より質の高い在宅医療の実現に向けて、服薬管理と多職種連携で患者様のQOLを支える
神奈川の在宅グループに所属する齊藤。在宅専任薬剤師として、主に訪問薬剤管理指導を担当しています。
「患者様とそのご家族のQOL(生活の質)を向上させる服薬支援が私たち在宅専任薬剤師のミッションです。ご自宅に訪問し、服用する薬の種類や時間を管理する『お薬カレンダー』を使って残薬や服用状況を確認し、適切な管理指導を行っています。
患者様やそのご家族だけでなく、医師や看護師といった多職種の方々と密に連携して、患者様の在宅療養をサポートすることも私たちの大切な役割です。薬物療法の適正化に向けて、必要に応じて減薬や服用方法の変更を医師に提案するなど、患者様にとって最適な治療環境の提供をめざしています」
在宅専任の先輩社員の指導のもと、齊藤は入社1年目から現場に出て活躍してきました。
「私の所属するチームはリーダーを中心に、5年目、3年目、2年目の薬剤師4名で構成されています。私は1年目の7月に配属され、2カ月ほど先輩に同行した後、9月ごろから単独で在宅訪問を始めました。現在は、横浜市港北区や横浜市旭区を主に担当し、1日あたり5〜8件の患者様のお宅を訪問しています。
担当エリアは広範囲にわたるため、訪問時間をこちらから提案するなど、自分でスケジュールを調整しながら、1人でも多くの患者様に最適なサービスを提供できるよう心がけています」
在宅専任の薬剤師に期待されるのは、在宅医療の中心的な担い手としての役割です。仕事に取り組むうえで、齊藤には一貫して大切にしていることがあります。
「患者様のご自宅に上がって仕事をさせていただく以上、少しでも不安や不信感を抱かれてしまうと、本当のニーズや悩みをお聞きすることができません。そのため、信頼関係を築くことをもっとも大切にしてきました。
また、多職種の方々との関係についても同じです。患者様に対して質の高いケアを提供するためには、医師や看護師とも真摯に向き合い、信頼感を得られるよう努めることが重要だと考えています」
幼少期の体験が導いた薬剤師の道。地域医療の現場でQOL向上に挑む
齊藤が薬剤師を志したのは幼少期のこと。現在のキャリアにつながる、原点となる出来事がありました。
「幼いころ、インフルエンザにかかり、近所に古くからある薬局に行ったことがありました。担当してくれた薬剤師が、高熱で苦しむ私を思いやり、小さなシールをくれたんです。とても親切にしてもらったそのときの記憶が、その後もずっと鮮明に残っていました。
もともと人のために働きたいという想いがあり、医療業界に興味を持っていましたが、高校の進路選択の際に真っ先に思い出したのがその薬剤師のこと。近所だったこともあり、再びその薬局を訪れて『自分も薬剤師になりたい』と伝えたところ、強く背中を押してもらって薬剤師をめざす決意をしました。
学生時代の薬剤師実習でも、偶然その薬局のお世話になることに。その薬剤師は、私が薬剤師をめざすうえでの道しるべとなった存在です」
大学では薬剤学を専攻し、がん擬似血管特異的免疫抗体ライブラリの構築に向けた基礎的な研究に従事した齊藤。実習中に、薬剤師としてのキャリアの方向性を決める重要な経験がありました。
「薬剤師というと、薬局の中で働くイメージが私にはありました。ところが、薬局実習の際に在宅訪問に同行させていただいて、ご自宅で過ごす患者様に直接関わる機会があったんです。在宅医療を通じて薬剤師が患者様のQOL改善に貢献できる可能性があることを知り、私もこうした分野で働きたいと思うようになりました。
数ある調剤薬局の中から薬樹を選んだのも、在宅医療を事業の大きな柱として位置づけ、積極的に取り組んでいるからです。当社では、訪問専任の薬剤師を配置し、在宅医療・介護が必要な患者様のお宅での服薬指導や残薬管理、バイタルケアなどの実績を長年にわたって積み重ねています。
地域に根ざした『まちの健康ナビゲーター』として、患者様の健康を支える薬局をめざす姿勢に共感し、入社を決めました」
入社後、念願かなって齊藤は現在の部署へ。学生時代の経験を活かしながら、直面する課題を一つひとつ乗り越えてきました。
「私はもともと人と話すのが得意ではありませんでしたが、薬剤師として働く以上、コミュニケーション能力は不可欠です。そこで、学生時代に飲食店でのアルバイトに取り組み、会話力を磨いてきました。
患者様との良好な関係がなければ、減薬の提案や薬学的な観点からのアドバイス、そしてQOLの改善につなげることはできません。アルバイトを通して、患者様と向き合うための土台を築けたことは、とても有意義だったと思っています。
とはいえ、患者様から薬について質問されてもうまくお答えできないなど、1年目は知識面で大きな不安を抱えていました。1日も早く信頼される薬剤師になれるよう、努力を続けています」
服薬指導を通じて患者様の生活改善に貢献。寄り添う姿勢が生んだ地域医療への手ごたえ
入社2年目を迎える齊藤。在宅専任薬剤師として活動を始めて間もないころに、大きな手ごたえを実感する出来事がありました。
「初めてある患者様のお宅を訪問したときのことです。10錠の薬を1日3回服用している方で、合計30錠もの薬を飲んでいらしたのですが、薬が家の中に散乱していて、適切に服用することが難しい状況でした。
そこで私がまず提案したのが、薬の一包化です。薬をパックにまとめ、包まれたものを服用するだけで、必要な薬を一度にすべて飲めるようにすることをおすすめしました。
さらに、『お薬カレンダー』の導入も提案しました。カレンダーを活用することで、服薬の管理がしやすくなり、その日やその時間ごとに服用すべき薬を確実に飲むことができると考えたからです。
その結果、服薬コンプライアンスが改善されただけでなく、薬の効果も徐々にあらわれてきました。その後、『この薬はもう必要ないのでは』といった減薬の提案もできるようになり、服用薬の数を減らすことにもつながっています」
一方で、薬剤師としての成長を実感したこんな経験も。
「私たち薬剤師は、医師の指示のもとで患者様のご自宅を訪問しています。ところが、ある患者様のお宅にお伺いした際、『そんな話は聞いていない。なぜ薬剤師が家に来るんだ』と不信感を示されたことがありました。
最初は玄関先でしかお話しできませんでしたが、何度も通ううちに少しずつ会話を交わせるようになり、やがて家の中に招いていただけるように。そのうち、お茶を囲んで世間話をする間柄になり、『齊藤さんに薬のことを聞けてよかった。齊藤さんなら安心して任せられるね』と声をかけていただけるまでになったんです。患者様の生活のさまざまな側面にも踏み込み、医師に対して提案できるようになったことは大きな成果でした。
訪問を始めた当初と比べて関係が変わり、患者様との信頼関係を築くことの大切さをあらためて実感した出来事でした」
齊藤が入社1年目から存分に力を発揮できたのは、働きやすい環境があったからこそ。オープンで柔軟な組織風土が、彼の成長を支えてきました。
「縦の関係も横のつながりも良好で、人と人とのつながりを強く感じられる職場です。そうした社内の雰囲気は、患者様にも少なからず伝わるもの。メンバーが『患者様も社員も一緒に健康になっていこう』という意識を共有できていることはとても魅力的です。
また、当社の管理栄養士が中心となって地域イベントを開催したときのことも印象に残っています。私も参加したいと意向を伝えたところ、すぐに承諾していただき、薬剤師の立場を活かして、骨の健康度や血管年齢の測定を行いながら、地域の方々の薬に関する困り事を直接伺うことができました。風通しが良く、やりたいことに積極的に取り組める環境があると感じています」
知識と経験を積み重ね、信頼される薬剤師に。地域包括ケアシステムの実現に向けて
薬樹での齊藤のキャリアはまだ始まったばかり。在宅専任の薬剤師として、めざす姿があります。
「まだまだ自分には知識が足りていないと痛感する場面が多くあります。もっと知識を身につけ、患者様から信頼される薬剤師になりたいと考えています。さらに経験を積み重ねながら成長していきたいです。
真摯かつ愚直に患者様や多職種の方々と向き合えることが私の強み。淡々と仕事をこなすのではなく、これからも情熱を持って接していきたいと思っています。
現場では、医療従事者側が『何とかしてあげたい』と考える一方、患者様が『そこまではしてほしくない』と感じていることが少なくありません。こうした温度差を埋めていくことも私たちの役割。患者様の生活の質向上に役立てるよう、全力で取り組んでいくつもりです」
患者様の生活全体を見据えた包括的な医療サービスを提供するために。地域医療の質の向上をめざす薬樹の一員として、齊藤は在宅医療への想いをこう語ります。
「在宅医療に対する認知度は、まだまだ低いと感じています。また、医師や看護師、ケアマネージャーがその取り組みを十分に理解していなければ、どれほど良いサービスを提供していても利用にはつながりません。
これまで以上に、地域や多職種の方々に向けて、在宅医療の実際を伝える役割を果たしていきたいと思っています。地域でのイベントや、医師との勉強会などを通じて、薬樹が取り組む在宅医療の価値を発信できる薬剤師になりたいです」
届けたいのは、安心と信頼。地域医療に貢献できる存在であり続けるために、齊藤の挑戦は続きます。
※ 記載内容は2024年12月時点のものです

