リース営業の経験を胸に「とにかく楽しむ」採用担当の仕事術
現在私は、人事部人材開発課に所属しています。部署のミッションは、新卒採用・中途採用・ハイキャリア採用(経営幹部や高度専門職など、より上位ポジションを対象とした採用活動)の推進と企画検討です。その中で私自身は、新卒採用では内定者のフォローや学生との面接・面談・セミナー対応などを担当しています。中途採用では、面接候補者の方々のアテンド(来社対応や案内)や、次の選考を担当する面接官への事前情報の共有なども行っています。
私がこの部署でとくに意識している役割は、リース営業(機械や設備などをお客様に貸し出す営業)の経験者として、エリア営業のおもしろさ・やりがい・魅力を学生に伝えることです。入社後にどんな仕事が待っているのかをリアルに届けることが、自分にしかできない仕事だと感じています。
仕事をする上で大事にしていること、それは「とにかく楽しむ」ことです。シンプルですが、これが私の一番のモットーです。そのために日々意識しているのは、いろんな分野の勉強を続けることです。新しい知識を取り入れることで、自分が担当できる業務の幅が広がっていきます。できることが増えると、今度はそれをどうやって発展させようかと自分なりに考えるようになる。そのサイクル自体が純粋に楽しいと感じています。
採用の現場では、とくに「短い時間でのコミュニケーション」を意識しています。営業時代に培ったスキルが、ここで大いに活きています。面接やセミナーで学生と接する時間は限られているからこそ、「今この学生はどんな状況にいるのか」「どんな心境でここに来ているのか」を素早くキャッチすることが大切です。そうして得た情報を面接官に的確に届けることで、選考全体のクオリティが上がると信じています。
やりがいを感じる瞬間は、やはり学生と直接話す時です。セミナーや面接を通じて知識をお伝えしたとき、「わかった」「そういうことか」という表情や言葉が返ってくる瞬間があります。その瞬間が、私にとって何よりも嬉しく、また頑張ろうという原動力になっています。
出禁を食らった飛び込み営業時代が、私を根本から変えた2年間
新卒では生命保険会社に入社しました。最初の2年間は飛び込み営業を担当し、東京都の文京区エリアを毎日歩き回っていました。初めて上京したこともあって、慣れない土地で炎天下のなかをひたすら歩き続ける日々です。正直なところ、当時の私は話すことも伝えることも得意ではありませんでした。初対面の人に声をかけること自体が苦手で、ドアをノックするたびに緊張していたのを今でも覚えています。
そんな私を変えたのは、量をこなすことでした。毎日繰り返し飛び込みを続けるうちに、初めて会う人と話すこと自体への恐怖感が薄れていきました。飛び込み自体を「怖いもの」と感じなくなってきたのです。この2年間は、私にとって本当に多くのことを鍛えられた時期でした。
ただ、この時期には大きな失敗もありました。複数の訪問先から出入り禁止、いわゆる「出禁」を受けたことです。当時の私は「とにかく契約を取らなければ」という気持ちが先走るあまり、訪問先の状況をまったく考えられていませんでした。相手が明らかに嫌がっているにもかかわらず、ひたすら足を運び続けていたのです。今振り返ると、相手への配慮が完全に欠けていたと思います。この経験は大きな反省となり、それ以降は「相手の状況をまず考える」という姿勢を、営業の根本として大切にするようになりました。
その後はリース会社への転職を経て営業職に就いていますが、現在の仕事でもこの姿勢は変わっていません。飛び込み営業で身につけた「相手への配慮」は、今の仕事にも確実に生きています。
転職のきっかけはコロナ禍でした。あの時期、仕事が止まり時間ができたことで、あらためて自分のキャリアを棚卸しする機会を持ちました。当時私は管理職のポジションにあり、このままマネジメントの道を歩み続けるという選択肢しか目の前になかった状況でした。しかし立ち止まって考えてみると、自分がもっとも長く時間を費やしてきたのは営業であり、強みとして胸を張れるのも「お客さんと直接会って話をすること」だという結論に行き着きました。もう一度営業の現場に戻り、自分の力を磨き直したい。そう強く感じたことが、転職を決意した理由です。
転職活動ではリース会社や他の事業会社も複数受けましたが、最終的に現在の職場を選んだのは直感でした。1次面接から最終面接まですべてオンラインでしたが、面接官の方々と話をしたときに感じた雰囲気が、他の会社とは明らかに違いました。「ここが自分に一番合っている」という感覚を、自分自身が強く感じたことが決め手です。論理的に説明するのが難しい部分もありますが、それだけ直感として確信を持てた出会いでした。
単月3億円の実績と、自ら切り拓いた農業中古市場への挑戦
入社後、最も印象に残っている成功体験は2つあります。
ひとつ目は、農業分野のメイン担当として、農業向けの新しい補助金事業(国や自治体が農業機械の導入費用を一部負担する制度)の案件を多数獲得できたことです。この補助金事業は、弊社として初めて取り組んだ領域でした。懇意にしていた農協さまから個別にご相談をいただいたことがきっかけで、9月の単月だけで約3億円という実行高(実際にリース契約が成立した機械の合計金額)を達成することができました。当時の支社長からも相当驚かれたほどの実績で、北海道支社全体にも大きな影響を与えられたと感じています。自分が動いたことで周囲が動き、組織全体として新しい領域に踏み出せたという手応えは、今でも忘れられません。
もうひとつは、農業分野における中古機械市場の開拓です。弊社ではそれまで農業用機械の中古市場にほとんどアプローチしてこなかったのですが、あるベンダー(機械を販売する業者)さまからの引き合いで中古案件に初めて取り組んだことをきっかけに、お客様との会話の中で農業分野の中古市場の大きさを知りました。そこから自分で独自に調べ始め、活路を見出したのです。
具体的には、Googleなどで地域の中古機器を販売する会社を自分でリストアップし、直行直帰を繰り返しながら新規のベンダーさんを一社ずつ訪問していきました。行っては断られ、行っては不在という繰り返しでしたが、それでも行動を続けました。人事部への異動前の約1年間という限られた期間でしたが、一定の実績を残すことができました。誰かに言われて始めたわけではなく、自分でアイデアを考え、自分のルートとして開拓し、結果を出せたことは、営業担当としての大きな自信につながっています。
もちろん、苦労した経験もあります。とくに審査対応には苦しみました。リース審査とは、お客様の決算書(企業の財務状況をまとめた書類)をもとに、貸し付けの可否を判断するプロセスです。お客様のもとに伺い、経営や事業についてさまざまな角度からヒアリングを行う必要があるのですが、入社当初はうまくできず、1回の面談では聞ききれなかったことを後から電話で何度もお伺いするような状況もありました。その結果、審査に時間がかかってしまい、他のリース会社に案件が流れてしまうこともありました。この経験を通じて、限られた面談の時間でいかに必要な情報を引き出すかを常に意識するようになりました。
こうした経験を経て、自分の中で大きく変わったのはマインドの部分です。前職の上司にかけてもらった「何かしらの期待感を持って訪問することが大事だ」という言葉が、なかなか実績が上がらない時期にふと頭に浮かびました。それ以来、どんな訪問であっても「こうすればできるかもしれない」「ああすれば突破口が開けるかもしれない」という前向きな視点を持って行動することを意識するようになりました。その姿勢こそが、中古市場開拓という新しい挑戦を諦めずに続けられた原動力だったと思っています。
「自分がどうしたいか」を大切に。人事を極め、会社の人的資本を高めていく
現在の短期的な目標は、2029年卒の新卒採用の全体運営をしっかりとやり遂げることです。採用担当として初めて全体を統括するわけですから、まずはその責任をしっかり果たしたいという思いがあります。それと並行して、中途採用の分野ではハイキャリア人材の採用を形作り、会社の人的資本を高めることにも取り組んでいきたいと考えています。
中長期的には、「人事を極める」という意識で仕事に向き合っていくつもりです。今回、キャリア申告制度という社内公募の仕組みを使って異動の機会をいただきました。自分から手を挙げて叶えてもらった機会ですから、まずは人事という仕事の本質を深く理解し、専門性を高めることに集中したいと思っています。ゆくゆくは、コーチングの知識や資格を取得して、相手に寄り添える人事担当者をめざしたいとも考えています。採用面接をはじめ、社員のキャリア相談に応じる場面でも、相手の言葉の奥にある本音を引き出せるようになりたいのです。
もちろん、将来的に営業の現場へ戻るという選択肢が完全になくなったわけではありません。リース営業として4年間お客様と向き合い、さまざまな業界の課題解決に取り組んできた経験は、自分の中に確かな土台として残っています。ただ今は、せっかくいただいた機会を最大限に活かすことを最優先にしたいという気持ちが強いです。
最後に、転職や異動を検討されている方へ伝えたいことがあります。自分の人生は一度きりです。周りの人がどう思うかよりも、自分がどうしたいかというところを、ぜひ大切にしてください。私自身もキャリア申告制度で異動を希望したとき、不安がなかったわけではありません。でも、思い切って飛び込んでみることで、新しい気づきや発見、そして楽しいことが待っているということを、今まさに実感しています。
変化を恐れず、前向きに動き出すことができる方であれば、きっとこの会社でも活躍できると思います。人の良さと暖かい風土の中で、一緒に成長していきましょう。
