中大規模木造建築の技術支援と産廃管理。現場を支える「手戻りしない仕事」の流儀
私は現在、建築事業部 建築部 工事グループ 安全・品質チームに所属しています。私たちの部署のミッションは中大規模建築分野における木造・S造・RC造のハイブリッド化を実現し、脱炭素社会に貢献することです。その中で私は大きく分けて2つの業務を担当しています。
1つ目は、建設現場のバックアップとして、中大規模木造建築に新たに挑戦する施工管理者の技術的支援です。キャリア入社の方は木造に初めて挑戦される方が多いため、木造の基礎工事から躯体工事・仕上げ工事に至るまで、図面の確認や材料・工具などの選び方や使い方を教えています。実際に現場に足を運んで、中大規模木造建築について一つひとつ丁寧に伝えることを心がけています。後輩から仕事の進め方について相談や提案を受けた時にはとくにやりがいを感じますね。自分の経験が後輩の役に立っていると感じられますし、主体的に提案してくれる姿からは成長も実感できる瞬間だからです。
2つ目は、産業廃棄物に関する業務全般です。具体的には、現場ごとの産廃業者の委託契約、行政・社内への報告や申請業務、新規取引の産廃業者の工場踏査と登録業務などを担当しています。また、現場の工程管理も私の役割の一つです。
仕事をする上で私が何より大切にしているのは「手戻りを防ぐための、先を見据えた管理」です。日々の業務の中では、常にゴールから逆算して計画を立てるように意識しています。この考え方はこれまでの経験の中で培われました。行き当たりばったりで物事を進めていくと、最後に納まりが悪くなったり、時間が無くなったりして品質低下につながってしまいます。目の前の対応に追われながら物事を進めると、最終的に品質やスケジュールへ影響が及ぶことがあります。一方で、先を見据えて準備を進めておけば、想定外の事態にも落ち着いて対応でき、本来取り組むべき仕事に集中できます。だからこそ私は常に一歩先を見据え、手戻りのない仕事を心がけています。
人生に後悔しないために。3つの会社で培った施工管理のキャリア
私のキャリアは、20代の頃に地元広島の中堅ゼネコンの東京支店からスタートしました。そこではRC造(鉄筋コンクリート造)やS造(鉄骨造)をメインに、建設現場で施工管理の仕事をしていました。この時期に学んだ施工管理の基本は、今でも私の仕事の土台となっています。
中でも印象に残っているのは、初めて自分で施工図を描いた現場です。当時はまだ手書きで図面を描いていた時代でした。同時期に一級建築士の資格取得もめざしていたため、仕事と学業の両立に励み、多忙な日々を過ごしていました。今振り返ると大変な時期ではありましたが、その経験を通じて図面を読み解く力や現場を見る視点が養われ、技術者としての基礎を築くことができたと感じています。
30代になると、友人からの勧めで大手土地活用会社に転職しました。ここでは2×4木造(ツーバイフォー木造)をメインに施工管理を担当し、新しい構造の知識と経験を積むことができました。この会社では社内システムが整備・構築されていたため、より幅広い環境でも通用する専門性を身につけたいと思うようになりました。
そんな時、ふと考えたのです。人生の最後、自分の人生を振り返った時に自分のやってきた仕事に後悔しないのか、と。当時は岡山に住んでいたのですが、転職すると東京に引っ越すことになり、家族に負担がかかることにも悩みました。そんな中、このままこの会社で続けて良いのか迷っている私を心配していた家族が背中を押してくれました。おかげで新しい挑戦を選ぶ決断ができました。
竣工前の国立競技場に家族を連れて。大規模プロジェクトと、異なる立場での学び
住友林業に入社後、私は国立競技場やオリンピック選手村、大阪・関西万博の住友館建設といった大規模プロジェクトに関わることができました。中でも印象に残っているのは、竣工前の国立競技場や選手村に家族を連れていけたことです。家族にとっても、そして私自身にとっても一生忘れられない思い出になりました。国立競技場では鉄骨梁に木材を取り付ける工事を一年間担当しましたが、一度も工期遅延することなく進められたことは大きな達成感につながりました。また、選手村では全国から集まった多様な木材の管理を担当し、さまざまな材種・樹種に触れることで、木材に関する知見を深めることができました。
入社後、苦労したこともありました。地方での工事で初めての職人と仕事をしたときです。地域によって、施工範囲などの当たり前が違う中でベクトルを合わせる必要がありました。私はお互いの共通点を探し、他愛もない会話から距離を縮めることで乗り越えました。こうした経験は、前職時代の転勤が多かった環境で培った、異動先の職人との付き合い方が活きています。
入社後、発注元の施工管理としてだけではなく、大手ゼネコンの協力業者の職長として工事にあたる場面もありました。この経験は大きな学びになりました。普段、発注元の施工管理として接していた協力業者の仕事をしたことにより、協力業者の欲しい情報・心配事などを事前に考えられるようになったのです。いろいろな立場の人の考えを知ることができたことは、私の成長につながりました。
失敗から学んだこともあります。現場で良かれと思って進めていたことが、管理者が承認していないとうまく通らなかったことがありました。それから提案はするけれども決定は管理者に必ずいただくようにしています。また、自分の意見だけではなく、仲間に意見を尋ねたり、時には基準書、専門書などの客観的な根拠を基に提案することを心がけています。入社してから今までで一番成長したと感じるのは、仕事に生かせそうな資格や、知識を得るために本屋などに通い自己研鑽の時間をとるようになったことです。
消防設備士資格の全種類取得から社員教育まで。木造の可能性を広げる挑戦
短期的には、消防設備士の資格を全種類取得することを目標にしています。これは木造プレカットに配線・配管データ等を反映させ、現場加工の手間を減らす第一歩として必要な取り組みです。具体的には、配線場所を事前に決めて木材に穴をあけておくことによって、開けてはいけない部分への穴あけを防止して品質も確保しつつ、施工の時間短縮に繋げることができます。この目標達成のため、日常的に勉強する時間を設けて取り組んでいます。
中長期的な目標としては、キャリア入社や新入社員の木材・木造知識の向上を支援し、一人ひとりが専門性を高めながら活躍できるよう力になりたいと考えています。中大規模木造建築は今まさに発展を続けている分野です。そのため、木材や木造に関する知識を自ら学ぶだけでなく、現場で得られた知見を組織全体で共有していくことが重要だと考えています。自分自身が学んだことや経験した失敗も含めて、誰でも活用できるデータベースとして蓄積し、次の世代に伝えていきたいと思っています。
当社にご興味を持っていただいている方に伝えたいのは、住友林業は今まで培った経験と、新しく得られる経験や知識が融合できる職場だということです。木という自然素材を扱い、川上から川下まで木のプロがそろっているため、学ぶには良い環境だと思います。まだまだ木造は発展途中の分野ですので、新しい発想ができる方と一緒に仕事ができる日を楽しみにしています。

