患者さんの様子を把握し、薬剤師に正しく伝えるのもRCSの大事な役目
山光さんは、そうごう薬局 日下店にRCS(ラウンドケアスタッフ)職として勤務しています。
「日下店には、隣にある消化器内科と眼科の患者さんと、その他にも少し離れた病院からの患者さんも頻繁に来店される店舗です。現在は、薬剤師4名とRCS職3名のスタッフが在籍しています」
RCS職は、主に処方箋の受付やデータ入力、薬のピッキングなどの調剤補助、調剤報酬請求を行うほか、医薬品の検品整理、OTC医薬品や備品の管理なども日常業務です。
「店舗では一番早いスタッフが8時30分に出勤し、病院の診療が始まる時間から昼の1時ごろまでは患者さんが途切れることなく来店される毎日です。昼すぎにいったん来店の波が収まることが多いので、そのタイミングで医薬品の検品や自分の持ち回りの仕事を完了し、再び夕方から来られる患者さんをお迎えする準備にとりかかります」
山光さんは、自分だからこそできることを、業務を介して患者さんに提供したいと考えています。
「これまでの研修や業務を通して、自分なりの仕事のやり方を考えてきました。一番大切にしているのは、患者さん一人ひとりへの丁寧な挨拶です。どんなに忙しくとも、患者さんと接する際には手元の作業をいったん止め 、表情や目線、声の大きさやトーンを意識しながら挨拶をしています」
また、来店された患者さんに最初に接するのがRCS職であることから、患者さんの様子を的確につかむことも重要な役割だと言います。
「来店されたときの様子や、処方箋の受付をする際にお聞きした内容などを把握して、的確に薬剤師に伝えるようにしています。担当の薬剤師に直接声をかけられるときは良いのですが、忙しくなると声をかけづらいことも少なくありません。
そういうときにはメモに書いて渡していますが、誰が読んでもわかるよう簡潔にメモすることを心がけています」
RCS職は、患者さんと薬剤師をつなぐ役割も担っているのです。
未経験での入社から、研修で大切な多くのことを学び、成長につなげる
山光さんは高校卒業後、総合メディカルに就職しました。
「高校は商業課で、ビジネスやマーケティングを学んでいました。学びを活かせる事務職をめざしていたのですが、アルバイトの経験や学校の販売実習から接客業にも興味を持ち、その2つが両立するような職業があればいいなと考えるようになりました」
さまざまな職種を調べていくうちに見つけたのが、医療事務でした。窓口で接客をしながら、事務も行うことは、山光さんの思い描いていた職にぴったり当てはまるものでした。
「学生時代から、周囲に笑顔をほめてもらえることが多かったので、笑顔で元気を与えたり安心したりしていただければと思いましたし、医療に関わる仕事に魅力を感じました。そこで、地元の薬局に片っ端から電話をかけて、求人の状況についてお話を聞いたのですが、高校卒業者を採用してくれるところが見つからず、焦りましたね」
地元から少し視野を広げたときに見つけたのが総合メディカルです。問い合わせすると、「高卒の方でも大丈夫ですからぜひ応募ください」という心強い回答を得られたことから、入社を決意しました。
「未経験者ということで不安もありましたが、入社から2年目までは研修がありますし、OJTの制度もあるので働きながら知識を得ることができました。1年目のオンライン研修では、『患者さんが薬局を出られる際に振り返った時に担当者がすぐに仕事に戻っていて、目が合わないと悲しいですよね』という話を聞いたことが強く印象に残りました。
その話を聞いて以来、来店されたときと同様にお帰りの際も、しっかり患者さんの顔を見てお見送りするよう心がけているんです」
山光さんの入社時は新型コロナウイルス感染症の流行により研修はオンライン開催でしたが、オンラインならではの研修も行われました。
「同期と5人組になって、力を合わせて謎解きに挑む研修がありました。ときにはひとりだけ見えていて他の人は見えないなど、オンラインのシステムを活かしながら、伝達力やチームワークが問われる内容。お互いに協力して感謝し合うなど、個人ではできない学びがあり、実際に会ったことはなくても同期の絆が深まりました」
同期とは3年目の研修で初めて対面で会うことができ、積もる話も共有したと振り返る山光さん。共感することも悩みも話し合えて感無量だったと言います。
「3年目の研修の課題は、ブロックを使って自分を表現するという内容でした。自分の成長の度合いをブロックで表したときに、他の人はステップアップしていくような段々で表していたのに対し、私はいろんな色を積み重ねて一直線に作っていたのです。自分がどう感じているのかあらためて見つめ直すいい機会になりました」
患者さんからもスタッフからも、感謝の声をかけてもらうことが一番のやりがい
研修やOJTによる学びがあるとはいえ、未経験であれば当然、薬の名前などは一から覚えなければなりません。最初はなかなか覚えられず、落ち込んだこともあります。
「今考えればスタートしたばかりなので当たり前なのですが、覚えられないことに悩んで、さらにそれが空回りして余計に落ち込むという時期もありました。しかし、研修で『失敗とミスの違い』について学んだことが、その時期を乗り越える大きなきっかけになりました」
防げるだけのスキルがあったにもかかわらず、何かを怠ったからできなかったのがミスであるのに対し、そのときはできなかったけれども、そこから学んで成長につながるのが失敗だと教わった山光さんは、以降、失敗をマイナスと捉えず、成長の糧だと思うことで、前向きになれたと言います。
「自分を認めてくれて、誉めてくれる先輩や上司の言葉を信じるとともに、自分自身を信じなければ前を向いて進めません。もちろん、今でも落ち込むことはありますが、そのたびに何度も顔を上げていけばいいと思っています」
山光さんにとって一番うれしい瞬間は、仕事の中で「ありがとう」と声をかけられるときです。
「患者さんの様子を的確に伝えたときに、薬剤師さんから『ありがとう』と言っていただけることもありますし、患者さんとお話した中で感謝されることもあります。
患者さんには笑顔で接するのが基本ですが、一人ひとりに話しかけ方を変え、円滑なコミュニケーションが取れるよう工夫しています。“患者さん”という一つの括りで接するのではなく、一人ひとりの顔を見ながら対応していく、という気持ちです」
「ありがとう」と言ってもらえることで、一層がんばりたいと思えるのだと山光さんは語ります。
自分の一番の味方は自分自身──誉められたところをとことん伸ばしていこう
総合メディカルでは、OJT制度とは別に、先輩が新入社員の相談者となるブラザー・シスター制度を設けています。
「私が新人のときは、当時3年目の薬剤師の先輩が担当してくれました。仕事終わりにカフェに行ったり、ご飯を食べに行ったりして、仕事の悩みからプライベートまでの相談に乗ってもらえるんです。気軽に相談できる場を会社が用意してくれるのは、とても恵まれた環境だと思います」
山光さん自身はまだ後輩育成にあたったことがありませんが、いつかは先輩として携わりたいと意欲を見せます。
「私は高卒で入社したので、他の人よりも年齢が若いことが最初はコンプレックスでしたし、若いからダメだと思われたらいけないと焦る気持ちもありました。でも今は、そんな状況を経験した自分だからこそできる共感や教え方があるのではないかと思います」
そんな山光さんが、今年の新入社員に向けて語ったメッセージがあります。
「『新入社員のころは、思うようにいかずに落ち込んで悩むこともあると思います。でも、初めてであれば当たり前のことであり、失敗から学ぶことも大切ですが、あまり自分を責めすぎずに、できるようになったことや成長できたことの一つひとつを自分で認めてあげてください。自分にとって一番身近な味方が自分自身であることが大切です。
そして何より、自分を支えてくれるたくさんの人との出会いがあります。なので安心して、焦らずゆっくり、楽しみながらなりたい自分に近づいていってください』こんな言葉を、自分なりに、贈りました」
これからの目標は、患者さんに対しても、一緒に働く店舗のスタッフに対しても、安心を与えられる存在となること。
「人に安心してもらうためには、まず自分自身がRCSとしての実力をつけることが必要ですし、加えて豊かな人間性を持つことが大切だと思っています。私にはまだまだ伸び代があると信じ、人から誉められたところをとことん伸ばしていくつもりです。
また、いつかは後輩の育成に関わりたいので、今は後輩に指導している薬剤師さんなどを見て学ばせてもらっています」
薬局で一緒に働くにあたっては、人のために行動できる人に入ってきてほしいと山光さんは考えています。
「RCS職として、たとえば忙しいときでも、患者さんのお薬手帳が最後のページになっていたら新しい手帳をさっと用意できるような人が向いていると思います。人のために行動できる思いやりのある気持ちが大切ですから」
どんなに忙しくても、悩んでいても、落ち込んでいても、患者さんと接するときには笑顔を欠かさなかった山光さん。その笑顔は今も、そしてこれからもきっと周囲の一人ひとりを安心させ、力づけていくでしょう。
※ 記載内容は2024年4月時点のものです
