事業に寄り添い、ともに進む。法務の仕事は「守り」だけではない
私が所属する法務・コンプライアンス部の法務グループは、契約書の審査や法律相談、M&Aといったプロジェクトへの対応などを通して、会社の事業活動を法的な側面から支える部門です。法務の役割と聞くと、事業上のリスクにブレーキをかける「最後の砦」というイメージが強いかもしれません。
しかし、私たちのグループがめざしているのはそれだけではありません。私たちは「『最初の砦』にもなる」というスローガンを掲げています。これは、社内で新しい挑戦をしようとするときに最初の段階から相談に乗り、リスクを分析した上で「この方法なら進められますね」と一緒に道筋を考える、という姿勢を表しています。会社全体を守る砦でありながら、依頼部門に「パートナー」として寄り添う。そんな存在でありたいのです。
チームは部長を含め11名。穏やかで相談しやすい雰囲気ですが、仕事では建設的な議論を大切にする方ばかりです。
そんなチームの中での私の主な業務は、研究開発やライセンスに関する契約書の審査です。契約書審査に加え、法律相談への対応や、M&Aをはじめとする各種プロジェクト案件にも参画しています。こうした多様な業務に向き合う上で、常に意識していることがあります。
それは、まず契約書の作成や修正に取り掛かる前に「依頼部門が何をしたいのか」を正確にヒアリングすること。そして、丁寧に伝えることです。入社当初、他部門とのコミュニケーションの際に「なぜ伝わらないのだろう」と悩んだ経験から、専門分野が違う相手の立場を理解して言葉を選ぶことの重要性を学びました。
また、新入社員研修では法務に関する講義を担当しています。研修では、私自身の経験も踏まえ、「一つの物事に目を向けると視野が狭くなりがちなので、常に広く捉え、多角的な視点を持つことを大切にしてほしい」と伝えています。こうした情報発信も含め、若手のうちから幅広い業務に携われることに大きなやりがいを感じています。
妥協せずにつかんだ「ありたい姿」。人と成長環境が入社の決め手
大学と大学院では法律を学んでいました。大学の講義で、さまざまな企業の法務部門について学ぶ機会があり、「これこそ私がやりたい仕事だ」と直感したのがこの道を志したきっかけです。自分の専門性を活かせるだけでなく、企業の中枢で事業を支え、ダイナミックに働く姿を最もリアルに想像できたのが法務部門でした。そのため、私の就職活動は「この業界で働きたい」という業界軸ではなく、「法務として働きたい」という職種軸を徹底していました。
ただ、「法務」であればどこでも良いわけではありませんでした。私の中には、少数精鋭の組織で若いうちから裁量権を持って幅広い業務に携わりたい、という明確な「ありたい法務の形」があったのです。担当が細分化されている法務部門ではなく、事業やM&Aにも積極的に携わり、会社全体の動きを肌で感じながら成長できる環境の法務部門を求めていました。その点、住友ファーマの法務・コンプライアンス部は、まさに理想的な環境だと感じました。
最終的な入社の決め手は、間違いなく「人」の魅力です。選考でお会いした社員の方々が、私を単なる「就活生」としてではなく、1人の人間、未来の同僚として真摯に向き合ってくださいました。フィードバックも非常に丁寧で、「この人たちと一緒のチームで働くなら、きっと安心して挑戦できるし、大きく成長できるだろう」と、入社後の自分の姿がはっきりと、ポジティブに想像できたのです。この感覚は、他のどの企業よりも強いものでした。
入社後、その直感は正しかったと確信しています。もちろん、日々の業務は挑戦の連続です。とくに、事業部門との意見調整の難しさには、今も日々向き合っています。私たちの守るべき一線と、事業部門が推し進めたいスピード感との間で、板挟みになることもあります。
入社当初は、議論が行き詰まりそうになると上司に同席をお願いし、その知見をお借りして場を収めていただく場面も多くありました。しかし経験を積む中で、最近ではまず自分で会議を進行し、判断に迷う場面だけサポートをお願いする、という形に挑戦しています。先日、上司に一度も発言を求めることなく、無事に会議を終えられた時は、自分のささやかな成長を実感できました。
努力の先にある達成感。仕事の成果が、社会に届く喜び
これまでで最も印象に残っている仕事は、あるプロジェクト案件です。業務内容そのものというよりも、そのプロジェクトが完了し、その成果がプレスリリースとして発表され、さらにニュースで取り上げられているのを見た時は、今までにないほどの感動を覚えました。同僚から「初めてプレスリリースの対象になったね」と声をかけていただいた時の、誇らしい気持ちも忘れられません。
私たちの仕事は、営業のように数字で成果が明確に出るわけではありません。しかし、一つひとつの案件に真摯に向き合い、地道に知識と経験を積み重ねていくことで、着実に「できること」が増えていきます。昨日までわからなかったことが理解できたり、以前は先輩に頼っていた判断が自分でできるようになったりと、自分の成長を日々、直に感じられるのがこの仕事ならではのやりがいです。
また、他部門の方々との関わりの中に、喜びを感じる瞬間も多くあります。法務グループには日々、複数の部門から依頼が寄せられ、中には「急ぎで」と相談されることもあります。以前、急ぎの案件の依頼が重なった際、闇雲に急ぐのではなく、まずはそれぞれ手短に依頼内容や要件、スケジュールを整理し、優先順位を冷静に判断しました。一呼吸置いて工夫した結果、それぞれの依頼部門の要求を満たすことができたのです。
後日、その部門を新たに担当することになった同僚から、「中島さんの対応が的確で早くて、すごく助かったと話していたよ」と又聞きで教えてもらった時は、本当に嬉しかったですね。メールでお礼の言葉をいただくことは多いのですが、自分の仕事が自分の知らないところでも評価されていて、自分への信頼が広がっていることを実感することができ、大きな手応えを感じました。
信頼される専門家へ。自分の「やりたい」を貫く勇気を持って
今後の目標は、シンプルですが、「今できていないこと全部に挑戦すること」です。法務グループの業務は多岐にわたります。機会があればどんな業務にも積極的に手を挙げ、対応できる領域をどんどん広げていきたいです。そして将来的には、特定の分野において「これについては中島に聞けば大丈夫」と誰もが認める専門性を確立しつつ、それ以外の幅広い相談にも的確に応えられる、深さと広さを兼ね備えた法務担当者になることをめざしています。
そのために今も、日々の勉強を欠かしません。会社や業界に関する知識や一般的なビジネススキルの獲得をはじめ、わからない言葉があればすぐに調べる、セミナーに参加する、法律事務所から発信される最新の法令情報にも常にアンテナを張るなど、知識の幅をどんどん広げて成長していければと考えています。
さらに、法務担当者として活躍するためには、「伝える力」が重要だと、先輩方の姿を見ていて強く感じます。専門知識があるだけでは、ビジネスは円滑に進みません。異なるバックグラウンドを持つ相手に、いかにわかりやすく説明できるか。難しい専門用語を並べるのではなく、誰もが理解できる言葉で対話したり、文章に頼らず図解したりするいわゆるコミュニケーション能力を身につける努力をしています。
私は今の法務グループの、誰もが安心して相談できる温かい雰囲気をとても気に入っています。だからこそ、これから入ってきてくださる後輩たちとも、この良い文化を一緒に守り、育てていきたいですね。
最後に、私自身の経験も踏まえ、就職活動中の皆さんへ伝えたいことがあります。将来への期待と同時に、焦りや不安も感じているかもしれません。私も「法務」という新卒での募集が少ない職種をめざす中で、他の職種も視野に入れるべきか、何度も悩みました。でも、今だからこそ伝えたいのは、「自分が本当にやりたいこと」を最後まで見失わないでほしい、ということです。
入社後の何十年という長い社会人生活の土台を作るのが、就職活動です。周りの雰囲気や目先の安心感のために、やりたいことを諦めるのは本当にもったいない。自分が心から納得できる道を、諦めずに貫き通してください。その熱意と努力の先には、きっと素晴らしい未来と、最高の仲間が待っているはずです。
※ 記載内容は2025年7月時点のものです
