絵を描くことも、ゲームを作ることも。ものづくりへの情熱がキャリアの始まり
幼いころから、手を動かして何かを作ることが大好きでした。私にとって「ものづくり」は、いつも身近な存在であり、日常の一部になっていました。幼少期には絵を描くことが好きで、漫画家を夢見た時期もありました。結果的に絵は趣味の1つとなりましたが、社会人になってからも、好きな画家さんの画集を集めたり、タブレットを購入してデジタルイラストを描いたりしていました。
学生時代には、絵を描くことに加えて、パソコンやゲームにも関心がありました。自分でパーツをそろえてパソコンを組み立てたり、簡単なプログラムを組んでオリジナルのゲームを作ったりと、「自らの手で何かを創り出すこと」に夢中になっていたのです。こうした経験から、「将来はものづくりに携わる仕事がしたい」と自然に思うようになり、メーカーへの就職を志すようになりました。
地元である福岡県の高専に通っていた私は、就職活動を通じてアルプス電気(現:アルプスアルパイン)と出会いました。正直、当時の私は、当社が扱う製品を具体的に知りませんでした。それでも、純粋に「ものづくりをしたい」という強い想いが、この会社への入社を決めるきっかけとなりました。
金型一筋で磨いてきた、ものづくりの視点と技術
入社以来、一貫して「金型」に関わる業務を担当してきました。最初の配属先は、金型で成形された部品の寸法検査を行う部署です。顕微鏡を使って、ミクロン単位の精密な測定を行う仕事は、当初かなり苦労しました。
今でこそ、検査業務も画像処理やAIを使った自動化が進んでいますが、当時の検査はすべて手作業でしたので、先輩の作業の様子を真似して、失敗しながらも少しずつ習得していきました。検査結果が最終的にはその製品に関わる金型の評価、さらには量産可否に直結することもあるため、業務の重要性を実感しながら取り組んできました。
その後は金型設計を担当しました。ここでも精度が求められるのは同じです。技術部門が定めた部品仕様に基づき、正確な金型を設計する必要があります。私は、過去の検査業務の経験を活かし、「どういう金型にしたら部品寸法が合うようになるか、良い精度がでるか」を意識しながら設計に取り組んでいきました。
現在は、部品工程設計グループの係長として、コンポーネント製品に使用されている部品の材料選定から金型・設備の準備、加工、検査、梱包、出荷まで、部品製造プロセス全体に関わっています。日々意識していることは、「品質とコストのバランス」です。品質だけを追求するとコストがかかりすぎてしまい、価格面で競合に優位に立たれてしまいます。かといって、コストを重視して品質を疎かにはできません。関連部門とも連携を取りながら、品質とコストの両立のために試作と改善を重ねています。
また、部署内での連携も大切にしています。メンバーがそれぞれ複数の製品を担当しており、知識や経験を共有しながら協力する体制を大切にしています。係長としては、業務の偏りが出ないように配慮し、誰か1人に負担が集中しないような環境づくりに努めています。
会社では、クラブ活動にも積極的に参加しており、テニスを楽しんでいます。20代のころから10年以上にわたりクラブの部長を務め、イベントの企画や他拠点との交流試合なども行ってきました。活動を通じて自然と人の輪が広がり、仕事上でのつながりやコミュニケーションにも良い影響があったと感じています。
趣味が充実すると、自分自身の成長にもつながり、周囲にもポジティブな影響を与えられると実感しています。その思いを大切にしながら、これからも楽しく取り組んでいきたいと思っています。
精密な“検査”を海外へ──現地スタッフと共に品質向上をめざす
2011年頃、アルパインブランドのカーナビに使用される部品の量産立ち上げプロジェクトに参画しました。日本で製作した金型を、量産設備のある中国・太倉工場に移管し、量産に向けた試作と認定作業、検査工程の支援のために現地に出張しました。
前段でもお話した通り、検査は非常に精密な作業であり、量産後の品質を左右する重要な工程です。そのため、実際に作業を行う現地スタッフに、正しい検査方法を確実に習得してもらう必要がありました。顕微鏡の使い方や製品の置き方、測定の目印となるカーソルの合わせ方など、細かなポイントを1つずつ、実際に手を動かしながら丁寧に指導しました。
言葉や文化の違いもある中で、試行錯誤しながら信頼関係を築き、最終的には、検査業務もきちんと習得してもらい、現地での量産を無事に開始することができました。
良い製品は、金型づくりから。次世代へ紡ぐ技術と、ものづくりの醍醐味
製品の品質の裏には、高精度な金型の存在があります。これからもお客様に「アルプスアルパインの製品は品質が良い」と思っていただけるよう、良い金型づくりに取り組んでいきたいと考えています。そのためには、これまで培ってきた技術やノウハウを、次の世代へと受け継いでいくことが欠かせません。以前は「見て覚える」といったスタイルが主流でしたが、今は製品開発のスピードが求められる時代です。
たとえば、正しい検査方法をマニュアル化したり、ベテラン社員が作業する様子を動画にするなど工夫し、正確かつ効率的に技術を伝え、皆が早期に同じレベルで作業できる環境づくりをめざしています。
ものづくりは、良くも悪くも結果が形になって現れます。その結果を真摯に受け止め、「次はどうするか?」を考え続けることが成長につながると感じています。狙い通りの製品ができたときの達成感は格別で、あらためて「ものづくりの楽しさ」を実感する瞬間です。
これからも、この達成感を味わうために、ものづくりに真摯に向き合っていきたいと思います。そして、後輩たちにもその喜びややりがいを感じてもらえるよう、良い背中を見せていけるよう努めていきたいです。
※ 記載内容は2025年8月時点のものです
