それぞれ異なるキャリアでありながら、学生時代から環境問題に深い関心を持つ
―まずはおふたりの経歴について教えてください。
吉村:学生時代は工学部で伝熱工学を学び、当時から自動車に興味がありましたので、自動車関係の仕事に絞り就職活動を行っておりました。2004年にアイシン(当時はアイシン精機)に入社。当時はエンジン分野の開発設計を行い、2023年からはEVの先行開発に取り組んでいます。
遠山:大学院で蓄熱技術の研究をしている中で、熱交換器の性能を上げることに注目しこの先も自らの技術を高めたいと、卒業後は熱交換器メーカーに入社しました。熱交換機の設計に携わる中で、自動車向けの熱交換器を多く扱っていたので、その流れで自動車業界に関わるようになりました。2023年にアイシンに転職し、現在はマネージャーの吉村さんと上司と部下の関係で一緒に仕事をさせていただいています。
―おふたりとも学生時代は“熱”を学んでいますが、どのような経緯で興味を持たれたのですか?
吉村:環境問題やエネルギー枯渇に興味があったことから、再生エネルギーというキーワードに注目し、伝熱工学を学びたいと思い大学を選択しました。アイシン入社後からエンジン分野の業務に長く携わっていましたが、2年ほど前より熱分野に取り組む部署へ異動となりました。学生時代に学んだ知識もありますが、当時からさまざまな変化がありワクワクしながら仕事をしています。
遠山:私も環境問題に関心を持ったのがきっかけです。その中でも、熱エネルギーをたくさん使用し、たくさん捨てているというロスのエネルギーに注目して、捨てられる未利用の熱エネルギーをもっと活用できればと考え、大学の研究室で学んでいました。当時は、夏は暑くて、冬は寒いという環境の中、夏の暑いエネルギーを貯めておくことはできないか?ということも考えながら学生時代を過ごしていました。
未来に必要な技術を見据えたエネマネ分野の事業戦略の立案に取り組む
―ふたりが所属されている「エネマネ開発室」について教えてください。
吉村:電気自動車のデバイス開発をするための環境整備や関連技術の開発が大きな柱となりますが、会社のエネマネ分野における事業戦略の立案なども行っています。
―先行技術開発は、目の前よりも将来を見据えての開発になりますよね。どこにやりがいを感じていますか?
吉村:未来に必要になるであろう技術を想定しながら、ひとつひとつの課題をクリアしていきます。目の前には答えがなく外部環境を把握しながら、自分たちで課題を探していく業務になります。模索しながら手探りで探していくのはなかなか大変ですが、常に試行錯誤できることにやりがいを感じていますし、自ら可能性を広げることができるのが楽しいですね。
遠山:やりがいという部分だと、前職では熱交換器というデバイス単体での開発でしたが、現在は熱をマネジメントするというシステム目線での仕事になります。デバイスとしてこんなものがあったら良いという部分に加え、システム全体としてこうあるべきだという部分まで考えているので、広い視野でエネルギーマネジメントを見ることができるのが面白くやりがいを感じています。
過去から現在に至るまでさまざまな技術が蓄積された自動車は、まさに人類の英知の結晶
―遠山さんは2023年に他社よりアイシンに転職されましたが、どのような理由で転職を検討したのですか?
遠山:前職では、入社して先行開発、その後は量産開発、そして生産拠点の工場に設計として駐在するという一連の流れを経験できましたので、熱交換器がどのように開発され、生産まで流れていくのかという過程を理解することができました。経験を積むにつれて違う目線で熱にフォーカスした仕事をしてみたいという思いが生まれ始めたのがきっかけです。入社前の面接では詳細に業務内容を説明していただいていましたので、業務面でのギャップはほとんどなく、前職での経験も十分に活かしながらも、転職後に新しい経験も積むことができていると実感しています。恥ずかしながら社会人になる前は自動車にはあまり興味がありませんでした。知っている車種の名前も本当にわずかでしたね。実際に自動車の仕事に関わってみると、自動車にはいろいろな技術が詰まっていることが分かり、大袈裟かもしれませんが、『人間の英知の結晶』だと思いました。今はあの車種の何年式ということも分かるようになり、さらに興味も湧いてきました。
―逆に吉村さんは、約20年に渡りアイシン一筋ですが、長く働くことで得られたことはありますか?
吉村:技術の深い所、部品の細部にまで携わることができるため、とことんこだわることができます。開発から世の中に出ていくまでのプロセスを踏ませてもらっているので、マニアックなことまでやれているのは、良い経験が積むことができてと思っています。とにかく業界や会社のスケールが大きいので、常に新しい学びやチャレンジの機会があることは仕事を続ける中でも良い環境だったと感じています。
―「先行技術開発部 エネマネ開発室」で、お互いのことをどのように見ていますか?
遠山:吉村さんは、すごく人の日々の様子を見られている方だと思います。例えば、コミュニケーションを取るのが苦手な方でも、どのようなことを考えている、また悩んでいることを推測しながら、コミュニケーションを取るきっかけを自ら作ってくれていると感じます。部下の立場ではありますが、過去一緒に働いたマネージャーの中でもチームを円滑にまとめる力が非常に高い方だと感じています。
吉村:先行開発という領域は、正解がない中で考えることが非常に大切なのですが、遠山さんは自分の考えに基づいて、さらに肉付けの部分も含めて、すごく考えながらアクションしてくれるので信頼をしています。また、前職の経験も活かしながら、全体を見ながらも細かい部分にも気づいてくれるので頼もしい存在です。
―吉村さんはどのようなことを意識してチームをマネジメントしていますか?
吉村:当然、問題にぶつかると苦しいのですが、そんな時こそ楽しめるチームでありたいと思っています。楽しく仕事することが、良い成果にもつながると思っていますし、その場の状況に応じて声掛けをしながら、チームの雰囲気を作るようにしています。若い頃の話ですが、量産過程で不具合があり失敗続きでなかなか前に進まなかったプロジェクトがありました。どのように自分が仕事を進めていけば良いかも分からず、余裕もなくなり悩んでいました。そんな様子を見た当時の部長から、「七転び八起きで、倒れたらまた起きれば良い」と助言をいただきました。「確かにそうだな。目の前のことを一生懸命やって、転んだらただ立ち上がるだけ」と吹っ切れました。そうした声掛けがあったことで、すごく気が楽になって前向きになることができました。そのような経験も、マネジメントする側に回った現在の役に立っていると思います。
―遠山さんは前職の経験が、今の業務に活かされていると感じることはありますか?
遠山:前職で、先行開発、量産設計を行い、工場で実際に作れるか?を検証した際、全く上手くいかずモノが作れなかったことがありました。当時は愛知県の設計の部署にいましたが、県外にある工場まで、毎日日帰りで行って帰って来てを1カ月ぐらい繰り返していました。企画から考え直した方が良い?無理なんじゃないか?とも思ってしまいました。そんな私の様子を見て、現場の方が夜遅くまで必死になって協力してくれて、最終的には何とか形にすることができました。製造業である以上、実際に現場に行って一緒にやることが大切なんだと学びました。前職の会社はアイシンに比べると規模が小さかったため、キャリアの早い段階で全体を見ることができました。いろいろな部門の方とコミュニケーションを取り協力をしてきた経験が今の私の強みになっています。現在も、何年後か先を見据えて企画を考えていますが、将来的にはその製品を工場で製造することになります。その際には前職の経験を活かし、企画の段階でモノづくりのところまでをしっかり考えたうえで、他の部署とも協議して企画に落とし込んでいきたいと思っていますし、たくさんの方と関わることが、大きな困難を乗り越えるための原動力にもなると思います。
遠い未来、この技術が転換点だったという、爪痕が残るような開発をしたい。
―アイシンの魅力や強みについて教えてください。
吉村:アイシンは自動車以外にもさまざまな領域があり、製品の幅も広くいろいろな視点で技術を見ることができる集団です。部署の垣根を超えてプロジェクトを動かす時のパワーはすごいと思います。正解のない時代や変化の激しい時代の真っただ中ですが、社内や社外の経験や知識も借りながら乗り越えていきたいと考えています。
遠山:製品の幅が広いので技術のノウハウの蓄積を強く感じます。また、前職と比較すると組織が大きいため、その組織を最大限活かすための工夫をいたるところで感じます。例えば、製品設計に関して、成果物を提出する際には図面などの仕様書だけでなく、設計するうえでどのようなことを検討したのか?などもまとめて履歴を残しています。後の人がそれを見た時に、なぜこの図面を起こしたのか?ということまで理解することができます。キャリアで入社した人でも、先人たちの技術や苦労が蓄積されているので、情報をキャッチアップしやすく、過去の技術からも新しいヒントが得られるようになっています。じつは先月まで育休を取得していたのですが、私が不在の期間は吉村さんとチームメンバーが支えてくれて安心して育児に専念できました。何かあってもカバーしあえるチーム力と関係性があってこそのことだと思うのでこういった組織づくりができていることもアイシンの強みではないでしょうか。
―仕事に対するモチベーションの維持はどのようにしていますか?
吉村:ちょっと大袈裟かもしれませんが、自分のためやお金のためという気持ちは正直なく、他者に貢献したいという意識が強いです。自分の考えや行動で周りがハッピーな状態で仕事に取り組め、成果につなげることが、モチベーションです。製品設計をする立場のため、社内のモノづくりとしては上流に位置し、後工程が生産技術になります。量産は時間がない中で、安くて作りやすいということが求められますが、生産技術から後工程も考えた設計になっていることを評価いただき、「一緒に頑張りましょう!」という声をいただいたときは嬉しいですし、そういった状態になるようにしたいという気持ちになりますね。
遠山:ニュースなどの記事で、アイシンの開発の様子が取り上げられるとカッコイイなと思いますので、ゆくゆくは自分たちの活動もメディアに取り上げてもらえるような仕事ができるように頑張ろうと思っています。誰も想像がつかない、エネルギーマネジメントの未来の姿を提示して、世の中を驚かせてやろうという気持ちで仕事と向き合っています。
―将来の目標やこれから成し遂げたいことなどはありますか?
吉村:マネージャーという立場とは言え、ひとりのエンジニアとして技術的に爪痕を残したいという目標は持っています。私ひとりだけでなく、メンバーと一丸となってエネルギーマネジメントに貢献できるようにしたいですね。何十年後かの未来、この技術が転換期だったと思ってもらえるような爪痕が残せるような開発ができるといいですね。
遠山:自分が開発したものを、自分のお金で買って、実際に使ってみたいです。つまり製品化するということですね。「これお父さんが設計したんだよ」と自分の子どもにも自慢できるような技術ができると良いと思っています。
―どんな人材がアイシンで活躍できますか?
遠山:どんなアイデアが先行開発につながるかは分からないので、好奇心旺盛な方と一緒に働きたいです。色んな考えを持っている方と一緒に働くからこそ、今までにない斬新なアイデアも出ますし、実際にアイシンにはそんな人たちが集まっているので、さらにさまざまな個性を持った方が入社されるのを期待しています。
吉村:失敗を恐れず、とにかくやってみようという精神を持った方が活躍できる場所だと思いますし、世の中に爪痕を残したいと思っている方にこそ来ていただけると嬉しいです。会社の規模や歴史、技術も含めて、十分に世の中を変えることができる会社だと思います。
※ 記載内容は2025年9月時点のものです
