開発現場の作業効率をあげ、働きやすい環境をつくり続けることがミッション
2001年に新卒で入社し、2022年で入社22年目を迎える栗原は、テクニカルセンター プラスチック技術開発部の飲料PB開発グループに所属しています。その中にあるインジェクションチームで開発業務を支えています。
栗原 「飲料PB開発グループでは、主に飲料用ペットボトルに関する開発を行っています。新しい形状の容器開発に加え、近年はSDGsの観点から、容器の軽量化やリサイクル材の使用、FtoP(フレークtoプリフォーム)技術など環境に配慮した製造技術にとくに力を入れています。メンバーは、飲料PB開発グループ全体で30名、インジェクションチームは9名です」
2020年に第3子を出産し、2022年に3回目の育児休暇から復職したばかりの栗原は、フレックス勤務と1日2時間まで時短勤務できる制度を併用し、週3回程度はテレワークを利用して仕事を続けています。
栗原 「3人の子育てをしながら働くうえで、これまでのように出社しないと進まない業務や、お客様と進めるスケジュール重視の業務を続けていくことは難しいと感じていました。そこで上司に相談し、業務の進捗を臨機応変に調整でき、テレワークでもできる仕事として、製品設計や特許関係の取りまとめなどを担当することになりました。開発の最前線からは一歩退いて、忙しい開発メンバーの手がまわっていない所をサポートするポジションですが、チームが効率的に開発を進めるには何をすればいいかを常に考えながら、仕事をしています」
中には、自身の関わった案件からテーマアップされたケースもあると言います。
栗原 「新技術について競合他社の特許調査を依頼された案件でしたが、調査を進めるうちに、あらためて知的財産権の重要性を感じました。もっと他社特許に目を向け、戦略的に対抗できる特許の出願をしたらどうかと考えたんです。その提案が採用され、現在は私が中心となってメンバーを巻き込み、活動を広げ始めている段階です。来期からはテーマリーダーとなって、戦略的に特許を出願できるシステムの構築と運用を目指して、知財センターの力を借りながら取り組んでいく予定です。最初は小さな気づきから、開発の一助となる大きな仕事へつなげることができて嬉しく思っています」
2段ブロー成形の開発に従事した後、3度の産休・育休を取得
栗原は2001年に短大を卒業。食品関連の仕事に就きたいとの想いから同社に入社し、一貫してペットボトル開発に従事してきました。
栗原 「最初は、技術本部生産技術部第六生産技術室に配属され、ペットボトルの評価業務を中心に担当しました。2003年に開発本部ペットボトル開発部製品設計グループに異動してからは、ペットボトルの容器設計をメインに、2段ブロー成形技術を用いた製品の開発から製品化までを担当しました。製造ラインを借りて試作試験をすることが多く、多い年は年間100日ほど出張していました。忙しい日々でしたが、製品を生み出すとことから世に送り出す一連の開発業務に携わることができて、大変ながらもとても充実していました」
その後、2012年テクニカル本部プラスチック技術部加工技術グループへ異動した栗原は、2014年第1子を出産しました。出産後はブロー業務からインジェクション業務に担務を変え、2016年、2020年にも出産・復職を繰り返しました。
栗原 「第1子・第2子のときは1年間の育休を取得。第3子が生まれた際は、コロナ禍と長女の就学時期が重なったこと、育休制度が拡充されたこともあり、2年間取得しました。復帰した今は時短勤務を利用しています」
飲料PB開発グループで子育てをしながら従事している女性社員は、現在栗原を含め2人です。仕事と育児を両立させるための働き方を都度ヒアリングしてもらうことで、環境を整えてもらっていると言います。
栗原 「育児中の私がチームのどのポジションにいたら力を発揮できるか、辞めずに仕事を続けることができるかを上司やチームのメンバーがよく考えてくれて、とても感謝しています。ですから、私としても家庭の現状を隠さずに伝え、緊急事態にお互いが事前に備えられるように心がけています。
たとえば、復職後の面談では第1子、第2子の経験をもとに『保育園1年目はとくに免疫力がまだ低く、病気の洗礼を受けると思います。申し訳ないのですが、急なお休みでご迷惑をおかけするかもしれません』と事前に伝えていました。また、直近では第2子の発達が緩やかな面があり、児童発達支援施設に通うため平日送迎があること、これから就学に向けて保育園以上に手がかかることが予想されるため、当面は業務量を増やせないことなど、自分のライフプランを伝え共有しています」
最前線からシフトチェンジ──フォローし合うチームと新制度導入で働きやすい環境に
第1子出産を機に、容器開発からインジェクション開発に担当業務を変更した栗原。この変更は、上司から提案されたものでした。
栗原 「最前線で開発を続けたいという気持ちはありましたが、ブロー成形の仕事は出張が多く、育児をしながらこなすのは難しいという現実に突き当たったんです。『シフトチェンジすれば、見えてくることもある』と自分の気持ちを切り替えました。このときの上司の配慮にも感謝しています。インジェクション成形の開発は、まったくやったことのない分野でしたので、イチから学び直しているところです」
また、チームメンバーの理解もあり、支え合う関係ができていると話します。
栗原 「メンバーは、入社当時からの長い付き合いの人が多く、良い関係性で仕事ができています。ちょうど子育て世代が多くて、先日男性社員が1カ月の育休を取得したときには、『今は彼をフォローするタイミングだよね』と、チームで柔軟に助け合うことができました。
ライフプランの中で、100%の力を出して働けるときもあれば、それが難しいときもあるもの。互いにフォローすることで、チームのトータルスコアを維持できればいいのかなと思っています」
さらに、テレワークなどの制度が整ってきたことで、より働きやすくなったと言う栗原。
栗原 「第1子、第2子を出産して復帰したときは、毎朝5時に起きて、7時半には子どもを保育園に預けて出社し、夕方は保育園にお迎えに行ってあわただしく夕飯を済ませた後は、お風呂に入れて、寝かしつけと分刻みの生活でした。いつも時間に追われていて子どもが寝ている間に着替えさせ登園、なんてことも当たり前でした。2020年にフレックス制度の変更やテレワークが導入され、第3子の育休明けからはとても働きやすくなりました」
ゆとりが生まれた──そう思っていた栗原でしたが、思わぬ事態に見舞われます。
栗原 「復職して半年が経ったころ、突然左顔面麻痺になり、1週間も入院してしまったんです。テレワークで時間が生まれたことはメリットでしたが、逆にその時間に家事を詰め込んでしまい、通勤中のスマホ時間など、ちょっとしたリフレッシュ時間がなくなってしまったからかもしれません。自分では無理しているつもりはなかったのですが、結果的に仕事を急に休んでメンバーに迷惑をかけてしまいました。
それ以来、無理しすぎないよう自制を心がけ、夜は子どもたちと一緒に布団に入り、今日一日の話をしながらリラックスして寝るようにしています。やはり、仕事も育児も体が資本。健康管理を重視するようになりましたね」
開発する喜びと現場への感謝──自分の仕事をダイバーシティにつなげたい
「最前線で闘うことはまだ難しい」と話す一方で、栗原は今の自分の存在意義を実感しています。
栗原 「育児中の今は稼働時間に制約がある上に、産休・育休を計4年間取得した分、スキルの面でも、自分が目指すところにまだ達していません。ただ、今の私にしかできないこともあると思うんです。忙しいメンバーができない仕事に気づき、私が縁の下の力持ちになって仕事に取り組むことで、メンバーが開発に専念できる環境をつくれたらいいなと思っています」
さらに、今の自分の働き方が他の社員にとって、ポジティブな影響を与えるものであってほしいと語る栗原。
栗原 「私のように育児をしながら働くのは女性社員だけに限りません。男性社員も子どもが生まれれば、仕事と家庭の両立を求められるようになってきています。私のように今は仕事よりも子どもを優先したいと考える人もいれば、私は働ける環境なので仕事に打ち込みたいと思う人など、考え方は人それぞれです。育児をしながら仕事をする人も、周りのメンバーも、双方が積極的に歩み寄り、お互いの立場や意見を尊重し、助け合える環境が広がっていくといいですね。
「働き方3.0プロジェクト」立ち上げてから、とくに男性の育児休業推奨や、勤務制度の改善など、着実に働き方への考え方が変わってきているのを感じます。今の私の仕事をきっかけに、今後よりいっそうさまざまな立場の社員が働きやすい環境になっていけばいいなと思っています」
ダイバーシティを視野に入れ、今は自身の業務に献身的に取り組む栗原。その根底には、ある想いがあると言います。
栗原 「若いころお世話になった方たちへの感謝の気持ちが、今の私の原動力になっています。2段ブロー成形の開発では、製造課や品質課など現場の方々から、成形技術や評価方法だけでなく、生産する上でのこだわりや、製品への熱い想いをイチから教わりました。充填試験では営業の方々や品質課の方々と徹夜で検品したのも今となっては良い思い出です。そして、製品化できたときの喜び!あの感動は、今でも忘れられません。そのときの感謝の気持ちがあるから、今は開発に直接関われなくても、間接的に力になりたいという想いがあるんです」
これから目指すのは、新しい仕事を生んでいく立場──現場に寄り添い続ける栗原の姿は、頼もしさに満ちています。
