無事故無災害での竣工をめざす、電力ケーブル工事エンジニアの仕事とは
私が所属しているのは、電力ケーブルの布設・接続に関する工事エンジニアリングチームです。電力ケーブルの「布設」とは、地中や構造物の中にケーブルを引き込み据付する作業のことで、私たちのチームはその工程作成から始まり、施工班の調整、工事設計、採算管理、そして現場施工管理まで、工事に関わる一連の業務を幅広く担っています。
チームのミッションは、「お客さまの送電期日および要求事項に応えつつ、無事故無災害で竣工する」ことです。電力ネットワークは人々の生活や産業を支える重要なインフラであり、私たちの仕事はお客さまの安定した電力ネットワーク構築に直接貢献するものです。だからこそ、安全性と確実性を最優先に取り組むことが求められています。
そのチームの中で私が担当しているのは、関西地方の電力ケーブル工事における技術設計です。具体的には、工程作成や施工班の調整、工事設計を行い、現場のニーズに応じて設計の見直しや施工方法の改善も随時行っています。現場の状況は常に変化するため、柔軟に対応する力が求められる役割です。現在は大阪エリアを主な担当として動いていますが、特命案件として橋梁のケーブル工事にも携わっており、こちらは約2年間という工期のビッグプロジェクトになっています。
チームは10数名体制で、工事部門出身のメンバーだけでなく、ケーブル製造部門を経験したメンバーやキャリア入社のメンバーなど、実にさまざまなバックグラウンドを持つ人たちが集まっています。雰囲気は非常にフラットで、わからないことがあればいつでも気軽に質問できる環境が整っています。たとえばケーブルの仕様について疑問が生じたとき、かつてケーブル製造部門に在籍していたメンバーに直接聞くことで、文書だけでは得られないような現場感覚に基づいた知見を教えてもらえることがあります。異なる専門性を持つメンバーが互いに知識を共有し合える、このチームならではの強みだと感じています。
また、チームでは定期的に業務に関する勉強会を開催しています。ケーブル据付後の熱機械設計(ケーブルが温度変化によって伸縮する際の影響を計算・設計する分野)や布設機材の仕様、布設工法、接続箱の組立方法、鋼材の設計方法など、実務に直結したテーマを取り上げています。この勉強会が生まれたきっかけは、ある若手メンバーが「業務内容についてわからないことが多すぎる」と上長に意見を伝えたことだと聞いています。現場で感じたリアルな声が組織の文化を変えた、という経緯がとても印象的でした。こうした知見や意見を交流する文化が根付いているからこそ、チーム全体のレベルアップにもつながっていると実感しています。
驚きから始まったキャリア。現場で積み重ねた知見と2週間の苦闘
私は新卒採用で入社しましたが、正直に言うと、入社するまでこの会社に工事部署があることをまったく知りませんでした。ケーブルメーカーとして製品を製造・販売している会社だというイメージしかなかったので、「工事も手がけているのか」と、入社直後は本当に驚いたことを今でもよく覚えています。
そんな驚きの中から始まった私のキャリアですが、最初の時期はとにかく現場に張り付くことに徹しました。一人前の工事エンジニアになるためには、現地・現物・現実、いわゆる「三現主義」を大切にしながら、現場の知見をできる限り多く吸収することが何よりも重要だと感じていたからです。先輩方のもとでOJT(職場内での実地訓練)を経験し、少しずつ仕事を覚えていく日々でした。
そうした地道な積み重ねを経て、現在は独り立ちし、数件の技術設計担当として従事しています。主に担当しているのは、地中の洞道(地下に設けられたトンネル状の空間)や管路(ケーブルを通すための管)にケーブルを布設し、それらを接続する工事の設計です。また、橋梁部にケーブルを布設する工事にも携わっています。扱う現場は多岐にわたりますが、いずれも高い技術力と正確な判断が求められる仕事です。
そんな現場の中で、今でも強く印象に残っているエピソードがあります。稼働中の現場でトラブルが発生し、緊急で現場に直行したときのことです。現場で対象物をじっくり観察しながら、作業員の方々と意見を出し合い、原因をひとつひとつ丁寧に追っていきました。トラブルの原因を究明するだけで約1週間を要し、そこからお客さまへの説明資料を作成し、復旧作業の方針を策定して、最終的に完了するまでに結局2週間ほどかかりました。
復旧方法の選択によっては損害額が非常に大きくなる可能性もあり、その間はずっとドキドキしっぱなしでした。それでも、現場の作業員の方々と一緒に原因を突き止め、無事に復旧が完了したときの達成感は、それまでの苦労を一気に吹き飛ばしてくれるほどのものでした。あの経験は、私にとって工事エンジニアとしての自信の礎になったと感じています。
たくさんの人と関わる仕事。だからこそ大事にしているポリシー
工事部門という職場は、どちらかというと保守的な考え方の方が多い環境です。それでも、チームとして少しずつDX化(デジタルトランスフォーメーション:業務にデジタル技術を取り入れて効率化・改善を図ること)を進めてきました。たとえば、発注・検収業務(工事における材料や工事の注文から、納品・完了確認までの一連の業務)をWEBシステム上で回覧できる仕組みを導入しています。こうした取り組みが少しずつ形になってきているのを見ると、組織が前に進んでいるのを実感します。
DX化を推進していくうえで、正直なところ戸惑いの声がなかったわけではありません。同じ部門のメンバーからは比較的好意的な意見が多かったのですが、現場代理人(工事現場において施工を統括する責任者)の方々は新しいシステムにあまり慣れていないこともあり、操作方法に関する質問をいただくことがよくあります。そういった場合には、メールだけで済ませようとせず、対面や電話で丁寧に説明するよう心がけています。文字だけでは伝わりにくいニュアンスも、会話を通じることでずっとスムーズに伝わると感じているからです。
メンバーとの関係でも、コミュニケーションをとても大切にしています。後輩が増えてきた今、業務で困っていることがないかを気にかけるのが自分の役割だと思っています。ただ、いきなり「困っていることはありますか?」と聞いても、なかなか本音は出てこないものです。だから、作業の前後や休憩中といったちょっとした隙間の時間に、まず世間話から入るようにしています。そうした何気ない会話の中でこそ、本当に困っていることが見えてくることが多いと感じています。
チームへの情報共有も積極的に行うようにしています。自分が得た知識やノウハウをそのまま抱え込まず、チーム全体の業務効率につながるような情報は率先して展開するようにしています。
そんな中で特に印象に残っているのが、私自身が十分に理解できていなかったポイントを後輩から質問されたときです。「ああ、そこまで考えているのか」と感心しました。後輩のそのような姿勢は、自分にとっても大きな刺激になっています。
仕事のやりがいについてお話しすると、社内外の多くの関係者のニーズに応えられたときに強くやりがいを感じます。ただ、関係者同士の意見が相反する場面は、難しいと感じるときもあります。そういうときはどちらかの意見を切り捨てるのではなく、お互いのニーズをできる限り最大化できる妥協点を探すことを意識しています。そのためにも、微妙なニュアンスが必要な場面では積極的に対話や電話でのコミュニケーションを取るようにしています。そして、担当した工事が無事に竣工(工事が完成し引き渡されること)を迎えた瞬間は、何にも代えがたい達成感があります。たくさんの人の力が結集してひとつの工事が完成する、その達成感こそが、この仕事を続けていく原動力になっています。
「+αの改善を提案し、推進する気概を」現場のIT化で工事の未来を変える
今後、チームとして取り組んでいきたいことのひとつが、属人的になっている業務のマニュアル化です。長年の経験や勘に頼って進められてきた作業を、誰でも再現できるかたちに落とし込んでいくことで、チーム全体の底上げにつながると考えています。
もうひとつ力を入れたいのが、AIや技術の活用による業務の高度化です。たとえば、技術検討に使用する計算シートにマクロ(一連の操作を自動化する機能)を組み込み、より精度の高い検討ができる仕組みを整えていきたいと思っています。今後は作業員人口の減少が見込まれており、それに備えてスキルレス化・機械化を可能な限り推進することが、チームの重要な使命だと感じています。具体的には、人間が監視しなければならないポイントをセンサーで代替したり、熟練者でなくても扱える治具(作業を補助するための専用器具・器材)を開発したりすることが、その一歩になると考えています。
チームとしてめざす姿は、工事現場の声をしっかりと吸い上げ、ボトムアップで工事品質をより高めていける組織です。現場で働く人たちが気づいた改善点や工夫を提案しやすい環境をつくり、そのような提案者へのインセンティブを高める仕組みも整えていきたいと思っています。現場の知恵を組織の力に変えていくことが、品質向上への確かな道筋だと信じています。
そして、こうした取り組みを通じて社会に貢献するために欠かせないのが、お客さまのニーズに的確かつ迅速に応え続けることです。当社の理念である「信用確実」の言葉の通り、お客さまからの信頼を積み重ねることが、私たちの仕事の根幹にあると思っています。
そのうえで、ぜひチームに加わってほしいのは、デジタル技術やAIへの理解が高く、それらの知見を現場に積極的に活かそうとする意欲を持った方です。どうしてもマンパワーに依存しがちな工事のあり方を、現場のIT化によって変えていってほしいと期待しています。
最後に、これからジョインしてくださる方へ伝えたいのは、人とのコミュニケーションを何より大切にしてほしいということです。現場で働く方々との対話を通じて現場理解を深め、細かいことにも興味を持って向き合ってください。そして、淡々と業務をこなすだけでなく、「こうすればもっと良くなるのでは」という改善提案を自ら考え、推進していく気概を持って仕事に取り組んでもらえると嬉しいです。そういった姿勢が、チームの、そして工事の未来を変えていく原動力になると、私は確信しています。
