ソフトウェアがクルマの価値を左右する時代。ITコンサル、AIスタートアップ、工作機械の制御ソフトウェア開発という異業種からデンソーに加わった3人が、実車を動かす手応え、量産まで関われる経験、エンジニアとしての成長を語ります。
プロフィール
宮原(みやはら)さん
前職のITコンサルティング会社にて、データ可視化ツールの導入支援やPMO(※1)業務、技術戦略リサーチに従事。2025年にデンソーへ入社し、現在はSDV(※2)基盤の1つである車両API(※3)の開発を担当している。コンサル時代に培ったマネジメント能力を武器に、ステークホルダーが多岐にわたる車載ソフトウェア開発の現場を牽引している。
岩瀬(いわせ)さん
製薬・化学メーカーでの材料研究や大学でのMI(※4)研究を経て、AIスタートアップで最適化モデル開発などに従事。2025年にデンソーへ入社し、現在は画像認識モデルの開発を担当している。材料工学とAIの知見を融合させ、実車データを活用した高度な知能化技術の実装に挑んでいる。
納土(のうど)さん
前職の電機メーカー系ソフトウェア会社にて、レーザ加工機や金属3Dプリンタなどの工作機械の制御ソフトウェア開発に従事。設計から実装、チームリーダーまで幅広く経験。2025年にデンソーへ入社し、現在は次世代車向けソフトウェア開発を担当。現場で培った組み込みの知見を活かし、担当者としてモビリティ開発を支えている。
※1 PMO(Project Management Office):企業内で複数のプロジェクト進行を横断的に支援・管理する専門部門や組織
※2 SDV(Software Defined Vehicle):ソフトウェアによって機能を定義・更新していく、次世代の車両の考え方
※3 車両API(Application Programming Interface):車の中や外など、異なるプログラム・ソフトウェア間でデータをやり取りする際の窓口となる仕組み
※4 MI(Materials Informatics):膨大な量の実験や論文データの中から新素材を探索して材料開発を高速化・効率化するための手法
【動画公開中】異業種出身者が、デンソーで働く魅力を語る|DENSO Software Engineers Talk
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異業種出身者3名による座談会の様子を動画で観たい方は、ぜひYouTubeでご覧ください。
ここからは動画でお伝えしきれなかった内容も含め、座談会の様子をお伝えします。
異業種からモビリティソフトウェア開発の最前線へ
──まずは、これまでのキャリアと現在の業務について教えてください。皆さん、いわゆる自動車業界の出身ではないんですよね。
宮原さん(以下、宮原):前職では、ITコンサルティングの会社でクラウドアプリケーションの開発やソフトウェア開発のマネジメントに取り組んでいました。もともとクルマが好きでいつか仕事にしたいと思っていましたが、経歴として直接関わる部分がなかったので難しいかなと諦めていたんです。
ところが、転職サイトで現在の上司に「ぜひ来ないか」と声をかけてもらって。待遇面でも前職よりアップし、勤務地も現在の東京のまま挑戦できることにも惹かれて入社を決意しました。現在は、SDVの基盤の1つである車両APIの開発をしています。
岩瀬さん(以下、岩瀬):私はAIスタートアップで、AIエンジニアとして最適化や強化学習などのモデル開発をしていました。そこではプロジェクトごとに支給されたデータを使って業務に取り組む形でしたが、次第に「自分自身でデータを集めて主体的に開発したい」という想いが強くなってきて。好きなクルマの分野でそれが叶うデンソーに転職しました。入社後は、画像認識モデルの開発に注力しています。
納土さん(以下、納土):私は前職では工作機械の制御を行う、組み込みソフトウェアの開発に従事していました。結婚を機に、生活基盤をより安定させたいと転職活動を始めたのですが、デンソーは妻も知っている大企業であり、彼女から「いいね」と後押しされたことが入社の決め手になりました。今は、完成車メーカーと一緒に、コックピット周りのソフトウェア開発を担当しています。
宮原:ITコンサル、AIスタートアップ、工作機械。あまり「クルマの匂い」がしない異業種から来た3人が、今こうして同じ場所で働いているのはおもしろいですね。
自動車業界は、“経験がリセットされる場所”ではない
──自動車業界に入ると、特殊な知識がないと難しいのではと身構える人もいると思います。入社して、前職の経験が活きていると感じるポイントはどこですか?
納土:前職は工作機械で今は自動車と、製品知識の違いはありますが、組み込みソフトウェアの開発という本質は変わりません。チーム一丸となって作り上げていく考え方や、品質を担保するための会議のプロセスなど、工作機械で培った「ソフトウェア開発の枠組み」は、デンソーでも通用すると実感しています。「自動車業界は特殊だ」と身構える必要はなかったな、というのが正直な感想です。
岩瀬:AIエンジニアとしてのスキルも、これまでの延長線上で発揮できていますね。対象がクルマの画像認識に変わっただけで、精力的にモデル開発を推進する楽しさは変わりません。むしろ、私のようなスタートアップ出身者の価値観も積極的に受け入れてもらえていると感じています。
──それは具体的にどういうことでしょうか?
岩瀬:大規模な会社ゆえの意思決定プロセスやセキュリティの厳格さはありますが、私が所属している課はキャリア入社のメンバーが多いこともあり、現場の意向を柔軟に汲み取ってくれる土壌があります。
私が「もっとスピーディーに開発を進めたい」と提案すると、マネージャー陣がそれを尊重して調整してくれる。「スピード重視でまずやってみる」という異業種の文化を否定せず、強みとして期待されているのを感じます。
宮原:お二人とも、これまで築き上げてきたソフトウェアやモデル開発の知識・経験がそのまま活かされているって感じですね。私はまだ社会人4年目で、前職でも最前線で開発業務を担当していたわけではなかったので、ソフトウェア開発の知識などの技術面では、周囲の人たちに比べるとまだまだ学習が必要だなと感じる部分もあります。
ですが、自動車ソフトウェアの開発はステークホルダーがとても多いだけに、彼らとうまく連携してプロジェクト管理していくスキルが求められます。そこに、前職のITコンサルで学んだプロジェクトリーディングやマネジメントなどの管理業務の経験や、物事をわかりやすく伝える説明力、説明資料の作成能力はすごく活きているなと思います。
岩瀬:素晴らしいですね。
納土:自動車に特化した技術だけではなく、そういったマネジメントやコミュニケーションにおけるスキルも、開発現場を円滑に回すためには欠かせないと私も入社して感じました。宮原さんが培ってきたような経験は、今のデンソーでは重宝されると思いますよ。
キャリア入社の不安を解消する、温かいカルチャーと柔軟な働き方
──転職を考えるエンジニアにとっては、技術のおもしろさだけでなく、働く環境やキャッチアップのしやすさも気になるところです。デンソーのカルチャーをどう感じていますか?
納土:妻も知っている会社でしたし、東海圏ではとくに知られている大企業というイメージでした。福利厚生が整っていて働き方もフレキシブルという印象を抱いて入社しましたが、その通りでしたね。
岩瀬:私も、日本の大手企業というイメージがありました。一方で、自動車業界=ハードワークという先入観があって……。正直、残業があることは覚悟していました。
──実際に入社してみて、どう感じましたか?
岩瀬:私は子どもがまだ小さいので、それを反映して、残業が少なく、夕方には帰宅できるという環境で働いています。入社前は仕事と子育てがうまく両立できるか不安でしたが、心配いりませんでしたね。
納土:私は入社前、自動車固有の高度な知識が必要な中で、ついていけるだろうかという不安もありました。しかし実際に業務が始まると、一緒に仕事をする完成車メーカーの方が「新しく入社された方だから」と勉強期間を設けてくださったり、業務で役立つ知識について手厚くサポートしてくれたりする場面が多々ありました。皆さんのおかげで、問題なく仕事に取り組めています。
宮原:私もまったく同じです。車載ソフトウェアの開発には特別なスキルが必要だと思い、それをスピーディーにキャッチアップしていけるか心配していました。ですが、納土さんの言うように、ソフトウェアやITに関する基本的な知識や考え方は本質的に変わりません。
上司や先輩が惜しみなく教えてくれるのはもちろん、若手有志でRaspberry Pi(※5)などを使っておもしろいものを作る「モノづくり会(※6)」のような課外活動もあって。積極的に技術力を高めていける土壌がすごく整っているなと感じています。
それから、実はデンソーのソフトウェア分野ってキャリア入社の人が多いんですよね。
納土:ずっと昔からデンソーにいたかのようになじんで輝いているけれど「実はキャリア入社です」という人がたくさんいます。私も早くそうならないと(笑)。
宮原:私たちのような異業種からの転職組も多いですし、入社後に手厚いサポートや研修を受けられるので、安心して飛び込んでよかったなと思える環境ですね。
※5 Raspberry Pi(ラズベリーパイ):教育・電子工作向けに広く使われる、小型・安価なシングルボードコンピュータ
※6 モノづくり会:若手有志が集まり、業務の枠を越えてものづくりに取り組む社内の課外活動
実車・量産・品質が、エンジニアとしての視野を広げる
──IT業界やWeb業界のエンジニアにとって、自動車業界でのキャリアはどんな意味を持つと考えますか?
岩瀬:自動車ならではの特殊なデータを扱えるので、「こういった性質のデータには、この手法でモデルを作るのが最適だ」というノウハウが自分の中に蓄積されていきます。ソフトウェアエンジニアとしても、AIエンジニアとしても、技術的な幅を広げることにつながり、すごくおもしろいキャリアになると思っています。
宮原:やはり開発から量産まで一貫して関われるのは大きいですよね。
岩瀬:「実車に触れられる」という経験は、他ではなかなか得られない強みですよね。これまでは支給されたデータをクラウド上でモデル実装するやり方でしたが、今は自分で書いたコードを車に載せて、実際に走らせて評価できる。こうした知識やノウハウを持ったエンジニアは、非常に付加価値が高いと思います。
納土:私は、新しい業界に踏み出し、複数の業界を渡り歩くことで教養の幅が広がるとポジティブに考えています。自動車業界特有の認証や法規など、その世界の常識を知ることで話ができる相手が増えますし、エンジニアとしての履歴書の中身も増していきます。
万が一、将来別の道へ進むことがあっても、「自動車業界も工作機械も知っている」という事実は、大きな武器になるだろうと実感しています。
宮原:自動車業界で働くことは、技術力を求められるため、キャリアにとってもプラスになります。たとえば「パワーウィンドウの窓を開ける」という信号1つをとっても、キャンセル処理、異物検知、その後の挙動など、想定すべきパターンが膨大にある。
こうした技術を身につけ、周囲にいる優秀なエンジニアの皆さんからも学べるだけ学んで自分のものにできたら、どんな開発現場でも通用するエンジニアになれると確信しています。引き続き頑張っていきたいですね。
デンソーだからこそ、多様な関係者とともに、モビリティの未来を形にする
──最後に、今後デンソーで成し遂げたいことを教えてください。
宮原:大好きなクルマを通じて社会に貢献していきたいです。100年に1度の大変革期と言われる自動車業界で、多くの完成車メーカーや協力会社との仕事を通じて、新たな安全性や快適性、そして「クルマっていいな」と思ってもらえるような機能を自分の手で作り上げていくことが目標です。
岩瀬:最新のAI技術をモビリティの世界に実装し、これまでにない課題を解決することです。デンソーの製品や技術は本当に魅力的だと感じています。この環境で、データの収集からモデル学習、そして量産車への搭載まで、開発から量産に一貫して関われる経験を積みながら、AIエンジニアとしての新しい可能性を切り拓いていきたいですね。
納土:まずは、完成車メーカーの方に信頼いただくに値する技術力を持っていると認めてもらえるようなエンジニアになることが第1ステップだと思っています。
私は、デンソーには多くのメーカーや関係者と連携しながら、より良いモビリティづくりに貢献できる可能性があると感じています。共通基盤となるソフトウェアの開発を通じて、開発効率や品質向上に貢献できれば、それは結果として業界全体にとっても価値のあることだと思います。その一員として経験を積み、自分の仕事がモビリティの進化につながったと実感できるエンジニアになりたいですね。
宮原:素晴らしいですね。ぜひいつか、この3人で一旗揚げましょう!(笑)
──本日は異業種出身者の視点ならではのデンソーの魅力をお聞きできました。ありがとうございました。
宮原・岩瀬・納土:ありがとうございました!
異業種で培った経験を活かしながら、実車、量産、高い品質基準に触れられること。それらの経験を通じてエンジニアとしての視野を広げていけることが、デンソーで働く大きな魅力です。
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※ 記載内容は2026年1月時点のものです
