クルマの快適性と安全性を追求する、車体製品本部とは
車体製品本部を構成するのは、車体製品企画部、ボデーシステム開発部、車体第1技術部、車体第2技術部、そしてEVプラットフォーム開発部の5つの部署。
このうち、浅野はボデーシステム開発部に、犬塚は車体第2技術部に所属しています。
浅野:ボデーシステム開発部では、パワースライドドアやパワーバックドアといったドア廻りのシステムの仕様設計・開発を担当しています。
クルマ全体の機能や使い勝手を左右するドアまわりの仕様について、OEMメーカーと密に議論を重ねながら、必要な機能やシステム構成を定義し、ハードウェア、ソフトウェア、センサーなど、複数の技術領域にまたがる開発を横断的にリードしています。
お客さまのニーズはさまざまです。たとえば、複数のドア系部品を1つのECUに統合することで効率化できるケースもありますが、それぞれを別のコントローラーで管理したほうがお客さまの開発体制に適しているケースもあり、柔軟に対応しています。
犬塚:車体第2技術部では、サンルーフやニューマチックシートシステムなどの製品のメカ設計・開発を行っている他に、車体製品本部の電動製品に用いられるアクチュエータのメカ設計・開発を行っています。私が設計・開発を担当しているアクチュエータとは、モータやギヤなどの要素技術で構成される電動製品の動力源となるもので「アクチュエータは競争力の源」と言われるほど電動製品の中でもとくに重要度が高いものです。
業務の流れとしては、まずお客さまのニーズをキャッチし、それをもとに「どんな製品にすべきか」を検討します。その後、製品を機構部とアクチュエータに切り分けて、それぞれにどのような機能を持たせるべきか、次に、アクチュエータの中でメカとソフトそれぞれにどのような機能を持たせるべきか、またセンシングではどんな情報をどう読み取るかといった機能分配を行い、それぞれの担当が連携しながら必要な機能を確保できるように開発を進めています。
アクチュエータは単独では機能しません。製品機構部やハードウェア、ソフトウェアなどの関連部門と連携しながら、アクチュエータの性能を高め、快適性や安全性を向上させることが、私たちのミッションです。
ともにグループ長としてチームをまとめる浅野と犬塚。ふたりにとって、日々、新たな変化と向き合えることが、やりがいにつながっています。
浅野:近年、クルマの知能化が進み、アイシンが持っていない商材や、新しい分野の商品まで制御の対象になってきました。未知の領域を切り拓き、新しいものをつくっていくことにおもしろさを感じています。
犬塚:自動車業界は「100年に一度の大変革期」と言われ、毎日が新たな挑戦の連続です。明確な正解はありませんが、だからこそ挑み続ける醍醐味があります。
チームで実現する全体最適。部門を超えて知能化に挑む
クルマの知能化には「認知・判断・動作」の連携が不可欠です。メカ部門とソフトウェア・制御部門が密に協力しながら、制御と機構の最適化に取り組んできました。
犬塚:アクチュエータ開発の大きなテーマのひとつが静音化です。たとえば、「静音化のために起振源となるモータの回転速度を遅くしたい。モータの回転速度を遅くしてもアクチュエータ自体の必要な回転速度を確保するためにギヤの減速比を減らしたい。ギヤの減速比を減らしてもアクチュエータの必要なトルクを確保するためにモータのトルクを増やしたい。モータのトルクを増やすためにもっと多くの電流を流したい」という発想がありますが、その分ハードウェア側やソフトウェア側に負担を与えることになり、バランスが損なわれる恐れがあります。
全体最適を実現するには、メカ部門とソフトウェア・制御部門が意見を出し合いながら、丁寧に検討を重ねるプロセスが非常に重要です。
浅野:また以前、モーター内部の焼損を防ぐための保護パーツを、センシング技術で代替できないか検討したことがありました。モーターの個体差や外乱条件も踏まえ、最悪の条件下でも安全性を保てる設計が求められます。そのため、放熱性に優れた構造についてメカ部門と協議を重ねながら、コスト・性能・安全性のバランスを見極め、最適な仕様を導き出していきました。
こうした密な連携の実現には、組織の枠を越えた仕組みづくりも欠かせません。
犬塚:部門が違うと壁ができやすいため、複数の部門を跨いだメンバで構成する「大部屋」や「ワーキンググループ」を設立し組織の垣根を越えて連携を取る工夫をしています。
各部門の担当責任者を決めて役割分担を明確にすることで、コミュニケーションが取りやすくなりました。
浅野:ときには意見が対立することもありますが、建設的に話し合うことが、良いものづくりにつながっていると感じています。風通しはとても良いですね。
製品全体としての性能バランスを最適化するだけでは、知能化は実現できません。その鍵を握るのが、品質・コスト・納期(QCD)と、将来を見据えた拡張性です。
犬塚:私たちが設計者として常に意識しているのは、品質・コスト・納期です。エンドユーザ、車両メーカ、自社、サプライヤーなど、多様な立場の視点を踏まえ、それぞれの認識をすり合わせていくプロセスを重視しています。そのプロセスの積み重ねが全体最適につながっています。
浅野:近年はさらに、「拡張性」という視点が加わっています。将来的にソフトウェアを更新し、機能や性能を高める余地を残した設計が求められるようになってきました。短期的なQCDと、中長期的な拡張性のバランスをどう取るかが、ますます重要だと感じます。
ともに入社して10年以上になる浅野と犬塚。失敗と成功を繰り返しながら、成長を重ねてきました。
浅野:技術開発では前例のない挑戦も多くありますが、本気で取り組んでいれば、自然と誰かが手を差し伸べてくれるものです。周囲に支えられながら課題を乗り越えていく中で、力が身につき、人脈も広がっていきました。そうした積み重ねが、いまの自分をつくる土台になっていると感じます。
犬塚:社会人になってすぐのころ、自分の考えをうまく伝えられず、苦労した記憶があります。そんな中、上司や先輩のやり方を観察しては真似し、打ち合わせの結果を振り返ることを繰り返してきました。
自己分析を続ける中で、相手と自分の双方にとってのメリットを考える習慣が身につきました。いまではそれが、多くの関係者と連携しながら全体最適をめざす上で生きていると感じます。
「認知・判断・動作」を一貫設計。知能化をトータルで支えるアイシンの技術
クルマの知能化にともない、ソフトウェアとハードウェアの役割はますます高度化・複雑化しています。それぞれ密接に連携しながら進化を続けてきました。
犬塚:以前はメカが主導的な位置づけで、「メカで対応できない部分をソフトウェアで補う」という発想が社内でも根付いていたように感じていました。
しかし現在では、知能化を実現する上で、「どの機能をメカが担い、どの機能をソフトウェアで実現するか」を、開発の初期段階から検討することが求められています。
浅野:ソフトウェア開発における競争領域も大きく変化してきました。かつてはプラットフォームとアプリケーションの両方を各社が独自に構築していましたが、近年ではプラットフォームの共通化が進み、差別化を生むのはアプリケーション領域へとシフトしています。
加えて、セキュリティの重要性が飛躍的に高まりました。安心や安全を守るためにはソフトウェアの機能や規模の拡張が不可欠です。求められる水準に真摯に向き合い、技術を積み重ねていくことがますます重要だと感じています。
「認知・判断・動作」の一連の流れをトータルで提供できることがアイシンの強み。知能化が進む中、その存在感はますます高まっています。
浅野:当社では、人の検出、安全な状態かどうかの判断から、モーターへの通電に至るまで、一連の制御プロセス全体を自社で構築・提供しています。
また、知能化においては、各プロセスにおけるデータをいかに連携・統合していくかという視点も重要です。システム全体を広い視野で見据えながら取り組める点に、当社の競争優位性があると感じています。
犬塚:こうした体制があるからこそ、開発スピードや効率の向上にもつなげられることになり、全体最適を実現しやすくなっています。
さらに、知能化の実現には、最終的に必ずなんらかの物理デバイスが必要です。車体電動製品をはじめ、快適性を高める各種機構など、ユーザーが実際に目にし、手に触れる領域のデバイスを数多く手がけていることも、当社の大きな強みだと考えています。
学び、挑み、動かすチームへ。知能化時代を支える、成長し続ける組織のカタチ
それぞれソフトウェアとメカ設計の最前線で活躍する浅野と犬塚。挑戦を歓迎し、支え合うアイシンの企業風土がふたりを支えてきました。
浅野:当社には、挑戦を後押ししてくれる文化があります。やり方を変えるには強い意志と粘りが必要ですが、きちんと説明すれば打席に立たせてもらえる環境は魅力的です。
たとえば、大学で学んだモデルベース開発を社内に導入しようとしたときのことが印象に残っています。当初は実現を疑問視する声もありましたが、同じ志を持つ仲間を巻き込みながら進めることで、従来の開発手法を変えることができました。
犬塚:あらゆる分野のプロフェッショナルが社内にいるため、日々学べる環境が整っています。扱う製品の幅も広く、自分が身につけた知識やノウハウをエンドユーザーに届ける機会が多いことも、大きな魅力です。
また、社内のコミュニケーションがとても取りやすく、上司にもチャットなどで気軽に相談できます。自分の考えを率直に伝え、それが受け入れられる環境であるため心理的安全性を得やすく、それが新たな挑戦への原動力になっています。
アイシンだからこその価値を発揮するために。ふたりには、見据える未来があります。
浅野:知能化が進めば、ドアの開閉やステップの出し入れが自動化され、快適でストレスのない乗降体験が提供できます。さらに、センシング技術の活用によって、安全対策をいっそう高度化していくことも可能です。
私たちの使命は、チーム全員が力を合わせて、お客さまはもちろんエンドユーザーにも新たな価値を提供していくことにあります。そのために、やりがいを持って働ける職場環境を整え、成長し続けられるチームづくりを進めていきたいです。
犬塚:ストレスフリーな乗降体験や快適な移動空間の実現を通じて、当社の経営理念である「“移動”に感動を、未来に笑顔を。」を実現できると信じています。
わたしたちがめざすのは、移動を通じて暮らしの価値を創出すること。そのためには、部門を越えた連携によってアイシンの強みを最大限に発揮することが不可欠です。部門間の協働をさらに深め、組織力を高めていきたいと考えています。
※ 記載内容は2025年7月時点のものです
