「人を助けたい」想いから心理学を専攻。衣料品店でマネージャー兼人事の仕事に励む
父が日本人、母がアメリカ人で、2つの人種ルーツを持つ「バイレイシャル」として育った環境こそが今の私の人格をつくってきました。「日本人」と言えるほど「日本人」ではなく、「白人」と言えるほど「白人」でもない。どこにも当てはまらない自分がいて、どこかに当てはまることを期待せずに育ちました。
私が子どもの頃、過去の戦争の影響による一部のアメリカ人が抱く日本人へのネガティブな思いを感じることもありましたが、マイナスなことばかりではなく、私もきょうだいも、日本人としての伝統を誇りに思っていましたし、日本の祖先の話を聞くことや、日本の文化を学ぶことは好きでした。
また当時、母がうつ病を患っており、今のような治療や薬物療法もなく、幼い私としては母が苦悩しているのを見て困惑していました。そのような経験から、人間の心や脳というのはどのように機能するのかを理解したいと思い、大学で心理学を専攻しました。そして、心理学の知識を用いて周りの人を助けたいと思うようになり、より深く勉強するため大学院に進みました。
大学を卒業した1991年、当時アルバイトをしていた衣料品店からマネージャーのポジションの仕事があると提案され、当時のアメリカは不況で雇用数も少なく、他にあまり仕事がなかったということもありましたが、その会社が好きだったので引き受けることにしました。その衣料品店でマネージャーとして働く中で、彼らは私が人と接することに長けていることに気づいてくれて、人事関連の仕事を多くやらせてもらいました。これが私の最初の人事との接点です。
プライベートに関しては、夫とは同じ大学に通っており、大学院が始まる直前に知り合いました。学位も取らないといけなかったのでとても忙しく、ワークライフバランスはまったくありませんでした。当時は人事の仕事を楽しんでいましたが、臨床心理士になりたいと思うようにもなりました。
しかし、大学院を卒業してすぐに母が亡くなり、数カ月間母の遺産整理をしなければなりませんでしたが、その間も奨学金返済のためフルタイムで働く必要がありました。臨床心理士になるための資格などを取る余裕がなく、人事の仕事に戻りキャリアを積みました。
結婚して数年後、子どもが産まれることになったため仕事を辞め、2人目の子どもも産まれ、家事や育児、地域団体でのボランティア活動をする毎日でした。
子育てをしながらキャリアを積み、転職のチャンスをつかむ
8年間、家事・育児に専念し、子どもが学校に行くようになってから、仕事に復帰することを決めました。会社は柔軟に働くことを許してくれたので、子どもたちを学校に行かせるのは夫に任せ、私は朝早く出社し、子どもたちが学校から帰ってくる時間までには家に帰って、子どもたちと一緒に時間を過ごし、寝かしつけてからまた少し仕事に戻る、という生活ができ、子育てをしながらでも成長の機会や、キャリアを積むことができたと思います。
仕事に復帰してから、長時間働いていましたが、柔軟な働き方をさせてもらっていたおかげで、母親として何か犠牲にしていると思わず、思いっきり働くことができたため、とても楽しかったです。当時はリモートで働くことは当たり前ではなかったため、パソコンやオフィスにつながる電話を家に設置してくれるなど、会社のサポートのおかげで円滑に働くことができ、バランスが取れる環境だと感じることができました。
上司は私が子育てをしているからといって仕事を控えさせるのではなく、やったことがない仕事でも、私のことを信頼し、責任を負わせてくれたので、いろいろなことに挑戦することができました。私はハングリー精神が旺盛で、常に新しいことにチャレンジし、学ぼうと心がけているので、新しい業務などを任された時は必ず受け入れていました。未経験のことにも立ち向かっていったことが成功につながった秘訣の1つだと思います。
2015年8月にウェブコーに転職する際、たくさんの面接を受け、最終的に仕事のオファーをもらいました。しかし、今までの仕事よりも大きな規模だったので、この仕事に就くことが正直とても怖かったです。
当時の上司に相談すると、「これはあなたのキャリアを成長させる。絶対この仕事を取るべきだ」と背中を押してもらい、入社を決めました。当時のウェブコーのCEOや上司はサポートをしてくれる温かい方々で、仕事を通じて多くのことを学び、成長することができました。
人事部への不信感を払拭。積極的なコミュニケーションで現場との信頼関係を構築
アメリカの文化では、「自己理念」についてよく語ります。仕事でもプライベートでも「人にポジティブな影響を与える」ということが私にとっての理念であり、仕事において、私がいたことで何かを変えられたと感じられた時が、この仕事をやっていて良かったと思う瞬間です。
ウェブコーの企業理念は「Building Solutions.Bettering Lives.」で、直訳すると「ソリューションの構築・生活をより良く」ということですが、建物を建設するソリューションを提供するだけではなく、建設に関わる人たちや、そこに住む人たちの生活をより良くすることも意味します。そしてそれを自分の仕事に反映させるよう社員に推奨しています。
たとえば、私の人事・DE&Iチームにとって「ソリューションの構築」とは、社員一人ひとりがキャリアに自信を持てるようにソリューションを構築することであり、「生活をより良く」とは、会社として提供している福利厚生を中心に、社員たちが最高の仕事ができると感じられる企業文化を創り出すことです。
私がウェブコーで働き始めた時の人事部は小さく、あまり信用されていない部署で、人事部の人が現場やオフィスに出向くと、「もしかしたら誰かが解雇になるのか」という不安があると感じたので、そのような状況を変える必要がありました。信頼構築のために、とくに何もなくても現場に出向いて積極的にコミュニケーションを取り、そこで働く社員たちを理解し、人事部を知ってもらえるよう努めました。
その努力が実り、2~3年後に人事部はトラストアワードを受賞し、社内で信頼される部署に変化を遂げることができました。今では人事部は社内のパートナーとして見られており、昔のように解雇のイメージがある部署から、今ではサポートを求める先の部署へと変わることができました。
また、採用や昇進の方法を変え、より透明性を高めたことで、昇進などに必要な基準を社員が理解できるようになったと思います。さらに、会社全体の多様性も大きく変化してきており、非常に嬉しく思うとともに誇りに思っています。
不安や恐れを力に変える!挑戦を続けるための好奇心の持ち方
私のこれまでの人生は、決して真っ直ぐな道ではなく、曲がったりねじれたり、計画外のこともたくさん起きました。皆さんに知ってもらいたいのは、新しいことにチャレンジしようとする時、誰もが不安や恐れを感じる、ということです。しかし、それらを理由に歩みを止めてはなりません。成長するためには進み続ける必要があります。
振り返ってみると、私がこれまで下してきた重要な決断の時や、人生においての重大な時期は常に不安や恐れは少なからずありました。不安や恐れを感じる時は、「完璧でありたい」、「失敗したくない」という気持ちから湧き上がるため、決断する前にできるだけ多くの情報を集めることが大切です。そして誰もが間違いをするということを念頭に置いておく必要があります。
間違った選択をすることもあるかもしれませんが、柔軟な考えを持つことにより、それが間違いではなく、新たな可能性につながる場合もあります。間違いや失敗を恐れて決断しないことも決断となるので、日々の小さな決断一つひとつも含めて、責任を持ち、選択していくことが自分の人生をより豊かにするのだと思います。
私は以前、仕事とプライベートを1対1のバランスで考えていましたが、今は考え方が少し変わり、流れの中でバランスを捉えていて、集中が必要とされている場面で集中できる状態をつくることが、今の柔軟な考え方につながっていると思います。
最後に皆さんにお伝えしたいことは、好奇心を持ち続けるということです。今その瞬間、あなたにとって利益のあるものではなくても、新しいことを学びたいという気持ちを常に持っていてほしいと思います。
※ 記載内容は2025年2月時点のものです
