戦略を立てながら交渉を実施。経営への貢献を実感できる知財業務のやりがい
大学は法学部で知的財産法のゼミに所属。大学院に進学して知的財産法を専攻しました。
知的財産法に興味を持ったのは、漫画、ゲームやアニメが好きだったから。苦労して作り上げられた作品が、著作権侵害のせいで不利益を被ることがないよう、作り手の権利を守る側になりたいという想いがありました。
そこからゲーム好きが高じて、デジタルガジェットなどにも興味を持つようになり、そういった製品は無数の特許が使われていることを知りました。それからはとりわけ特許法に関心を持ち、最終的にはメーカーの企業法務人材になりたいという夢を描くようになりました。そしてその夢をかなえ、現在はNECの知的財産部門で働いています。
知的財産部門は、知財活動を通して社会価値の創造に取り組んでいる専門組織です。その中で私は、知的財産に関するライセンス交渉や契約支援などを行う渉外統括部に所属しています。
現在私が主に担当しているのは、ワイヤレスネットワーク事業に関する標準必須特許ライセンス交渉です。標準必須特許とは、標準の規格に準拠した製品やサービスの製造・提供を行うために不可欠な特許のことです。たとえば第5世代移動通信システムである5Gの導入には、標準必須特許が必要になりますが、こういった特許を適正な対価と契約条件にてライセンス取得するように努めています。また、同様にNECが保有する標準必須特許のライセンスを供与することもあります。適正な対価や条件は各当事者によって考え方が異なるので、交渉となります。
他にも事業部門の購買契約や開発請負契約などの知的財産に関する支援を担当しています。契約条件の内容は、契約後に新たな知的財産が生まれた場合の権利の取り扱いや、知的財産権の侵害などでお客様が訴訟提起された場合の責任範囲など。さらに、契約締結後に実際に紛争が起きた場合は、契約条件や実際のビジネスの状況を総合的に判断し、NECとして最適な対応を取る必要があります。
こうして私が取り組んでいる知財業務の最大の目的は、会社の利益を最大化することにあります。製品開発や営業担当者が多大な時間と労力を費やし、製品やサービスを通して創出した利益。それを不当な理由で減少させてしまうことがないよう、法の知識と交渉力で確保することが、私の役割です。学生時代から持っていた、知的財産に関わる分野で権利・利益を守る人材になりたいというイメージ像は、今でも自分の仕事に対する姿勢の根幹になっていると感じています。
特許に関する交渉の結果は、NECグループの経営全体に影響を及ぼす可能性もあるため、責任の大きな仕事です。そうした重圧を乗り越え、最終的にめざした結果を達成し、事業部門から感謝の言葉を受けること。そして、結果のために重ねた努力が数値などで表れ、経営に大きく貢献できたと実感できること。それが知財業務のやりがいにつながっています。
米国特許訴訟対応を経て、特許ライセンス交渉・契約業務へシフト。知財渉外のオールラウンダーとしてさらなる成長をめざして
入社直後は、知財渉外業務を幅広く経験しながら、主に米国での特許侵害訴訟対応を担当しました。
米国では、事業を持たない者が特許権を行使して多額の賠償金や和解金を得ようとする、いわゆるパテント・トロールによる訴訟が多く発生しており、海外に事業を展開するNECも度々その標的になります。米国の訴訟手続きには非常に多額の費用が必要とされ、また、費用以外にも被疑侵害製品の開発担当者などの工数も生じることになり、通常の業務を並行して行っている担当者にとっては大きな負担になります。
そのため、訴訟の間はなるべく社内関係者に負担をかけないよう考慮してスケジュールを設定しつつ、訴訟手続きで決められた期間内で確実に必要な対応を遂行しなければなりません。また、それと同時に、訴訟外での交渉も進める必要があります。こうした訴訟に関連するあらゆるコストを、最小限に抑えるための役割を担いました。
訴訟業務の経験は5年ほどでしたが、そこでプロジェクトマネジメントやコスト意識が身につき、知財部門が果たすべき役割への理解も深まりました。また、交渉の現場も経験し、自身も交渉担当者として活躍したいというイメージをはっきり持てるようになりました。
若手のころからそういった現場を多く経験できたことで、これからの自分に必要なスキルなどが明確なり、その次の一歩として、メインの担当を特許ライセンス交渉と契約業務へとシフトすることにしました。交渉力を高めるには、さらに交渉の現場を多く経験し、それに合わせて契約に関する知識やスキルを磨く必要があると考えたからです。面談の際に上司にその想いを伝え、希望をかなえてもらいました。
それからさらに約4年が経過し、現在では、規模の大きな案件を担当させてもらえる機会も増えました。これまでは上司の意見を求めることが多かった場面でも、培った経験に基づき、自分から交渉戦略や契約条件の提案ができるようになり、最適解をチームで議論できていると感じます。
交渉に必要な情報を収集するため、事業部門との丁寧なコミュニケーションを意識
入社して約9年の間に、さまざまな知財業務を担当してきました。その中でもとくに成長につながったと感じるのが、特許ライセンス契約監査への対応です。契約に関連する製品の数だけ関係事業部門も増えるため、10部門を超える大規模な案件となり、事業部門との関係構築においても学びの多い経験となりました。当社が契約を適切に履行していることを証明するため、すべての事業部門とコンセンサスを取った上で対応を行っていきました。
その過程において、監査・交渉対応の戦略を自分で立案し、裁量を持って納得のいく提案ができたこと。そうして主体的にライセンス監査に対応できたことが、知財担当として大きな成長につながったと感じています。
この経験を通じてもう一つ自信になったのが、事業部門とのコミュニケーションの取り方です。監査対応を確実に遂行するためには、必要な情報をいかに漏れなく収集できるかが重要であり、そのためには事業部門の協力が不可欠となります。
手間のかかる調査にも快く協力してもらうには、普段から積極的にコミュニケーションを取り、良好な関係性を構築しておくことが大切であると感じました。同じ社員として会社の利益を最大化するという共通の目的のために、監査対応の必要性を丁寧に説明し理解してもらうこと。そして協力してもらったことに対して、感謝の気持ちを必ず伝えることを、常に意識してきました。
そうした積み重ねを続けた結果、情報提供の依頼に対して阿吽の呼吸のように答えてもらえることが増え、深い協力関係を築くことができたと感じています。他案件においても、交渉を成功させるために、事業部門との丁寧なコミュニケーションをいつも心がけています。
やりたい仕事が実現できる環境を活かして。交渉力を磨く案件に挑戦していきたい
今後は交渉力をさらに磨き、自らロジックの構築から合意形成まで主導できるようになることが目標です。そのためには経験を通じて知見を培うことが何より大切なので、交渉力が試される案件に自ら手を挙げて挑戦していきたいと考えています。
そして実践から学ぶことに加え、さまざまな研修にも進んで参加し、知識を習得していきたいと思います。知的財産部門では、入社時の部門内研修が充実しているほかに、自分で興味のある社外セミナーを探して参加することが可能です。周囲も参加に対する理解があり、自分に必要な知識を身につけることができます。こうした自己研鑽へのサポート体制も、NECの魅力の一つだと感じます。
NECに入社して間もなく10年目を迎えますが、働く中で感じるのは主体性を尊重してくれる会社だということ。自分がやりたい仕事をアピールすると、その実現を支援してくれるだけでなく、若手が新しいことに挑戦できる機会をどんどんオファーしてくれます。
また、社歴や年齢に関係なく意見が言いやすい風土があることも魅力です。担当業務について自分から積極的に提案し、フィードバックをもらいながら着実にステップアップすることができました。
こうした組織カルチャーのため、指示を待つのではなく、主体性のある方が活躍できると思います。そして知財業務に必要な知識を習得することはもちろん、自社製品について学ぶ姿勢も大切です。知財に関する契約や交渉を行うには、法律の知見だけでなく、製品に対する技術的な理解が欠かせないからです。
どういう技術で特許を取得しているのか、それはどういう機能に使われているのか──製品について十分に理解できていなければ、交渉を有利に進めることはできません。専門外の内容に当初は理解するのにとても苦労しましたが、わからないことは根気よく周囲のメンバーに聞き、教えてもらいながら知識を習得してきました。
そういうときも、質問に快く応じて助けてくれる仲間ばかりです。仲間とのコミュニケーションを大切にしながら、自らキャリアを切り開き、挑戦を続けていきたい──そんな方には最適な環境だと思います。
※ 記載内容は2024年3月時点のものです
