2名のPMによる、ギックスとの出会いとプロジェクトマネジメント観
──まずはお二人のご経歴から教えてください。
矢部:私は2005年に新卒で入社したリクルート時代のファーストキャリアが、今でいう「PM」でした。学生時代はシステム工学専攻だったので、プログラムの書き方やシステムの作り方をわかっていたことも、業務経験なしでPMを担当することになった理由の1つかもしれません。そして2007年に上海に赴任した際に、今でいう「PdM(プロダクトマネージャー)」を担当しました。今ではサービスは終了してしまいましたが、中国版のゼクシィやホットペッパーなどのサイトを中国人エンジニアと開発しました。
一般的にプロダクトを開発するためのプロセスは、ビジネス要件をまず決めてからシステムの要件定義をするという順序になると思います。さらに細かくすればビジネス要件定義、概要設計、詳細設計とすることができるのですが、私の場合はビジネス要件の確定だけではなく、管掌範囲を広げて自分で概要設計までをやっていました。
中国現地法人の予算は限られていたので、時には詳細設計のレビューまで担当して、最後のコーディングだけを担当してもらうような部分もありました。プロジェクトの最後の最後では本当に人がどうしても足りなくて、コードを自分で読んで修正するなど、手を動かす機会もありましたね。
加藤:私は学生時代や前職では分析・システム構築にあまり縁がありませんでした。データやシステム開発のプロジェクトに携わるようになったのはギックスに来てからですね。2016年の入社当初は、コンサルティングに用いるデータの分析を行うデータアナリストとして働いていましたが、クライアントのデータ基盤開発プロジェクトにアサインされ、システム開発に携わるようになりました。1〜2年ほど開発担当として手を動かす時期を経て、プロジェクト全体を進めるPMとしての役割を持つようになったのが現在です。
※ 参考:ギックスのプロジェクトマネージャーの魅力とは? 未経験から案件推進を担うまでの軌跡(2023/11/22)
──ありがとうございます。矢部さんとギックスが関わり始めたきっかけはなんだったのでしょうか?
矢部:とある企業様がお客様に提供するアプリを作る案件で外部PMとしてお仕事をさせてもらったのが始まりです。関わって感じたことは、当時のギックスって「アプリを作って終わり」という案件が多いな、ということ。
一般的に開発会社が商用サービスを作る時、リリース後はお客様が利用するフェーズまでお付き合いした場合には運用保守と改善がセットになります。しかし当時のギックスでは、技術検証やビジネスコンセプトの検証までを範囲とすることが多く、開発チームがリリース後の運用保守を視野に入れた体制になっていなかったんです。
「運用保守」はシステムのお守りという言い方をされますが、開発企業にとってはお客様との接点を維持するだけではなく、売上の観点からも重要な要素となります。なのに、ギックスではその部分がビジネスとして取れていなかった。商用サービスを作ってきた私の知見を使えば、ギックスに足りないピースを埋められるかなと入社しました。
一方で開発企業の観点からすると、運用保守の業務はジュニアメンバーの育成にも有効です。エンジニアは常に勉強していないと技術力が伸びないので、若いうちは月160時間の労働時間のうち7割くらいは仕事、3割は勉強してね、みたいな気持ちが個人的にはあります。運用業務として価値を提供しながら、同時に問題対応をしながら技術の勉強をするということは開発会社としては1つの育成サイクルとして重要だと思っています。
ただ現実的には、PoCなどの短期間での開発プロジェクトが連続すると業務負荷が大きくなりすぎる時があって、勉強時間を継続的に取れないことがあるんですよね。なので、私は運用保守を含めたトータルの提案をして、その部分を伸ばすことを明確に担っているという感じですね。
案件と「一緒に成長してきた」PMとしての仕事の魅力
──複数の役割を経てきた加藤さんが考える、ギックスのPMのおもしろさを教えてください。
加藤:“伸びている”ということを感じながら仕事ができているのは、恵まれているかなと思います。自分も、チームメンバーも、クライアントも、ギックスも、みんなが変わっていく、成長していくというのはおもしろいなと。とくにクライアントの役に立てるというインパクトが大きいというのは確実にあって、リリースしてからシステムの使い方が上手になっていくとか、改善するためにいろいろやりたいとか、「すごく良くなりました」という声をいただくこともありますし。
たとえば、アサヒグループ様のシステム業務アプリ……つまり営業員さんがスーパーなど量販店の棚割りを競合他社さんと取り合うという世界観なのですが、その時に営業用のいろいろな情報を調べて量販店に提案するというのを助けるツールがあります。これを1年は開発、もう1年は改善進化させてと、2年ほどかけて作ったのですが、これは結構喜んでいただけて。いまだにいろいろなご要望をいただきながら、継続して運用保守しています。
※ 参考:[ギックス顧客インタビュー]アサヒプロマネジメント株式会社 清水博様|アサヒグループ量販営業業務改革プロジェクト(2019/07/08)
──いくつかのプロジェクトの運用保守もしながら、さらに他の企業様の開発案件も担当しているんですよね。
加藤:そうですね、この10月から本格アサインされた規模の大きいプロジェクトもあります。チーム全体として20名程度で進行していて、それだけ人がいれば当然調整事も大変ですが、みんなが迷わず全速力で走れることを心がけています。
クライアントとのやり取りの中で「開発を止めて見直したほうが良いかも」ということもあるんですが、なるべく手を止めざるを得ない状況に陥ることがないように、単にお客様の指示に従うだけのスタンスにならずに、クライアントも含めて1つのチームでやっていく、ということを意識してマネジメントしています。
他社では“血を吐くような失敗”も、ギックスなら怒られない
──矢部さんには社内外でのご経験も踏まえて、ギックスのPMの特徴を聞かせてもらえますか?
矢部:ギックスの何が一番売りかというと、本当に失敗しても怒られないです。多くの会社では商業運用中のシステムに付随した開発が多いんですよね。基幹系のシステムはもちろん、業務で活用している情報系とか「まさに今動いている」ものなので、動かなくなるとめちゃくちゃ怒られる。
反面、ギックスでは新しいものを作ることが多いので、ゼロイチのものとか機動性が求められるものは“失敗しても仕方ないな”と許してもらえることが多い。他社では許されないレベルの失敗でも、真摯にチャレンジしたが故のことであればある程度は許される土壌があるなと感じています。
システムの例で挙げれば、たとえば銀行のATMとかECサイトなどは、止まると大きな損害が生まれますよね。一方で、ギックスでは比較的柔軟な対応が許容されるプロジェクトが多く、挑戦的な業務領域に取り組むことができます。
加藤:確かに、真面目にやった結果の失敗であれば頭ごなしに怒られることはないですね。ジュニアの頃にそこそこ大きな金額を無駄にしてしまいましたが、まだ生きていますから。上場前で若手だったから許されたんだと思いますが、この記録、まだ社内で破られていない。
矢部:本当に度胸があるなと思うんですが、経験が多くないメンバーをよくアサインするなと思って見ています。私が過去に在籍していた大企業ではいろんな人が怖がって絶対できないような、チャレンジングなアサインもします。良い表現をすると「経験がなくても任せる風土がある」となると思うんですが、他社では許されない失敗をしても怒られないから大丈夫なんです。「許す風土」と「挑戦の背中を押す文化」がセットなんですよ。
それが実現できるのは経営陣も含めた上司のコミットメントが強くて、失敗をカバーしてくれるという面が大きく影響しています。
他社……たとえば大手外資系だと責任問題になってしまうので、リスクはたらい回しになってしまうことがあります。炎上しそうな案件があると「俺のせいじゃない」って爆弾をみんなで投げ合うんですが、ギックスはちゃんと上司たちで「なんとかしよう」とやってくれます。創業者たちがまだ現役なので、「若手に任せた俺らが悪いんだから」とやってくれているので、とくに若手にとっては良い会社なんじゃないかと思います。
「物事を前に進める」ことで、「クライアントの満足」を創る
──ギックスのPMのキャリアの可能性についても教えてください。
矢部:今はTechPMの方が、将来的にはビジネスプロデューサーにチャレンジしたい、という希望はウェルカムです。ギックスはシステム開発プロジェクトでもデータ分析が関連するので、TechPMもクエリやSQLの理解が必要になるというハードルはあります。一方で他社と比べてTechとビジネスが近い領域で勝負しているので、チャレンジしたいというTechPMの方には良い環境ですね。
またギックスの特徴として「顧客常駐PMOやPM業務はない」ことを強く言いたいです。クライアントの社内に常駐するとPMOって何でも屋さんなので、「ちょっとこれも手伝って」みたいな業務が多くなるんです。会社としてみれば、常駐している時間あたりで報酬を受け取るため売上は上がるんですが、常駐している本人としては「ギックスに入ったはずなのに、なぜ別の会社にいるのだろうか」みたいな気持ちになるんですね。私個人の志向もあって、本人のためにならないので常駐PMOはやらないと決めているんです。
そういうわけで、たとえば総合コンサルティングファームで3年くらいPMOをやるよりも、「作ることで価値を出すことできる」現場に近いところで勝負しているギックスでは、PMとしての能力と市場価値を上げることができるとお伝えしたいですね。ギックスにご依頼いただくプロジェクトは「ゴールを決めてバリューを出してね」という仕事の仕方なので、専門性はつきやすいと思います。
※参考:プロジェクトマネージャーを超える役割。DI変革Divisionが求めるビジネスプロデューサーとは(2024/12/27)
──TechPM向き、ビジネスプロデューサー向き、という適性や性格のようなものはありますか?
矢部:TechPMはHow、つまり具体的な技術知識が求められます。このクラウドがどう動くか、このツールをどう使うかといった技術面を理解していないと、チームの成果物を的確にレビューすることが難しいからです。ビジネスプロデューサーはHowではなくWhatを考えるので、“クライアントに何を作ったら良いか”をイメージする。
料理人でいえば、「これを作って」と言われた時にうまいものが作れるのがTechPM、お客様にどの料理を作ったら喜ばれるかを考えるのがビジネスプロデューサーという感じです。自分で考えて自分で作れる──WhatとHowが両方できると最強ですね。クラウド時代になってHowがどんどん進化してしまうので難易度はすごく高いですが。
加藤:実際、ギックスでもTechPMとビジネスプロデューサーが連携して、データ分析して施策を考えて、それを実現するというのをやっていますね。
矢部:役職が上がってくると、ある程度オールマイティになります。どちらかからスタートして、経験を積むにつれて領域が広がってくる。データを分析するだけだったら、多分生成AIにやってもらえば良いよねって時代が来て、10年くらいですごくハイレベルな領域を除くとその仕事はなくなると思うんです。ただデータからバリューを出すのは人間のやることなので、ギックスではその“バリューを出す”ことに重きを置いていますね。ギックスで鍛えられることで、データを使ったビジネスのプロフェッショナルになれると思います。
──最後に、ギックスのTechPMをどんな方にオススメしたいか、聞かせてもらえますか?
矢部:一般的にPMって「人を束ねる」仕事なので、どうしても生き方をあまり選べないんです。出張に行かないといけないとか、クライアントの近くにいなきゃいけないとか、仕事と生き方が密接してしまう感じなんですよね。さらに大企業であれば朝会がありますとか、スーツを着てきましょうとか、海外とオフショアをやったりしたら、夜中にミーティングをやらないと、とか、そういう縛りが多い。
ギックスはそういう意味で言うと、非同期のコミュニケーションが発達しているので、たとえば地方でも働けます。人間らしい生き方をしながらPMをできるというのは良いと思うんですよね。さらに、繰り返しになりますが失敗に対する許容度が高いので、ジュニアメンバーにも挑戦の機会が与えられ、幅広い層が働き続けられる環境が整っています。価値を出してくれればなんでも良いので、無駄な社内調整もありません。
QCDを守ることはプロとしてのお約束なので当たり前として、私のPMとしてのモットーは「労働時間を最小に、価値を最大に」です。そしてその実現のために求められるPM個人の価値は「物事を前に進める」ということだと考えています。いろいろな理由で進まなくなるのがプロジェクトなので、その中で決断をし続けて前に進めることができるか。それができれば無駄な仕事がなくなり、みんな労働時間が短くなる。止まっている時間が長いと、人間は余計なことをするので。そこがPMの腕の見せ所です。
加藤:本当に、大企業的なしがらみがないので、変な気を遣わずに仕事ができると思いますよ。経営者と距離が近いのも魅力ですし、ビジネス的にも懇親的にも必要な経費は惜しまずに投資してくれる。副業もできますし、見合った対価をもらえていると感じるので居心地が良いですね。
上昇志向が強い人も多いですが、あまりこだわりが強すぎない人がPMに向いていると思います。データ分析が大好きで自分の力で分析作業をガンガンやりたいとか、クラウドサービスを触って最新技術を駆使した格好いいアーキテクチャを構築したいとか、そういう気持ちが強すぎる人はPMにはあまり向いていないと思っていて。
分析もシステムも両方興味はあるけれど、1つのことを突き詰めるよりもバランスを取りながら全体を広く学んでいきたいという気持ちが強い人のほうが、少なくともギックスのTechPMにおいては向いているんだろうなと思います。
結局、クライアントが喜んでくれることが一番の目標なので。「自分はこういうすごいことをやった」とか自分のすごさをアピールするよりも、クライアントの満足を重視できる人。「もっと時間があれば綺麗に作れた」とかあると思うんですが、それをスパッと線を引いて「クライアントが満足しているから良かった」と、そういうメンタリティーのほうが良いと思っています。
※ 記載内容は2025年1月時点のものです
