ワンポイントから1イニングへ。投げっぷりの良さで切り開く新たなステージ
ポジションはピッチャーです。チームでの役割としては、昨年はワンポイントの場面で出場することが多かったのですが、今年はそうしたワンポイントの厳しい場面はもちろん、1イニングをしっかり投げられるようにをやっていきたいと思っています。
自分の強みとしては、投げっぷりと気持ちの部分かなと思います。ストレートを左打者対してもしっかりとインコースに投げきれます。決め球は、スライダーと落ちるボールです。
今オフに腕の位置を上げる決断をしたので、フォームを固定させることと、身体のキレを高めるためのトレーニングに重点的に取り組んできました。
腕の位置については、1年目で下げてから1年半取り組んできましたが、ストレートがどうしてもしっくりこない部分があって…!「直球あっての変化球」だと思っている中で、ストレートがしっくりきてないまま変化球を投げ続けるのはどうなのかなという思いがありました。
そこで腕の位置を上げて、自分の中で感覚がしっくりくる位置で投げた方がいいんじゃないかと思うようになり、腕を上げるフォームに修正しています。
春季キャンプでは、そのストレートでファールを打たせることができていて、腕を上げたことで去年よりも良くなっているんじゃないかな、と手応えは掴んでいます。
春季キャンプは、昨年同様に良い雰囲気でできているかなと思います。桑田真澄CBOに直接指導いただくことも多いのですが、アドバイスの通りに試してみるとしっくりくることも多く、的確なアドバイスを頂けているなと、本当に感謝しています。
また、大学の2個下の後輩の小園くん(小園修矢選手)も入団して、分からないことがあれば色々と聞いてくれたりと、コミュニケーションはよく取れています。
ちなみに小園くんの大学時代は、怪我が多かったけれど、足の速さを買われて試合にも出ていたイメージで、監督の期待が大きい選手だったという印象がありますね。
"怪我の功名"で成長した高校時代。そして掴んだ甲子園の舞台
元々、幼稚園時代はサッカーに夢中な子供だったのですが、元ロッテの関谷亮太選手のお父さんが少年野球チームの監督をされていて、その縁で「野球やってみないか」との誘いを受け、練習に行ったのが始まりです。
友達と一緒にやったTボールで自分だけボールに当たった感覚が嬉しくて、それで野球やりたいと思うようになりましたね。小学生の頃は父親と毎日のようにシャトルでバッティング練習をして、野球漬けの日々でした。
負けず嫌いで泣き虫だったけど、切り替えは早い子供だったと思います。
中学2年生くらいからは、ピッチャーに専念しました。元プロ野球選手の方にコーチとして教えていただいて、投球術など様々なことを学べた時期でした。
ただ、桐蔭学園高校に入ってすぐに「腰椎分離症」になってしまって、最初の1年間はまったく野球ができませんでした。しかし、その期間を使って身体の柔軟性を高めたり、線が細かったので体重を増やしたり、身体のことについて勉強したんです。すると、2年生の夏前に治って試合で投げた時に、以前とは全く違う感覚で次々と打者を抑えられるようになっていました。コントロールもとても良くなって、自分でも驚いたのを覚えています。
他に高校野球生活で印象的だったのは、2年秋の関東大会です。
初戦が常総学院高校という優勝候補との対戦で、試合前は勝てるイメージを持てませんでした。しかし、実際に投げてみると、無失点に抑えることができ、当時チームメイトだった森敬斗選手(現 DeNA)が最後にサヨナラ打を放ってくれて、奇跡的に勝つ事ができました。そこから個人もチームも波に乗って優勝し、3年生の春に甲子園に出場する事ができました。あの試合は、野球生活における大きな自信に繋がりましたね。
大学では、1年生の時にコロナの影響で全体練習がなかなかできなくて、ひたすら自主練習に明け暮れました。ただ結果的に、その練習が実を結び、球速は高校時代のMAX137キロから、大学2年の夏には144キロまで伸びたんです。そして、2年生の春からはメンバー入りをする事ができました。
リリーフに転向したのも大学からです。大学の同級生に、後に楽天からドラフト1位指名を受けるエース・古謝樹選手、2番手に好投手の山崎駿選手がいて、先発の2枠が埋まっていたこともあり、自分はリリーフ投手という役割に回りました。
※基本的に大学野球は土日が試合で、先発投手は2枠で考えられることが多い
ただ、2年の秋は調子が良かったものの、3年の後半からずっと感覚的にしっくりこない時期が続いて…。投手として新たな自分を見つける必要性を感じたタイミングでした。状態が悪いわけではないが、なんだか成長している感覚が得られず、次のステップを見据える中で、自身の伸び悩みを感じていました。
大学1年生くらいの時は、「良い社会人チームに入って野球ができたら」という考えだったのですが、大学の先輩である菊地さん(菊地大稀選手。現 日本ハム)がプロ入りしたり、同期の古謝にスカウトの方から声がかかるのを見て、自分も頑張ればプロ野球選手になれるかもしれないという思いが日に日に強くなっていきました。
サイドスローへの転向と復帰戦の勝利がもたらした自信
大学4年生の時に、野間口さん(野間口貴彦チームディレクター。当時はチーム強化アドバイザー兼投手コーチ)が大学に来てくださり、「オイシックスに入団しないか」というお話をしてくださりました。
当時の自分は「プロ(=ドラフト指名待ち)一本」で頑張りたいと思っていたのですが、「ドラフトでダメだった時に、オイシックスがあると思える事で今頑張れるんじゃないか」という話もしていただき、すごくありがたいお話だなと思い、お受けしました。
実は、当時社会人チームからのオファーもいただいていましたが、自分の目標であるNPB入りを実現するには、NPBの舞台で自分の実力を試すことができるオイシックスだな、と思い、指名漏れをした際には入団させていただきたい、と心に決めました。
結局、ドラフト指名をもらうことはできませんでしたが、オイシックスに入ってさらに成長できれば、まだ年齢も若いので、まだまだチャンスはあるのでは?と、当時はポジティブに捉えていましたね。
サイドスローに変えたのは、1年目(2024年)の6月に戸田球場でのヤクルトスワローズ戦に遠征していた時でした。野間口さんから「NPB入りを目指す上で、特徴や個性のある投手になるべく取り組んでみては?」と言われたんです。最初は自分の中でも色々と迷う部分がありました。どうすればいいのか悩んで、勝さん(武田勝監督。当時は投手コーチ)にも相談したのですが、勝さん自身もシダックス(当時在籍した社会人チーム)時代に、アンダースローに挑戦していた時期があるということ、そしてその時に下半身の使い方を覚えて、それがその後のプロの世界でも活きた、という風に仰っていたことで、背中を押されてやってみることにしました。
実は、1年目の時には開幕から高頻度に登板させてもらっていて、自分の感覚的にも悪くなかったんです。5月中旬の時点で、25試合くらいに登板して、チームでもトップの登板数でした。ただ、毎日試合をすることに慣れていなかったのもあり、疲労を感じていたタイミングでもあり、そのタイミングでのサイドスローへの転向となりました。
そこから約2ヶ月近くは、試合では投げずに徹底的に新たなフォームを固める期間があって、本当にうまくいくのか不安な気持ちもありましたが、8月の終わりくらいの試合で初めて投げることができ、その試合で抑えられたことはすごく自信になりました。
その試合は、自分がゼロに抑えた後に味方が6、7点も援護点を取ってくれて、勝利投手にもなれた試合でした。自分の中では、復帰戦のような気持ちで臨んだ試合だったので、そのご褒美かのように勝ちもついてくれて、すごく印象に残っている試合です。
そこからシーズン終盤にかけて8試合くらい投げる事ができて、昨年の2年目のシーズンにも繋がる良い終わり方だったかなと思います。
昨年は、ランナーを背負ったピンチの場面や、左の強打者が出てきた際などのワンポイントで登板する場面がほとんどだったのですが、ストライクゾーンの"横の幅"を使ったピッチングを意識してマウンドに上がってました。元々、スライダーはあまり得意な球種ではなかったのですが、フォームをサイドスローに転向したことで、自信を持って投げれる球種へと進化しました。
時にカウント球としても使えたり、打者を抑える最後の決め球としても、使いこなせるようになったのは大きかったと思います。
昨年は、大学から6年間一緒にプレーした能登(能登嵩都選手。現 阪神)が1年間好成績を残し続け、見事にドラフト指名を勝ち取った年でもありました。その努力を常に見ていたので、指名されてすごい嬉しい気持ちになりましたし、でも同時に、自分も負けてられないなという気持ちになりました。
「伊禮が来たから大丈夫」というピッチングを誓うオイシックス3年目の決意
今季の目標としては、40試合以上に登板して防御率2点以下をマークしたいと思います。
昨年が26試合で防御率2.45だったので、そこから数字的には良化させたいですね。
昨年からの進化でいうと、ストレートのキレが良くなっていること、そして得意球になったスライダーでカウントを取ったり、勝負もできてるところかなと思います。
勝さんからは、「左ピッチャーはスライダーが大事」といつも言われているので、そこを意識して練習してきた中で、スライダーが自分の武器にできているのは昨年、一昨年より成長している部分かなと思います。
今はスライダーで見逃しや空振りを取れているので、サイドスローの時よりも良い角度で投げられていると感じますし、バッターの反応からしても嫌がってる感じもあって、手応えを感じています。バッターが嫌がることをするのが投手は一番大事だと思うので、さらに磨きをかけていきたいと思っています。
今年は、オイシックス入団3年目で、1、2年目よりも精神的にもどっしりした感じはありますが、でも若手としてガンガン行かなきゃいけないなという気持ちも持ってプレーしています。
今年の「俺のここを見ろ!」というポイントは、投げっぷりです。
ランナー2、3塁や満塁の厳しい場面でゼロに抑えることを求められることが今年も多いと思うので、そこで安心してみてもらえるようにしたいですね。
サポーターの皆さんには「伊禮が来たから大丈夫、抑えてくれる」と思ってもらえるようなピッチングをしていきたいと思います。
昨年からの大きな成長を見せたいと思うので、ぜひ楽しみにしていてください。
