現場ではなく「制度」から教育を変える。物理学から政策調査の道を選んだ理由
学生時代、物理学を専攻して大学院まで進学した岩﨑。物理学を選んだ理由は2つありました。
「1つはSFが好きだったからです。『海底二万里』で知られるジュール・ヴェルヌという作家の作品がとくに好きで、それをきっかけに科学を勉強したいと思っていました。
もう1つは、物理学は学生でなければなかなか学べない学問だと思ったからです。もともと私は教育などの領域にも興味があり、どの道に進むか悩んでいました。最終的には、大人になってから学ぶハードルが高そうな物理学を専攻しました。
実際に学んでみると、運動の法則をはじめ、あらゆる現象の背景にある原理を学べることはとても興味深かったです。一方で原理を理解するためには高度な数学の知識が必要で、そこまで数学が得意でない私は苦労しましたね」
研究室では、複雑物性をテーマに、電極と液体の界面付近にできる「電気二重層」を研究していました。
「研究を始める際は、先行研究を洗いざらい調べ、『何がわかっていて、何が未解明なのか』を整理した上で研究のポイントを絞ります。このように物事を先例から学び、今後の課題点を自分なりに理解するアプローチ方法が、現在の政策調査の業務にも大いに役立っていると感じます」
そして迎えた就職活動。岩﨑は当初、理科教育に携われる仕事を考えていました。
「学生時代、研究のかたわら教職免許を取得するなど、理科教育にも関心を持っていました。特別支援学校への実習にも行かせていただき、そこで働きたいと思うほど、すごく刺激を受けたのですが、お世話になった先生に『直接、君が教育現場に来ても、あまり根本の部分は変わらない。きっと国の制度や教員の働く環境を変えられるところに進んだ方がわれわれのためになるよ』と言っていただいて。それがきっかけで官公庁の調査研究を通じて、政策の方向を示す『シンクタンク』という仕事に興味を持ちました」
数あるシンクタンクの中でみずほ総合研究所を選んだ決め手については、こう語ります。
「まず調べていく中で、当社が官公庁から多くの案件を受託していることを知って、『ここでなら自分のやりたいことができそうだ』と思ってインターンシップに参加しました。
最終的な決め手は、社員の皆さんの温かさです。面接やインターンシップでお世話になった方や、配属後に一緒に働くことになる方々と会話した際、とても親切にしてもらって。『この人たちと一緒に仕事をしたいな』と思えたことが一番の決め手になりました」
物理学から労働・雇用政策へ。未経験の領域から、官民のコンサルタントへ成長するまで
岩﨑は官公庁の調査研究ができる当時の社会政策コンサルティング部を希望し、無事配属されます。しかし、入社後任されたテーマは雇用・労働政策という未経験の分野でした。
「官公庁調査には携われたのですが、当時は教育をテーマとしたプロジェクトはあまり多くありませんでした。1年目は、雇用・労働政策に関する調査を任され、介護分野の外国人材の転職動向について調査しました。配属時点で、自分がやりたいテーマが必ずしもできるとは思っていなかったので、どんなテーマでもまず全力でやってみようと意気込んで業務に取り組みました」
雇用・労働政策に関する調査は物理学とは大きく異なる領域でしたが、岩﨑は持ち前の前向きさで知識をキャッチアップしてきました。
「まずは自分なりに調べて知識を積み上げました。たとえば、どんな制度・資格があるのかなど、基本的なことは自力で調べた部分もあります。ただ、多くの部分は、業務の中でOJTを通じてキャッチアップしていくことが多かったですね。そのテーマに詳しい先輩方をはじめ、専門家の方々のお話を伺う機会もあったため、業務を通じて学べることはたくさんありました。
一方で、調査設計の考え方に戸惑うこともありました。物理学の実験研究では、観測した数値である程度結果を判断できますが、たとえば、アンケート調査は選択肢の文言によっても、結果の解釈が変わってしまいます。どのように調査結果を解釈していくべきか、初めはかなり迷いましたが、これまでにはなかった価値観だったので、難しいながらも新鮮な感覚でした」
未経験からのスタートでしたが、案件が一区切りしたところで手応えも感じられました。
「1年かけて調査をやり遂げ、報告書を官公庁へ提出した時は達成感がありました。その報告書の結果が新聞で取り上げられたり、社外で活用されているのを見ると、自分のやってきた業務が社会の役に立っていることが実感でき、大きくやりがいを感じました」
その後、2025年には当時の経営コンサルティング部人事戦略チームとの兼務も開始。官公庁向けの調査だけでなく、民間企業向けのコンサルティングにも挑戦します。
「その後2026年には、みずほ銀行との統合に伴い、所属部署がヒューマンキャピタルコンサルティング部へと改組されました。これにより、官公庁向け調査だけでなく、民間企業向けの人事戦略コンサルティングにも本格的に挑戦しています。官公庁向けのご支援と民間企業向けのご支援では、お客さまの属性や考え方が大きく異なります。
たとえば、官公庁向けの調査では、社会的な困りごとを抱えている人に対して、それを解決するため事業の中で間接的に関わっていきますが、民間企業へのご支援では困り事を抱えているお客さま本人と直接関わるので、業務内容も関わり方もまったく違っておもしろいです」
物理学のスキルが政策調査の武器に。多様な個性を歓迎し、挑戦を後押しする風土
物理学専攻から、雇用・労働政策というまったく異なる領域へ。一見すると、学生時代の学びとは無縁に思えますが、思わぬところで学生時代のスキルが武器になりました。
「2年目のときに内閣府から受注していたとある調査の案件で、アンケート調査を担当させてもらいました。その時、学生時代に触れていたPythonなどのプログラミング知識がアンケートの集計作業でとても役立ったんです。もともとITスキルには馴染みがありましたし、最新のAI技術も取り入れながら効率的な集計を心がけました。その結果、網羅的なデータを予想以上のスピードで分析でき、チームメンバーやお客さまにとても喜んでいただけました。
何よりうれしかったのは、お客さまから『この分野については、皆さんが日本一詳しいです』とお墨付きをいただいたことです」
専門外の分野に飛び込む不安は誰にでもあるもの。しかし、当社にはそうした挑戦を後押しする風土が根付いていると岩﨑は言います。
「学生時代の専攻やこれまでの経歴が違うからと言って、それが挑戦を妨げることは絶対にありません。私自身、雇用・労働政策に関する知識はゼロからのスタートでしたが、その中でも実務を通じて、しっかり学べる環境があり、業務の中で一定の役割を果たせるまでに成長できました。
周りを見回してみても、学生時代の専攻は法学・統計・教育・数学、そして私は物理学と、バックグラウンドは非常に多様です。銀行業務や営業を経験してから異動してきたメンバーもおり、メンバーそれぞれが自身の専門性を活かしながら、新しい分野に挑戦しています」
岩﨑自身も周囲のサポートを受けながら、数々の挑戦の機会を与えてもらったと語ります。
「官公庁向けの調査だけでなく、民間企業向けの支援業務にも挑戦させてもらえたことは大きな成長の機会になりました。初めは当時の上司から『まずは勉強からだけどやってみる?』と言っていただいて。当時は人事戦略についての知見はほとんどなかったのですが、先輩社員の胸を借りる形で参画しました。
実務の中で学びながら、徐々に業務を任せてもらえるようになり、最終的にはプロジェクトのメンバーとして参画するに至りました。人事戦略についての知識も深まりましたし、民間企業のお客さまと直接関わる機会もいただき、非常にいい経験になりました」
興味を持つかどうかで楽しさは変わる。入社3年目が語る、挑戦を楽しむ仕事の流儀
前向きに新しい分野に挑戦してきた岩﨑に、大切にしている姿勢について聞きました。
「まずは『何にでも興味・関心を持つこと』を大切にしています。新しい分野の仕事を任された時、『知らないから興味がない』と思うか、『ちょっと調べてみよう』と思うかで、その後の吸収力や楽しさが大きく変わるからです。
実際、最初はよく知らない分野でも、調べていくうちに『結構おもしろいな』と好奇心が刺激され、段々と楽しくなってくることがあります。この姿勢で臨むと学習も早いですし、何より仕事そのものを楽しめるようになります」
また当社には異分野に挑戦するためのたくさんのチャンスがあると言います。
「一例になりますが、別の部署に短期間滞在して、その部署の業務を学ぶ『交換留学』のような制度があります。実際、私のチームにもこの制度を利用して、別の部署から入ってきて、そのまま兼務になったメンバーがいます。私自身は資格取得などの学習費用を補助する『学びファンド』という制度を活用しました。人事戦略の仕事に挑戦する際、関連資格の取得に必要な費用を全額負担してもらい、無事に資格を取得することができました」
そんな岩﨑は雇用・労働分野での確かな実績を築くことが今の目標だと語ります。
「私はまだ入社3年目ということもあり、メンバーの協力を得ながら業務を進めているのですが、まずは自分1人でも責任を持って完遂できるようになることが直近の目標です。その上で、この分野において、当社が国で一番詳しいと言われたい。『雇用・労働政策といえばみずほ総研のあのチームだよね』と言っていただけるような存在をめざしたいです。
また当社のように銀行の中にシンクタンク機能が備わっているのは非常に珍しい強みです。中長期的には、官公庁とつながりを持つ銀行内の他部署とも連携し、当社にしかできない価値を提供して、お客さまに喜んでいただきたいですね」
最後に異分野への挑戦を考えている求職中の方へ、岩﨑がメッセージを送ります。
「当社には、異なるバックグラウンドを持つ人の挑戦を心から歓迎し、応援してくれる風土があります。ですから、新卒の方も中途の方も、恐れずに新しい分野に飛び込んでみてほしいです。もちろん、本人の努力は不可欠ですが、周囲のメンバーも厚くサポートしてくれますので、ぜひ安心してチャレンジしてみてください」
※ 記載内容は2026年5月時点のものです
