創作意欲と研究への情熱が導いた道
子どもの頃から、人と話すことが大好きな性格でした。明るくおしゃべりで、周りの人とコミュニケーションを取ることが何よりも楽しかったですね。
特に印象に残っているのは、小学生の時に自作のカードゲームを作って、クラスで流行らせたことです。当時流行していたカードゲームを簡略化したようなものでしたが、イラストはすべて手書きで、カードパックまで自由帳を使って作り込みました。毎朝、家で作ったカードを友達に配っていましたね。バランス調整も意識していて、極端に強いカードは作らないようにしていました。結果的に、クラスの中で大流行して、授業中にもみんながやるようになってしまい、先生に禁止されてしまいましたが(笑)。
学生時代は、研究室配属が大きな転機となりました。それまではサークルや飲み会で遊び回っていた私でしたが、研究室に入ってからは180度変わりました。最初は超臨界水熱合成法による金属ナノ粒子の研究に携わり、その後、教授の退官に伴って超音波を用いたポリマーの分解プロセスの研究へと移りました。研究室の変更を余儀なくされましたが、むしろそれを新たな学びの機会として捉えることができました。
学業以外では、バーテンダーのアルバイトに打ち込みました。カクテルの知識を得たいという興味からスタートしましたが、実際に働いてみると、お客様との関わり方を学ぶ貴重な機会となりました。店員との会話を求める方、悩みを相談したい方、時には酩酊されている方など、様々なタイプのお客様と接する中で、空気を読む力や相手が求めていることを察する力が自然と身に付いていきました。
また、幼い頃から汗かきで、制汗剤やデオドラントは私の必需品でした。体育の授業で一人だけ大汗をかいて恥ずかしい思いをしたことは、今でも鮮明に覚えています。この経験は、現在の仕事を選ぶきっかけの一つになっています。
研究への情熱と出会いが導いた進路
就職活動では、研究職に焦点を絞って企業を探していました。修士課程に進むと、周りの同級生のなかには研究に対して否定的な感情を持つ人も増えてきましたが、私は違いました。大学で学んだ経験を活かしたいという思いが強くありました。
ただし、研究テーマにこだわりはありませんでした。大学院で化学工学を学ぶなかで、この学問の応用範囲の広さに気づき、必ずしも専門分野と同じ領域でなくても良いと考えるようになっていました。実際、現在は化粧品関連の業務に携わっていますが、就活時は建築や機械など、幅広い分野の企業を見ていました。
そんな私が現在の会社を選んだ決め手は、インターンシップでの経験です。他社とは異なり、長期間にわたって実際の現場で働く社員と一緒に仕事を体験できる機会がありました。そこで出会った方々と今でも一緒に働いているほどです。周囲の人柄を見て、「ここなら自分もやっていける」という確信が持てました。
また、インターンシップで与えられたテーマが非常に興味深かったことも大きな要因でした。化粧品の製造技術開発 という、普段の研究現場に近い内容に取り組ませていただき、実験計画を立て、実行し、考察・議論するという一連のプロセスを体験できました。これは他社のインターンシップではなかなか経験できない貴重な機会でした。
入社後は、2週間ほどの導入研修を経て、すぐに研究室に配属されました。私の部署では「手を動かして覚える」というスタイルで、早々に実務に取り掛かることになりました。また、1〜3年目までは年に一度、担当業務や学んだことについて発表する研修があります。和歌山、東京、栃木と離れて働く同期と再会できる貴重な機会であり、緊張しながらも刺激的で学びの多い時間となっています。
就職活動中は不安や迷いを感じないように意識していました。「自分が一番仕事ができる」「このなかで一番優秀だ」という強い気持ち(自己暗示)で臨んでいました。普段の自分とは違う、ハイテンションな状態を保ちながら、自分の能力を最大限アピールすることに集中していました。
研究への情熱と新たな挑戦
私は現在、加工・プロセス開発研に所属し、化粧品の製造技術開発に従事しています。私たちの部署のミッションは「世界に冠たる生産技術を構築・実装し豊かな共生生活を実現」することです。世界でトップクラスの生産技術を開発し、それをグローバルで多くの人々に届けることが私たちの使命となっています。
研究員として、日々の実験やデータ整理、考察や情報収集などを行っていますが、特に印象に残っているのは、イノベーションチャレンジカンファレンスでの経験です。これは年に一度開催される技術発表の場で、研究員なら誰でも自由に提案ができる機会です。私は1年目という若手ながら、新規の提案を行い、それが本格的なテーマとして認定されました。多くの発表が実現に至らない中で、この成果は私にとって大きな自信となりました。
ただし、研究の道のりは決して平坦ではありません。複数のテーマを同時に進行させ、様々な部署の方々とのやり取りを通じて方針を決定していく中で、情報管理の難しさを日々実感しています。状況は刻々と変化し、それに応じて優先順位も変わっていきます。
しかし、そんな中でも私は確実に成長を感じています。特にデータ分析のスキルと、それを他者に伝えるコミュニケーション能力は、入社前と比べて格段に向上したと実感しています。定量値だけでなく感触などの定性値も含めた複雑なデータを扱い、それを正確かつ迅速にチームメンバーと共有することの重要性を、日々の業務を通じて学んでいます。
研究員として最もやりがいを感じる瞬間は、目的を達成したときです。たとえ実験自体は失敗に終わっても、そこから新たな発見が得られたときは、また一歩前進したという充実感を覚えます。上市という最終ゴールに向けて、一つずつ確実に歩みを進めていることを実感できる瞬間が、私にとって何よりも大きな励みとなっています。
情熱を持って挑む、製品化への夢
これまでの経験を活かして、次は自分の提案を製品化につなげていきたいと考えています。製品化までには多くのプロセスや課題が存在しますが、一つ一つ経験を積みながら、着実に前に進んでいきたいと思っています。
具体的な製品についてはまだ明かせない段階ですが、日々の業務の中で様々なアイデアが生まれています。それらを形にしていく過程で、専門知識はもちろんのこと、関係各所とのコミュニケーションや情報管理など、多くのスキルが必要になってきます。
中期的な目標として、テーマ全体を自ら主導できる存在になりたいと考えています。そのためには、製品に関する専門知識だけでなく、俯瞰的な視点で物事を見る力が重要だと感じています。各セクションにはそれぞれのプロフェッショナルがいらっしゃいますので、その方々の知見を活かしながら、最適な方向性を見出していくことが私たちの役割だと考えています。
花王は非常に面倒見の良い会社で、仕事の相談はもちろん、時にはプライベートの相談もできる風通しの良い環境があります。それでいて、社員の成長のために様々な課題を任せてくれる、バランスの取れた職場だと感じています。街で自社製品を見かけるたびにやりがいを実感できることも、大きな魅力の一つです。
これからも会社の発展に貢献できる仲間を募集していますが、特に大切にしているのは「情熱」です。スキルは入社後も伸ばしていけますし、お手本となる先輩方もたくさんいらっしゃいます。どんな視点でも構いません。仕事に対して情熱を見出せる方、持っている方と一緒に働けることを楽しみにしています。
私自身も、これからも知識や経験を積み重ねながら、自分の提案を製品化するという目標に向かって邁進していきたいと思います。そして、いつか自分がテーマ全体を引っ張っていける存在になれることをめざして、日々の業務に取り組んでいきます。
