「担当者の熱量と壮大な話」が背中を押した、商社の世界へ
大学時代は、体育会ラグビー部の活動に打ち込んでいました。練習も試合も本当に厳しい世界でした。1年次はメンバー外でしたが、必死に自分を鍛え上げ、2年次にはレギュラーを勝ち取ることができました。この経験こそが私にとって大きな財産になっています。
私は、「自分の努力次第で、今の自分を超えていける」という感覚を、ラグビーを通じて体感しました。そしてそこで飛び込んだ先では、さらに上へ、先へと進める道が開けていくのだと。就職活動においても、そのマインドがそのまま自分の軸になっていきました。
就職活動で企業を探す際に私が大切にしていたのは、「海外」「成長」「経験」、そして「売買を1人の担当者として経験できるかどうか」という4つの軸でした。特に「売買を1人の担当者として経験できる」という点にはこだわりがありました。たとえばメーカーの営業職であれば、自社の商品を売ることが主な仕事になりますが、商社であれば1人の担当者がモノを仕入れるところから売るところまで一貫して携わることができます。仕事の幅が広がり、深い経験が積める環境を求めていたのです。
より高いレベルの環境に飛び込んでいくことで、経験はより深く、より特異なものになる。ラグビー部での経験を経て、そう確信していた私にとって、商社という働き方は非常に魅力的に映りました。
一方で、入社前は正直、「いわゆる大企業」「固そう」といったイメージを持っていました。また、自分にとって成長機会が大きい一方で、覚悟も求められる企業だろうとも感じていました。そんな中で私の背中を押してくれたのは、就職活動の場での採用担当者の言葉でした。他の企業の説明と比べても、その担当者の熱量と話の壮大さは群を抜いており、難しい言葉を並べるのではなく、自分たちの仕事にかける思いや、この会社でなければ経験できないことをまっすぐに語ってくれました。また、採用担当者の話の中で、若手から主体的に裁量の大きな業務に携わることができると感じた点も大きな魅力の1つでした。様々な方のサポートの上で、担当として自分自身で買って売るまでを経験できる商社という環境と成長環境を決め手に入社を決断しました。
「人対人」で仕事を作る会社だった。国内営業からロンドンへ、広がり続けるキャリア
入社後は、国内のお客様を担当する営業部署に配属されました。担当したのは、造船・橋梁・洋上風力発電・タンクといった重厚長大産業向けの営業です。鋼材の販売にとどまらず、輸出業務も担い、中国・ベトナム・ミャンマーといった国々への輸送案件にも携わっていました。商社の仕事というと、企業と企業という大きな看板同士が向き合うイメージを持っていたのですが、実際に現場に出てみると、最後は人と人とが向き合って信頼を創り上げていく感覚を非常に強く感じました。大企業であっても、会社の看板だけではなく、1人ひとりの信頼関係が仕事を動かしていくことを、入社直後に実感しました。
この国内営業時代に特に印象に残っているのが、中国向け輸出の商社コンペ案件です。過去最大規模の案件の引き合いを入手し、複数の企業が競い合うコンペで受注を獲得しました。鋼材の売買だけでなく、加工・納入・代金回収まで一連のプロセスをすべてやり遂げたことは、今でも大きな達成感として残っています。
その成功の背景にあったのは、これまでの取引を通じて培ってきた事業投資先やビジネスパートナーとの関係でした。各社と連携することで、お客様にとってもこれまでで最もコスト競争力の高い提案ができたと思っています。過去のやり方に固執せず、マクロの視点から案件全体を俯瞰し、途中で諦めないマインドで取り組んだことが、最終的な成果につながったのだと感じています。
その後、入社から5年ほど経ったタイミングで、トレーニー制度を利用する機会を頂きました。当時の担当役員から推薦して頂き、イギリスのロンドンへ渡りました。期間は1年間で、役割は脱炭素分野全般におけるビジネス開発でした。洋上風力発電・水素・アンモニア・地熱・CCS(二酸化炭素回収・貯留技術)など、エネルギー分野においてこれからの時代に必要とされる新たな需要やビジネスチャンスを洗い出すことがミッションでした。ロンドンで過ごした1年間は、考え方の根本を変えてくれた経験でした。日本でニュースとして伝えられる内容と、現地のお客様や市場の当事者が語る実情は、まったく異なることも多かったです。現場にいるからこそ見える景色があり、当事者へのアクセスがあるからこそ、お客様が本当に困っていることの核心に触れることができました。この経験から得た「現場の状況は現場からでないと見えない」という考え方は、今でも仕事の土台となっています。また、情報を積極的に発信することや持っている人のところに情報はさらに集まるという感覚も、ロンドン時代に強く意識するようになりました。マクロの環境変化からビジネスチャンスを読み取り、自社の強みと照らし合わせて戦略を組み立てる思考法も、この時期に身に付けたものです。
複雑な商談を整理し受注へ。人対人の仕事で磨かれた俯瞰力
現在、私は2つの役割を兼務しています。1つはエネルギープロジェクトBUでエネルギー需要家向けの鋼材の営業です。欧州、豪州、北中南米、中東、韓国と、担当するエリアは世界に広がっており、日々様々な国のお客様や鉄鋼メーカーさんと向き合っています。もう1つはGX戦略室でのプロジェクトマネージャーとして、脱炭素(温室効果ガスの排出量を実質ゼロに近づける取り組み)関連の新たな需要を捉える業務です。カーボンクレジットや再生可能エネルギー、電力といった領域に踏み込みながら、会社の未来を見据えた仕事をしています。
最も印象に残っている体験は、カナダ向けラインパイプ(石油・ガスを輸送するためのパイプライン用鋼管)の受注案件です。前任者から引き継いだ商談でしたが、受注に向けては、関係者間で共有されている情報の精度や前提を改めて整え、鉄鋼メーカーさんとも真摯に向き合い、度重なる議論の末に、お互いにこのビジネスの可能性を理解し、お客様からもその姿勢を評価頂くことができました。
まず私が取り組んだのは、事実と見解を丁寧に整理することでした。そのうえで、将来的なエネルギー需要の大きさや、このビジネスが鉄鋼メーカーさんにとっても長期的に意義のあるものだということを、論拠を持って伝えていきました。時には交渉の場で戦略的な駆け引きも使いながら、お客様と鉄鋼メーカーさんの双方を適切な方向へ導き、最終的に受注を獲得することができました。
この経験を通じて改めて実感したのは、仕事は人対人だということです。どれほど論理的な資料を揃えても、相手が「この人の言葉なら信じられる」と思えなければ、商談は前に進みません。また、相手の立場や理解度に合わせて丁寧に伝え続けることが、信頼関係の土台になると感じています。
社内での連携においても、同じ姿勢を大切にしています。自分1人で完結できる仕事はなく、事前に広く情報を共有し、仕事の意義を伝えることを常に意識しています。上司の方には業界全体の考え方や過去の経験則を聞いたり、複雑な商談条件やリスクの検討で相談したりしています。また、O職の方々とは商談時のリスクの洗い出しや詳細な実務の確認を一緒に行います。それぞれの役割の人たちとの連携があってこそ、大きな商談も動かせると感じています。
学生時代と比べて自分が最も成長したと感じるのは、マクロ(大局)とミクロ(細部)の両方の視点から考察できるようになった点です。国際的なエネルギー市場の潮流を読みながら、目の前の商談の細かいポイントを外さない。この俯瞰的な視野は、日々の仕事の積み重ねの中で自然と身についてきたものだと思っています。
「ビジネスはお客様と直接話してこそ」―海外の最前線へ向けて
短期的な目標として掲げているのは、ラインパイプのプロジェクトを受注することです。わが社がアレンジャーとなり、鉄鋼メーカーさんや加工会社さんといった関係者が一丸となって需要家から選んで頂く、そのチームの中核を担いたいと思っています。
中長期的には、海外で現場の最前線に立ちながら、営業と新規事業開拓や市場創出の両方に携わることが目標です。この目標を持つようになったのは、自分のキャリアの原体験が大きく関係しています。初期配属ではお客様向けの仕事で、鉄鋼メーカーさんやお客様と毎日直接話をしていました。海外でのトレーニー経験でも同様です。その経験を通じて強く感じたのは、「ビジネスはお客様と直接会話しなければ創出できない」ということです。関係者が複数入るほど、現場の感覚やお客様の本音を丁寧に汲み取ることが一層重要になります。自分の目で見て、耳で聞いて、肌で感じた情報を元にビジネスを動かすことの価値を強く感じています。だからこそ、海外の現場に赴き、自分の手でビジネスを創っていきたいという気持ちが年々強くなっています。
就職活動中の方に向けて、わが社の魅力をお伝えするとすれば、まず「若手への裁量権の大きさ」を挙げたいです。入社直後から、自分でお客様と交渉し、鉄鋼メーカーさんと調整し、プロジェクトを動かす経験をさせて頂いています。これは規模の大きい企業の中でも、なかなか得られない機会だと思います。また、売買の両方を手がけることでサプライチェーン全体(原材料の調達から製品がお客様に届くまでの一連の流れ)を深く理解できる点も大きな強みです。単に「売る」だけでなく、どこから調達し、どう加工され、どう届くのかをトータルで把握することで、より深い提案ができるようになります。ビジネスへの接地面の深さ、という点でこの仕事の醍醐味を感じています。
どんな人に入社してほしいかと聞かれれば、「前向きで、諦めず、真摯である人」と答えます。現状に満足せず、好奇心旺盛に物事に向き合う気持ちは、この仕事で成長し続けるための原動力だと思います。そして何より、誠実に責任感を持って仕事に向き合える人と一緒に働きたいです。派手なスキルよりも、誠実さと粘り強さ—その様な土台を持った人と、ともに新しいビジネスを創っていきたいと思っています。
