多様な専門チームをつなぐ。初の統合製品CDC開発を率いるソフトウェア開発リーダー
──現在の所属部署のミッションと、担っている役割について教えてください。
私は現在、商品開発本部のSDVコンピューティング事業統括部 1課に所属しています。私たちの課には約15名のメンバーが在籍しており、主なミッションは、お客さまと向き合いながら、仕様や開発全体を調整することです。自動車メーカーのお客さまごとに担当が分かれており、それぞれのプロジェクトを推進する開発リーダーやSEリーダーが集まっています。
その中で、私はエキスパートという立場で、ある大きなプロジェクトのソフトウェア開発リーダーを務めています。お客さま、社内の関係部門、さらにはグローバルな開発拠点を含め、ソフトウェア開発に関わるあらゆるステークホルダーとの調整を行い、開発全体を統括するハブとなるのが私の役割です。
──その中でも、いま携わっている開発プロジェクトは非常に重要な位置づけだそうですね。
今、自動車業界は、ソフトウェアによって車両の機能や価値が定義・進化していくSDV(Software Defined Vehicle)車への転換期を迎えています。スマートフォンがアップデートによって新しい機能を追加できるように、これからの車もソフトウェアの更新によって自動運転の機能を進化させたり、OSをバージョンアップさせたりする時代です。
その流れの中で、私たちが開発しているのがCDC(Cockpit Domain Controller)と呼ばれる統合製品です。これまでは、ナビゲーションやオーディオといった車内エンターテインメントを担うIVI(In-Vehicle Infotainment)システムと、メーターやディスプレイといった表示装置は、それぞれ個別のハードウェアやパーツで制御されていました。しかし、個別のままでは一括制御やソフトウェアのアップデートが複雑になってしまいます。そこで、それらを一つに統合し、次世代のコックピット全体を司るECU(Electronic Control Unit)ハードウェアとして生み出されたのがCDCです。これは当社にとっても初の統合製品であり、まさに最先端の技術開発に挑んでいます。
──この大規模な最先端開発におけるやりがいや、おもしろさはどこにありますか?
関わる人数と影響力がケタ違いに大きい、圧倒的な大規模開発である点です。CDCには多くの機能が搭載されており、コックピット周辺の制御を統合し、協調動作させるシステムです。そのため、それぞれの機能担当が部分最適で仕様どおりに作るだけでなく、それらを組み合わせたときに、システム全体として、そして車両全体として正しく動くことが求められています。
非常に多くの関係者やグループが関わるため、調整の苦労は絶えません。それでも、時にバラバラになりがちなベクトルを一つにまとめ上げ、みんなで一つの巨大な製品を作り上げた瞬間の達成感は格別です。当社初の統合製品の立ち上げに、リーダーとして大きな裁量を持って関われることは、エンジニアとしてこれ以上ないおもしろさだと感じています。
「これから情熱をどこに注ぐか」。社会へのインパクトを求め、モビリティ業界へ
──入社される前は、どのようなキャリアを歩んでこられたのでしょうか。
入社前は、コンシューマー向けのデジタルテレビやDVDレコーダー、業務用映像制作機器のソフトウェア開発に従事してきました。OS、ドライバ、ミドルウェア、アプリケーションの実開発に加え、プロジェクト管理や顧客との仕様調整など、製品開発全体に幅広く携わり、マネジメントも行ってきました。
──長年築き上げてきたキャリアがありながら、なぜ転職を考えられたのですか?
前職の仕事も技術的に奥深く、非常にやりがいがありました。一方、業務用映像制作機器という特性上、先進性への挑戦以上に業務用製品としての安定性が重視され、対象となるお客さまや、開発した製品を利用するユーザーが限定される傾向がありました。
40代半ばを迎え、まだ長い社会人人生を考えたとき、「これから先、自分の情熱とリソースをどこに注ぎたいか」と自問自答しました。その中で、今度はもっと多くの人の生活を変えるような、社会へのインパクトが大きい仕事をしたいという思いが強くなりました。そして、これからのソフトウェア開発において最もダイナミックに伸びていくモビリティ業界に興味を抱きました。自動運転やSDVなど、ソフトウェアの力で社会課題の解決に大きく貢献できるチャンスがあると確信し、自動車業界への転換を決意しました。
──数ある企業の中で、最終的に貴社を選んだ「決め手」は何だったのでしょうか。
他社にはない総合力があると感じたからです。IVI製品で世界トップクラスのシェアを持ち、ディスプレイ、表示装置、カメラ、音響、AV機器など、コックピットに必要な幅広い技術要素を社内に持っています。その総合力を生かし、これまでにない次世代製品や、車内空間の快適性を高めるIVI、CDCの開発に携われることにワクワクしました。
また、面接での雰囲気も入社を後押ししてくれました。面接官の方々が非常に気さくで、雑談のように温かく話をしてくださり、「人を大切にする、とても働きやすそうな会社」「車載未経験でも、これまで培ったソフトウェア開発経験をもとに、学んでいけば活躍できる」と感じました。この会社で共に働き、自分のキャリアをさらに有意義にしたいと思い、入社を決めました。
車載未経験からの挑戦。前職の知見を生かしたプロセス改善が、役割を広げる転機に
──車載業界は未経験という中でのスタートに、不安はありませんでしたか?
正直なところ、とても不安がありました(笑)。車載についてはゼロからのスタートだったので、「本当に自分のスキルが通用するのだろうか」「キャリア採用なのだから、即戦力にならなければ」と、気負いやプレッシャーを感じていました。そんな中、周囲のメンバーや上司が「焦らずに、ゆっくり慣れていってほしい」と声をかけてくれました。温かく受け入れてもらえたことで、居心地の良さを感じました。
──未経験の業務には、どのように馴染んでいかれたのでしょうか。
最初は、開発プロセスや仕様について学びながらプロジェクトの各打ち合わせに参加し、どのように業務を進めているのかを把握する状況でした。まずは話している内容をキャッチアップすることが中心で、詳細な仕様までは分からない段階でした。
それでも、参加する中で「このようにすると、より効率化できるのではないか」「この部分は重複しているのではないか」など、気づいた点を自分なりにまとめて提言しました。すると、すぐに「その改善を自分でやってみて」と役割を任せてくれました。
「入社したばかりの自分が、急にプロジェクトの進め方を改善してもよいのだろうか」と戸惑いもありました。しかし、プロジェクトメンバーはとても協力的で、対応やアドバイスをしながら、一緒に改善を進めてくれました。そこで一気にチームの一員になれたと感じましたし、「気づいたことを率直に言ってよい、それを受け入れてくれる会社なのだ」と分かりました。それからは、より積極的に提案できるようになり、さまざまな仕事を任せてもらいながら、スムーズにキャッチアップしていくことができました。
──入社されてから、とくに印象に残っているエピソードを教えてください。
私たちが開発していたCDCの試作機を、実際にお客さまの車両に搭載し、走行評価をしたときのことです。それまでは、車両を模した社内の疑似的な開発環境で動作を確認していたため、CDCは車の中核を担うものではあっても、「車の一部品を作っている」という感覚でした。
そのCDCが実際に本物の車に搭載され、エンジンの始動と同時に動作し、走行に合わせてメーターやIVIが周辺機器と連動しました。その様子を目の前で見て、「部品ではなく、本物の車を作っている」のだと実感できました。
また、テスト走行を行った構内はとても広く、工場などの建物も多数あり、そのスケールの大きさにも驚きました。「これほど巨大なビジネスを動かしているお客さまと、対等なパートナーとして未来の車を創っている」と、あらためて自分の仕事の社会的影響力の大きさを実感し、ものづくりに対するマインドが大きく変わりました。
──前職での経験は、現在の業務にどう生きていますか。また、入社後の成長についても教えてください。
扱う製品の規模や自動車特有のプロセスに違いはありますが、ソフトウェアの根本的な構造は前職と変わりません。また、お客さまの要望を調整しながら形にしていくBtoBの仕事の段取りや、プロジェクトマネジメントのフレームワークも、そのまま現在の業務に応用できています。
一方、当社に入社したことで、これまで経験したことのない規模のマネジメントスキルが身につきました。現在担当しているプロジェクトには、約40もの機能グループが存在します。それぞれの専門グループの動きを把握し、システム全体として協調して動けるようにする。そうした大規模なプロジェクトを運営する力は、当社だからこそ得られた、私にとって大きな財産です。
専門家の知見を結集する開発力と、挑戦を支える風土。次に見据える車載HPC
──実際に入社されてみて、貴社の強みはどこにあると感じますか?
入社前は、IVIでシェアナンバーワンの会社という印象でしたが、入社後は、そのシェアを支える総合力の凄さを肌で感じています。たとえば、CDCの開発でAndroid OSの深い知識が必要になったときには、社内にスマートフォン開発を極めたAndroidのエキスパートがいて、すぐに知見を借りることができます。ほかの製品でも同様に、コンシューマーエレクトロニクス出身のトップクリエイターや、異なる専門部門の知見を結集して、一つの製品を作ることができます。こうしたリソースの厚みこそが、世界と戦う技術競争力の源泉だと感じています。
さらに、開発拠点がグローバルに広がっていることも強みです。世界中のエキスパートがそれぞれの得意分野を生かして分担開発を行い、それを日本で結集させる。このダイナミックなグローバル開発を経験できることも、エンジニアとして大きな成長の機会になります。
──会社の風土や、働き方の柔軟性についてはいかがでしょうか。
一言で言えば、とことん人を大切にし、認め合う文化です。社内のロールモデルとなるような優秀な先輩やマネージャーも皆さん優しく、トラブルが起きたときには、誰かを責めるのではなく「どうすれば解決できるか」を常に前向きに話し合います。そして、メンバーを元気づけながら、チームを前進させていきます。こうした人間関係の良さと、失敗を責めずに前向きに対応する風土があるからこそ、安心して新しいことへ挑戦できます。
また、働き方の柔軟性も大きな魅力です。リモートワーク環境とフルフレックス制度があり、プライベートに合わせて勤務時間を調整できます。有給休暇も取りやすく、自分で働く時間をコントロールしながら、長く活躍できる環境だと感じています。
──最後に、異業界からの挑戦を迷っている方へメッセージをお願いします。
当社は、車載業界の出身でなくても、それぞれのバックグラウンドを大らかに受け入れてくれる懐の深い会社です。私自身も、これまで培ってきたソフトウェア開発やプロジェクトマネジメントの経験を生かしながら、車載開発について学んできました。新しいことに挑戦したい、成長したい、社会に貢献したいという前向きな気概があれば、豊富な研修と温かい仲間がそれに応えてくれます。
また、裁量が非常に広く、「これがやりたい」と手を挙げれば、年齢や入社年次に関係なく、どんどん役割を任せてもらえる文化です。私たちが次に見据えているのは、さらに高度な車載HPC(High Performance Computer)の開発です。「自分が未来のモビリティの第一号製品をリードして創るんだ」という強い志を持つ方にとって、これほどおもしろい環境はないと思います。世界中の人々の生活を変えるような、圧倒的なスケールの大規模開発に、私たちと一緒に挑戦してみませんか。
※ 記載内容は2026年6月時点のものです

