初心者でも、初めて行く場所でも、地形が分かれば釣りがもっと楽しくなる!
高精細な海底地形図、そこに重なるように表示された釣果情報、釣りに関する楽しいコンテンツ……etc.釣り人が知りたい情報が詰まった「釣りドコ」は、ローンチから2年半でユニークユーザーは50万人、会員数は5万人を突破。釣り業界でも認知度が急上昇しています。
そんな「釣りドコ」の立ち上げに携わったのが高柳、後藤、小川の3名です。
高柳 「私は広島大学で魚類生態学を専攻し 、学生時代は研究と称して魚突きに明け暮れていました(笑)。前職の環境調査会社では、3年ほど魚類と猛禽類の調査を経験し、アジア航測入社後は自然環境系の調査やコンサルティングに携わってきました。現在は『釣りドコ』の専任者として、サイト運営や販促を担当しています」
後藤 「私も子どもの頃から釣りが大好きでしたが、大学では魚ではなく哺乳類のテンというイタチの仲間の研究をしてきました。卒業後は環境調査会社に就職し、その後縁あってアジア航測に転職しました。入社後は環境アセスメントに携わり、環境省の仕事なども担当。いまは『釣りドコ』のPR業務などを担っていて、釣りに行った時は釣果を釣りドコへ投稿しています」
小川 「私はオレゴン州立大学水産学科で魚類の勉強をし、アジア航測入社後は魚類調査の専門家として河川やダム、砂防事業に携わってきました。2019年からは森林部署に異動し、現在は森の資源量を推測・算定する仕事や、森林維持のためのコンサルティングを担っています。
勤務地が離れたこともあり、異動後は『釣りドコ』の仕事にあまり関われずにいるのですが、もともと釣りが好きなので、いずれまた『釣りドコ』担当として仕事をしたいという野望があります(笑)」
「釣りドコ」は、ほかの釣り系アプリとは一線を画すサービスだと口を揃える3人。一番の特徴は、魚の生息場所に大きく関わる「海底地形」を可視化した点だといいます。
高柳 「『釣りドコ』は、今まで釣り人が想像するしかなかった海の中を『丸見え』にしちゃうサービス。つまり、釣りをする上で非常に重要な海底地形図を極めて詳細に見ることができ、さらにどこでどんな魚を釣ったか、ユーザー同士で情報をシェアできるんです。
これまで釣り人は、どこで何が釣れるか、よく釣れるポイントはどこかを見極めるためには、同じ場所に通い続けて経験値をあげる必要がありました。でも『釣りドコ』があれば、初めて行く場所でも初心者でも海底地形を正しく把握でき、ポイントを絞って釣りをすることで、通い慣れた人と同じように釣果をあげられる可能性が高くなるんです」
後藤 「私も釣り好きの1人なので、天気、潮汐、風などの情報をチェックしてから釣りに行くんですが、海底地形に関しては全く情報がなかったんです。釣りは、経験と実績がモノをいう世界。ただ針と糸と餌を垂らせば魚が釣れるかというと、そんなことはない。狙う魚がどこにいて、その魚がいつ釣れたのか、などの情報を判断してやっと釣れるんです。それらの情報がひとつに集約されているのが、『釣りドコ』の利点ですね」
スタートは、社内ベンチャー。釣り好きの3人が魅了された高精細な海底地形図
「釣りドコ」の肝となる海底地形図には、アジア航測が誇る「航空レーザ測深機(ALB)」の技術が使われています。
小川 「航空レーザ計測は私が担当する森林調査にも使われていて、航空機に搭載した計測機器からレーザを照射し、地上からの反射波との時間差より地上までの距離を求める方法で地形や森林資源などの情報を解析するもの。陸上の計測で使う近赤外線のレーザ光は水面に吸収または反射して計測できないのですが、ALBは緑色レーザによって陸だけなく海まで、シームレスに高精度なデータを取得できる技術です」
高柳 「ALBの技術が活用され始めて数年経ったころ、社内講習会で『こんな機械を導入して、水の底の地形がキレイに見えるようになりました』という話が出てきて。海水の透明度にも左右されますが、この技術を使えば水深20mくらいまでの海底地形が丸見えになる。
実際にできた地形図を見てみると、本当に海底地形がくっきり見えて、3人ともびっくりしたんです。3人とも釣り好きなので、すぐにこれで釣り向けサービスを作ったらおもしろいんじゃないかって話になり、当時できたばかりの社内ベンチャー制度に応募してみようと。早速調べるとアイデア募集の締め切りが翌日で(笑)。とりあえず突貫で資料を作って応募したのが釣りドコの始まりです」
小川 「社内ベンチャーとしてやる以上、なぜアジア航測が『釣りドコ』を事業化するべきなのかも考えました。目的のひとつは、会社のブランディングです。『釣りドコ』は、アジア航測では初のBtoCサービス。うまくいけば“『釣りドコ』のアジア航測”として会社の知名度が上がり、優秀な方々が入社してくれる可能性もあるかなと考えました」
高柳 「それに、海底地形解析に関する技術力の高さが広まれば、アジア航測の本業である計測の仕事で新たな市場を開拓できるとも考えました。とくに釣りは趣味としている人口が多いので、ALBで作成した海底地形図を世の中に広めるなら、一番効率がいいと思いました」
後藤 「小川・高柳の見込みは、いっていることは合っていてたんです。ある日、FM横浜の釣り番組を聴いていたら、学生リスナーさんが『釣りドコって知っていますか?』って話を投稿してくれて、『今私が入社したい会社はここなんです』ともいってくれたんです。『釣りドコ』を通して、今までリーチできていなかった層にも会社を知ってもらえた、ととても嬉しくなりました」
小川 「『海の中を見せる』というのは、これまでにないおもしろい切り口なので、ユーザーからの反応は良いし、私たちも間違いなく良いモノができたと確信しています。あとは、どうやってより多くの人にリーチしていくのかが課題ですね」
後藤 「リーチを増やすために、今は釣り系メディアで紹介してもらったり、釣具屋さんや釣り人にチラシを配り歩いたり、展示会に参加したりしています。
釣りの経験値って、本人が誰かに共有しようとしない限り、その人だけのものになってしまうんです。『釣りドコ』が広まることで、データが少しずつ蓄積され、誰かの経験がほかの釣り人の役に立つ──そんなサービスになったら嬉しいですね」
▶『釣りドコ』の紹介動画はこちら
忘れられない展示会での反響。お客様の感動の声が、今の原動力
小川 「企画から開発を経てローンチに至るまでいろんなことがありましたが、なんといっても記憶に残っているのはローンチ直後に横浜と大阪で参加した展示会です。私たちは小さなブースを出して『釣りドコ』を紹介しました」
後藤 「展示会には、一般の方も、釣り業界の方もいらしていて、すごくおもしろかったですよね。つながりも作れましたし」
小川 「そうですね。なにより私は、人々が『釣りドコ』をひと目見たときの反応が忘れられないんです。『なにこれ!』という感動の声が、とても印象的で。ブースも大盛況で、夜は嬉しくってベロベロになるまでみんなで呑みましたよね(笑)。やってよかったねって。
あの日の皆さんの反応を思い出すと、頑張らないといけないなと今でも思います。自分の中で原動力になっていますね」
高柳 「周囲から『使っているよ』という声が届くようになってきましたし、SNSでも『すごくいい』と褒めてくださる声がたくさんあって、嬉しい限りです。
最近では、静岡県が海底地形のALBデータを無料公開しているので、それを『釣りドコ』でも活用させてもらっています。自治体のオープンデータを民間が有効活用している事例として、取材を受ける機会も増えました」
そんな「釣りドコ」は、他の類似サービスと比較すると何が違うのでしょうか。
後藤 「釣れる魚の情報を提示するサービスはすでにたくさんありますが、『釣りドコ』では“実際に魚が釣れたポイント”が示されるのも大きな特徴。また、ユーザーが釣果を投稿する機能も盛り上がっていますよ。ただ、釣り人の中には、自分で見つけたスポットを公開したくないという人もいるので、非公開での投稿も可能にしています」
小川 「『アジア航測が運営している』ということ自体も、強みになるかもしれませんね。当社のサービスだからこそデータに信頼性があると思われていたら、嬉しいなと思います」
高柳 「それから、ネイティブアプリではないので、ダウンロードやインストールなしで気軽に利用できるのも強みですよ。検索してすぐに無料で利用できるので、情報へのアクセス性が抜群です」
「釣りドコ」を見てから釣り行くのが当たり前――そんな世界を実現したい
最後に「釣りドコ」の今後の展望について、3人はこう語ります。
後藤 「ユーザーのアクセス状況を見ていると、『これを釣ったこの人はどんな人なんだろう?』と“人”に興味があるユーザーが多いような気がするんです。なので、釣り人同士が意見交換できるSNSのような新機能を追加してもおもしろいかと思っています。コミュニケーションを取れる場を作ることで、釣りがもっともっと盛り上がるのではないでしょうか」
高柳 「現時点ではまた一部のエリアしか海底地形図が整備できていないので、私は将来的に全国制覇を目指したいですね。
そして最終的には、『釣りドコ』が行動様式になったら嬉しいです。『え、釣りドコ見ずに釣りに行くの?』みたいな(笑)。そんな感じで、『釣りドコ』を見てから釣りに行くという習慣が、当たり前のものとして定着してほしいです」
小川 「私がこれからやりたいのは、3次元データの活用ですね。せっかく3次元で地形データがとれるのに、現状『釣りドコ』ではまだ2次元なので。3次元で見てもらえるようになれば、たとえば『水中の岩の高さが2メートルだから、あと1メートル針を沈めよう』みたいな判断もできるので、さらに釣りがおもしろくなるはずです」
後藤 「それから、『釣り』は地域資源を活用した地域活性化にもつながるので、今後はそういった地域を元気にする取組にも海底地形情報を活用できたらと思っています」
チャレンジを後押ししてくれる風土と、高度な技術が揃ったアジア航測の中で、釣りの楽しさを知る3人だからこそ成し遂げた「釣りドコ」の躍進。ネクストステージに向けて、彼らの挑戦は続きます。
