現場のエンジニアを支える存在。「イネーブルメントチーム」とは?

大学の工学部情報工学科で情報工学を学んだ後、エンジニアとしてさまざまな案件を経験してきた原田真貴子。

2019年、フレクトに中途入社しエンジニアとして活躍した後、2021年現在はクラウドインテグレーション(CI)事業部のイネーブルメントチームに所属しています。

あまり聞き慣れない「イネーブルメント」という言葉。その意味するところは、組織として目指す目標や価値観を基に、一人ひとりが活き活き働けるように現場を支援していくことです。

フレクトのイネーブルメントチームは、2020年度に発足。発足の背景について、原田は次のように語ります。

原田 「10年前に10人で始まったCI事業部は、現在100人以上の大きな組織になりました。そのうち9割以上が中途採用。つまり、それまでの業務経験や業務知識が異なる人たちが多く集まっています。

組織が大きくなる中では、会社が大切にする価値観が少しずれてきたり、同じ業務に当たっていても認識が十分に伝わりきっていなかったりすることがあります。20人、30人の組織であれば、日々の業務の中で『ああしよう、こうしよう』という話もできると思いますが、100人規模となると、普段の業務で顔を見ない人も増えてくるのが現実です。

そこで、業務に関する知見や方法を共有し、育てていくことが必要になってきたということが、チーム発足の背景にあります」

発足当初は試行錯誤がありましたが、現在は「エンジニアを支える、育てる」ことをチームの明確な目標として具体的な取り組みを推進しています。

原田 「社内教育の一環で『Fラボ』という教育サイトを立ち上げました。企業内大学のようなものを目指しています。Fラボでは、一般的な技術内容の紹介ではなく、それよりもむしろフレクトの社員が仕事の中で体験して身に付けた『フレクトならではの知見』を体系化して共有することを目指しています。

また社内では、資格取得の支援を行っています。支援の一環として、資格取得のキャンペーンも展開しています。半期ごとにいくつかの資格をピックアップし、勉強会などを主催します。資格取得時のプレゼントを用意するなど、キャンペーンを企画し推進しています」

娘の受験を機に育成する側へ。「皆を支えるための知見の共有」に共感

▲親子参加型の会社主催ワークショップ「Familyday」に娘と参加したときの様子です。

フレクト入社時は、エンジニアとして現場の業務に携わっていた原田。イネーブルメントチームに加わったきっかけは、COOである大橋からの誘いでした。

原田 「その頃、私の娘がちょうど中学受験をする時期で、受験本番に向けて多忙な状況でした。中学受験はひとつの『人生の岐路』であると感じ、保育園や小学校時代とはまた違う大変さがありました。

とくに受験の本番である2月は、年度末に向けたプロジェクトで仕事も忙しくなります。もちろん前々から上司に相談はしていて、配慮していただいていたものの、逆にそれをとても心苦しく感じていました。

そんなときに、大橋から『こういう仕事もあるよ』という言葉をかけてもらいました。もともと人を支える種類の業務にも興味があり、イネーブルメントチームに入ってみようと決意しました。大橋が言っていた『みんなを支えるための知見の共有』というチームの目的にも、とても共感しました」

これまでも結婚や出産を経て、家庭の状況などに応じて柔軟に働き方を変えてきた原田。このときは、エンジニアからエンジニアを育成する側に転身する道を選択しました。

原田 「結婚する前は何も気にせずに仕事ができました。ですが、結婚して子どもができると、徐々に家庭と仕事と『どちらを選ぶのか』という話が付いて回ってくるのが現実でした。

私の場合、これまで時代の流れも見ながら会社や働き方を変えてやってきましたが、このときもその岐路のひとつと感じていました。そこで、思い切ってエンジニアを卒業してみようと考えました」 

これまでのキャリアの中で原田自身、「勉強したいけれど、勉強する場所やきっかけがない」「業務は忙しいけれど、資格を取らなければいけない」といったジレンマを抱えてきました。あらゆる面で、学びを支援する仕組みの必要性を、身をもって強く感じていたのです。

そうして原田は、イネーブルメントチームに参加。最初に社内教育サイト「Fラボ」のテーマとして取り上げたのは、「お客様との打ち合わせにおける取り組み方」でした。

原田 「『Fラボだからこそ』のテーマに、最初からこだわっていました。技術的な内容は、Salesforceや各社・個人が出しているヘルプや学習コンテンツなどの一次情報があるので、まずは社内にしかないものを選びました。そのひとつが、お客様との打ち合わせで使う資料や打ち合わせ時の進め方のレビュー方法です。

具体的には、『打ち合わせの前に内部で何日前にレビューをしましょう』、『その時にはこういう観点で確認しましょう』など。これがきちんとできていると、当日に何か想定外の質問をされてもその場で立て直すことができます。持ち帰り、社内で打ち合わせする必要がなくなり、プロジェクトを早く進められるようになります。このように、まずは対顧客業務で発見したことを、Fラボならではの学びとして進めることにしました」

資格キャンペーンや勉強会の機会を活かす──社員の「学ぶ意欲」に手ごたえ

イネーブルメントチームでは、いくつか試してきたことがありますが、一番原田の印象に残っているのは資格取得キャンペーンです。

原田 「もともと会社の制度として、資格取得を支援するために、本の購入費支援や資格受講を補助、そして合格時には報奨金を設定しています。それとは別に、一定の期間と対象資格を設定したキャンペーンを行い、合格した方には報奨金とは別途プレゼントを贈呈しました。

『ぜひこの資格は取ってほしい』という会社の強い気持ちを全面に出し、うるさいくらいに周知します(笑)。キャンペーン中、情報発信を続けていたので、社員の皆さんも『資格取得が盛り上がっている』『みんなも頑張っている』というモチベーションが保ちやすかったのではないかと思います。会社のバックアップもあり大規模でやったということもあって、合格者も大人数に!非常に印象に残っています」

キャンペーン期間はおよそ3か月。原田はその期間中、事業部内の有識者の手を借りながら、勉強会の開催や受験に関する情報の発信などを行い、資格取得に挑む社員たちの支援を行いました。

原田 「イネーブルメントチームは人数が少なく、部のメンバーだけでは提供できる幅が狭くなります。そのため、CI事業部の開発部門からキャンペーン推進を盛り上げるメンバーを数名募集。そのメンバー達と一緒に、各試験の既存の勉強会や受験ガイドを元にして勉強方法や過去問などを集約していきました」

頻繁に情報発信を行った結果、想像以上の反響とともに、社員の学習意欲の高さを実感したといいます。

原田 「案件業務のため参加できる時間が限られている人が、”ほんの少しだけでも”と参加してくれました。今自分が進めている勉強のやり方が合っているか、勉強の進み具合に問題はないか確認して業務に戻っていく──といったケースも結構ありました。勉強会や情報発信が『私も頑張ろう』という気持ちにつながり、勉強するきっかけにもなってくれたようで嬉しかったです。

参加できない場合でも『勉強したいと思っているのですが、どのあたりを勉強したらいいですか』と聞いてくださる社員もいました。いつでも歓迎とフランクな雰囲気でいると、いろいろなところから質問をいただきます。キャンペーンをやっていて、社員一人ひとりが勉強されている、と実感しました」

着々と実績を生み出しているイネーブルメントチーム。原田の次の目標は、Fラボをさらに根付かせて、育てていくことです。

Fラボは現在、セールスフォース・ドットコムが提供するオンライン学習サービスを活用していますが、まずはこれを使ったコンテンツの拡充に取り組んでいくと原田は前を見据えます。

「一人ひとりに向き合う人事」に魅力──女性エンジニアの活躍への思い

エンジニアから、会社全体を見渡し社員を支援する立場になった原田には、これまでとは違った視野が広がり、新たなやりがいが生まれています。

イネーブルメントチームは、現場エンジニアの育成以外に、人事評価の支援も担当しています。原田はイネーブルメントチームに加わったことで立ち会うことができた、フレクトの人事評価のプロセスに大きな魅力を感じたと語ります。

原田 「CI事業部では部長全員が集まり、2日ほどかけてエンジニア全員分の人事評価を行います。評価をする部長たちはとてもまじめに熱く語っていますし、それに対してほかの部長や執行役員からも意見がどんどんでます。

その期の評価だけにとどまらず、『この人は、次はこういう仕事に関わることで大きく成長できるのでは』といった、将来的な話に発展することもあります。多くの人が、社員一人ひとりの評価と成長に真剣に向き合う。そんなフレクトの社風にとても魅力を感じます」

新たな視点を得たいま、原田は女性エンジニアに対するある思いが強くなっているといいます。

原田 「フレクトは、エンジニアだけを見ると女性が少ない。リモートワークが主体になることで、生活スタイルに変化があると思いますし、会社からのサポートも増えています。しかし、どうしてもエンジニアの女性は、働き方との向き合い方が難しいという面があるのが正直なところです。

社員のライフステージが変わっていくときに、女性に関わらずすべての社員が自由にうまくキャリアをつないでいけるような会社であったら嬉しい。その点で、何か新しい動きを作っていけたらいいな、と考えています」

フレクトのエンジニアとして柔軟な働き方ができる環境をつくっていくことも、原田の大きな目標の一つ。

イネーブルメントチームを通じた支援によって、また一歩成長していく組織──フレクトはいま、原田の歩んできた人生のような、しなやかさという強さを得ようとしているのです。