研究への真摯な姿勢と社風に惹かれ花王へ入社
大学時代、私は化学工学を専攻しながら、アカペラサークルでの活動に情熱を注ぎました。化学工学の勉強は私にとって純粋な楽しみでした。特に反応工学やプロセスシステム工学、統計熱力学の分野に強く惹かれました。数式を扱うことが好きだった私は、物質収支や熱収支をもとに化学プロセスをモデル化し、シミュレーションを行うことに夢中になりました。
同時に、アカペラサークルでの活動も私の大学生活を彩る大切な要素でした。プレーヤーの一人として、ハーモニーを追求する日々は、まるで研究のような試行錯誤の連続でした。より良い音を作り出すためのアイデアを主体的に提案し、仲間たちと何度も練習を重ねました。その努力が実を結び、国内の大きな学生アカペラ大会への出場を果たすことができました。
就職活動では、自分の専門性を活かせる道を探していました。化学工学系の学生の多くは生産技術職に進みますが、私は研究職として活躍できる場所を求めていました。また、日系企業で福利厚生が充実している企業を探していました。
そんな中で出会った花王は、私の中で「アタック」や「メリット」といった日用品を扱うメーカーというイメージが強かったのですが、実は化学品の研究開発も盛んに行っていることを知りました。日用品だけでなく、BtoBのケミカル分野まで幅広く事業を展開しており、様々な専門分野の研究者が在籍している環境に、大きな可能性を感じました。
面接では、私の研究分野について詳しく質問されました。異分野にも関わらず、面接官の方々の質問は本質を突いていて、花王の研究に対する真摯な姿勢を強く感じました。また、インターンシップに参加した大学の同期から、花王の社員の方々は穏やかな人柄の方が多いと聞いていたことも、入社を決める上で重要な要素となりました。
化学工学の分野で研究職として活躍できる環境があること、そして社風の良さ。これらの要素が重なり、私は花王への入社を決意しました。暮らしに寄り添い、豊かな生活を実現するという企業理念にも共感を覚え、自分の研究を通じて社会に貢献できる場所だと確信しました。
新規プロセス開発への挑戦と多様な協働の発見
入社当初で印象に残っているのは、充実した研修プログラムでした。基礎的なビジネスマナーの習得はもちろんのこと、花王のポートフォリオやバリューチェーンについて深く学ぶ機会がありました。特に印象深かったのは、研究職以外の生産技術部門や営業部門、事業部門など、様々な部署の方々との交流でした。
当時は研修での交流がこれほど重要になるとは想像していませんでしたが、今になって振り返ると、その時に築いた人脈が現在の仕事に大きく活きていると感じています。一度顔を合わせていることで、必要な際にスムーズに部署を超えたコミュニケーションを取ることができています。
私は入社以来、主にBtoBのケミカル製品の製造プロセスの開発に携わってきました。既存事業のサポートも行いながら、私の場合は主に新規製品の製造プロセス開発を担当してきました。大学時代は一人で研究を進めることが多かったのですが、企業での研究開発は大きく異なっていました。
2〜4人程度のチームで協力しながら開発を進め、さらに製品開発の研究所や生産部門など、様々な部署の方々と連携して進めていく必要があります。入社前は、これほど多くの人が関わって一つの製品が作られているとは想像していませんでした。
新規事業における製造プロセスの開発では、大きな課題に直面することも多くありました。市場で求められる性能が不明確な中で、製造プロセスの必要要件を見極めながら開発を進めていく必要があったのです。しかも、開発にはスピード感も求められます。
そのような状況下で、私たちは変化するお客様からの要求に柔軟に対応できるよう、大枠を押さえながらも柔軟な設計を心がけてきました。これはプロセス研究職の中でも、新規事業ならではの経験だったと思います。
チーム単位での仕事に慣れるまでには、確かに戸惑いもありました。価値観や仕事の進め方は人それぞれ異なりますから、若手の頃は特に、どのように進めていけばよいのか悩むことも多かったです。しかし、様々な先輩方の仕事の進め方を観察し、学ばせていただくことで、徐々に自分なりのスタイルを確立していくことができました。今でも日々、より良い進め方を模索しています。
チームの中核として、プロセス開発に挑む日々
現在、私はケミカル製品の製造プロセス開発に携わっています。4人のチームで複数の製品を担当しており、リーダーの次に年次が高い立場として、チーム全体を見渡しながらテーマの方向性を考えることが求められています。
新規製品の製造プロセス開発と、既存品目のコスト低減を実現するためのプロセス開発が主なミッションです。年次が上がるにつれて、実験室でのデータ取りだけでなく、他部門とのやり取りを主体的に行い、設計要件を決めていく役割も担うようになりました。
プロセス開発の業務で特に印象に残っているのは、自身が提案したプロセスにより、新規製品の量産を可能にし、さらに製品品質も向上させることができた経験です。通常、プロセス開発ではコストを抑えつつ目標品質を達成することが主な目的となりますが、プロセス開発により製品価値の向上にも貢献できたことは大きな誇りとなっています。
この成功の裏には、部署を超えた情報収集の取り組みがありました。その製品の製造プロセスは自分の部署内ではあまり知見がなく、様々な専門家に相談しながら進めていきました。花王には多様な専門家がおり、思いついたアイデアをすぐに相談できる環境があることは、大きな強みだと感じています。
一方で、失敗や苦労も経験してきました。あるプロセスの設計・導入において、設計から発注、装置組立までの工数が適切に読めず、目標スケジュールを達成できなかったことがあります。この経験からは、新しい業務に取り組む際は必ず経験者に相談し、全体感をつかむことの重要性を学びました。
また、プロセス開発では様々な部門との協業が必要不可欠です。事業部門はコスト、生産部門は安定供給、製品開発部門は製品品質と、各部門が重視するポイントが異なることも多く、その調整には苦労することもあります。しかし、こうした経験を通じて、相手の立場に立って物事を考える力や、テーマを俯瞰的に見る力が身についたと実感しています。
私の強みは、人との対話を楽しみながら粘り強く交渉できること、そして白紙の状態からプロセスを提案する創造的な仕事を楽しめることだと感じています。自身が携わったプロセスが価値を生み出し、製品の開発者や製造現場の方から感謝の言葉をいただいたときは、この仕事の醍醐味を実感します。
新たな挑戦への意欲と、未来を担う人材へのメッセージ
これまでBtoB製品の開発に携わってきた経験を活かしながら、現在はBtoC製品の開発も担当しています。新しい分野に挑戦することで、さまざまな刺激を受けていますが、同時にこれまで培ってきたコミュニケーションスキルの重要性も実感しています。
新分野での人脈構築においては、各部署がどのような立場でプロジェクトに関わっているのか、組織構造を意識しながら進めていくことが重要だと考えています。分野は異なっても、組織における各部署の役割や立場には共通点が多いものです。この視点を大切にしながら、担当製品の低コスト製造に向けたプロセス提案にも取り組んでいきたいと考えています。
中長期的な目標としては、テーマを引っ張るリーダーとして活躍することを目指しています。具体的には、テーマ全体を俯瞰し、要点を素早くつかみ、一歩でも前進できるよう考え続けられるリーダーになりたいと考えています。研究開発部門として、長期的な視野に立った開発方針を打ち出せる存在になることが私の夢です。
当社の大きな魅力は、日用品からBtoB製品まで幅広い事業を展開していることです。この環境は、様々な分野へのチャレンジを可能にしています。また、異なる専門分野の研究者が近くにいることで、新しい研究テーマについての協業がしやすい環境が整っているのも特徴です。
今後、当社はさらなるグローバル展開を目指していきます。そのために必要な技術を見極め、開発していける人材が求められています。特に重要なのは、他社技術を上回る優れた技術を開発し、知財戦略を意識した自社の優位性を構築することです。また、世界的な市場動向にも強い関心を持ち、生産拠点や輸送など、技術開発に留まらないビジネス全体のプロセスを考えられる視点も必要です。
新しいことにチャレンジする際に大切にしたい価値観として、技術だけにとどまらない幅広い興味を持つことが挙げられます。時には否定的な意見を受けることもあるかもしれませんが、そのような状況でも前進する強い意志を持ち続けることが重要だと考えています。
当社で活躍できる人材として、新しいことに柔軟にチャレンジでき、研究者として本質を追求するマインドを持った方を求めています。また、相手の立場に立って互いを尊重し、チームで物事を成し遂げる力も重要です。会社として新しい一歩を踏み出そうとしている今、そのパイオニアとなれるような明るく前向きな方々と一緒に働けることを楽しみにしています。
