仕事は難しくても良い。全うなことに愚直に向き合い続けたい。今へ通じる仕事観の原点
理系大学院で農業工学を専攻した横山は、周囲と同じように大手メーカーへ就職した。しかし、社会人1年目は想像とはかけ離れた日々だった。
「今、思うと自分若かったなと思う所もたくさんあって恥ずかしいのですが、配属された部署は、慣習や伝統を重んじる雰囲気が強くて、今までこうだったから~という背景で進む仕事が多いなと感じていました。ただ、社会人ってこんなもんやで、と先輩に言われた時に、正直『自分には耐えられないかもしれない』と思いました」
技術系の仕事への手応えも感じられず、レガシーな組織の中でキャリアが見えなくなっていた横山が転職活動を始めたのは、入社からわずか1年が経った頃だった。
「何をやりたいかより、どういう価値観の会社で働きたいかを軸に探していました。 仕事自体の難易度はどれだけ高くても良い。自分の仕事に嘘をつかず、お客さまのために真っ当に頑張る人が正当に報われる環境で働きたい。そういう会社じゃないと自分はダメだなと思っていて。 タイズのホームページに書かれていたメッセージを見た瞬間に、ここだ、と直感したんですよね」
最終面接で創業者の広岡と向き合い、 嘘偽りなく、誠実に仕事と向き合いたいという信念を打ち明けた。その時の言葉が、横山の背中を押した。
「『その考えが本物なら絶対に結果が出る。約束する』と言い切られて衝撃を受けました。めちゃくちゃ難しいぞとも言われましたが、ここまで言い切る人は初めてで。 この人を信じてみようと覚悟を決め、翌朝一番に内定承諾の返事を出したのを今でもよく覚えています」
マニュアルに頼らない育成の思想。「補助線」と「余白」が人を育てる
入社後のコンサルタント時代、横山は圧倒的な密度で現場を経験した。数名のベンチャー企業から従業員5,000名以上の大手まで、あらゆる規模の企業の採用支援を担当し、すべてで決定を出せた。その経験が、現在の育成設計の土台になっている。
「僕自身は大変さを覚悟して入ったのでギャップはなかったですが、当時のタイズって人が多く辞める時期もあって、当時は当時なりに、育成の仕組みは十分ではないのかな?とチラッと感じていました。実際、『こんなにしんどいと思っていなかった』と退職する人もいたのは事実です。今から4年ほど前になりますかね。当時は会社の採用担当が実質不在という状況だったので、自分のコンサルタントの経験を活かすことで、会社にも貢献できるし、これからタイズに入ってくる人達に、自分が経験した大変さや苦労を少しでも減らせたらという思いもあり、人事に異動しました」
横山がたどり着いた育成の思想は、マニュアル通りに人をはめるシステマチックなアプローチとは真逆だ。
「人材紹介は企業・求職者さまごとにニーズが異なるため、絶対的なマニュアルが存在しない仕事です。お客さまに合わせた価値提供をするには、自分の頭で考える余白を残しておかないといけない。だから、型を作り込みすぎないし、社員同士が気軽にコミュニケーションを取りながら、切磋琢磨し合いながら学び成長する文化を作る方が、中長期的な育成にはよほど大切だと思っています」
ただし、完全に放り出すわけではない。入社後の最初の3〜6カ月は、誰もがぶつかる共通の壁を乗り越えるための「補助線」を用意している。
「最初の半年は、共通カリキュラムと、スキルを可視化するタイズ独自の仕組みで、土台を固める補助線を引いています。何がわからないかが、わからない状態で始まると思うので、最初はレールを敷いた方が本人も成長しやすいと考えています。ただ、基礎が固まってからは、決まったオペレーションで雁字搦めにするわけではなく、その人の強みや個性、レベルに合わせた成長に切り替える、という考えも大事にしています。タイズには「自由と責任」という価値観があり、その中で”できる人にルールを合わせる”という考えがあります。仕組みで固めるのは、できるようになった人からすると窮屈だと思うんですよね。また、お客さまに喜んでいただくということを考えたときにも、個人ごとの余白をこの人材紹介という仕事では残していたほうが良いと考えています」
さらに横山が力を入れているのが、組織全体の「目線を下げない」仕組みだ。
「若手が増えると、どうしても組織の力学が若手育成の方に向きすぎて、最前線のレベルが下がるリスクがある。だから実務の腕を極めるための研究をする場とか、トップレベルの仕事にスポットライトを当てる仕組みも同時に動かしています。
メーカーでいう基礎研究みたいなものです。短期で業績に直結するかわからなくても、これをサボるとタイズ自体の技術力がじわじわ下がっていく。入り口の再現性と終わりのない出口、両方の水準を上げ続けることが、タイズの育成の核心だと思っています」
本気の顧客に鍛えられる本質的な課題解決力
「メーカー特化だとキャリアの幅が狭まるのでは」という不安を、横山は自身の経験から真正面に否定する。
「大事なのは、どれだけ広い領域をやったかじゃなくて、どういう質の経験を積めたか、という話だと思っています。 全領域やりますってなると、どうしても表面的なヒアリングに終始して、積める経験の深さが分散してしまうこともあるかなと。特定の領域を深く突き詰めるからこそ、本当の意味で一社一社に入り込んで、普通の人材紹介では得られないような経験が積めるんです。例えば、採用の代行業務や採用以外の領域についてもお客様から相談をいただいて、解決に向かって動いたりなど。まさしく人事部のパートナーのような経験ですね」
製造業という領域を選ぶ意味について、横山はこう語る。
「タイズのお客さまは、ものづくりや採用に対して本当に真剣に向き合っています。そういうお客さまを相手に仕事をするから、小手先のテクニックや表面的な提案は一切通用しない。本質的な提案をし続け、結果にコミットし続けないと信頼を積み上げていけないからこそ、力がつくんです。自分がコンサルタントをやっていた時も、本気のお客様に鍛えられたなという感覚が正直あって。向き合うお客さまが誰かという事の方が、領域の広さよりよっぽど大事だと思っています」
お互いが真剣勝負だからこそ、ビジネスパーソンとしての足腰は極限まで磨かれる。その経験が、どこでも通用する力に変わっていくと横山は確信している。
「製造業への深い理解と、法人・個人の双方に向き合うコンサルタントの経験は、業界の枠を超えてどこに行っても通用するポータブルスキルになります。
独立してHR(人事)関連の仕事をしている人、事業開発やマーケティングに異動した人——タイズ出身者のキャリアは本当に多様で、それがこの経験の汎用性を証明していると思っています」
進化し続ける会社で、その人らしく市場価値を上げていく
拡大フェーズにあるタイズでは、一人ひとりの役割が変化し続けている。横山自身がその変化の中にいる一人だ。
「3年前と比べると、多くの社員の役割が変わっています。マネジメントの道に進む人はもちろん、新しい拠点立ち上げに挑戦する人、新規マーケットを開拓・立ち上げする人も出てきています。新しいグループ会社や拠点も増えていくかもしれないし、機会は本当にたくさんある。組織が進化していくということは、その中にいる人も変化していくということだから」
2030年に向けてさらなる拠点拡大や新領域への挑戦を視野に入れているタイズ。横山が人事責任者として大切にしているのは、その変化を「その人らしく」乗りこなしてほしいという思いだ。
「補助線は用意するけど、最後は自分次第。そのメンバーの個性や強みを生かしながら成長していくのが、タイズの育成の考え方です。その根底には、人をあるがままに受け入れ、とらえるという心理学的経営の考え方があります。ビジネスパーソンとして足腰を鍛えることはもちろん大事だけど、気持ちよく働きながら、お客さまに喜んでもらいながら、自分の市場価値も上がっていく。そういう豊かさを全員に叶えてほしいというのが、自分が人事として一番やりたいことです」
コンサルタントとして苦労した経験も、人事として試行錯誤してきた経験も、すべて「未来の仲間のために」という思いに変わってきた。
「タイズでの仕事を振り返った時に、力不足で悔しかったことはあっても、後ろめたいことはしなかったなと思ってもらえる会社にしたい。お客さまの方を向いて、真っ当に頑張った時期やったなと思える。そして、常に新しい目標に向き合い続けて、成果にこだわる。それを一緒に体現してくれる人と、ここで働きたいと思っています」
※記載内容は2026年6月時点のものです
