学ぶ姿勢を持つことが仕事の流儀
私たちの部署のミッションは中大規模建築分野における木造・S造・RC造のハイブリッド化を実現し、ゼネコンとしての役割を担いながら唯一無二の価値を持つ建築を生み出し、脱炭素社会に貢献することです。
所属する構造設計・技術開発グループの役割は大きく3つあります。1つ目は構造設計です。基本計画から建築確認申請に至るまで、意匠設計チームや設備電気設計チームと連携して構造計画を進めています。2つ目は施工監理です。基本的に自分が構造設計したプロジェクトをそのまま担当しています。設計したものが実際の現場でどのように納まっていくのか、現場でのコミュニケーションは学ぶことがとても多いと感じています。3つ目は構造部材の開発です。当社内の筑波研究所と密に協力しながら、中大規模木造建築への採用を目指し、耐震・耐火構造部材や接合金物などの開発に携わっています。実験に立ち会って、部材の実際の挙動を自分の目で確認できる機会は、構造設計業務にも活かせる貴重な場になっています。
構造設計者の役割は建築計画を実現させるために必要な設備やコスト等の要件も含め、創意工夫して構造面の検討や検証を重ねることだと思います。特に木造で提案を行う場合は、部材同士の接合部の納まりについて構造設計者の技量が問われます。RC造やS造と比べたとき、木造は柱や梁そのものだけではなく、それらをつなぐ接合部の設計が建物の性能に大きく影響することがあります。そのため設計する際は、接合部の納まりについて、実際の木材の加工製造や現場での施工のことまで想定しつつ詳細検討しています 。ビスをはじめとする接合具は種類が豊富で、その中で最適な納まりを検討し、木造特有の構造計算方法があるため、それを使いこなして建物の安全性を確保できるかどうかが木造構造設計の肝だと感じています。
仕事をする上でもっとも大切にしているのは「学ぶ姿勢を持つこと」です。プロジェクトごとになるべく何か新しいことにチャレンジし、知らないことを学ぶよう意識しています。やりがいを感じる瞬間は、現場で実際に梁組が立ち上がっていくときです。図面の中で検討してきたものが形になる達成感があります。一方で「こうすればもっと良くできたかもしれない」という気づきもあり、次の案件へ活かすための学びにつなげています。学び続けることが、この仕事を続ける上での原動力になっています。
「建築の初期段階から関わり、より広い領域にチャレンジしたい」が転職のきっかけに!
前職では、木造建築を専門に扱うプレカットメーカーで構造設計と技術開発を担当していました。事業としては、建物の詳細仕様を決める実施設計の段階から工場で木材を寸法通りに加工するプレカット、現場への木部材の納品まで一貫して請け負うスタイルでした。私はその中で設計を担当しており、会社の業務としてプレカットまで連動していたので、木造建築において非常に重要な木材の加工方法や接合部の納まりについて学ぶことができました。
前職のキャリアの中で特に印象に残っているのが、初めてプロジェクトを主担当として進めた経験です。屋根の形状が特殊で、大手の組織設計事務所と共同して進めるプロジェクトでした。設計の考え方や意匠・デザインへこだわる姿勢など、多くの刺激を受けました。
特殊な屋根形状と、その下に広がる内部空間を実現するために梁の架け方から部材の接合方法まで、何度も試行錯誤を重ねました。要求された図面の量もそれまでの自分の経験をはるかに超えるもので、構造計算書をまとめる過程では多くの検討を重ねました。そこで得られた経験が、今の自分の仕事の基盤になっています。
一方で木造のプレカットメーカーとしての建築への携わり方から、建築の初期段階から構造計画に設計者として関わっていきたい、最適な構造の設計方法を提案できる存在になりたいという気持ちが大きくなっていきました。
また純粋な木造のみに限らず、RC造やS造あるいはそれらを組み合わせた複合的な建物にも挑戦したいという気持ちが、前職在職中に少しずつ膨らんでいきました。木造の現場で培った知識や経験を活かしながらもより幅広い領域で建物に携わりたい。そう考えたことが転職を決意したきっかけでした。
「特定の構造にとらわれない考え方」が身についた混構造プロジェクトへの大きな挑戦
住友林業入社後、特に印象に残っているプロジェクトは当社が設計・施工した6階建ての社宅「みどりのの庭」を手がけたことです。木造とRC造を1つの建物の中に組み合わせる平面混構造では、それぞれの構法の特性を活かしながら設計する必要があり、難易度の高いプロジェクトでした。私はその基本計画から実施設計まで、構造設計を一貫して担当しました。
前職ではRC造や中高層建築の経験がなかったため、学ぶことが山積みでした。さらに、このプロジェクトでは当社の筑波研究所で開発された新しい部材を初めて実物件で採用するという挑戦もあり、構造設計をまとめるのは難易度が高かったです。初めてBIM(Building Information Modeling:建物の情報を三次元で統合的に管理する設計手法)を実際の設計に活用するなど、得られる学びは非常に多く、自分のスキルの幅を大きく広げられたプロジェクトになりました。
設計後、実際の工事が図面通りに進んでいるかを確認しながらサポートする施工監理のフェーズでも苦労がありました。RC造は新たな挑戦領域だったため、特にRC造部分の配筋の納め方について苦戦しました。設計段階で想定しきれなかった課題への対応が現場で必要になることがありますが、そのような場面では現場所長や担当者をはじめ、意匠設計や設備設計の担当者とも密にコミュニケーションをとりながら解決策を探っていきました。反省や気付きは今後のプロジェクトのための自分の知識やスキル向上に必ず活かしていく意識で向き合うようにしています。
前職では木造プレカットメーカーならではの専門性の高い設計に携わっていましたが、転職後はさらに構造の選択肢が広がり、プロジェクトの内容に応じて最適な構造を幅広く検討できる環境に身を置いています。さまざまな建築用途のプロジェクトに携わる中で、自分の専門領域も着実に広がってきていると感じています。
一方で前職での経験が今も大きな強みになっていることも実感しています。木造建築に関する知識は、現在の仕事でもダイレクトに活きています。木造の設計では木材の特性や接合部の考え方など、RC造とは異なる専門的な知識が求められます。これまでの経験が混構造のプロジェクトをはじめ、木造を含む案件において自分の強みになっています。
「木で何かを実現したい」という情熱を持った人と、ぜひ一緒に働きたい
今後の短期的な目標としては、引き続きさまざまなプロジェクトに取り組みながら、経験を積み重ねていくことです。一つひとつの現場や案件から学べることはたくさんあると感じています。構造設計者としての提案力を高めたいと思っています。
木というと、内装や外装など「仕上げ材」として空間の雰囲気をつくる素材としてのイメージが強いかもしれません。私が取り組みたいのは、それだけにとどまらない木の使い方です。他の素材との競合がある中で、あえて木を構造に選ぶ理由をしっかりと示し、設計の段階から木の特性を最大限に引き出すような提案ができる。そういう設計者になりたいというのが私の大きな目標です。
所属している建築事業部の魅力についてお伝えしたいこととしては、設計から施工まで一貫して携われる物件が多いことはもちろん、社内でも意匠や設備設計の担当者、営業・積算といった異なるセクションと近い距離で仕事ができる環境があります。縦割りになりがちな業務も、横断的な学びや連携ができるのが特徴であり、面白さだと思います。
会社全体に目を向けると、住友林業グループは森林経営から木材建材の製造・流通、戸建住宅・中大規模木造建築の請負や不動産開発、木質バイオマス発電まで「木」を軸とした事業をグローバルに展開しており、木に関わるプロフェッショナルが多く在籍しています。こうした多様な方々と交流できることも、自分の視野や専門性を広げる上で、非常に貴重な環境だと感じています。
最後に、転職を考えている方へ一言お伝えしたいこととしては、木に向き合う情熱と、何か自分なりの強みがあれば、それを活かせる場所が住友林業にはあります。木造建築の可能性を広げ、社会に新しい価値を生み出していきたいという情熱を持っている方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。同じ想いを持つ仲間と共に働けることを楽しみにしております。

