「生活が変わる」感動が土木への入り口。重機に憧れて選んだ、現場の仕事
現在、若築建設の九州支店土木部に所属し、長崎営業所作業所で勤務している永末 鈴。入社6年目となる永末の建設業への興味は、幼少期の原体験にさかのぼります。
「自宅近辺の山道で道路工事があったのですが、工事が終わり9メートル幅の広い道路ができて、以前よりも通りやすくなったんです。『道を広げることで事故も減るだろうし、生活が便利になる』と感動したのを覚えています。それが土木に惹かれた最初のきっかけですね」
その思いを胸に、工業高校の土木科へ進学。入学前の学科紹介で「防波堤を作って津波から町を守る仕事」や「空港や家の地盤を作る仕事」があることを知り、生活の基盤を支える土木の意義に強く惹かれたと言います。
「入学後、とくに印象に残っているのは、グループ毎の課題研究として行ったコンクリートの『供試体』の強度を競う『コンクリート甲子園』での経験です。
『供試体』というテストピースをグループのメンバーと先生と一緒にゼロから作る中で、過去のデータを見ると、発泡スチロールなどさまざまな材料を配合してる事例を知りました。『いいものを作るには、材料選定も含めて多くのことを考えなければいけないんだ』と、ものづくりの難しさと奥深さを肌で感じた経験でした」
高校卒業後の就職に向けて動いていた永末。学校の先生に紹介されて出会ったのが、若築建設だったと言います。入社の決め手となったのは、現在の九州支店長から聞いた若築建設の説明でした。
「九州支店長が私の学校に来て、当時佐世保で行われていた『大塔台』という大規模な造成現場の説明を直々にしてくださったんです。山を切り崩して道を作り、宅地を造成するというインフラ整備の話を聞く中で、『大きい重機を使って山を切り崩すところを見てみたい』と興味が湧きました。それが若築建設で挑戦してみようと思った決め手です。今、現場に入ってあの時憧れた機械を近くで見ることができて、とても嬉しいです」
専門用語に苦戦。自己学習と周囲の優しいメンバーに支えられ、つかんだ成長
希望を胸に入社した永末でしたが、最初に配属された「佐世保大塔台」の現場では、想像以上の規模と現実に直面します。540宅地と事業用地もある広大な造成地。見渡す限りの現場を歩き回りつつ、側溝と擁壁の施工を経験した永末ですが、まず直面したのは「言葉の壁」でした。
「飛び交う専門用語がわからなくて、最初は戸惑うことばかりでした。たとえば、職人さんが使う道具の名前や、重機のパーツの名称など、知らない単語ばかりでした。
しかし、そこで止まっていてはいけないと思い、自分なりに調べたり、職人さんに『この作業に必要な道具は何ですか?』と積極的に質問したりするようにしました」
何もわからない新人時代を支えたのは、現場の温かい雰囲気と、永末自身の学ぶ姿勢でした。
「現場の所長をはじめ、皆さんが本当に手厚く教えてくれました。動いている機械には自分から近づいていかないように指導してくれたり、近くで見守ってくれたり、現場に馴染めるように接してくれました。
現場の他の方も年上の方ばかりでしたが、積極的に声をかけてくれるなど、親しみやすく接していただけたのでコミュニケーションも取りやすかったです。そうやって教えてもらいながら、自分でも用語や重機について調べていくうちに、『次の作業ではこれが必要ですよね』と、少しずつ段取りの打ち合わせができるようになりました」
年齢や性別、学歴に関わらず、現場ではギャップを感じることはなかったと振り返ります。
「新人として、他の方と同じように扱ってもらえましたし、むしろ『何も知らない』という前提でゼロから丁寧に教えてもらえました。周囲のサポートのおかげで、『現場は怖い』というイメージを持つこともありませんでしたね」
「先回り」の提案。上司の議論から最適解を導き出す
入社後は、多様な現場を経験してきた永末。技術者として着実にステップアップしていきます。現場ごとに異なる工種に触れることで、土木の広さを学んでいきました。
「大塔台の後の2番目の北九州の現場では、環境整備をしたり、ボックスカルバートの設置を見学したりして勉強しました。その次の大分では、初めて『海の土木』に携わりました。
10カ月ほど護岸工事の現場で、矢板の打設から竣工まで担当しました。出来形管理や写真管理も行いながら、造成の現場とは異なる専門的なことを一気に覚えましたね」
現在は再び大規模な造成工事の現場に戻り、担当技術者として業務を行っています。ここでは擁壁の施工管理に加え、近隣住民との調整や通行規制の協議など、対外的な折衝業務も任されるようになりました。
「入社当初は自分の目の前の作業で手一杯でしたが、今は現場全体の進捗や、第三者の方への配慮など、広い視野で現場を見ることが求められています」
上司からの指導を受け、電卓の使い方から測量、図面の扱い方、段取りのつけ方など多くの技術を学んできましたが、中でもとくに重要だと感じた学びは「対話」に関するものでした。
「一番の学びは、人付き合いや意見交換の重要性です。現場では意見の食い違いが必ず起こります。相手の意図をどう汲み取って、自分の考えをどう伝えて認めてもらうか。それが何より大切だと教えてもらいました」
その「対話」や「意図の理解」について、さらに大きな自信を得た出来事がありました。それは、上司たちが現場運営について熱く議論を交わしていた時のことです。
「議論を聞いていた私に、別の上司が『二人の話から、今現場で大事なポイントを汲み取って、先回りして職長さんに伝えてみたら?』と助言をくれたんです。
そこで、自分なりに議論の意図を理解して動いてみたら、後で所長から『あれ、もうやっててくれたんだね。ありがとう』と言ってもらえました。言われる前に動く『先回り』の大切さを学べた経験でした」
また、苦手だった「自分の意見を発信すること」についても、家族への相談がきっかけで変化が訪れます。
「親に相談した時に、『もっといい考えはないか、常にベストを探すつもりで接してみたら?』と言われて。また、『この人にはどう伝えたらおもしろいと思ってもらえるか、相手に合わせて話し方を工夫することも大事だよ』とアドバイスをもらいました。
それからは、ただ答えるだけでなく、『どうした方がいいか』を自分から提案するように心がけています。入社当時に比べると、少しずつですが自分から発信できるような形を取れてきているなと、成長を感じています」
造成地に新しい生活が根付く喜び。次は海の現場にも挑戦したい
大変さも乗り越えてきた永末。現場での仕事を続けられる原動力は、仕事の成果が目に見える形で残り、人々の生活を支えているという実感にあると言います。
「造成の現場なら、完成後に家が建ち、ご家族が暮らしている場面を見ることがあります。そういう風景を見ると『やってよかったな』と思います。自分が手掛けた現場の近くを通ると、つい立ち寄ってしまうこともありますね」
そんな永末が次に見据えるのは、入社時からの憧れである「海」の仕事です。
「入社してからほとんど陸上の現場なので、できれば海上の現場も経験してみたいですね。防波堤のように海で人の命を守るものをつくる海上の仕事は、やっぱりかっこいいなという思いがあります。そのためにも、今は1級土木施工管理技士の資格取得に向けて勉強中です」
最後に、これから就職を考える学生に向けて、学歴に関係なく活躍できる土木の世界の魅力を語ります。
「土木の仕事のおもしろさは、いろんな人と関わりながら、陸から海まで広い範囲で仕事を学べることだと思います。また、携わる仕事は、災害などから人の命を守ることにつながるのも魅力になってくると思います。
仕事をする上で大切なのは、やっぱり向上心や好奇心だと思います。『いろんなことに興味が湧く』という方は、この仕事を続けやすいのではないでしょうか。また、個人的には女性の方にももっと来てほしいという思いもありますね」
憧れを原動力に、現場で学び続ける永末。これからも、技術者としてのキャリアを力強く切り拓いていきます。
※ 記載内容は2025年11月時点のものです
