「動かす」楽しさが原点。夢中になった経験が今につながっている
幼い頃から、籔本は手を動かして何かを作ることが好きだった──
図工や技術の授業では、木材を切って本棚を作るなど、完成形を思い描きながら作業を進める時間に、自然と引き込まれていたという。
「作り始めると、途中でやめるのがあまり得意じゃなくて。『今日はここまで』と決めても、もう少しだけやりたくなってしまうんです。できるところまでやり切らないと、逆に落ち着かなくて」
そんな性格がはっきりと表れたのが、小学生のときに参加したロボット作りクラブだった。部品を組み立て、コントローラーで操作すると、入力したとおりにロボットが動く。“自分の操作が、そのまま動きになる”体験は、籔本にとって強く印象に残っている。
「右に倒せば右に、左に倒せば左に動く。本当に単純なんですけど、自分の操作にちゃんと反応してくれるのが楽しくて。気づいたら、周りが見えなくなるくらい集中していました」
一度集中すると、区切りをつけるのが難しい。その日中にどこまで進められるかを考えながら、黙々と手を動かし続ける。籔本にとって、モノづくりはそんな没頭の時間だった。
中学・高校では部活動などに打ち込み、ロボット作りから少し距離を置く時期もあったが、理系分野への関心が薄れることはなかった。進路を考える中で参加した大学のオープンキャンパスで、再び心が動く。
そこで目にしたのは、プログラムによって自律的に動くロボットだった。
リモコンで操作するのではなく、プログラムが判断し、動作を決める。その仕組みに触れた瞬間、これまでの経験が一本につながった感覚があったという。
「ロボットは操作するものだと思っていましたが、プログラムで動いていると知って、正直驚きました。同時に、『これなら自分にもできるかもしれない』と感じたんです。自分で考えたことが、そのまま動きとして目に見えるのがすごくおもしろくて。小さい頃から好きだったモノづくりと、感覚がつながった気がしました」
こうして籔本は、ロボットとプログラミングの両方を学べる、情報系のロボット・メカトロニクス学科へと進学する。「動かす」ことへの興味を原点に、技術の分野へと一歩を踏み出した。
「形として見えるモノがいい」。大学で確信した、組み込み系への道
大学では情報系を専攻し、プログラミングの基礎を学んだ籔本。その中で、「動かす」ことのおもしろさを実感したのが、小型の車型ロボットを制作した経験だった。
「小型の車型ロボットを使って、障害物があれば避ける、ぶつからないように走らせる、といった動きをプログラムで制御する課題がありました。今振り返ると、自動運転に近いことをやっていたと思います」
決められた手順どおりに書くだけでは、思ったようには動かない。試行錯誤を重ねながら、少しずつ調整していった。
「どういう順番で処理を書けばいいのか、条件の置き方を変えたり、動きを確認しながら何度もコードを書き直しました。なかなかうまくいかなくて大変でしたが、最終的に狙ったとおりに走ったときは、『ちゃんと自分で動かせた』という実感がありました」
この経験を通じて、コードを書くことそのものよりも、動きや挙動を考えながらつくる開発に強く惹かれるようになった。
「画面の中だけで完結するのではなく、自分が書いたプログラムで実際にモノが動く。その結果が目に見えるところがおもしろかったです。自然と、制御や組み込み系の分野に興味を持つようになりました」
就職活動では、学んだ知識を活かせる情報系の仕事を軸にしつつ、会社の雰囲気や教育体制も重視していた。一方で、社会人として通用するのかという不安も大きかったという。
「正直、学校である程度プログラミングは学んでいたものの、学生と社会人のレベル差がどれくらいあるのかわからなくて、『自分の知識でやっていけるのかな……』という不安はありました」
そうした不安を和らげたのが、NDSの研修制度だった。
「外部任せではなく、自社の教育担当の方がビジネスマナーからプログラミングまで丁寧に教えてくれると聞いて、ここなら基礎からしっかり学べそうだと感じました。不安を抱えたまま現場に出るのではなく、土台をつくれる環境だと思えたのが大きかったです」
加えて、選考を通じて感じた社員の雰囲気も、入社を決める後押しとなった。
「面接で会った社員の方たちが話しやすくて、質問にも丁寧に答えてくださって。この人たちと一緒に働きたいな、と思えたことも理由の一つです」
大学時代に知った「動かす」技術のおもしろさと、安心して成長できる環境への期待。その両方を胸に、籔本はNDSでシステムエンジニアとしての進路を定めた。
新人としては異例の挑戦。先進運転支援システム開発の現場へ
そうした思いを胸に、籔本はNDSへ入社。3カ月間の新人研修から、社会人としてのキャリアをスタートさせた。
研修期間は、知識やスキルだけでなく、社会人・エンジニアとしての姿勢を整える時間でもあった。
「研修では、ビジネスマナーに加えて、JavaやSQLといったプログラミングの基礎を学びました。学生時代には触れたことのない内容も多くて、正直大変でしたね。でも、その分、土台をきちんと固めることができたと思います」
研修後の配属では、面接時から希望していた先進運転支援システム開発プロジェクトに参画することが決まった。
面接を担当していた上司の推薦もあり、籔本にとっては思い描いていたキャリアへの第一歩となった。
「配属が決まったと聞いたときは、本当にうれしかったですね。面接のときから『この分野に挑戦したい』と伝えていたので、気持ちが形になった瞬間でした。もちろん不安もありましたが、それ以上に楽しみのほうが大きかったです」
配属後、最初に任されたのは、手作業で行われていたソフトウェアのバージョンチェックを自動化するツールの開発だった。一つひとつは小さな工程ながら、評価作業の効率化に貢献した。
しかし、現場での半年間は、決して順調なものではなかったという。
「研修で学んだ言語とは異なる言語を使っていたので、最初はソースコードを見ても何をしているのか全然わかりませんでした。大学でプログラミングは学んでいましたが、仕事で使われるコードはやはり難易度が高くて。とにかく必死についていく毎日でした」
それでも、上司や先輩に相談しながら少しずつ理解を深め、できることを増やしていった。
入社2年目には、同じプロジェクト内でメイン開発を担うチームへ異動。顧客の要望を分析して設計書を作成したり、完成したソフトウェアを基板に書き込んで動作を確認したりと、より上流かつ責任のある工程を任されるようになった。
「1年目に地道に経験を積んできたからこそ、次の工程に挑戦できたのだと思います。不安はありましたが、それ以上に『自分が開発に関わった車が街を走る』と考えると、ワクワクする気持ちのほうが大きかったですね」
実はこの先進運転支援システム開発プロジェクトは、顧客要望も多く難易度が高いため、それまで新人が配属されることはほとんどなかったという。籔本の1年目の働きぶりが評価され、この年から新人も同プロジェクトに配属されるようになった。
「自分の頑張りが評価され、結果的に新しい仲間が同じプロジェクトに加わるようになったのは、素直にうれしかったです」
こうして1年目から積み重ねてきた経験を土台に、籔本は現在もメイン開発チームで業務に向き合っている。
「自分が関わった車が実際に街を走るようになったら、きっと特別な感慨があると思います。人の安全に関わる分野だからこそ、責任を持って、一つひとつの仕事に取り組んでいきたいですね」
周囲の状況が見えるように。入社4年目、サブリーダーとしての現在地
現在、籔本は先進運転支援システム開発プロジェクトにて、設計とテスト工程を担当している。顧客から提示される要求を読み解き、設計書へと落とし込み、完成したソフトウェアが要件どおりに動作するかを検証している。
「要求仕様書には専門用語も多く、自動車関連の業務知識も欠かせません。プログラミングだけでなく、業務理解も含めて学び続ける必要があると感じています」
入社3年目には、サブリーダー的な立場として後輩4名の育成や作業の進捗管理を任されるようになった。
「人によって理解のスピードやつまずくポイントは違います。自分が1年目のときに苦労した経験を思い出しながら、それぞれに合った伝え方を意識しています」
車が好きな籔本にとって、先進運転支援システムの開発は尽きることのない関心領域だという。
「カメラ映像を使った機能のテストなど、目に見える形で成果を確認できるのがおもしろいですね。テスト項目は多く大変ですが、すべてが想定通りに動いたときは大きな達成感があります」
今後は、設計から実装までをより深く担うエンジニアをめざしている。
「これまでもプログラミングには携わってきましたが、今後は設計内容をより深く理解した上で、自分でコードを書き、システムを完成させるところまで一貫して関わりたいです。設計とプログラミングの両方を経験しながら、技術力を高めていきたいですね」
最後に、これからNDSの仲間となる学生の皆さんへ、籔本はこう語る。
「当社は人当たりの良い社員が多く、研修やOJTも丁寧です。配属後も1年目は先輩がOJTとして付いてくれるので、わからないことがあっても相談しやすく、安心して仕事に取り組めました。
後から聞いた話ですが、私が希望していた分野への配属は、当時は簡単な調整ではなかったそうです。それでも、自分の思いに耳を傾けてもらえたことは、今でも印象に残っています。すぐにかなわなくても、やりたいことは伝え続けてみてほしいですね」
「動かす」ことへの探究心を原動力に、籔本はこれからも車の未来と自身の成長を重ね合わせながら歩みを進めていく。
※ 記載内容は2025年10月時点のものです
