キャッシュレス決済が急速に普及し、消費者はいままでにないスタイルで買い物ができる時代となってきました。その裏側にはQRコード・電子マネーでの支払いやデジタル店舗といった、「新しい購買体験」を生み出すテクノロジーの発展があります。NTTデータで新しい購買体験の創出に携わっている私は、長年の決済インフラ提供の経験と、お客様のビジネスを変える新しい価値提供に絶対の自信を持っています。
「決済」の変化
最近の仕事の中で大きなショックを感じたのは、リテール企業の方々からはっきりと言われた「決済はもはやコストだ」という言葉でした。
2018年に経済産業省により「キャッシュレス・ビジョン」が掲げられ、国によるキャッシュレス推進が本格化し、2019年には消費税が上がることで店舗のインフラが切り替わりました。私は2011年からずっと、レジに追加すべき新しい機能は何だろうというプロダクトアウトの発想でサービスを考えていました。しかし、顧客からみるとそれは単なるコストであって、求められているのはより集客に繋がり、売り上げや利益を上げるための新しい「何か」だということを指摘されたのです。
求められている価値とは何なのか? どういうコトやモノなのか? という視点で自分のビジネスを考え直すきっかけになりました。
決済手段の多様化と新たな購買体験が求められている理由
誰しも一人の消費者ですから、店舗で買い物をするときに不満を抱いたことがあるはずです。自分のタイミングで気持ち良く買い物するという意味で、店舗ならではの不自由さ、特に決済タイミングで不自由さを感じることがあるのではないでしょうか。
レジにずらっと人が並んでいて買うのを諦めるとか、家具売り場のようなとても広い店舗で品定めし、いざ会計となると店舗スタッフは遠くのレジに行ってしまい、ポツンと一人で待つとか。
店舗運営の立場でも同じ課題は意識されていて、適切な接客、店舗設計のために、訪れたお客様の動線、店舗に入ってからどんな商品を探して、何を手に取り、どれと比較したかといったことなどを動きとして知りたいという希望が強くあります。
また、人手不足のなか、店舗では誰がやっても変わらないことは省人化し、価値の高い接客など、人でなければできない仕事に人的リソースを集中させていきたいのです。
こうした店舗の課題を解消し、購買体験を変革するための方法が、PoT(Payment of Things) (注1)というアプローチです。
PoT(Payment of Things)
PoT(Payment of Things)は、IoTがインターネットを通じてものをつなぎ、情報をシームレスにやり取りするように、消費プロセスにおいて決済によって生まれる断絶をなくし、シームレスな購買体験を実現するという概念です。
店舗の購買体験では、決済のタイミングにおいて断絶が起きることが多くあります。レジ待ちもそうですし、スマホアプリでクーポンやポイント等の特典を利用しても決済時にはお財布を取り出さなければならない。こうした決済での不満を解消することで、お客様の利便性や満足度も向上させると同時に、店舗スタッフのレジ業務等の負担を軽減し、売上の向上をめざします。
昨今リテール分野は店舗とECの両方のチャネルを持ち、その関連は密接になってきています。こうした状況を踏まえて、私たちは「店舗の良さを活かしながら、ECの良さを取り込んでいく発想方法を」という提案をしています。
店舗の不自由さを解消できれば、店舗ならではの対面接客、商品に触れられる実感、実際に見た色味といった高い価値を享受でき、より良い購買体験が得られるはずです。
NTTデータだからこそ提供できる購買体験向上のサポート
現在、NTTデータはクラウド型総合決済プラットフォームとして、CAFIS Arch(キャフィス アーチ)を加盟店様に提供しています。拡張性に優れたクラウド型決済サービスで、店舗ではさまざまな形の端末が使えるシンクライアント方式になっています。
NTTデータでは、「PoT」の概念をふまえ、従来はレジで行うことが大前提だった決済サービスの発想をがらりと変え、店舗での購買体験をより良いものにするため、いろいろな購買シーンで使いやすいコンパクトな決済端末など、お客様の決済シーンに合わせた多様な端末を提供しています。
新たな購買体験による成果
2019年10月にユナイテッドアローズ様の協力で、商品を試着後、試着室内での決済や電子レシートの配信ができる仕組みのPoCを行いました。
PoCでは、お客様のレジへの誘導やお待たせする必要がなくなり、さらに購入されなかった商品も把握できるようになりました。
今回のPoCでは、お客様が入店し商品を選んで試着するという一連の楽しい体験の中にいかにシームレスに決済を溶け込ませていくかという視点で、店舗におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を提案しました。
お客様にとって価値を一番に考えるという前提に立ち、ユナイテッドアローズ様からのアイデアもいただきながら、ワークショップで議論を重ね、お客様とともにより良いものを作り上げてきました。
NTTデータならではの強み
NTTデータは、1984年から「CAFIS(キャフィス)」(注2)というキャッシュレス決済総合プラットフォームを提供しており、時代に沿ったさまざまな決済手段を長年にわたって提供しつづけてきました。その中で、ノウハウを蓄え、お客様とのリレーションを作り、サービスを支えてきているからこそ、できることがあると思っています。
アパレル、スーパー、百貨店、ドラッグストアなど幅広い顧客企業を持ち、業態を超えて共通する悩み、また、それぞれ個別の悩みを理解し、カスタマージャーニーを考えた上で適したサービスを提案しています。
マーケティングや店舗のスタッフの皆さんは「デジタル化できるとより良くなること」のアイデアをいろいろとお持ちです。そのアイデアを実現するためのデジタルの活用の仕方を考えるのが、決済サービスのプロフェッショナルである私たちNTTデータの役割です。
マーケティング部門や店舗がデジタルで実現したいこと、情報システム部門が管理している店舗やECの決済システム、この両方をきめ細かく理解し、お客様のニーズを確実に形にする提案ができるのが強みだと思っています。
私は将来、自分の行動や思考パターン、嗜好がデジタル化され、こちらから求めなくても自然と欲するサービスを受けられる世界になってほしいと思っています。
そうした世界を実現するには、購買の場面において、決済以外にもチャネルや顧客接点ごとに、まだまだ改善できる部分がたくさんあります。
素晴らしい購買体験を数多くの企業の方々といっしょに世の中に提供していくために、NTTデータが持つ決済、シーンごとの購買体験を支える仕組み作りの力がお役に立てると思っています。
注1:PoT(Payment of Things)
https://digital.nttdata.com/commerce/pickup/pickup_08.html
注2:キャッシュレス決済総合プラットフォーム「CAFIS(キャフィス)」
