コロナ禍で留学を断念。未経験から人材業界に飛び込む
大学を卒業後、イタリアへの留学資金をためるために1年間イタリアブランドの販売員をしていた伊藤。しかし念願の地であったイタリアに渡航した2020年1月は、コロナウイルスの世界的な流行が始まったタイミングでした。
「飛び立つとき、イタリアはまだ感染者がゼロでした。ですがすぐに感染が広がってしまって。イタリアの知人の家に3カ月間住まわせてもらい学校を探す予定でしたが、学校も受け入れを停止していて結局は入学できずに帰ってきました」
学生ビザを取得できていなかったため、滞在できるのは最大3カ月。世界中で誰も経験したことのないパンデミックは、いつまで続くのか、いつか収束する日が来るのかさえ、まったく見えない状況でした。
「またイタリアに行きたいという気持ちがありながらも、いつ海外に行けるのかわからない。当時、結婚を考えていたパートナーが現地にいましたが、イタリアで結婚できるのかどうかもわからない。自分の将来を考えて正社員で働ける仕事を探し始めたんです」
しかし、世の中は新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる不況の真っ只中。解雇や雇い止めが発生する情勢の中、正社員として働ける仕事はまったく見つかりません。そこで伊藤は、正社員登用制度があるコーヒーショップで、アルバイトとして働き始めることにしたと話します。
「正社員登用もできると伺って入社したものの、実際に入ってみると最短でも4年ぐらいかかるって言われてしまって。4年は待てないと思い、アルバイトをしながら転職活動をすることにしました」
それまで接客業の実務経験しかなかった伊藤。スキルが身につくオフィスワークに就きたいという思いで見つけたのが、ランスタッドのエンジニア事業部の研修制度「ランテクステージプラス」でした。
「未経験から研修を受けてITの業種に就けるという制度です。ITスキルを身につけられると聞いてうれしかったですね」
タイピングもままならない初心者からエンジニアデビュー。研修の講師に抜てき
接客の仕事からランスタッドへ契約社員として飛び込んだ伊藤。将来の安定性やキャリアアップにつながる点も重視し、ITという専門領域を選びました。
「せっかく始めるのであれば新しいことにチャレンジしてみたいという気持ちと、自分がITについてまったく何も知らないことに少し危機感もありました。最初はわからないことばかりで難しかったです。ただ、自分の知らない新しいことを勉強するのはすごく楽しかったですね」
エンジニア事業部に入るのは、98%が伊藤のようなIT未経験者。採用の際に重視されるのはITの知識やスキルではなく、やる気や人柄です。これから真面目に勉強して成長していこうという意欲の高い人を応援する研修やキャリアパスが用意されています。
「研修期間は1カ月間、平日にオンラインで毎日2コマずつ。それ以外は自分で勉強します。当時私はタイピングすらも危うかったので、毎日タイピングの練習をしていましたし、その期間はひたすら研修内容を復習していました。それから参考書を買って学生のように毎日勉強していたのを覚えています」
こうしてビジネスマナーやITの基礎知識、実機を使った課題などに取り組んでいた伊藤。研修期間を終えて配属されたのは、名古屋の開発センターでした。そこで携わったのは、ランスタッドが業務委託として請け負っている鉄道会社の基幹システムの改修プロジェクト。アシスタント業務から始め、やがて仮想サーバーの構築やテスト業務なども担当するようになりました。
「難しいプロジェクトだったので、すごく早いスピードでいろんなことを学べました。新鮮で楽しかったです。そこで3カ月働いてから、私が入社時に受けた研修の講師として異動しないかと声をかけられました」
大学で語学教育学を専攻していた伊藤は“教える”仕事に惹かれ、エンジニア事業部の研修講師にチャレンジすることにしました。
チームの支えでMVPに。新人コンサルタントとして初の快挙
講師として働くようになり、コンサルタントと関わる機会が増えた伊藤。研修生である求職者とクライアント企業の橋渡し役であるコンサルタントの“営業”の仕事に興味を抱くようになります。
「コンサルタントの働きぶりや年末の事業部会での成果発表などを見て『私もやってみたい』という気持ちが芽生えたんです。当時の上長に『営業に挑戦してみたいです』と話をしたら、それを上長が事業部長に良い形で伝えてくれて。研修生のことを理解しているという講師経験が営業としても活きるのではないかと思ってもらえたのはラッキーでした」
「ランテクステージプラス」で研修を受けたスタッフの多くは、その後クライアント企業のもとに常駐します。意欲的な派遣スタッフが多いこの制度を高く評価してくださっているお客様もいて、講師経験は実際にとても役立っていると伊藤は言います。一方で、講師業務とコンサルタントの営業活動に求められるスキルや成果は、当然ながらまったく異なっています。
「最初はとても苦労しましたし、今でもそうですね。自分で言うのもなんですけど、私はすごく正直者。お客様が本当に何を知りたくて、私が何をどこまで伝えるのが適切なんだろうかという判断には難しさを感じています」
それでも意識的にお客様と対面での商談を組んで足を運ぶなど、経験値を上げていくために努力を続けている伊藤。コンサルタントとして契約社員から正社員となり、独り立ちした最初の期には売り上げ達成率1位とMVPを獲得して表彰されることとなります。
「『コンサルタントになって最初の期でMVPを獲った人はいない』と上司に言われて火がつきました。負けず嫌いなので、絶対自分は獲りたいと思って。でも自分の力だけではなくて、上司や教えてくれた先輩、一緒に働く仲間のサポートがあってのことだと、すごく感謝しています」
イレギュラーな対応が必要となったとき、伊藤はすかさず先輩や上司に相談をしていたと言います。上司や先輩も含めたチームとして獲得できたMVPでもありました。
お客様からの声を励みに営業力を磨く日々。目標とされる女性管理職をめざして
MVP受賞の要因は、先輩から引き継いだある企業で契約スタッフ数を倍の人数に増員することができたこと。クライアント企業の担当者との関係構築を大切にした成果でした。
「最初のころにお客様のご要望と違う人材を紹介してしまって『伊藤さんはなんでこの人を私たちに紹介したんですか?』と言われたことがありました。それが『本当にお客様ファーストで人選ができていたのか?』と考えるきっかけになったんです」
自身の営業活動を省みた伊藤は、クライアント企業のニーズに合致する人物像を可視化し、資料を作成して提案。その資料をもとに人選軸をすり合わせる機会を得られたのです。
「お客様のために頑張りたい!という想いが伝わって、信頼関係が築けたという実感を得られました。この仕事は扱う商材がモノではなくて人なので、お客様からも派遣スタッフからも感謝の言葉をいただけるタイミングが多いのは、やりがいにつながっています。でも人の人生を左右してしまう仕事だという自覚も大切にしています」
未経験からIT業界をめざした伊藤は今、クライアント企業と派遣スタッフの双方に貢献でき、感謝されるコンサルタントの仕事におもしろさを感じています。
「これからはもっといろんなお客様に対応していって、どんなお客様であっても『伊藤さんにお任せして良かった』って思っていただけるようになりたいなと思ってます」
そしていつかは自分にチャンスを与えてくれた以前の上司や、親身にサポートしてくれる今の上司のようになれたら。尊敬できる先達の背中を見ながら営業力に磨きをかけていく日々が続きます。
「できればこの仕事でどんどんポジションアップをめざしていきたいなと思ってます。自分で数字をつくっていって管理もできるような、目標にしてもらえるようなマネージャーになりたい。ランスタッドは女性の活躍にすごく力を入れているので、自分も管理職になって貢献ができるようになりたいです」
※ 記載内容は2023年10月時点のものです
