サントリーにいれば社会を大きく変えられる。社会に貢献できることがたくさんある
サントリーでは、飲料の容器包装戦略として、「2R+B」──Reduce(使う量を減らす)・Recycle(リサイクル)+Bio(植物由来原料の活用)を長年掲げてきました。具体的には、ペットボトルやキャップの軽量化や薄肉化、ラベルの最薄化などについて、常に「もっとできることはないか」を模索し続けています。
さらに、近年では使用済みペットボトルを再び新しペットボトルに生まれ変わらせる「ボトルtoボトル」水平リサイクルを推進。小松と日下部は、そのチームの旗振り役として招集されました。
小松 「私は昨年3月末まで、お酒の営業で神戸支社長をやっていました。これまでとは全く異なる種類の仕事なので、もはや転職した気分です」
日下部 「私は営業・包材調達・生産といった部署を経て、昨夏までサントリー天然水 南アルプス白州工場の部長。社内外に『水の循環』を伝える仕事をしていました。
今年(2022年)の4月に65歳の定年を迎えたのですが、完全リタイアして、いざ何か社会貢献をしたいと思っても、一人でできることは限られているんですよね。
定年後は、社会に貢献できる事がしたいと考えていたとき、定年1年前の上司との面接で『容器の循環を成し遂げる仕事に人材を投入しなければ、サントリーに明日はない』と提言したら、数カ月後に自分が関わることになりました。
お給料の問題じゃなくて、サントリーにいれば社会を大きく変えられる。社会に貢献できることがたくさんあると思いました。今は週3日勤務の嘱託社員として働いています」
一筋縄でいかないときこそ、“ベテラン”の出番
2人がいる資源循環チームには、さまざまな部署・立場で経験を積んだメンバーが集結。それぞれの経験を活かしながら、「ボトルtoボトル」水平リサイクルが最もサステナブルなリサイクル方法であることを、事業会社や自治体に説いてまわっています。
小松 「赴任当初、アプローチは電話が多かったですね。お相手の声色を感じ取り、お話を進めていく中でニーズを汲み取るところは、営業経験が活きているのかもしれません」
日下部「天然水の工場にいたので、生産現場の話や品質管理の重要性、サントリーグループ全体で取り組む環境活動の話は、安全・安心を守る生産現場の実感として“語れる”。それは自分の強みなのかな、と思います」
とはいえ、商談相手の受け止め方はさまざま。電話口で「時間がない」「すでにリサイクルしています」などと、にべもなく断られることは日常茶飯事です。でも、そんなことで動じない胆力と、粘り強く説明する力は、さすがです。
小松 「使用済みペットボトルは、何らかにリサイクルされているとは思っていても、『具体的に何かは分からない』とか、『リサイクルとして食品トレーや衣類になることの何が悪いんですか?』と言われることがあります。
たとえば、洋服のリメイクも立派な再利用・リサイクル。でも、それが最終的に棄てられる運命なら、延命措置でしかなく、一度切りのリサイクルで終わってしまうんです。この話をすると、お客様はよく理解してくださいます」
ペットボトルは、食品トレーや卵パック、フリースなどの繊維などにリサイクルされても、その役割を終えると、もうペットボトルに戻ることはありません。一度何かに“加工”された使用済みペットボトルは、ダウングレードしてしまうため、その後多くは焼却される運命です。これを「カスケードリサイクル」と言います。
ただ、「ボトルtoボトル」水平リサイクルとして、もう一度ペットボトルにするルートを取れば、何度でもペットボトル内でリサイクルすることができるのです。一度作ったペットボトルを、もう一度ペットボトルとして迎える──2人はそれを、地球で生きている人間としての「大義」だと位置づけます。
※カスケードリサイクル:リサイクルをすることによって元の製品の品質には戻らず、品質の低下を伴うリサイクルのこと
持続可能な社会の実現のため、次世代に向けた啓発活動を展開
サントリーでは、持続可能な社会の実現のため、次世代を担う子どもたちに「ペットボトルが『混ぜればゴミ、分ければ資源』である」ことを理解してもらう活動に力を入れています。
日下部 「小学校での出張授業を終えると、『これまでは、ペットボトルが何にリサイクルされているか分からなかったけど、何度でもリサイクルされることがよく分かった』
『今までは、ママに任せきりだったけど、今日からは自分が分別します』
などと目を輝かせて話してくれる。やっていてよかった、もっとこの活動を進めていかなければと思う瞬間だよね」
小松 「子どもたち自身にはもちろん、彼ら、彼女らが学校で教わったことを家で親御さんに話すことも想定して、伝えていかないといけない。子どもたちは、今の日本では10本に2本しかペットボトルに戻せていないという話をすると、みんな驚く。
地球の未来のために分別をしっかりとやらなければいけないと納得すると、明日からの行動が変わるんだよね。それが石油の使用を減らすことにつながっていくし。大義って、一見“きれいごと”に聞こえるかもしれないけど、熱量をもって伝えれば、ちゃんと届くものですね」
多様なバックグラウンドを持つメンバーが集結したチームだからこそ、可能なこと
「資源循環チーム」には、今年も営業拠点のトップ、飲食店を担当する業務用トップセールスや品質部門など、各ポジション・各エリアからベテランメンバーが集まってきました。小松や日下部は、それぞれ全く異なるフィールドでキャリアを築いてきた彼ら、彼女らに対し、知識や経験値のギャップを埋めるべく、ナレッジ共有に時間を割いています。
小松 「日下部さんはね、自分が持っている知識やスキルを体系化して、マニュアルにしてくれたんですよ。そして、私は丸一日かけて新しいベテランメンバーたちに研修をしたんです」
日下部 「同じ苦労をかけさせたくないという想いで、自分自身の失敗も共有します。『まるで転職したみたい』と彼ら、彼女らが言うのも無理はない。私や小松もそうでしたが、これまでの業務経験では、PET素材や資源再生のメカニズム、関連する業界知識を得る機会がほとんどないからです。社会のためにやっていることだということを、社内でも理解・促進する必要があると痛感しています」
ただ日下部は、さまざまなベテランたちが顔を突き合わせているからこそ、新しく生まれるアイデアもあると言います。40年近く同じ会社にいても、歩いてきた道が違えば、見た景色も違う。身につけた能力も違います。
小松 「正直、ベテランのキャリアとプライドがすぐに活かせるほど甘くはない(笑)。でもここでは、まるで新しい職務。それまでの部門や年次関係なく、同じ目標に取り組めるのは、いくつになっても貴重な機会ですし、ものの見方が違うからこそ、気づきや学びも多いです。どうやったら個々の経験を活かしつつ、いきいきとこの大義に向かって一緒に取り組んでいけるか、模索しています」
そして、この活動は、情熱をもった若い人たちにもやってもらいたい、と言葉に力を込める日下部と小松。
日下部 「自分がもう少し会社にいて、社会貢献にかかわる仕事への従事を決意すると同時に、自分ひとりで頑張っていてもダメだとも思いました。組織力があるからこそできることがあり、かつ永続的にこの活動を行っていくためには、続く世代を育てていかないといけない。だから、社内でのコミュニケーションは大切にしています」
日下部は「水の循環」「容器の循環」のスキームを作り、次世代への啓発活動プログラムも始動。小松とともに、社内でこの活動を継承していけるよう、後進の育成に注力しています。
小松 「『ボトルtoボトル』水平リサイクルは、飲料業界全体の命題。いつもは“競合”の皆様とも一緒に手を取り合って、ボトルに戻すという大義を成立させたいんです」
熱く語った小松は、翌日北海道に飛ぶとのこと。商談後は、営業拠点時代のかつての部下たちとの一杯を楽しみにしています。
一方日下部は、最近届いたという「日本野鳥の会奥多摩支部の会員証」を見せてくれました。なんでも、サントリー天然水 南アルプス白州工場時代に、探鳥(バードウォッチング)に目覚めたそうです。
今日もどこかで水平リサイクルの大切さを説きまわっている2人ですが、自分の生活を楽しむことも忘れません。そのしなやかな生き方は、間違いなく後に続く者たちの水先案内となることでしょう。

