「他の職種に挑戦してみたい」、「今持っているスキルで他のことはできないだろうか?」、「働き方を変えたい」など理由はさまざまですが、ITエンジニアから他の職種へのキャリアチェンジを検討する方もいるでしょう。一方で、ITエンジニアとしての経験や身につけたスキルはどんな仕事で活かせるのか?と悩まれる方もいるかもしれません。
そこで本記事では、他の職種でも活かすことができるITエンジニアのスキルや経験をご紹介すると共に、ITエンジニアから他の業界・職種にキャリアチェンジした4人の転職経験談をご紹介していこうと思います。
他の職種でも活かせるITエンジニアが持つスキルや経験は?
ITエンジニアとして働く中で身につけたスキルや経験は他の職種でも活かすことができます。しかし、ITエンジニアといっても、専門分野や経験に応じて持っているスキルは異なるため、一例をご紹介します。
・ITエンジニアとしての経験
ITエンジニアとして培った技術的な知識や経験は、プロジェクトマネージャーやプロダクトマネージャー、ITコンサルタントや社内SE、セールスエンジニアなど、技術やシステムに携わる職種で活かすことができます。
・コミュニケーション能力
エンジニアの仕事では、専門的な技術に関する内容を技術に詳しくないクライアントや他のメンバーへ説明する必要があります。また他のエンジニアやプロジェクトマネージャー、デザイナーなどさまざまな人とコミュニケーションを取る中で、コミュニケーション能力が磨かれていくことでしょう。こうした能力は、どのような職種でも活かすことができるでしょう。
・論理的思考力
システムを設計する際、依頼主からの要望をただ組み込むのではなく、依頼主がシステムを使って本当に解決したい課題を整理し、論理的にアプローチすることになります。また、システムに不具合が発生した場合も原因の仮説を立て、検証し不具合を修正します。こうした論理的思考や論理的なアプローチ手法は他の職種でも大いに活かすことができるでしょう。
今回ご紹介したスキルや経験以外にも活かせるものもあります。ご自身のスキルや経験を整理したり、希望する職種の業務内容を洗い出したりすることで、エントリーシートや面接などでも話しやすくなるのではないでしょうか。
元ITエンジニアのキャリアチェンジ経験談
過去にITエンジニアとして働いたことのある方は、どのような業界や職種にキャリアチェンジしているのでしょうか?また、キャリアチェンジしてみてのギャップや類似点にはどのようなものがあるのでしょうか?ここからは元ITエンジニアの方の経験談をご紹介していきたいと思います。
※ 記載の情報は記事公開当時の内容です
▶︎NECソリューションイノベータ株式会社
事業内容:システムインテグレーション事業、サービス事業、基盤ソフトウェア開発事業、機器販売
・キャリアチェンジ後の職種:マーケティング職
・業務内容:マーケティング領域のDX化推進
・キャリアチェンジについて:
M.Tさん 「実は、私のキャリアのスタートはエンジニア職でした。大手SIerに新卒入社し、2年間ほどデータセンターのインフラエンジニアとして従事したところで、AI自動翻訳を開発する企業に転職しました。SIerでの仕事は安定していましたが、『もっとチャレンジングでおもしろいことがしたい』という想いで転職を考え始め、出会った会社でした。ここではマーケティング職としての採用で、エンジニアからビジネス職への大きなキャリアチェンジでしたね」
M.Tさん 「実際に入社後は、ビジネスの目線で数字を追いかけることが性に合っていたようで、結果も付いてきました。前職がエンジニアということでテクノロジーに精通していたため、ツール運用を全般的に担当するなど、強みを活かして活躍できたと思います。最終的には30人規模のインサイドセールス部隊を統括するマネージャーとなり、実績を積み上げていきました。そこからマーケティングの仕事に魅力を感じ、その後はコンサルティング会社と、もうひとつSIerを渡り歩き、BtoBマーケティングとしてキャリアを重ねていった形です」
→ストーリー:テクノロジーの力で業務を効率化。マーケティングの新たな領域を開拓する先駆者に
▶︎株式会社NTTデータ
事業内容:システムインテグレーション事業、ネットワークシステムサービス事業、その他これらに関する一切の事業
・キャリアチェンジ後の職種:営業職
・業務内容:政府主導のデジタル社会実現に向けた取り組みに営業の立場から携わる
・キャリアチェンジについて:
同事業部でシステム開発の一連の工程を経験した梅田さんは、2018年、ソーシャルイノベーション事業部へと異動します(2023年現在は、その後の組織再編によりデジタルソサエティ事業部に所属)。SEから営業へのロールチェンジは、梅田さんにとって決してそのときイメージしていたキャリアではありませんでした。
梅田さん 「まだSEとしてスキルを伸ばしたかったので、当時は転職を視野に入れるほど葛藤しました。しかし、一方でその変化が、自分の経験を活かす機会になるかもしれないとも考えたんです。どうせ挑戦するならば政府に近いお客様と向き合えるポジションで営業を経験したい、と捉え直しました」
入社直後SEを希望したとき、『システム開発の経験は営業職やマーケティング職に転じたとしても役立つ』と考えていた梅田さん。その予想は正しく、営業としてお客様と向き合いながら課題解決につなげるシステムを導く工程には、これまでの経験が活きる場面が多々ありました。
梅田さん 「何を解決したいから、どんなシステムが欲しいのか。そういった問いを立てつつお客様と意見交換をしていくプロセスは、SE時代の経験と重なりました。また、仕様変更によってもたらされる影響やテストの重要性などを、費用の妥当性やシステムの必要性と掛け合わせて伝えられるのも、開発の経験があったからこそできたことです。
逆にギャップを感じたのは、主体的に動かなければプロジェクトが進行しない点です。SE時代はスケジュールやタスク分担がPMによって決められていたので明確でしたが、営業においては自らがその道のりを作っていかなければなりません」
→ストーリー:エンジニアから営業に転換し、上流工程から課題解決に向き合えるおもしろさを体感
▶︎株式会社フレクト
事業内容:クラウドインテグレーションサービス、Cariotサービス
・キャリアチェンジ後の職種:エンジニアの育成支援
・業務内容:社内向け教育サイトの運用や資格取得支援などを実施
・キャリアチェンジについて:
フレクト入社時は、エンジニアとして現場の業務に携わっていた原田さん。イネーブルメントチームに加わったきっかけは、COOである大橋さんからの誘いでした。
原田さん 「その頃、私の娘がちょうど中学受験をする時期で、受験本番に向けて多忙な状況でした。中学受験はひとつの『人生の岐路』であると感じ、保育園や小学校時代とはまた違う大変さがありました。とくに受験の本番である2月は、年度末に向けたプロジェクトで仕事も忙しくなります。もちろん前々から上司に相談はしていて、配慮していただいていたものの、逆にそれをとても心苦しく感じていました。
原田さん 「結婚する前は何も気にせずに仕事ができました。ですが、結婚して子どもができると、徐々に家庭と仕事と『どちらを選ぶのか』という話が付いて回ってくるのが現実でした。
私の場合、これまで時代の流れも見ながら会社や働き方を変えてやってきましたが、このときもその岐路のひとつと感じていました。そこで、思い切ってエンジニアを卒業してみようと考えました」
これまでのキャリアの中で原田さん自身、『勉強したいけれど、勉強する場所やきっかけがない』『業務は忙しいけれど、資格を取らなければいけない』といったジレンマを抱えてきました。あらゆる面で、学びを支援する仕組みの必要性を、身をもって強く感じていたのです。
→ストーリー:エンジニア育成の最前線。育成支援の専門部署によって広がる学びの輪
▶︎みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社
事業内容:情報処理サービス業務、シンクタンク・コンサルティング業務
・キャリアチェンジ後の職種:コンサルタント
・業務内容:中堅・中小企業を対象にしたDX推進支援
・キャリアチェンジについて:
DX構想の策定や組織運営とともに、DX支援コンサルティングが強みとしているのがIT調達の計画策定です。その背景にはコンサルタントのバックグラウンドがあると野澤さんは言います。
野澤さん「DX戦略チームには、私や山本のようにシステムエンジニアとしての経験を持つコンサルタントが多数所属しています。そのため基幹システムの更改において、お客さまとシステムベンダー会社とのコミュニケーションをつなぐ仲介役として、プロジェクトの方針策定や要求定義、手段選定までを円滑に実現することが可能です」
もともとシステムエンジニアとしてキャリアをスタートした野澤さんと山本さん。野澤さんは勘定系システムの開発・運用業務を担当していました。
野澤さん「約14年間システムエンジニアとして経験を積んだ後、DX支援コンサルティングの前身である、企業のプロジェクト管理組織のサポートを行うPMO支援サービスを担う部署に異動しました。それまでは開発一筋でしたが、研修や勉強会を通じてコンサルタントに必要な知識を学ぶとともに、OJTを通じて着実にスキルを習得していきました」
一方の山本さんは、全社横断でシステムエンジニアを育成するための施策を担当していました。
山本さん「社内向けのIT教育の企画立案や実行に携わり、ITが未経験の新入社員でもシステム構築のスキルが体得できるような研修の講師を担当。また、2018年にはAIの専門組織『AI Powerhouse』の設立にともない、全社のAI人材の育成に関する基本方針の策定や、AI活用スキルの向上に向けたコンテストの企画などにも参画しました」
人材教育を中心に一定の経験を積んだ山本さん。キャリアの可能性を広げるため、社内公募制度を活用してDX支援コンサルティングサービスを担う部署に異動します。
→ストーリー:IT・DXの課題に幅広く対応し、企業の変革に伴走するDX支援コンサルティング
ITエンジニアといっても、これまでのキャリアで身につけてきたスキルも人それぞれです。今回ご紹介した方々の経験談をもとに、どのようなスキルが活かせるのか、反対にどのようなスキルを磨かなければならないのか、そしてどんな職種になりたいのかなど、ご自身の状況や思いを整理してみるのも良いかもしれません。
