「配慮」があるからこそ「責任」を果たせる。三菱重工で見つけた、自分らしい働き方
──現在所属されているタレントインクルージョンチームについて教えてください。
野村:私たちのチームには係長職1人、サポーター3人、障がいのある社員8人が所属しており、自部門及び他部署の事務のサポートを行っています。チームの特徴としては、それぞれの障がいの特性に合わせた就業上の配慮を受けながら業務を行えるところです。
私は吃音症があるので、会話の際に言葉が詰まっても時間をおいて待ってもらったり、電話対応が必要な際にはサポーターに変わってもらったりすることで、自分の特性をカバーしながら業務を行っています。
増田:私も吃音症があり、とくに緊張する場では言葉が出にくくなることがあります。そのため、サポーターや周りの社員に「うまく話せないことがあります」と事前に伝えています。
──それぞれの現在のお仕事内容について教えてください。
野村:先ほどお話の通り、私たちのチームは社内のいろいろな部署が所掌する事務業務をサポートしており、私は主に社外への支払いを中心とした経理処理、データ入力、IT機器管理の3つを担当しています。
経理処理では、定例的な支払いだけでなく非定例の支払いについても処理を行うことがあります。データ入力では製造工程で使用する素材の金額や在庫量などをチェックし、入力しています。最後にIT機器管理では、社有パソコンやスマートフォンなどの使用者情報の管理などを行っています。
増田:私も野村さんと同様に経理処理や原材料の市場価格に関わる情報調査・データ入力を担当しています。それ以外にサポーターの指示のもと、不定期に発生するイレギュラー業務への対応を行っています。
三菱重工の業務は、個人で作業が必要な仕事もあれば、他の上司や同僚や依頼元部署と連携が必要になる仕事もあります。連携が必要な仕事では、サポーターや各部署の担当者としっかりコミュニケーションを取って進めることを大切にしています。
──職場の雰囲気はどのように感じていますか?
増田:賑やかで話しやすく、アットホームな雰囲気です。わからないことがあれば、気軽に相談できる環境があります。また障がい者だからと特別扱いされることなく、三菱重工の一社員として接してくれているところがプロとして期待されている実感があります。
野村:私にとっても、非常に働きやすい職場です。業務指示を出してくれるサポーターとは、密にコミュニケーションが取れていますし、サポーター以外の上司や同僚もすれ違ったら声をかけてくれるなどいつも気遣ってくださるので、安心して働くことができています。
ここでなら自分の思いを叶えられる──それぞれのあゆみと三菱重工との出会い
──入社前のご経歴と転職を決意したきっかけを教えてください。
増田:前職では、会議資料の作成や印刷などの事務サポートをしていました。しかし、もう少し業務の幅を広げて自身を成長させたいと思い、転職を考えるようになりました。そんなとき、ちょうど三菱重工で障がい者採用を行っていることを知り、応募しました。
野村:私は三菱重工が3社目です。1社目は一般雇用でIT企業のエンジニア職を、2社目は障がい者雇用で金融業界の経理事務職を担当していました。
1社目に一般雇用で入社し、障がいをオープンにして入社したのですが、上長から「自分自身(上長)や周囲の社員が、障がいに対しどのような配慮をすればよいか迷う部分がある」といったお話を伺いました。その経験を通じて、障がいを持つ自分だけが周囲から配慮を受けるのではなく、同じ職場で働く社員全員が相互に尊重され、働きやすい環境を作ることが大事だと思いました。
そういった考えから、職場環境づくりにも何かしらの形で関わりたいという思いを胸に転職活動をする中で、三菱重工のタレントインクルージョンチームの存在を知り、「ここでなら自分の思いを叶えられるかもしれない」と思い、入社を決めました。
──入社前の三菱重工のイメージと、実際に入社してからの印象を教えてください。
野村:入社前は伝統ある大企業というイメージで、縦割りでトップダウンな風土なのではないかと思っていました。しかし、入ってみると思いのほか柔軟に物事を進めることができ、自身の意見が尊重されることも多いのが意外でした。
増田:私はもともと三菱重工が大手企業だというイメージを持ってはいたものの、入社してみると国内だけでなく海外でも活躍するグローバルな企業だということがわかり、想像以上の規模の大きさに圧倒されました。
──仕事をする上で大切にしている価値観について教えてください。
増田:私はたとえ仕事と呼べないくらい小さなことであっても、率先して引き受けることを大切にしています。人にはそれぞれ能力や適性があり、初めは相手もどういう仕事を頼めばいいかわからないと思います。そのため、小さなことでも前向きに取り組み続け、より幅広い業務を任せてもらえるように日々努力しています。
野村:私は上司や同僚、別部署の方などさまざまな人の立場でものを考え、自他共によい方向に物事を導くことを大切にしています。その上で、自分の担当業務を指示通りこなすだけでなく、短時間でミスなくできるよう日々工夫しています。将来的に、少しでも企業利益に貢献できる存在になりたいと思っています。
特性への配慮と仕事のやりがいは両立できる。一人の「プロ」として評価される喜び
──これまでの業務でとくに印象に残っていることを教えてください。
増田:決算時期で案件が立て込んでいる際、1件の漏れもなく処理を終えられた時はうれしかったです。私は経理処理業務では毎月平均して100件ほどの対応をしていますが、時には200件を超えることもあります。
そのような時は支払い遅延を防ぐためにもサポーターや関連部署としっかり連携をとり、状況を細かく整理しながら丁寧に仕事を進めることを意識しています。
野村:私も日頃から優先順位や納期を意識して業務に取り組んでいます。最近とくにうれしかったのは、毎月決まったスケジュールで対応している経理処理に関して、連絡が来るはずのタイミングで関係先から連絡が来なかったため、依頼元に働きかけながら、なんとか期日内に処理を完了できたことです。もし遅れに気づかなかったら、経理処理上の不備につながるところだったので、本当によかったです。
──現在のお仕事のやりがいを教えてください。
増田:前職では黙々と1人でこなす仕事が多く、仕事に対する達成感や誰かと共に作り上げる喜びが生まれにくい印象でした。しかし、先ほどもお話の通り、三菱重工の仕事は1人で行う作業だけではなく、複数人で協力して行う仕事も多くあることから、コミュニケーションを通じてお互いに協力し合える楽しさや重要性を感じています。
また、三菱重工では障がい者として必要な配慮をしてくれつつ 、それ以外のところでは一般社員と分け隔てなく仕事を任せてくれます。そのため、自分の仕事が少しでも会社の役に立っていると実感しやすく、それが私自身の仕事のやりがいにつながっています。
野村:私は三菱重工という歴史ある大きな企業で、障がい者雇用という側面から新しい試みに携われていることを光栄に思っています。三菱重工では個々人の特性に配慮しながらも、やりがいを感じられるような仕事を任せてくれるので、障がいの有無に関わらず皆がいきいきと働けていると感じます。
支えられる側から「支える側」へ──障がい者雇用の未来を自分たちで作っていく
──今後の展望や挑戦してみたいことについて教えてください。
野村:将来どのような立場をめざすとしても、「この人と一緒に働きたい」と思ってもらえるようなコミュニケーションのとりやすい存在になることが大切だと思っています。そこで、どんなに忙しい時でも周囲の声に耳を傾けるなど、周りから相談しやすいと思ってもらえるような存在をめざしています。
また、世間的に障がい者の法定雇用率は年々上昇傾向にあることも踏まえると、きっと三菱重工でも障がい者雇用の重要性は高まっていくだろうと思います。
そこで将来的には私自身がさらに成長し、他のメンバーをリードする存在になり、障がいのあるメンバーを支えたり、業務の整理や構築など組織の運用面に携わったりできる存在になりたいです。自分が助けられた経験があるからこそ、最適な支援ができるのではないかと考えています。
増田:私は、まずは三菱重工の一社員としての誇りを持ち、小さな仕事でもコツコツと真剣に取り組むことで会社に貢献していきたいです。その過程で少しずつ信頼を積み重ねてメインプレイヤーとして活躍し、いずれは障がい者雇用職場を牽引する存在になっていきたいと思います。
──今障がい者雇用を検討している方へ、メッセージをお願いします。
増田:新しい環境で働く際は、障がいの有無に関わらず小さな仕事から始め、少しずつ担当業務が増えていくことが多いと思います。そのため一歩ずつでも地道に努力し、成長していける方であればきっと活躍できると思います。
また、三菱重工は非常に大きな会社で、チームワークを大事にする会社です。周りの方は障がいを理解してくれようとする方ばかりですので、それに甘えることなく周囲の方を理解し、尊重できる方であれば三菱重工の職場に馴染めると思います。
野村:私には一般雇用で働いてから、障がい者雇用で働いた経験があります。障がい者手帳を取るまでは、障がい者雇用を選ぶことでキャリアの選択肢が狭まるのではないかと懸念していました。
しかし、実際に行動してみると選択肢が狭まるどころか大きく広がって、今では三菱重工のような歴史ある大企業で働けています。もし、そもそも障がい者雇用で働くこと自体に迷っている方がいたら、ぜひ恐れずに一歩踏み出してもらえたらうれしいです。
※ 記載内容は2026年4月時点のものです

