テクノロジーの価値を伝えるプロダクトマーケティングの現場
製品企画本部という組織でクライアントパソコンの プロダクトマーケティングを担当しています。私たちのチームが掲げているビジョンは「難しいことは簡単に、簡単なことはもっと簡単に」です。このビジョンのもと、テクノロジーやさまざまな製品の価値をお客さまにお届けするためのメッセージを、開発、マーケティング、広報などの多くのチームとの連携のもとで紡ぎ出すことが私たちの使命となっています。
私自身の業務としては、プロダクトマーケティング部をマネージャーとしてリードしています。レノボはポケットからクラウドまでさまざまな製品ラインナップを展開していますが、このチームではその中でもとくにクライアントPC、例えばノートブックパソコンであるThinkPadのような製品から会議室で使用するThinkSmartといった特定用途向けの製品まで幅広く担当しています。これらの製品の裏側では、OSや独自のソフトウェアなど多くのテクノロジーが動いています。私の役割は、こうした製品をカテゴリ横断で技術的に地に足の着いた、誠実な、そして継続性のあるメッセージでお客さまに価値をお届けすることです。
同時に、「エバンジェリスト」としての役割も兼務しています。この立場では、お客さまや様々なテクノロジーを使用するユーザーとの対話を重視し、時には市場調査も行います。テクノロジーと企業がどのように向き合っているのかをテーマにリサーチ業務も担当し、その調査結果やお客さまとの対話から得られた知見を、講演などの機会を通じて世の中に還元することも大切な仕事の一つです。
法人向けビジネスから個人のお客さま向けのコンシューマーチャネルまで、両面にまたがったプロダクトマーケティング業務をリードすることで、より幅広い視点からテクノロジーの価値を伝えていくことを心がけています。
ThinkPadへの愛がもたらした予想外の転職
私のキャリアは一貫してIT業界、テクノロジー業界で積み重ねてきました。実は現在のレノボが初めてのハードウェアベンダーで、それまではソフトウェアの世界にいたんです。セキュリティソフトのプロダクトマネージャーなどを担当していて、その仕事にはとても満足していました。
転職のきっかけは、正直に言うと自分でも予想していませんでした。転職を考えていたわけではなく、前職での日々に充実感を感じていたからです。それなのになぜレノボに転職したのか。答えは非常にシンプルで、ThinkPadがとても好きだったからなんです。
学生の頃からずっとThinkPadを愛用していて、入社前から大好きなブランドでした。テクノロジーの分野でキャリアを積み重ねていく中で、自分が心から好きだと思えるものに関わりたいと考えるようになったんです。そんな時に、なぜか今でも理由はわからないのですが、LinkedInを通じてお声がけをいただいて。プロダクトマネージャーとして入職することになりました。
決め手は、ThinkPadという心の底から好きな製品を提供している、その一点でした。ソフトウェア業界からハードウェアベンダーへの転職に、不安や迷いはほとんどありませんでした。実際に働き始めてみると、両者ではビジネスの前提や考え方がかなり違うんだなと感じました。ソフトウェアであればアップデート配信で対応できることも、ハードウェアの場合は物理的なコンポーネントの交換まで考える必要がありますし、ビジネスとしても在庫という要素を常に意識する必要があります。
最初は戸惑う場面もありましたが、そうした違いも含めて新鮮でおもしろいと感じていますし、何より心の底から好きなモノに関われているという実感があります。今は、その環境の中で働けていることに大きなやりがいを感じています。
失敗を糧に成長し続ける日々とマネジメントへの転換
入社後を振り返ると、毎日のように失敗を重ねながら経験を積んでいるというのが正直なところです。とくに後から振り返って「良くなかったな」と感じることが多いのは、プロダクトアウト的な発想になってしまう時や、内向きの発想に陥ってしまう時です。私の業務には製品担当だけでなく、法人向けビジネス全体のメッセージング、例えば役員のコミュニケーション戦略やイベントのキーノート内容なども含まれています。
こうした業務で陥りがちなのが、目的と手段が逆転してしまうことです。例えばAIというキーワードも、本来はあくまで手段であるはずなのに、「AIがすごい」「AIそのものが目的だ」といった形で、いつの間にかテクノロジーを提供すること自体が目的になってしまうことがあります。テクノロジープロバイダーにいると、どうしてもテクノロジーが主語になりがちです。ただ、本来大切なのは、お客さまにとって何が価値になるのかという視点だと思っています。そのうえで、お客さまにとって誠実なメッセージをどう紡いでいくかが、私たちの重要な役割だと考えています。
だからこそ、チームメンバーも含めて、Day 1の気持ちを持ち続けることを心がけています。
具体的には、チームメンバーがアウトプットを出してきた時に必ず2つのことを問いかけるようにしています。1つは「これ、自分で説明できますか?」ということ。私たちが作った情報はさまざまなアウトプットのベースとなるため、自身が自信をもって細部まで説明できないものは人に渡してはダメなんです。作る人と使う人が違う場合に乖離が生じがちで、作りっぱなしは絶対に避けなければなりません。
もう1つは「そのアウトプットを見た時に、これは自分のご家族が理解できますか?」という問いかけです。理解できないなら注釈を入れる必要があるかもしれません。テクノロジーの専門用語ばかりでは、自分の周りにいる普通の人には伝わらない。それを思い浮かべて仕事ができるかというのを、レビューの中で徹底的に洗い出しています。
こうした試行錯誤を重ねる中で、自身の成長も実感するようになりました。とくに大きく変わったと感じるのは、ストレスや時間をコントロールする力です。仕事に正面から向き合いすぎてプレッシャーにつぶされそうになることも多くありますが、そんな時こそ一度冷静になって「結局何をやらなきゃいけないのか、何を成し遂げなきゃいけないのか」に頭を切り替えて、ストレスを自分の中でコントロールしていくようになりました。
とくにマネジメントのロールに変わってからは、「忙しい」が理由にならないことを痛感しています。インパクトのあるプロジェクトに時間を最大限割きながら、既存の業務をどうやって仕組み化して負荷を下げながらアウトプットは向上させていくのか、時間を理由に言い訳をしなくなったのは、小さいかもしれませんがこの10年ほどで成長した部分です。
自走できるチーム作りと採用候補者への想い
短期的な目標として、今最も力を入れているのは、チーム内の各製品担当が自走できる環境を作ることです。そのためには、不要な承認メカニズムを避け、セルフチェック機能を充実させることが重要だと考えています。例えば、ドキュメントレビューの前にAIによるチェックを導入し、言葉遣いや伝わりやすさを事前に確認できる仕組みなどはその一例です。同じ指摘事項を二度目は繰り返さない、そんな学習効果を生み出すことで、メンバーの自立性を高めていきたいです。
中長期的には、自分がいなくても回る組織を作ることが最終目標です。そのために現在進めているのが、ガイドラインの整備です。暗黙知は伝わらないものと同じですから、ベテランの頭の中にある知識を形式知として残し、ルール化することで、誰でもある程度のアウトプットが出せる環境を整えています。人がやらなくていいことは自動化し、本質的な思考の時間を増やす。それが私のめざす仕組みづくりです。
一方で、自分自身のキャリアとしては、愛する製品に直接関わり続けることを大切にしています。製品やテクノロジーと向き合う時間、考える時間をいかに増やしていくか。これは中長期的にバランスを取っていかなければならない重要な要素だと認識しています。
当社は、自走する姿勢を大切にし、挑戦を歓迎する文化があります。 テクノロジーが日々進化する中で、自ら情報感度を高め、やるべきことを見つけて実行できる人が活躍しています。 「やりたい」と手を挙げた人を尊重し、生産性が最も高まる働き方を自ら選べる柔軟さも特徴です。 自助努力を楽しみ、仕組みを自分でつくり上げたいという気概のある方にとって、きっと新しい挑戦の場になるはずです。 少しでも興味を持っていただけたなら、次のステップを考えるきっかけになれば嬉しいです。
