アイシンの2030年へ向けた挑戦──アルミ製品の環境負荷を限りなくゼロに
株式会社アイシン CN技術開発部で、アルミニウム製品のCO2削減に取り組む北村。自動車部品メーカーであるアイシンの製品には広くアルミニウム合金が使用されています。
「現在の仕事は、アイシンやアイシングループでつくられるアルミニウム製品の原料のCO2を削減するという企業全体で掲げるミッションに基づいた技術開発です。製造工程はもちろん、国内外から調達する原料の見直しやリサイクル原料を活用したCO2の削減技術の開発を進めています」
アルミニウムはアルミ缶で知られるように再生利用が可能な素材として知られています。これはコストだけでなく環境負荷低減に大きな効果があるからです。
「使用済みのアルミ製品を再溶解して製品をつくることで、CO2排出量を95%削減できます。これは、鉱石であるボーキサイトを製錬してアルミ地金を製造する工程で発生するCO2を丸ごと減らせるからです。そのため、市場で使用されたアルミ製品を回収してリサイクルすることが、CO2削減には不可欠なのです」
2021年に設立されたCN技術開発部。北村が所属する材料室には、鉄鋼、アルミ、樹脂の3チームがあり、アルミチームは6人ほどのメンバーで構成されています。
「チームの半数が他部署からの異動者、残りの半数がキャリア採用者です。私は技術面での取りまとめや新しいアイデアの創出を担当。入社した2023年度に立ち上げた新規プロジェクトも進行中で、新たに立ち上げたプロジェクトの多くは私自身の発案によるものです」
具体的な目標値も設定されており、2030年までにアイシンはCO2排出量を2019年比27.5%削減することをめざしています。
「スクラップ材を今以上に配合できるようにするための技術開発を行っていますが、現状では不純物の影響でこれ以上の配合が困難な状況です。この状況からアイシンが掲げる目標値を製品まで落とし込みつつ、さらに配合率を高めていかなければいけません。そのため、現在ではスクラップ中の不純物元素を除去するアップグレード技術の開発に取り組んでいます」
学生時代から自身がアルミに関わってきた経験や知識を活かし、週1回のペースで教育プログラムを実施。マンツーマンに近い形で同じチームの若手の方に向けて教育の時間を取っています。
「アイシンは部品メーカーなので、アルミ材料の専門家は少ないのが実情です。私1人のナレッジでは限界があることを認識しているので、将来的には同じレベルの知識を持つ仲間を増やしていきたいと考えています。1馬力より2馬力、3馬力の方がいいですから」
また、自身の開発とは別に、他部署からの技術相談にも対応し、製品開発における助言も行うことも。
「製品開発部門とは月に何度も意見交換をしています。私はアイシン以前に2社を経験しており、その際にダイカストをはじめとした鋳造材や展伸系の板材など幅広いアルミ製品の開発経験があります。
そのため、製品が異なっても、ほとんどの技術相談に対応できることもあり、自身の知識・経験が社内で役立てているのはうれしいことです。時には特許申請の際にアドバイスで関わっていたため、名前を載せていただくこともありましたね」
環境負荷低減目標を必ず達成──アルミ技術者としての決断、そして本気で挑める環境へ
学生時代から工学部で金属材料工学を学び、アルミと鉄鋼を専攻してきた北村。金属材料への関心は強かったものの、最初から特定の金属にこだわりがあったわけではないと言います。
「金属材料に関わる仕事をしていきたいという思いはありましたが、アルミニウムという縛りは私の中には実はそれほどはなかったです。一部、鉄鋼も経験していたので、そこにはこだわりがありませんでした」
しかし、キャリアを重ねていく中で、北村の中に新たな気づきが生まれます。
「途中から、これはあらゆる材料を満遍なくやるよりも、ある分野に特化させた方が会社でも社会でも自分自身が重宝されるのではないかと考えるようになりました。それで、いっそのことずっとアルミをきわめていこうと決意したのです」
アルミニウムの専門家としての道を選択した北村は、学会での研究発表なども学生時代から前職時代も含め、継続的に行ってきました。
そんな中、アイシンへの転職を決めたきっかけは、現在の上司との面談でした。
「最初は軽い気持ちで……面接というよりも面談のような形で、現在の上司にあたる方と会話する機会がありました。そこでいろいろな話を聞いた上で、今まで私がやってきたことと、アイシンがまさにこれから取り組もうとしていることが完全にリンクしていると感じました」
前職では、自動車向けアルミ板材に関するリサイクル技術の開発をほぼ1人で担当していました。
「前職では、リサイクルについてはまだまだ『できたらいいよね』というくらいの認識で、会社全体として本気で取り組む姿勢ではありませんでした。
また、突然異なる分野に異動させられる可能性もあり、せっかく築いた専門性が活かせなくなるリスクもあるかもしれないと思っており、専門性を確実に活かせる環境を探していました」
一方、アイシンは長期的な視点でカーボンニュートラルに取り組んでおり、企業としての目標も明確です。
「アイシンは、2021年にカーボンニュートラル推進センターを設立するなど、2050年度のカーボンニュートラル達成に向けて長期的な視点で取り組んでいます。
また、2030年までに、2019年比で27.5%のCO2削減という具体的な目標があり、それを年単位で落とし込んで進めている様子が外から見ていても理解できました。このミッションと、今やるべきことの明確さは、入社を決める大きな要因でした」
専門性を活かせる環境で、かつ具体的な目標に向かって挑戦できる。それこそが、北村が求めていたキャリアの形でした。
2030年への道筋として形になり始めた挑戦──CO2削減目標に向けやるべきことを
2023年の入社以来、カーボンニュートラル実現に向けた技術開発として、アルミニウム製品のCO2削減に向けた新しいプロジェクトを次々と北村は立ち上げてきました。
「立ち上げたプロジェクトが、3年目の今年になって徐々に形になってきました。現在進めているプロジェクトのほとんどは、私が来てから立ち上げたものです。アイデアを出し、自分で企画を立て、手を動かしながら開発を進められる環境があります」
前職では研究開発部署に所属しながらもマネージャー的な業務が中心でしたが、現在は一貫して開発に携われる環境に魅力を感じています。
「やりたいことが実現できているというところが、アイシンに来てよかったともっとも感じる点です。専門性を高められる環境があることは、私にとって大きな価値があります」
今後はさらなる技術開発の加速をめざし、チーム全体のレベルアップを図っていく考えです。
「先ほどの話でも触れたように、2030年までに2019年比で27.5%のCO2削減という具体的な数字があります。その達成に向けて、今年はどこまで技術を確立しなければいけないのか。まだ足りていない部分もあるので、どんどん新しいアイデアを出していく必要があります。同時に、将来的には私と同じレベルで開発を進められる人材を育てていきたいと考えています」
目標は「アイシンには北村がいる」と言われる存在──裁量多く開発を行える環境の中で
北村は、アイシンでの今後の目標について、明確なビジョンを持っています。
「プロフェッショナルとして専門性を突き詰めていきたいです。社内だけでなく、社外からも認められる存在になることをめざしています。具体的には、アルミニウムの分野で『アイシンには北村がいる』と言われるような存在になりたいと考えています」
専門性を追求する姿勢は、社内外での活動にも表れています。学会や研究部会に積極的に参加し、アルミニウムに関する知見を深め、ネットワークを広げています。
「学会でも、アイシンでの現職に就いてからよく声をかけられます。こうした反応は、自分の専門性が認知されている証だと感じています。最終的には、私がアイシンにいることで、会社の技術レベルの高さや信頼性を示すことができ、それがお客さまとの信頼や関係性強化につながるような存在になれれば、と考えています」
最後に、アイシンでこれからともに働きたい人物像について、北村はこう話します。
「私個人としては、金属材料の基礎的な知識をお持ちの方であれば、たとえアルミニウム以外が専門であっても、基礎ができているので、さらに新しい分野を学ぶことで自由度高く活躍できると考えています。
また、会社としては、アイシンの既存にはない、言い換えれば会社として未経験の領域に果敢に挑戦する意欲のある人材を求めていると感じています。プロジェクトを主体的に進めたい方、チャレンジ精神のある方にとくに向いている環境なので、ぜひそういった方と一緒に働ければうれしいですね」
※ 記載内容は2025年1月時点のものです
