経営陣・外部専門家との接点も多いため、単なる管理者というより、「経営と現場を繋ぐハブ」としての役割を意識しています。経営陣・現場・外部専門家では、重視している視点や使う言葉が異なるため、それぞれの意図や背景を正確に理解した上で、「翻訳」するように橋渡しすることを大切にしています。また、単に情報を伝えるだけでなく、「なぜその判断が必要なのか」「現場運用にどんな影響があるのか」まで整理して共有することで、意思決定と実務運用のズレが生じないよう心がけています。
仕事をする上で大切にしているのは、法務部のクレド、つまり組織が心がけるべき信条や行動指針です。クレドには、①常に論理的かつ合理的であること、②権力に迎合しない、③絶えず思考し続ける専門職である、④三手先を読んで初手を決める、⑤われわれの「学び」に終わりはない、という5つの項目が定められています。私はとくに④の「三手先を読んで初手を決める」という考え方を大事にしています。
「マイナスをゼロに」より「プラスを大きく」。事業成長を支える企業法務への転身
司法試験合格後、私は弁護士法人にてアソシエイト弁護士として、訴訟対応、債権回収、契約書レビュー、法律相談、交渉対応等を幅広く担当していました。一般民事・債務整理・交通事故・家事事件・刑事事件等の実務を通じて、事実関係や証拠を整理しながら争点を構造化し、交渉や和解も含めて案件を前に進める経験を積みました。また、スクールロイヤーや研修講師等の業務にも携わり、専門的な法律論を非法律家にもわかりやすく伝え、実務に落とし込むコミュニケーションも意識していました。弁護士時代を通じて、「複雑な問題を整理して構造化する力」と「利害調整をしながら現実的な着地点を設計する力」を培うことができたと感じています。
弁護士として訴訟や紛争対応を中心に幅広い案件に携わる中で、多くの方の人生の重要な局面に関わることができ、大きなやりがいを感じていました。一方で、案件が発生した後に課題を解決するだけでなく、より上流から事業や組織に関わり、仕組みづくりや意思決定を通じて価値を生み出す仕事にも魅力を感じるようになりました。とくに企業法務に触れる中で、自分自身の興味関心が、「マイナスをゼロに戻す」ことだけではなく、「プラスをさらに大きくする」こと、つまり事業成長や新しい価値創出に関わることへ強く向いていると感じるようになりました。法務という専門性を活かしながら、ビジネスにより近い立場で、事業や組織の成長を支えていきたいと考えたことが、転職を考えたきっかけです。
転職活動では、単なる契約書審査だけではなく、幅広い業務を経験して自身が成長できる環境であることと、インハウスローヤーがすでに在籍している環境であることを軸にしていました。他にも選考を受けていた企業はありましたが、最終的な判断軸としては、「どれだけ成長できる環境か」を最も重視していました。その点、FGは法務として携われる業務領域が非常に幅広く、単に契約審査を行うだけではなく、事業支援、商事法務、会議体運営など、多面的に経験を積める環境だと感じました。また、面接を通じて感じた法務部長の熱量も大きな決め手でした。法務組織をどのように作っていくか、法務がどのような価値を発揮していくべきかについて、非常に明確なビジョンを持たれており、「単なる守りの法務」ではなく、AI活用や仕組み化も含めた先進的な法務に携われる環境だと感じました。さらに、選考過程で入社前に法務部メンバー全員とカジュアル面談の機会をいただけたことも印象に残っています。「この人たちと一緒に働きたい」と自然に思えたことが、最終的な大きな決め手になりました。
法的な正しさと会社の最適解。事業の最前線で学んだ法務のリアル
現在の仕事の中でとくに印象に残っているのは、包括代理サービスにおける申込書のDX化に携わったことです。当時は申込書が長年更新されておらず、複数のバージョンが存在している状態で、添付される規約についても最新版ではないものが利用されるなど、運用上の課題がありました。
まずは現場を理解することが重要だと考え、事業部へ何度も足を運び、一からヒアリングを行いながら実際の業務フローや課題を整理していきました。その過程で最も苦労したのは、業務全体の流れや申込書運用の全体像を把握している人が実質的にいなかったことです。長年運用されてきた業務だったこともあり、「誰が何を知っているのか」自体が明確ではなく、最初はどこから情報を集めればよいかもわからない状態でした。そのため、一人に聞いて終わるのではなく、関係しそうな方々へ一人ずつヒアリングを行い、「この部分は○○さんが詳しい」「ここは別部署が関わっている」と情報をつなぎながら、パズルを組み立てるように全体像を整理していきました。当時は、事業部の転職したばかりの方から「法務の方ではなく、事業部の方かと思いました」と言われるほど頻繁に事業部に足を運んでいました。
結果として、従来の紙運用から導入を開始していた電子データ運用への移行を円滑に進めるとともに、電子データ運用自体についても申込書の内容や管理方法を整理・標準化し、より運用しやすい形へ整備することができました。その結果、申込手続の統一と業務効率化を実現し、月間約170時間、工数ベースで約75%の削減効果にもつながりました。法務として机上で考えるだけではなく、現場に入り込みながら本質的な課題を見つけ、仕組みとして改善できたことに大きなやりがいを感じました。
一方で、入社後にとくに印象に残っているのは、大規模加盟店の破産対応案件です。当時、破産前からチャージバックが発生しており、法的な観点では債権保全のために相殺通知を送る必要があると考え、その方向で準備を進めていました。ただ、検討を進める中で、会社全体としての対応方針や周辺事情も踏まえると、必ずしも法的な対応をそのまま実行することが最適ではないケースであることに法務部長からの指摘で気づきました。今振り返ると、当時の自分は「法的に正しい対応」に意識が向きすぎており、「会社として何を優先すべきか」という視点が十分ではなかったと感じています。
この経験を通じて、法務として「法的に正しい答え」を出すことと、「会社として最適な答え」を出すことは必ずしも一致しないということを強く実感しました。法的な論点だけを見るのではなく、事業への影響、他部署への影響、会社全体の方針や優先順位まで含めて判断することの重要性を学んだのです。その後は、何か判断をする際に「法的にはどうか」だけではなく、「この対応は本当に会社のためになるか」「他に考慮すべき事情はないか」という視点を意識するようになりました。現在は、自分だけで結論を出すのではなく、必要に応じて事業部や関係部署とも早めに認識を合わせながら、より全体最適な判断ができるよう心がけています。
未完成だからこそおもしろい。一緒に憧れられる法務組織を作っていきたい
短期的には、機会があれば「仲間づくり案件(M&A等)」にもチャレンジしてみたいと思っています。単なる契約や手続対応ではなく、会社の成長戦略そのものに関わりながら、新しい価値やシナジーを生み出していくプロセスに携われる点に魅力を感じています。例えば、FGの決済インフラや顧客基盤と、相手方の技術やサービス、強みを組み合わせることで、より便利なサービスや新しいビジネスを生み出し、お客さまにもより大きな価値を提供できる可能性があると考えています。法務としても単に契約や手続を進めるだけではなく、「この組み合わせで何を実現したいのか」「どうすればシナジーを最大化できるか」を考えながら関与してみたいですし、自分自身の視野や経験の幅もさらに広げていきたいと思っています。
中長期的には、まずは管理職としてチームを牽引できる立場をめざしたいと考えています。自分自身が案件対応を行うだけではなく、メンバー育成や仕組みづくり、チーム全体のパフォーマンス向上にも責任を持ち、組織としてより大きな価値を出せる存在になりたいです。現時点では、自分自身が今の法務部の仕組みや育成環境によってかなり成長させてもらったと感じているので、まずはそれをしっかり引き継ぎながら、自分なりにブラッシュアップしていきたいと考えています。単に知識を渡すだけではなく、「なぜその結論になるのか」という思考プロセスの共有や、より事業理解を深められる仕組みなども強化しながら、自ら考えて動ける人を育てられるような環境づくりに関わっていきたいです。
また、その先は法務として専門性を発揮するだけではなく、事業や経営の視点も持ちながら、「どうすれば会社が成長できるか」を考えられる人材になりたいと考えています。加えて、現在の法務部長が率先して外部交流や講演活動を通じてFG法務部の価値や存在感を高めているように、将来的には自分自身も社内だけでなく社外からも評価される法務パーソンになりたいと思っています。実際に、法務部長の活動の成果によりAttorney's Magazineへの掲載など、少しずつ外部に顔を出す機会もいただいており、自分の考えや経験を言語化して発信するおもしろさも感じ始めています。今後は実務経験をさらに積み重ねながら、将来的にはセミナー登壇や記事執筆等にも挑戦し、「この分野ならこの人」と思っていただけるような専門性や発信力を高めていきたいです。
最後に、採用候補者の方に向けてメッセージをお伝えしたいと思います。FG法務部は、完成された組織に入るというより、「これから一緒に作っていく組織」に近いと思っています。実際に、「こんなことをやってみたい」「こうした方がもっと良くなる」と声を挙げると、本当に挑戦させてもらえる環境がありますし、その挑戦を周囲がしっかり後押ししてくれます。法務と聞くと、契約書レビューやリスク管理をイメージされる方も多いと思いますが、FGでは事業部に入り込み、仕組みを作り、AIも活用しながら、「どうしたら事業を前に進められるか」を考え続けています。「決められた仕事をこなすだけでは物足りない」「自分自身も組織も成長させたい」「未完成だからこそおもしろい」と感じる方であれば、きっと楽しめる環境だと思います。一緒に、外からも憧れられる法務組織を作っていけたら嬉しいです。
