ドイツ生活を通じて培った、多様な価値観との向き合い方
幼少期から、とにかく人と話すことが大好きでした。学校ではクラス委員を、サッカークラブではキャプテンを務め、常に先頭に立って行動することが自分のスタイルでした。常に誰かと話していたので、周囲からは「口から生まれてきたんじゃないか」とよく言われていました(笑)。
サッカーを始めたのは5歳の頃です。もともと運動が得意で、友人に誘われたことがきっかけでした。最初から「プロになりたい」「全国大会に出たい」といった大きな目標があったわけではありません。それでも、プレーしていて楽しかったですし、辞める理由もありませんでした。気が付けば週7日で練習や試合をこなすほど、サッカーにのめり込んでいました。特別な動機がなくても、好きなことには自然と全力になれる。振り返ると、そういった性分だったのだと思います。
人生が大きく動いたのは、中学2年生の夏でした。父の転勤をきっかけに、ドイツへ渡ることになったのです。新しい環境にうまく馴染めるだろうかという不安以上に「楽しみ」という気持ちが強かったです。というのも、サッカーが盛んなことで知られるドイツでプレーできることは、サッカー少年だった自分にとって前向きな出来事でしたし、新しい世界に飛び込む高揚感の方が勝っていました。
ドイツではサッカーのクラブチームに所属し、さまざまなバックグラウンドを持つ仲間たちとともにプレーしました。言語も文化も異なる環境に身を置き、最初はコミュニケーションに戸惑うこともありましたが、チームメイトたちと過ごす中で大切なことに気が付いていきました。それは、誰も他者の生き方や考え方を否定しないということです。「そういう考え方もあるよね」という姿勢が、チームの中では当たり前の文化として根付いていました。
その環境に身を置き続けることで、自分自身も少しずつ変化していることに気が付きました。人の話を聞くとき、反射的に評価したり否定したりするのではなく、「そういった見方もあるか」と一度受け止める習慣が身に付いたのです。考え方に余裕が生まれ、物事をより広い視野で捉えられるようになったと感じています。高校を卒業するまでの数年間をドイツで過ごしたことは、語学力だけでなく、人との関わり方そのものを根本から変えてくれた経験となっています。
その後、帰国して大学へ進学し、サッカースクールのコーチを務めました。プロを目指す小学生や、中学生以上の初心者を対象に指導する中で、相手の立場に立って言葉を選び、伝え方を工夫する大切さを改めて実感しました。また、教える側に回ったことで、サッカーを通じて積み上げてきたコミュニケーション力が、形を変えて活かされていることも実感しました。幼い頃から続けてきたサッカーが、ドイツという異文化の舞台を経て、人と関わる力として自分の中に深く刻まれていったのだと思います。
「カッコいい」社員との出会いが背中を押した、入社までの道のり
就職活動を始めたとき、まず頭に浮かんだのは「カッコいい仕事に就きたい」というシンプルな気持ちでした。漠然とした言葉に聞こえるかもしれませんが、私にとってそれはとても具体的なイメージを伴っていました。学生時代にドイツに在住していた期間があり、そこで日本から渡航してきた駐在員の方々とお会いする機会が何度もありました。国境を越えて活躍するその姿が、当時の私にはとても輝いて見えたのです。「自分もいつか、世界を舞台に仕事をしたい」という気持ちが自然と芽生え、就職活動では商社業界を中心に企業を探していました。
情報収集には就活四季報やSNSを活用しながら、さまざまな企業のことを調べていきました。そんな中、メタルワンのインターンシップに参加する機会を得ました。そこで登壇された社員の方の姿が、私の就職活動における大きなターニングポイントになりました。その方はとても親しみやすい雰囲気で、話の中に笑いを取る場面も多く、場の空気を自然と和ませる方でした。でも、仕事の話になった瞬間に表情が変わり、真剣な眼差しで語られる姿が非常に印象的でした。「まさに自分が思い描いていた商社パーソンだ」と直感したのを今でも覚えています。コミュニケーション能力が高く、それでいて仕事には誇りを持って向き合っている。そのギャップが、私の中で「カッコいい」という言葉にぴったり重なりました。
選考を通じて面接官の方々とお話しする機会も多くありましたが、全員に共通して感じたことがありました。それは、自分の仕事に対する強いこだわりとプライドです。特に印象に残っているのは、ある面接官の方が「自分の取り扱う商材については、誰よりも詳しい自信がある」とおっしゃっていた場面です。その言葉には、単なる自信ではなく、長年その商材と向き合い続けてきた裏付けのようなものが感じられました。こういった姿勢を持つ社員が集まっている会社なのだと知り、ますます入社への気持ちが高まっていきました。
内定をいただいてからも、会社への期待は高まるばかりでした。内定者としてメタルワンが参加するフットサル大会に招いていただく機会があり、そこで社員の皆さんが互いに非常に仲よく接している姿を目の当たりにしました。仕事への熱量が高いだけでなく、職場の雰囲気もとても温かい。「この人たちと一緒に働くのが楽しみだ」という気持ちが、入社前からすでにありました。
入社後は貿易を行う部署に配属され、インストラクターのもとで貿易の基礎を一から学んでいきました。貿易業務とは、海外との輸出入に関わる手続きや書類対応など、国際取引を円滑に進めるための実務全般を指します。座学での知識習得はもちろんのこと、配属からわずか3か月で実際に海外出張へ連れて行っていただき、現地のお客様と直接顔を合わせる経験もさせていただきました。憧れていた「世界を飛び回る仕事」が、想像よりもずっと早く現実のものになったことに驚きと喜びを感じながら、社会人としての第一歩を踏み出しました。
「山口に任せれば大丈夫」と思われる商社パーソンを目指して
現在、私が担当しているのは、主に中南米向けの薄板3品―熱延鋼板、冷延鋼板、表面処理鋼板の輸出業務です。いずれも建材や家電などの素材として幅広く使われる鉄鋼製品で、商談を担当する先輩社員のサポートとして、注文の明細確認や本船の手配といった実務全般を担っています。
私が所属する部署では、大きく分けて2つのビジネスを展開しています。1つ目は「トレーディング」です。具体的には、日本から海外へ、あるいは海外から海外へ、鉄鋼製品を売買する仕事で、現地での国内販売や三国間取引も含まれます。2つ目は「事業投資」です。海外に製造会社や流通会社を保有し、それらを管理・運営していくビジネスです。グローバルに広がるサプライチェーンを動かす仕事に、日々携わっています。
仕事を通じて特に印象に残っているのは、仕入先である鉄鋼メーカーさんから「山口さんは詳しいから、担当すればいいじゃない」と言って頂けた瞬間です。また、販売先である現地のお客様からも「山口さんなら大丈夫」という言葉を頂きました。自分の努力や積み重ねが相手にきちんと伝わったことを実感できた瞬間で、素直に嬉しかったですし、大きなやりがいを感じました。
こうして認めていただけた背景には、特別なスキルがあったわけではなく、素直に、そして一生懸命に目の前の業務をやり続けてきたことが大きかったと思っています。どんな小さな仕事でも手を抜かず、誠実に向き合い続けることが、結果的に周囲からの信頼に繋がったのだと感じています。
一方で、忘れられない失敗もあります。初めて1人で海外出張に行ったときのことです。事前準備が不十分だったために、現地で必要な情報をすべて引き出すことができず、悔しい思いをしました。この経験から、入念な事前準備の大切さを痛感しました。それ以来、海外出張の前には経験豊富な先輩社員の方に積極的に質問をし、現地でのあらゆる質問や依頼にその場で対応できるよう、できる限り準備を整えるようにしています。
入社してから現在に至るまで、自分自身の仕事への向き合い方も大きく変わってきたと感じています。1年目の頃は、業務を「与えてもらう」側でした。しかし2年目、3年目になるにつれて、自分から積極的に業務を取りに行くようになりました。その変化のきっかけの1つが、入社1〜2年目の頃に東南アジア向けブリキ取引の主担当を任せて頂いたことです。ブリキは、缶詰の缶などに使われる薄い錫めっき鋼板です。「自分がやらなければ商売が止まってしまう」というプレッシャーを常に感じる経験を通じて、物事を「自分事」として捉える力が身についたと思っています。
また、今の私が大切にしているのは、「対応できることが増えれば増えるほど、カッコいい」という考え方です。「山口に任せれば大丈夫」と周囲から思ってもらえるような商社パーソンを目指して、これからも日々の業務に取り組んでいきます。
挑戦を重ね、世界で活躍する人材へ
今後の目標は、先ずは「目の前の業務を着実に遂行できるようになること」です。海外営業という仕事は、扱う商材もお客様も多岐にわたり、1つひとつの案件に対して深い知識と素早い対応が求められます。まだ対応できていない領域も多く、まずは担当している業務を1人前として主体的かつ確実に担えることが、今の自分にとっての最優先事項だと感じています。
そのために日頃から意識しているのが、「自分から業務を取りに行く」という姿勢です。成長の機会は待っていては訪れません。誰かにアサインされるのを待つのではなく、自ら手を挙げて仕事を引き受け、扱える業務の幅を少しずつでも広げていきたいと考えています。メタルワンは「手を挙げれば任せてもらえる」会社だと感じています。だからこそ、その恵まれた環境を最大限に活かしたいと思っています。
中長期的な目標は、海外駐在です。ドイツ在住時にお会いした駐在員に対する、言語や文化の壁を越えて仕事に向き合う「カッコいい大人」への憧れが、現在も自分のキャリアの指針となっています。
駐在員になるためには、今以上の実力が必要だと痛感しています。現地に赴任すると、扱う品種が一気に増え、業務量も大幅に増加すると先輩方から聞いています。商材に関する知識量を増やし、業務を進めるスピードを上げることが不可欠です。焦らず、でも着実に、力をつけていくことが今の自分にできる最大の準備だと思っています。
また、将来的には他部署でも様々な経験を積みたいと考えています。視野を広げ、会社全体の動きを肌で知ることは、海外営業という仕事をより深く理解するうえでもプラスになるはずです。ただ、先ずは、現在の仕事を深く掘り下げることに集中したいと思っています。
最後に、就職活動中の学生の皆さんへ伝えたいことがあります。就職活動では情報収集や自己分析など、様々な準備が重視されがちですが、個人的には直感も想像以上に大事だと感じています。もしメタルワンを見て「ビビッと来た」と思ったのなら、ぜひ1歩踏み出してほしいです。私自身、入社してからの毎日は楽しく、やりがいも感じています。そして、今まさに学生生活を送っている方には、入社前の準備や心構えよりも、学生時代を思いきり謳歌してほしいと思います。入社してからのことは、入社してからの自分がなんとかしてくれます。今しかできないことを悔いなく楽しんでください。その経験が、きっと社会人になってからも生きてくると感じています。
