遊びで培った探究心と多様な学びへの挑戦
子どもの頃は、とにかく外で遊ぶことが好きで、友達とよく公園で遊んでいました。新しい遊び場を探して町中を駆けまわっていたので、大人からは「神出鬼没」と言われていたようです。新しい場所や体験への好奇心が強かったのだと思います。 習い事では、幼稚園から小学校の終わりまで水泳を続けていました。最初は言われるがまま始めましたが、実際にやってみると、できなかった泳ぎができるようになったり、タイムが伸びたりと、自分の上達が実感できるところがおもしろく、夢中になりました。趣味としては、ビデオゲームが好きでした。一見するとまったく違うもののように見えますが、両方とも目標があって、努力の成果を感じられる点が魅力的でした。
大学では6年制の薬学部薬学科に進学しました。薬学部を選んだ理由は、化学、生物学、統計学など、さまざまな分野の知識を統合的に学べることに魅力を感じたからです。1つの分野に特化するよりも、さまざまな知識を組み合わせて新しい価値を生み出すことにおもしろさを感じました。 勉強以外では、時間を活かして、積極的に旅行に出かけました。とくに印象深いのは、ヨーロッパ各国を巡る学生ツアーです。見たことのない景色や異国の文化や空気感を肌で感じ、現地の人々との交流も含めて貴重な体験でした。
製薬×データサイエンスという軸で挑んだ就職活動から入社まで
就職活動では、製薬企業のデータサイエンスという明確な軸で企業を探していました。理由は2つあり、1つは、学生時代に医療とデータサイエンスを組み合わせる研究を行っており、そのおもしろさに気づいたこと。もう1つは、薬学部で学んだ知識を活かしつつ、デジタル関連の知識も一緒に活用したかったからです。
製薬企業の中でも、この会社はデータサイエンス関連の活動が活発なのが印象的でした。めずらしく製薬企業でデジタルやデータサイエンスの部署が明確に立ち上がっていたことや、アメリカにも同様の部署があったことから、積極的にデータサイエンス活用に取り組んでいる様子に、強く惹かれました。
入社を決めた理由は大きく2つありました。1つは、幅広い業務に挑戦できそうだったことです。製薬企業のデータサイエンス部門とひとことにいっても、統計解析や機械学習など、どのような技術に取り組んでいるのか、また、どの医薬品開発の段階――たとえば候補化合物の探索、治験、市販後の調査――に力を入れているのかは会社によって異なります。この会社のデータサイエンス部門は、そうしたさまざまな領域を統合的に幅広くカバーしており、非常に魅力的だと感じました。
もう1つが社員の人柄に魅力を感じたことです。就職活動の時に接した人事の方がとても生き生きと仕事されているのを見て、「この企業で働きたい」と思いました。
採用選考でとくに印象に残っているのは、面接官の方が私の研究にとても興味を持ってくださったことです。面接で自身の研究内容を話した際、専門外にもかかわらず、今の上司や同僚にあたる面接官がとても熱心に質問してくださったことが心に残っています。
正直なところ、製薬企業のデータサイエンスという狭い領域での就職活動だったため、なかなか内定が決まらず不安でした。ですので、内定をいただいた時は、声を上げて喜んだほどです。結果的に、自分の気持ちや考えを正直に答えたところにご縁をいただけたので、今思えば、自分を偽ることなく本当に好きなことや強みに思っていることを伝えればよかったのだと感じています。
データの向こう側にある意思決定への貢献とコミュニケーションの重要性
現在は、IT&データアナリティクス部に所属しています。部署全体としては「IT・デジタル施策による全社的な価値創造」をミッションとしています。中でも私の所属するグループは全社横断的にDX(デジタルトランスフォーメーション)を進める役割を担っており、データ活用や先端技術の導入を通じて、医薬品開発に貢献しています。
個人の業務としては、リアルワールドデータの解析を担当しています。リアルワールドデータは、日常生活で得られる人の健康に関わるデータで、例えば、診療録(カルテ)や処方箋、ウェアラブルデバイスのデータなどが含まれます。各部署から届けられるリクエスト――例えば、ある疾患の治療実態を知りたいなど――にもとづき、リアルワールドデータを解析しています。リクエストの内容を整理し、必要な解析方法を検討し、結果を出すことが主な仕事です。医薬品開発の初期から後期段階まで、幅広い部署の方々と仕事をしています。
この仕事で最も印象に残っている嬉しい経験は、ある重要なプロジェクトの意思決定に自分の解析結果が使われたことです。リアルワールドデータ解析は予備的な解析が中心で、臨床試験データとは異なるさまざまな限界があります。そのような限界の中で最大限に情報を活用し、会社の今後の意思決定に貢献できたことは、本当にやりがいを感じました。
一方で、過去に「データの特徴を正しく共有できなかったこと」が原因で、データの解釈を正しく伝えられなかった苦い経験もありました。解析者は、データの前提や背景、限界について解析を通じて理解しますが、解析を依頼する側は必ずしもその知識を持っているとは限りません。たとえば、データの取得方法やサンプルの偏り、解析手法の前提条件など、しっかりと解析の背景を共有しないまま結果だけを伝えてしまうと、誤った解釈や期待を生んでしまうことがあります。この経験から、最も伝えたいメッセージを明確にし、相手との共通理解を築くことの重要性を強く意識するようになりました。
学生時代は「解析技術そのもの」に興味を持っていましたが、現在は「解析結果をどう伝えるか」ことが、技術と同じくらい重要だと実感しています。特に他部門の方々とのミーティングでは、ディスカッションを通じて認識のすり合わせを行うことを意識しています。その際に、鋭い質問や専門的な視点をいただけると、こちらのデータ解釈が正しく伝わっていることが実感でき、非常に嬉しく感じます。
このような経験を重ねる中で、学生時代と比べて伝達力が成長したと思います。今後も、技術とコミュニケーションの両面から、より価値あるデータ活用を目指していきたいと考えています。
リアルワールドデータの可能性を全社に広げ、新たな価値創造に挑む未来
短期的な目標としては、より多様なデータ活用に挑戦していきたいと考えています。例えばリアルワールドデータには、保険請求のレセプトデータや、臨床情報を前向きに収集するレジストリデータなど、さまざまな種類があります。さらに、政府の人口統計データや論文といった公開情報と組み合わせることで、解析の精度を一層高めたいと考えています。これらのデータを統合的に活用することで、より正確な解析結果を導き、これまで見えなかった新しい価値を創出できると信じています。
中長期的な目標として、こうしたデータ活用をもっと身近なものとして、全社的に広げていきたいです。データ活用は正直なところ、まだ一部の分野に限られています。しかし、先ほど述べたデータは全社的に活用できる価値のあるものです。「データの存在を知らない」「知っていても活用方法がわからない」という障壁を取り除きたいと考えています。各部門の実際のニーズを吸い上げながら、データ活用に興味のある方々と連携し、部門を超えたデータ活用を進めていきたいです。そして将来的には、社内のさまざまな部門がデータをより身近に感じ、積極的に活用できる環境を実現したいと思っています。
最後に、就職活動中のみなさんへ、お伝えしたいことがあります。ぜひ遠慮せずに、ご自身のやりたいことをしっかり主張してください。みなさんの新しい知見・視点には大きな価値があり、入社後は周りの仲間がその実現に協力してくれるはずです。IT&データアナリティクス部には多様なバックグラウンドや専門性を持つ仲間が集まっており、意見も多種多様です。それこそが、組織全体のDX推進、ひいては成長につながると信じています。ぜひ、みなさんの熱意を積極的に発信していただきたいです。

