主体性と根拠を胸に。スパークプラグの未来を支える、電極材料開発の最前線
モビリティカンパニー IGNITEビジネスユニット 第1技術部 製品設計1課に所属する朝田。この部署は新しいプラグそのものを開発する「新規プラグチーム」と、プラグに使用される材料を専門に開発する「電極材料チーム」の2つに大別されます。朝田は後者の電極材料チームに身を置き、スパークプラグの性能を左右するニッケル合金材料の評価やサプライヤーとの調整業務を担っています。
「私たちのミッションは、『世界を取り巻く環境変化に技術で応え、お客さまに信頼され、安心して使ってもらえる製品を提供する』ことです。
スパークプラグの電極は、常に高温の過酷な環境にさらされながら火花を飛ばし続けるため、火花消耗のしにくさ(耐火性)と、酸化のしにくさ(耐酸化性)という、トレードオフの関係にある2つの性能が求められます。顧客の要求に合わせて添加物のバランスを最適化し、ちょうどいい特性を形にしていくのが私たちの役割です」
現在、朝田がメインで担当しているのは、材料調達先を追加するためのBCP(事業継続計画)対応。特定のサプライヤーに依存しすぎると、有事の際に供給が滞って生産が止まってしまうリスクがあるため、別の会社でも同じ品質の材料を製造できるようにするきわめて重要なプロジェクトです。
「サプライヤーによって設備や加工方法が異なるため、たとえ材料の素性が同じであっても性能にわずかな違いが生じることがあります。その違いがあっても製品として問題なく使用できるかを、評価するのが私の役目。
具体的な評価の進め方やスケジュールの調整、結果への考察などベースとなる部分をほとんどすべて自分で考えて上司に提案しています。若手であっても、一つの大きな案件の進め方を個人の裁量に任せてもらえるのが、この職場の大きな特徴です」
そんな朝田が日々の業務の中で、もっとも大切にしている価値観があります。
「自分が起こす行動に対して、必ず『根拠を持つ』ということです。どうしてその評価手法を選んだのか、なぜその結果になったのかを徹底的に言語化することを意識しています。根拠が明確であれば、自分自身も自信を持って業務を進められますし、何よりチームや関係各所に対しても、納得感のある説明ができます」
技術的なロジックを積み重ねる誠実な姿勢が、大規模なプロジェクトを推進する力となっています。
地元への愛着と新しい挑戦への渇望。安心してステップアップできる万全のフォロー体制
愛知県出身の朝田は、名古屋大学の工学研究科で超高圧下における物質合成の研究に励んでいました。ものづくりが非常に盛んな東海地域で育ったことから、将来は地元の強みである製造業に関わりたいと考えていたと言います。
「就職活動における軸は2つありました。1つは、これまで自分が経験したことのない新しいことに挑戦できる環境があるか。当時の日本特殊陶業は、内燃機関からの脱却や新規事業の立ち上げを強く打ち出しており、ここなら誰もやったことのない分野への挑戦ができそうだと感じました。
もう1つは、私生活と仕事を無理なく両立できるかという点です。大学時代の仲間と続けているアマチュアオーケストラでの活動など、趣味も大切にしたかったため、福利厚生が手厚く地元に根を張って働ける環境を探しており、その点でも当社は魅力的に映りました」
選考が進む中で、面接官が非常に親身になって話を聞いてくれ、細かい部分までフォローしてくれたことで、会社の温かい雰囲気を感じ取った朝田。2023年に入社後、希望していた新規事業関連の部署ではなく、会社の土台であるプラグ事業部への配属が決まった時も、前向きな気持ちで受け止めていました。
「スパークプラグは歴史が長い主力製品だからこそ、社内に多様で深い知識が蓄積されています。何かわからないことが起きても、周囲の先輩方に聞けば必ず答えが見つかるという安心感が最初の印象としてありました。
入社から1〜2年目は、プラグ全体の製品評価を担当し、高い電圧をかけても絶縁体が壊れないかを確かめる『耐電圧試験』をメインに担当しました」
大学での専攻は物質・物理系であり、現在の電極材料の直接的な専門知識があったわけではありませんでしたが、同社には新入社員一人ひとりに先輩社員がチューターとして付く手厚いオンボーディング体制が整っており、不安はなかったと振り返ります。
「わからないことがあればすぐに質問できる環境でしたし、主任や課長とも直接コミュニケーションを取りやすい雰囲気だったため、キャッチアップで不便を感じることは一切ありませんでした。
そして2025年4月、キャリアの範囲をさらに広げたいという私の希望を汲み取った上司の提案により、現在の電極材料チームへ異動。扱う評価項目や設備は変わりましたが、同世代のメンバーのフォローもあり、今ではほとんどの業務を1人でこなせるまでに成長できました」
言われたことをやる段階からの脱却。自分の意思を仕事に乗せるおもしろさとやりがい
入社からの3年間を振り返る中で、朝田にとって自身の成長を大きく実感した、もっとも印象深い出来事があります。それは入社2年目の終わり、新しい部署に異動する直前のことです。
「2年目に自分が中心となって取り組んできた製品評価の結果をまとめ、部門長に向けて報告する『設計審査』の機会がありました。これまでのデータをすべて整理し、この案件は問題ないと言い切れるための厳密な根拠付けを行って、パワーポイントの資料にまとめ上げました。
入社当初は先輩から言われたタスクをこなし、その結果を報告する受け身の仕事が多かったのですが、この案件は自分で仮説を立て、自分で動かし、自分の意思を仕事に乗せてやり切ることができました。
承認を得られた時は大きな達成感がありましたし、上司から『すごくうまくいったじゃん』と期待以上の成果を褒めてもらえた時は、本当にうれしかったです」
この設計審査の経験を通じて、朝田は「自分で考えて動くことの圧倒的なおもしろさ」を知ったと言います。人に言われた通りの作業をするよりも主体性を持って取り組む方が、仕事への愛着も湧き、やりがいも何倍にも膨らみます。
「学生時代に学んだ物理や物質の研究そのものが、今の業務に直接リンクしているわけではありません。しかし結果を論理的に整理し、根拠を構築して相手にわかりやすく説明するプレゼンテーション能力は、学生時代の研究発表を通じて培われたものであり、今まさに日々の設計審査の場で大きな力として活きています」
一方で、学生時代とのギャップに戸惑い、苦労した部分もありました。それは、会社組織における「納期」の厳密さです。
「学生の研究もある程度の期間は決まっていますが、会社の仕事はより厳しく納期が管理されています。万が一予定通りに進まないと、後ろの工程にいる多くの関係者やサプライヤー、そして最終的にはお客さまにまで多大な迷惑をかけてしまいます。
予想外のトラブルが起きた時、焦るのではなく、いかに早い段階で周囲を巻き込み、他部署の力を借りながら臨機応変に軌道修正できるか。
この『周囲と連携して仕事を推進する力』の大切さは、社会人になって身についた大きな変化です。学生時代は1人で完結することがほとんどでしたが、今は多くのプロフェッショナルと情報を密に共有し、チームプレイで大きな成果へ向かうことに魅力を感じています」
内燃機関の変革期を駆ける。多様な個性を力に変え、全幅の信頼を集めるリーダーへ
日本特殊陶業の最大の魅力について、朝田は「若手であっても大規模なプロジェクトに深く関わり、自分の考えを世に出していける点」だと力強く語ります。主力事業であるスパークプラグに関わる中でも、社会情勢や市場の変化に合わせた材料供給ルートの開拓など、日々新しい挑戦が溢れています。
「私自身も若手ながらさまざまな挑戦をさせてもらっていますし、社内の月次報告などを見ても、同期や若手社員の成果が会社の意思決定にしっかりと採用されているのを実感します。
また、働き方の面でも非常に自由度が高く、在宅勤務制度やフレックス勤務制度など自分自身で働き方をコントロールできる環境が整っています。私自身はよくフレックス勤務制度を活用しており、自分の生活リズムに合わせて働き方を調整しています」
これまでの3年間で、製品全体の評価設計と電極材料開発という2つの職種を経験した朝田。今後のキャリアプランについても、明確な展望を描いています。
「まずは現在取り組んでいる電極材料の業務を完璧にマスターし、自分の中で確固たる自信を持てる領域にしたいです。それが達成できたら、また別の新しい領域にも積極的に手を広げ、自分ができる業務の範囲をどんどん広げていきたいと考えています。
最終的には、多様な部署の業務を深く理解したジェネラリストとして、プロジェクト全体の進捗を管理し、的確な見解を示せるリーダーになりたいです。周囲から『この人に任せておけば間違いない』と全幅の信頼を寄せられる存在になることが、私の目標です」
最後にこれから就職活動を迎える学生、とくに地元での就職や理系職種をめざす方々に向けて、朝田が温かいメッセージを送ります。
「日本特殊陶業で輝けるのは、何かをやると決まった時に自分事として主体的に動ける人だと思います。疑問をそのままにせず、自ら積極的に周囲へアプローチして知識を吸収していける方なら、どんなバックグラウンドからでも活躍できます。
社内には材料系出身者だけでなく、化学、物理、電気、さらには農学部出身の人まで本当に多様な人が集まっており、特定の専攻でなければいけないということはありません。もちろん、金属材料の知識があれば現在の私の業務では即戦力になりますが、もっとも重要なのは理系としての基礎的な思考力と主体性です。
また私は地元で働くことで、家族や大学時代の友人との関係性を途切れさせることなく、安心して社会人生活をスタートできることも大きなメリットだと感じています。
現在、内燃機関事業は大きな変革の時期を迎えており、世界的な情勢変化に伴う新しい案件が次々と湧き出てくる、非常にエキサイティングなフェーズです。この変化を楽しみ、臨機応変に挑戦していける仲間と、ぜひ一緒にこれからの未来を作っていきたいですね」
※ 記載内容は2026年6月時点のものです

