何で自分が――もやもやからはじまった運用という仕事
蛇口をひねると水が出るように、コンセントを差し込むと電気が使えるように、接続すればネットワークがつながり、情報通信を行なうことができる時代になりました。
いまや情報通信ネットワークは、ライフラインのひとつにも数えられています。国内でも有数の規模を誇るNTTデータのネットワーク運用センタ―では、お客様のシステムを支えるべく、日々エンジニアが保守・運用を行なっています。
津田宗宜は2001年の入社以来、ネットワーク設計構築と運用を担当してきました。ITサービスマネージャーとしてネットワーク運用センタ―の品質管理や企画に携わる津田ですが、学生時代はITではなく法律を専攻していました。
津田 「野球をするときまずルールを勉強するように、社会に出る前に社会のルールを学ぼうと思ったんです。それがわかれば社会の仕組みも見えてくるかなと」
就職を考えるようになった頃、21世紀の訪れを前に、これからの社会の仕組みをつくっていくのはITであろうとの思いからNTTデータへの入社を決めました。入社後、津田はネットワークを専門に扱う部署に配属されます。
津田 「私が学生の頃はパソコンもまだ一般的ではなかったので、ITについてはゼロからのスタートでした。同じ部署に配属された同期は学生時代に情報系の学科を専攻していてネットワークについても詳しく、こいつすごいなと思いながら一緒にお昼を食べていましたね。
でも、自分は自分の得意領域で勝負しようと考えていました」
ネットワーク技術者として勉強しながら、設計構築に携わる日々。いくつもの案件を経験するなかで、知識も増えていき、1人でお客様先へ常駐して社内システムのネットワーク設計構築を担当するなど、充実した日々を送っていました。
しかしあるとき、津田は運用チームへの異動を打診されます。設計担当者として自信もついてきた津田は、なぜいまこのときに自分が運用担当へ替わるのか、もやもやした思いにかられました。
津田 「正直なところ、何で自分がと思いましたね。運用の仕事をよく理解していなかったというのもありますが、当時は単純に故障が起きたら謝るみたいなイメージをもっていました。自分がそこで働いているイメージがわかなかったんです。
上司からは、自分が設計したものがどう運用されるのか、自分の目で見て実際に担当してみる経験はこれからのキャリアに絶対に役に立つからと言われました」
はじめは乗り気ではなかったこの運用チームへの異動が、のちの津田にとって大きな転機となりました。
人が抜けていく。ピンチを救った、気づき
運用チームへと異動した津田はお客様先へ常駐し、お客様グループ企業全体の社内ネットワーク運用にあたりました。NTTデータからは津田1人、約25名のビジネスパートナーとチームを組むことになりました。
しかしこのとき、ある問題にぶつかります。リーダークラスのメンバーが、どんどんチームを抜けてしまったのです。困った津田は、なぜそういった事象が起こっているのかを分析しました。
津田 「当時、運用の標準化や自動化への取り組みを進めていました。業務の標準化が進むにつれ、メンバーの作業は毎日同じことの繰り返しになっていきました。
そして自分はここではもう成長できないと能力の高いメンバーほど感じてしまい、チームから抜けていってしまったようでした」
運用の標準化や自動化は、人為的ミスを抑制し、運用効率を高めるために有効です。しかし、変わりゆく運用業務に対して、メンバーに今後の見通しや必要な人財スキルが見えていないことが不安を引き起こしているのかもしれないと考えた津田は、運用に関わる人財スキルの見える化を試みます。
ネットワークに関わる運用人財として必要とされるスキルや役割を洗い出し、ビジネスパートナー会社へも伝えました。
やがて津田は、チームが次第に変わっていくのを感じました。
津田 「そのときのチームメンバーやお客様が素晴らしく、本当にいい環境でした。
忙しい業務の中にあっても、自分たちはお客様のネットワークを支えているんだという自負をもち、ネットワークだけでなくお客様の社内システムの仕組みそのものをいいものにしていくんだという意識を一人ひとりがしっかりともっていました。
また、これまでと違ってそれぞれ高い目標をもって仕事に取り組むようにもなりました」
必要な人財像やシステム全体における自分たちの役割をチームが理解したことで、日々の運用のなかでもネットワークの改善点の話し合いが行われ、時には忖度せずにお客様のために思ったことを提案するなどしていきました。次第に任される運用範囲も広がり、よい関係を築いていったのです。
「トラブルが起きたら謝る人」ではない。見えてきた真の“運用”
津田の運用という仕事に対する意識にも変化がありました。
津田 「運用にとって故障対応というのはそれこそ業務の一部でしかないと気がつきました。
それよりは、故障を起こさない、あるいは故障が起きたときに状況を顕著に示す仕組みを考えていくこと。そしてそもそも故障が起こらないような仕組みをきっちりつくること。そういう方が、運用の本当の仕事なんだと思うようになりました」
チームがうまく回り出し、お客様からの信頼も得て運用業務が拡大しはじめた頃、津田はまた設計チームへと戻ることになります。しかし、運用にやりがいを感じはじめた津田は悩んだ末、運用チームへの異動を願い出ました。
入社10年目でネットワーク運用センターへと異動した津田。あるとき行なわれた部長との個人面談で、津田は日ごろ温めていた運用センターの改善案をプレゼン。その熱意を買われ、運用企画グループに移り運用センター全体の品質管理やサービス企画を担当することになります。
津田には、実現したい運用センターの仕組みがたくさんありました。
しかし、当時の運用センターは個別最適化されており、運用費用も求められる運用レベルもお客様によってさまざま。運用センターとしての規模を活かしきることができていない状態でした。運用センター全体の施策として投資を行ない、改善したくても個々に独立した運用を行なっているのでうまくいきません。
そこで津田はまず、運用の標準化とメニュー化に取り掛かりました。
津田 「これまでの実績から、監視や故障対応といった運用に求められるタスクを対応内容によってレベル分けして金額に反映させました。お客様にとっては明朗会計となり、必要な運用レベルに合わせて必要なコストが見えるようになりました。
お客様によってはこれまでより費用が上がってしまうケースもありましたが、必要な運用レベルを見直し不要な運用をそぎ落とすきっかけになったのではと思っています。
実際に、運用コンサルタントといった形でお客様に入ってアセスメントを行ない、コスト削減と品質改善の提案をさせていただいたこともあります」
また、メニュー化への取り組みにより、市場におけるポジションや強み、弱みの把握も行なうことができたと津田は言います。自分たちの提供品質に対する自信にもつながりました。
津田の中で、入社当時抱いていた「運用はトラブル対応して謝罪する人」というイメージは、すっかり取り払われていました。
ネットワークの“当たり前”をこれからも支え続ける
津田は今後、運用人財のプレゼンス向上にも力を入れていきたいと言います。
津田 「私も当時そうだったんですが、いまでも多くの人が運用に対して『トラブル対応する人』というイメージを強くもっているんじゃないかと思うんです。
でも実際はそうじゃない。お客様のことをお客様以上に知り、お客様も気づかない点をきちっと訴求して改善し、お客様の信頼を得ていくパートナーをめざしています」
お客様の大切なシステムやネットワークを預かりビジネスを支える、普段は意識されることない運用という仕事。その存在を意識されるときは多くの場合、トラブル発生時だったりします。
津田 「運用って、お客様とのスタートが悪いことが多いんですよ。お客様先へ行くときは、やっぱりトラブル発生時が多いですからね。でも原因はどうであれ、お客様の前に立ってトラブル発生事象と今後の対応を説明するのが私たちの責任です。
時には意見が食い違うこともありますが、それでも真摯に向き合えば理解していただけます。そうしたあとお客様から『ありがとう』と言っていただけると、嬉しいしやりがいを感じますね。だいたいトラブルから関係がスタートすることが多いので(苦笑)」
これからの社会の仕組みをつくりたいと、NTTデータへ入社した津田。津田はいま、ネットワーク運用を通じてそこに貢献しています。
津田 「ネットワークは動いて当たり前だと思っているし、動いて当たり前のものを、当たり前の状態にしておくのが僕らの仕事だと思っています。社会の基盤がつくられ、基盤となるシステムが動いているのも、僕らが当たり前のようにネットワークを動かしているから。
だからこそ、今後もきちっとそれを支えていくのが、大事なことだと思っています。空気とか水のようになると思うんですよね、ネットワークって」
NTTデータのネットワーク運用センタ―では、 この“当たり前”を守るべく、今日もエンジニアが保守・運用を行なっています。
