中大規模木造建築の現場で、明るく前向きに工程を進める日々
私は現在、不動産事業本部 建築事業部に所属しています。私たちの部署のミッションは、中大規模木造建築を手がけることで脱炭素社会に貢献することです。環境への配慮が求められる時代の中で、木造建築という選択肢は非常に重要な意味を持っています。私自身、この取り組みに携われることに大きな誇りを感じながら日々仕事に取り組んでいます。
具体的には、木造在来工法で大学施設の新築工事を担当しています。施工管理職として、工事全体の管理を行うのが私の役割です。現場での工程の進捗管理をはじめ、品質管理、安全管理、そして計画立案や書類作成まで、幅広い業務を担当しています。また、2026年1月から始まる次の現場に向けた準備や計画も並行して進めているところです。
施工管理の仕事は、安全管理、品質管理、工程管理、環境管理という4つの柱で成り立っています。それぞれの分野において計画を立て、段取りを組み、進捗を確認し、書類を作成していく。毎日がその繰り返しです。朝8時からの朝礼に始まり、現場を巡視しながら職人さんたちとコミュニケーションを取ります。現場が計画通りに、そして図面通りに進んでいるかを確認するのは重要な業務です。その後は事務所に戻り、4つの柱を軸に計画を練り、必要な書類を作成していくという流れで一日が進んでいきます。
職人さんたちとの関わりは、この仕事においてとくに大切にしている部分です。現場を回りながら声をかけ、状況を確認し、時には相談に乗る。そうしたコミュニケーションの積み重ねが、現場全体の雰囲気を作り、工事の品質を左右すると考えています。
私が仕事をする上で大事にしているモットーは、「明るく楽しく元気よく 前向きに」ということです。建設現場は大変なことの連続です。工期の厳しさ、天候による影響、予期せぬトラブル。数え上げればきりがありません。しかし、どんな状況であっても、やるべきことは変わりません。それならば、どうせやるなら楽しく前向きに取り組んだ方がいい。そう考えるようになりました。
自分が明るく前向きに振る舞うことで、周囲も明るくなり、良い方向へ働いてくれる。これは私の経験から得た確信です。もちろん、明るくするだけではなく、メリハリを持つことも大切にしています。施工管理という立場上、時には厳しい指導をすることも必要です。必要な時、場面では一線を引く。そのメリハリがあってこそ、普段の明るいコミュニケーションが活きてくると思っています。普段からしっかりと信頼関係を築いておくことで、厳しいことを言わなければならない時でも、相手に真意が伝わりやすくなるのです。
さまざまな建築を経験してきたゼネコン時代、2024年問題を機に新たな挑戦へ
私のキャリアは、ゼネコンでの施工管理職からスタートしました。高層マンション、病院、物流施設、図書館、学校など、請負額1億円から130億円規模まで、実に多様な新築・解体物件に携わってきました。それぞれの現場で異なる課題に向き合い、試行錯誤を重ねながら経験を積んでいった日々は、今振り返っても自分の財産だと感じています。
その中でも、社会人6年目に配属された大学施設の新築工事は、私のキャリアにおける大きなターニングポイントとなりました。地下1階地上9階建て、RC造、S造、SRC造、CFT造という4種類もの構造が混在する混構造で、請負額は130億円以上という大規模プロジェクトです。工期短縮を目的にした外壁材のを採用を検討し、4階建ての低層部が一体となった複雑な構造でした。意匠も非常に凝っていて、曲面の天井が連続してつながったバルコニー、低層部の屋上緑化、吹き抜けの天井にはピラミッドのように突き出た天窓など、どれも難易度の高いものばかりでした。
私は構造躯体工事を含め、半数以上の工種を担当することになりました。毎日300名以上の職人さんを相手に仕事をする日々は、まさに激務そのものでした。体がいくつあっても足りないような状況の中で、いかに効率よく、正確に、素早く目的を達成できるかを常に考え、試行錯誤を繰り返しました。この経験で培った判断力や実行力は、今でも私の仕事の基盤となっています。
そして何より嬉しかったのは、多くの職人さんたちから「担当がお前だったから何とかしてやろうという気になったし、結果ここまでできたのはお前のおかげだ」という言葉をいただけたことです。どんなに厳しい状況でも、人と人との信頼関係が最高の成果を生み出すのだと実感した瞬間でした。苦労が報われたこの経験は、今後もこう言ってもらえるような仕事をしようと心に刻む契機となりました。
こうしてさまざまな規模、用途、構造、工法を経験し、施工管理のスキルは確実に磨かれていきました。最終的には現場代理人として、工事に関わる内外すべての関係者と原価・工程・安全・品質・環境を軸に打合せ・折衝・調整・マネジメントを行うポジションまで到達しました。しかし、その一方で少しマンネリを感じる自分がいたことも事実です。
転機となったのは2024年問題でした。ただがむしゃらに突っ走ってきた私たちの働き方が、残業時間の制限や職人さんたちの高齢化、人手不足などを理由に通用しなくなってきたのです。打開策や改善策を模索する中で、当時の会社では古い考え方から脱却できないと感じるようになりました。この時期を通じて、私自身の働き方や考え方にも大きな変化が生まれました。
幼少期から木造の建物が好きだったこともあり、まだまだバリバリ働ける今のうちに新しいことにチャレンジしてみようと決意しました。そして出会ったのが、住友林業です。木については国内有数の企業である住友林業が、中大規模木造建築にチャレンジしている姿勢が、未経験だった木造にチャレンジしたいという私の思いとぴったりだったのです。住宅部門や海外部門などでの知見を応用し、中大規模木造建築に活かそうとしている取り組みが本当に面白いと感じました。転職活動では製鉄関連会社や監理者としての仕事なども検討しましたが、やりたいこと、挑戦できる環境があるところを考えたら、住友林業オンリーになっていました。とくに木造を軸としながら鉄骨造や鉄筋コンクリート造とのハイブリッドも模索しているところ、そして面接で出会った佐藤輝典部長の人柄が、最終的な決め手となりました。
配属初日から始まった挑戦、そして前倒し完工への道のり
住友林業に入社してから、まだ1年。成功体験と呼べるほどの大きな実績と言えるかどうかは分かりませんが、入社後すぐに配属となった木環の杜(こわのもり)の福島県いわき市の四倉工場新築工事において、主任として最大棟を無事に完成させたことは、私にとって大きな意味を持つ経験でした。この工場は東日本最大級の木材加工工場として、脱炭素社会に向けて会社にも将来の日本にも貢献できる施設です。3月から稼働するこのプロジェクトに携われたことに、心からやりがいを感じています。
この現場では熊谷組や地場のゼネコン2社とJVを組み、計8棟の建物のうち1番大きな棟を担当しました。配属初日のことは今でも鮮明に覚えています。熊谷組の所長から「主任としてその棟の長としてやってほしい」と言われたときは、正直驚きました。しかし、プレッシャーというよりも、むしろ気合いが入りました。早速進捗を確認すると、工程に対して計画が若干遅れている印象を受けました。
配属当日から、私は図面や工事の進捗、業者選定の状況を確認・整理することに集中しました。遅れているところ、フォローが必要なところ、決めてもらわないといけないところなどを洗い出し、職員間で話し合ったり業者と打合せしたりと、ドタバタと動いた記憶があります。まさか前職の経験がこんな形でいきなり活かされるとは思いませんでした。前職では大規模の現場がほとんどだったこともあり、大規模現場の運営方法や注意すべき点、押さえておかないといけないポイントなどは、構造に関係なくそのまま活きていると感じました。
幸いなことに、初動に対する周囲のレスポンスは良好でした。職人さんたちも頑張ってくれたおかげで、最終的には計画から1カ月ほど前倒しで工事が完了しました。今まで経験したことがない程ゆっくりと引渡しを迎えたのが印象的で、この達成感は格別なものでした。
一方で、この1年間、常に試行錯誤の連続でもありました。苦労しているのは「普通」が通用しないということです。ここで言う「普通」とは、新卒から入社した前職のゼネコンで経験した「普通」のことです。住宅系の職人さんたちで中大規模をやると、そのレベル感や規模感の違いから、書類・やり方・考え方すべてが違います。材料を発注するにしても、住友林業の特許工法に関連するため決まったルートからしか材料が手配できません。図面や施工計画書を作成するにしても、住宅系の業者はそんなことをやったことがない場合が多いのです。現場においても、安全の基本的なルールですら指導しないとやらないこともあります。
困難という程のことではありませんが、随所にちょっとした手間・労力・時間がかかるという印象です。前職時代には当たり前だったことがそうではないため、本質はどこにあって現状とのギャップを埋めるにはどうしたらいいのかということを日々考えています。課題はたくさんありますが、協力してくれる業者と一緒に成長できたらという思いで取り組んでいます。
こうした経験を通じて、前職時代の同期からは「雰囲気が丸くなった」と言われるようになりました。視野が広がり、余裕が持てるようになったのかなと自分でも感じています。また、物事を考える際の目線が少し高くなったとも思います。上司だったらこう考えるだろう、設計者なら、発注者ならと、さまざまな役割・立場の人の考え・思いなどに思考を巡らせて先回りすることが、徐々に出来るようになってきました。これは間違いなく成長だと実感しています。
JVを組んだ他社との関係構築においては、毎日のコミュニケーションに尽きると考えています。住友林業の看板を背負ってJVを組んでいますから、恥ずかしいことはできません。でもそれは各社とも同じことです。お互いの意見・立場を尊重しつつやることはやる。自分の責任範疇としてやるべきことと、各社に判断を仰がないといけないこととの線引きを間違えないよう意識していました。その結果、良好な関係を築くことができ、今後につながる一歩となればいいなと思っています。
木造建築の未来を切り拓く、挑戦と成長の日々
短期的には、今いる現場で遅れているところや手が回らないところをしっかりカバーすることが最優先の目標です。同時に、2026年1月から始まる新しい現場がスムーズにスタートできるよう、計画と段取りを着実に進めています。目の前の課題に向き合いながら、次のステージへの準備も怠らない。この両立が今の私に求められている役割だと感じています。
中期的な目標としては、次の現場で関わる発注者や協力会社、社内の他部門の方たちとしっかりとした関係を築いていくことです。プロジェクトは多くの人たちの協力があって初めて成功します。だからこそ、最後にはみんなが笑って「良いプロジェクトだったね」と言えるような現場にしたい。それが私の目指す姿です。そして長期的には、まだまだ発展途上である当部署の未来のために、自分の知見を深めていきたいと考えています。組織の基盤づくりの一翼を担えるような存在になることが、私の大きな目標です。
そのために深めたい知見は多岐にわたります。まず木造についての構造や法規関連、そして施工に関すること。木造の大規模建築はこれからの分野ですから、専門性を高めることは不可欠です。また、現場のお金の管理や部署全体の予算についての理解も深めたいですし、組織マネジメントや関連部署との連携についても学び続けたいと思っています。一つひとつの知識が積み重なって、より良い判断ができるようになる。その過程を楽しんでいます。
採用候補者の方には、ぜひ想像してみてほしいのです。RC造やS造のクールな建物もかっこいいですが、木造のあたたかな雰囲気の建物を自分で造って、誰かが使っているところを。RC造のひんやりした薄暗い現場ではなく、木の香りのするやわらかい現場を。木造で大きな建物はまだそう多くはありません。だからこそ、これからの分野で新しいことに一緒に明るく楽しく前向きにチャレンジしましょう。それができる環境がここにはあります。
当部署で活躍できるのは、既成概念にとらわれず柔軟で積極性のある人だと思います。変化やチャレンジを楽しめる人。「もっとこうしたら良くなると思うんだけどなぁ、今度上司に相談してみよう!」こんな風に思えたら最高です。中途採用が多い部署だからこそ、無駄な上下関係のようなものはなく、皆がフラットな関係です。それぞれが違う経験を持っていて長所もさまざまなので、困ったときには誰かに聞けば大抵のことは誰かがどこかで経験していて答えがあります。
一つだけ知っておいてほしいのは、全国に転勤の可能性があることです。ゼネコンでは各地方に支店がありその支店管轄エリアの現場異動が一般的ですが、当部署は本社で一括管理しているため全国どこでも行く可能性があります。でもそれは同時に、日本中のさまざまな場所で木造建築の可能性を広げていくチャンスでもあります。新しい環境、新しい出会い、新しい挑戦。それらを前向きに楽しめる方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。

