データサイエンス系の大学院で学んだ知識を、会社の業務に還元したい
婦人服部への配属から始まり、その後、紳士スポーツ売場や外商部、催事課やロンドン事務所駐在などを経て2018年に大丸松坂屋百貨店の経営企画室で顧客戦略(CRM)担当となったY。
CRMとは“Customer Relationship Management”の略で、顧客との関係性を管理し、顧客との良好な関係を構築、促進する業務です。CRMの業務をきっかけに、現在は滋賀大学大学院のデータサイエンス研究科博士前期課程に通いながら新しいCRMのカタチを模索しています。
「主に、データサイエンスの最新知識や、データから付加価値を生み出すための手法について学んでいます。データサイエンス研究科の約半数が私と同じ社会人なので、それぞれが身を置く業界においてデータを有効活用するための具体的なアプローチを考えている人が多い印象ですね」
データサイエンスは、数学や統計、機械学習などの理系的知識と、それを実際のビジネス課題に適用するためのドメイン知識、その両方をあわせ持つことで初めて実際のビジネスに活用できます。社会人が多いデータサイエンス研究科におけるコミュニケーションの取り方について、Yは次のように話します。
「学校で話すこともありますし、授業が終わってから食事に行くこともあります。滋賀大学から進学した方だと23、24歳と若いので、そういった方々の話を聞くのも新鮮でおもしろいですね。在籍している学生の年代は幅広いので、その点で刺激があると思います」
さまざまな年代の学生とコミュニケーションをとりながら、日々、大学院で学んでいるY。学んだことを仕事に還元していきたいと話します。
「もともと会社ではCRMを担当していたので、アプリや会員制のWebサイトから取得できる顧客データや購買データを用いた購買予測など新たな経営戦略の立案に活用できると思っています。
同時に、大学院に通っている中で視野が広がり、CRM業務以外でもデータサイエンスを取り入れられるのではないかと考えるようになりました。採用や広報、バックオフィスなど、応用できるフィールドは無数にあると思っています。自分の携わるCRM業務のみならず、学んだ知識を社内全体に共有して仕事の質や効率性を高めていきたいです」
英語を使った業務に携わりたい。希望を胸に念願の海外業務へ
名古屋出身で、松坂屋は物心ついたときからよく利用していた身近な存在だったことが入社したきっかけのひとつだとYは語ります。
「大学では英文学科に進み、海外での仕入れなど英語を使った仕事にも関わりたいと思っていました。松坂屋は地元に密着した企業で、かつ当時はパリにも店舗があり海外でのバイイング業務がある印象があったので、将来につながる経験ができそうだと思ったことが入社の決め手ですね」
入社してからは婦人服部に配属されたY。その後、紳士スポーツ売場や外商部、営業推進部の催事課とさまざまな部署を経験しました。
「販売、外商を経て配属となった催事課では、イベントの企画やプロモーションの仕事をしていました。店舗内でイベントを開催し、お客様に楽しみながら買い物をしていただく。そうしたイベントに企画から開催まで一貫して関わることができた点には、大きなやりがいを感じましたね」
その後、入社時から希望していた海外勤務のチャンスがまわってきます。
「ロンドン駐在事務所での仕事の公募が出ているのを発見して、チャンスだと思い挑戦しました。ロンドンでの業務は海外での買い付け業務のサポートや出張者のアテンド、海外市場のリサーチなど。まさに自分が入社当時から携わりたいと思い描いていた仕事でした」
当初は期待が不安を上回っていたものの、念願の海外業務は想像以上に大変だったと語るY。現地では、新たな壁にぶつかりました。
「事務所にいるのが私と現地スタッフの2人だけなので、ほとんどすべての仕事を自分で対応しなければならない状況でした。そこで実感したのは、日本では“暗黙の了解”として成り立っていたことが、海外では通用しなくなるということ。
スタッフや取引先に対して、『これは言わなくてもやってくれるだろう』という考えではうまく行かず、明確に言葉にする必要がありますし、場合によっては書面に残さなくてはならない。そうしたギャップから生じる大変さがありました」
苦労が多かったと語るYですが、だからこそ身についたスキルやノウハウもあったと話します。
「視察に訪れた社長や役員をアテンドする機会も多くあったので、さまざまな事態を想定して入念に段取りすることや、何が起きてもそのときにベストな対応をする力が身につきましたね。
ロンドンの事務所では頼れるのが自分だけで心細かったのですが、パリの事務所に先輩がいたので、ノウハウを教えてもらいながら乗り越えました」
会社の成長のために大学院へ。不安な中でも楽しさを見つける
ロンドンでの仕事を終え2016年に帰国した後、その経験を活かして訪日外国人送客スキームの構築を担当していたY。その後、2018年にCRM担当となり、また新しいキャリアを切り拓いていきます。
「当時は、大丸松坂屋百貨店のアプリを開発しようというタイミングでした。それに伴ってデータをどう整備するのか、顧客とのタッチポイントをどうつくるか、マーケティングオートメーション(マーケティング活動を自動化・効率化するためのツール)を導入するか、といったことを検討していました。
CRMに関する業務を刷新するプロジェクトを進めるために、ほかにもさまざまな検討を重ねました」
CRM担当として業務に携わる中で、Yは組織のアップデートの必要性を感じるようになります。
「自社のビジネスの課題もちゃんと理解した上で、適切な分析ができる人材が社内に必要だと感じていました。外部委託に頼らずとも自社内でデータを分析したり、データを活用したり。
そうした組織を構築する一環として、メンバーを大学院に通わせて専門的な知識を身につけてもらいたいと考えていたんです。部署内での話し合いを経て、私が派遣されることになりました」
社員が専門スキルを習得し、キャリアアップすることを支援する大丸松屋百貨店の外部スクール派遣制度を活用し、組織の発展のために大学院でデータサイエンスを学ぶことになったY。しかし、進学にあたって不安も抱えていました。
「私は文系の学部を卒業した人間なので、大学院でデータサイエンスという理系の授業についていけるか正直不安でした。それを払拭するために、授業以外のところでも自主的に勉強を重ねましたね。授業で理解できなかった内容については、周囲の学生から教えてもらうこともありました。
もちろん苦労はありますが、『ChatGPTの仕組み』などデータサイエンス分野の最新情報について知識を深められるのは魅力的です。『実際の業務で使ったらおもしろいだろうな』という発見も多くあり、毎日が充実しています」
すべてはお客様のために。会社が与えてくれた機会を有効活用することが目標
海外勤務を含め、さまざまな業務経験を積んできたY。自身のキャリアを振り返りながら、大丸松坂屋百貨店の魅力を語ります。
「販売業務や海外での勤務、販促やイベントの企画など、大丸松坂屋百貨店では幅広い職種が経験できます。私は現在44歳ですが、この年齢で仕事を離れて大学院に行き、勉強をする機会を提供してくれたことは非常にありがたいと思っています」
大学院で2年間にわたってデータサイエンスを学び、そこで得た知識を会社に還元していきたいと考えるY。
「データから価値を生み出し、それを活用できるような組織になればいいなと思います。私が大学院で学んでいる内容は、仕事の質を根本から変えるものだと思っているので、データサイエンスと直接関わる業務のみならず、学んだ知識を幅広く会社に還元することは、これからも継続していきたいです。
データサイエンスを経営で、販促で、売場で、それぞれの職域でどのように活用するのか。新しいことを身につけた自分だからこそ、より会社を新しく、よりよくできるのではないかと思っています」
最後に、自身のモチベーションにつながっていることをYに尋ねました。
「やはり百貨店なので、買い物をしにきてくださったお客様に対して高い価値を提供し、喜んでもらえると信じて仕事をすることがモチベーションになっています。『お客様のために』という最終的な目標は同じなので、どんな仕事をしていても楽しいと思えるんです。
とくに外商ではお客様と密にコミュニケーションをとるのですが、時には『こちらがお客様のお世話になっている』という感覚になることもあります(笑)。現在は大学院で学んでいますが、その学びを大切なお客様の喜びにつなげられるよう、常に意識しながら勉強に励んでいます」
さまざまな業務を経て、「どの仕事もおもしろい」と語るY。不安を抱えつつも、新しいことにチャレンジする楽しさと喜びを活力に変えて不安を乗り越え、自身のキャリアを築いてきました。
大学院生になりデータサイエンスを学ぶ今、学び続けた知識を会社に還元することで、自身と会社の可能性をさらに広げていくことでしょう。
※ 記載内容は2023年8月時点のものです

