学生時代の経験から人事への志向が生まれるまで
私は学生時代、学習塾講師として生徒一人一人に向き合うことに注力していました。個々の理解度や性格に応じて指導方法を変え、単なる知識の習得ではなく、自ら行動できる状態をつくることを意識していた経験から、「人は関わり方によって大きく変わる」という実感を得ました。
新卒時の就職活動では、「人々の生活に直接価値を届けられるか」という観点からBtoC領域を志向していました。日常的に利用しているサービスが自身の生活を豊かで楽しいものにしていることを強く実感していたためです。特にスマートフォンの普及によるコミュニケーションの劇的な変化に触れ、その影響力の大きさに魅力を感じ、通信業界へ足を踏み入れました。
一方で、実務での経験を通じて、価値創出の本質はサービスそのものではなく、それを生み出す「人」にあると捉えるようになりました。また、非営利団体への出向中、企業の枠を越えて人事課題に向き合う経験を通じ、人事という仕事の社会的重要度の大きさ、変化が激しいチャレンジングさ、経営と現場の双方に影響を与える役割のおもしろさ、さまざまな人と関わることができる可能性、そういった点に魅力を感じ、志向が明確になっていきました。
転職活動においては、「とくに人の力が企業価値に直結する業界で、自身が人事としてどのような価値を発揮し成長し続けられるか」を軸として企業選択を行いました。その中で当社は、人事一本足というわけでなく、事業や現場に深く入り込み、多様なバックグラウンドを持つ社員と関わり合いながら、人事として価値を発揮できる環境であると感じました。加えて、人事×海外や人事×事業といった形で多様な領域に関与できる可能性があり、自身の専門性を広げながらキャリアの幅を拡張できる点にも魅力を感じました。
また、選考過程でお会いした社員の方々が前向きに仕事に向き合っている姿も印象的であり、こうした環境であれば自身も主体的に価値発揮できると考え、入社を決意しました。
OJTで学んだ組織文化と、入社後に感じたギャップとの向き合い方
実は入社前、商社という業界特性から、成果を強く求められる個人主義的な環境をイメージしていました。しかし実際には、とくに人事部においては、チームや部門を越えて積極的に協力し合いながら施策を推進する文化が根付いており、個々の専門性を活かしつつ組織として成果を出す風土に良い意味でのギャップを感じました。一方で、意思決定や組織の変化に対しては想定以上に慎重であり、保守的な側面も感じたのです。新しい取り組みを進めるにあたっては、丁寧な合意形成と段階的な推進が求められる環境であると認識しました。このギャップを通じて、単に変革を志向するのではなく、組織の特性を踏まえながら実装していく視点の重要性を学んだのです。
入社後は、主にOJTを通じて業務理解を深めていきました。担当社員に伴走いただきながら、実務の中で知識やスキルを習得していく形でキャッチアップを進めていったのです。とくに印象的だったのは、この会社ならではの業務の進め方や意思決定の考え方について、実務と結びつけながら丁寧に教えていただけた点でした。一方で、既存のやり方を一方的に押し付けるのではなく、自身のこれまでの経験や考え方も尊重しながら任せていただける環境であったため、自分なりのスタイルを確立しながら業務に取り組むことができました。この経験を通じて、組織理解と自律的な価値発揮を両立させることの重要性を学んだのです。
入社当初に感じた組織の慎重さについては、単なる課題ではなく、これまでの事業成長を支えてきた意思決定の質やリスク管理の蓄積として捉えています。その一方で、現在は会社全体として、よりオープンかつアジャイルに変化していこうという機運が高まっていると感じています。その中で、自身は外部から参画した立場として、「よそ者・若者・バカ者」の視点を活かし、既存の枠にとらわれない提案や働きかけを行うことが重要であると考えています。実際に、外部で得た知見やこれまでの経験をもとに、従来のやり方に対して建設的な問いを投げかけるとともに、関係者を巻き込みながら新たな取り組みを推進するよう意識しています。組織の強みを活かしつつ変化を促進することで、より高い価値創出につなげていきたいと考えています。
制度設計と組織変革―人事の最前線で得た成長と気づき
現在、私は人事部の労政グループに所属し、報酬、健康経営、働き方といった人と組織の基盤に関わる領域を担当しています。制度設計にとどまらず、それらが組織の中でどのように機能し、人と組織のパフォーマンス向上につながるかを意識しながら業務に取り組んでいます。
とくに印象に残っているのは、働き方に関する環境整備の取り組みです。育児や介護と仕事の両立といった課題に対し、柔軟な働き方を実現する仕組みの見直しを行うとともに、働き方そのものに対する意識変化を促してきました。こうした取り組みは制度面の整備にとどまらず、組織の行動や意識の変化にもつながり、結果として一定の外部評価にも寄与しています。
一方で、現在強く感じているのは「伝えること」の難しさです。どれだけ意義のある施策であっても、その背景や意図が十分に伝わらなければ、期待した形で受け取られず、行動変容にもつながりません。この経験から、「何をやるか」だけでなく、「なぜやるのか」「どう受け取ってほしいのか」まで含めて設計することの重要性を強く意識するようになりました。
こうした仕事に向き合う上で大切にしているのは、「主体的に捉え、本質的に考え、前向きに楽しむこと」です。仕事がつまらないと感じるときほど、自分が受け身になっていないかを問い直し、視点を変えることで価値やおもしろさを見出すようにしています。また、過去のやり方にとらわれず、「それは本当に必要か」と問い直すことで、より良い形にアップデートしていくことも意識しています。
学生時代と比べると、物事の捉え方も大きく変化しました。与えられた課題に取り組むのではなく、自ら課題を見出し定義する姿勢へと変化しました。実務では「何を解くべきか」を設定すること自体が価値になると実感しています。さらに、一人で完結する対応から、多様な関係者とコミュニケーションを取りながら進める仕事へとシフトし、自らの考えに責任を持ち、周囲を巻き込みながら実行する力が求められるようになりました。
その上で、「自分自身がおもしろいと思えるか」という感覚も大切にしています。前向きに取り組むことで自然と周囲への影響も生まれ、チームや組織の雰囲気にも良い循環が生まれると感じています。
仕事を「おもしろくする」視点と、対等な関係性の中で共に成長する未来へ
今後のキャリアとして、短期的には、人事制度や施策を「より伝わる形で届けること」に挑戦していきたいと考えています。制度は設計するだけでは価値を発揮しません。社員一人ひとりにとって「自分ごと」として捉えられ、行動につながって初めて意味を持つものです。単なる情報伝達にとどまらず、言葉の選び方や伝え方を工夫しながら、制度や施策をより身近に感じてもらえるコミュニケーションの実現に取り組んでいきたいと考えています。あわせて、これまでの延長線上にとどまらない形で、より柔軟で生産性の高い働き方の実現に向けた取り組みにも挑戦していきたいです。
中長期的には、豊田通商における人事のエキスパートとして専門性を高めていきたいと考えています。その上で、人事という軸を持ちながらも、「人事×海外」「人事×事業」といった形で、多様なフィールドと掛け合わせることで、より広い視点から人と組織に向き合える人材をめざしたいです。さらに、AIやクリエイティブといった自身の興味関心のある領域との掛け合わせも意識し、唯一無二の「ならではの独自性」を高めていきたいと考えています。キャリアを考える上では、「自分自身が興味を持ち続けられるか」という点も大切にしています。環境や役割に縛られるのではなく、その時々で価値を発揮できる領域に挑戦し続けることで、自身の成長と組織への貢献の両立を図っていきたいです。
採用候補者の皆さんには、まず何事も楽しむことを大切にしてほしいと思います。そして、どうせやるなら「おもしろくする」という視点を持ってほしいです。仕事は、必ずしも最初からおもしろいものばかりではありませんが、どのような視点で向き合うかによって、その意味や価値は大きく変わります。受け身でこなすのではなく、「どうすればおもしろくできるか」と考えることで、仕事は少しずつ自分のものになっていくと思います。
就職活動においては、会社に選ばれる立場であると同時に、自分自身も会社を選ぶ立場であるという意識を持っていただきたいです。必要以上に構えることなく、等身大の自分で向き合いながら、自分にとって納得のいく選択をしてほしいと思います。仕事は人生そのものではなく、あくまで人生を構成する一つの要素に過ぎません。だからこそ、「どんな人生を歩みたいのか」を一度立ち止まって考え、その中で仕事をどのように位置づけるのかを考えてみることが大切です。
入社した後も、企業と社員はどちらかが一方的に価値を提供する関係ではなく、互いに価値を高め合う存在であるべきです。私自身が目指したいのは、「誰もが辞めようと思えば辞められる力を持っているが、それでも辞めたいと思わない会社」です。個々が自立した存在として力を発揮しながらも、この会社で働くことに価値やおもしろさを感じ続けられる状態が、最も健全な姿だと強く信じています。
ぜひ、自分自身の軸を持ちながら、前向きに仕事を楽しみ、会社とともに成長していくという意識で働いていただけたら嬉しいです。焦らず、自分なりの軸を持ちながら、前向きに選択を積み重ねていってください。その過程自体も、きっとおもしろいものになるはずです。一緒に会社をおもしろくしていけることを楽しみにしています。

