物静かな少年が旅と居酒屋バイトで気づいた、仕事の楽しさと難しさ
いなげやは東京・埼玉・神奈川・千葉に約130店舗を展開する食品スーパーマーケットです。立川市での干物の引き売りを起源に120年以上地域の食を支えてきました。生鮮や惣菜を通じて暮らしに寄り添い、イオングループの一員として成長と地域貢献を目指しています。 今回は私がいなげやで働くことになった背景からお話します。
子どもの頃の私は、どちらかというと物静かなタイプでした。自分から積極的に前に出るというよりは、周囲の雰囲気に合わせながら過ごすような子どもでしたね。そんな私が「人と関わること」や「教育」に興味を持つようになったのは、小学校高学年のころのことです。いつしか「教員になりたい」という夢を抱くようになり、人との関わり方をもっと深く学びたいという気持ちも芽生えてきました。
その思いが、大学の学部選びにも直結しています。教員免許を取得しながら心理学も学べる人間科学部を選んだのは、自然な流れだったと思います。教育と心理学、どちらも「人を理解すること」につながる学問ですから、両方を学べる環境はとても魅力的でした。
勉強と並行して力を入れていたのが、友人たちと立ち上げたグルメ研究会の活動です。旅行に行って美味しいものを食べたい、各地の名産品や観光地を楽しみたい——そんなシンプルな動機から始まりました。既存のサークルに入るという選択肢もありましたが、活動のペースやイベントの内容を自分たちで自由に決めたかったので、思い切って自分たちで立ち上げることにしました。
結果として、4年間の在学中に約40の都府県を巡ることができました。中でも特に印象に残っているのは、埼玉から山口県まで車で旅したときのことです。途中の名所に立ち寄りながら長距離を移動するという、なかなかスケールの大きな旅でしたが、仲間たちとの濃い時間は今でも記憶に残っています。
一方で、学生時代に「自分が大きく成長した」と実感したのは、アルバイト先での経験でした。居酒屋でアルバイトをしていたのですが、あるときバイトリーダーを任せてもらえることになったんです。それまでは商品の提供や後片付けが主な仕事でしたが、レジの管理や商品の在庫管理まで担うようになりました。お金の流れを把握したり、在庫が足りなくならないよう先を読んで動いたりと、単純な作業とは一線を画す責任感がそこにはありました。アルバイトという立場でありながら、仕事の楽しさと難しさを同時に感じた、大切なターニングポイントだったと思います。
「この会社で自分に何ができるか」が見えたから、いなげやを選んだ
就職活動を始めたとき、私が最初に決めたのは「食品に関わる仕事をしたい」という軸でした。食品を扱う業界といっても幅広く、メーカーや問屋(製造元と小売店をつなぐ流通業者)なども視野に入れながら、さまざまな企業を調べていました。その中で次第に「小売業がいい」と感じるようになっていったのです。
理由はシンプルで、一番お客さまに直接接することができる業界だと思ったからです。メーカーや問屋は、企業をお客さまとして動く世界ですが、小売業はその先にいる消費者の方々と毎日顔を合わせる仕事です。「お客様を身近に感じながら働きたい」という気持ちが、私を小売業へと導いてくれました。
同じ小売業の中でもいくつかの企業の選考を受けましたが、最終的にいなげやを選んだ決め手は大きく二つありました。
1つめは、採用担当の方からかけていただいた言葉です。選考の過程でお話しさせていただいたとき、「いなげやは人がいい」と言っていただきました。その一言がとても印象に残っていて、この会社で働いてみたいという気持ちを後押ししてくれました。
2つめは、事業エリアです。いなげやは1都3県(東京・神奈川・埼玉・千葉)を中心に展開している企業で、遠方への転勤が少ないという点も、私にとっては大切なポイントでした。生活の基盤を考えたときに、この安心感は無視できないものでした。
そして、もう一つ心の中で確かめたことがありました。それは「自分がこの会社で何ができるか、具体的にイメージできるか」ということです。複数の企業を比べたとき、いなげやで働く自分の姿が一番鮮明に思い描けました。やりたいことと、自分が貢献できることが重なって見えたことが、最終的な決断につながったのだと思います。
入社後は、新入社員として社会人としての心構えを学ぶ研修や、いなげやという会社をより深く知るための研修がありました。会社の理念や仕組みを丁寧に教えていただき、業界の知識と社会人としての基礎を同時に身につけていく時間でした。
研修を終えると、いよいよ店舗への配属です。私が希望していたグロサリー部門(日用食品や加工食品、雑貨などを扱う売場部門)に配属が決まり、正直ほっとしたのを今でもよく覚えています。
配属後は、日配品(毎日配送される牛乳や豆腐などの食品)や加食(加工食品)、雑貨の荷だしや販売計画の立案などを担当しました。実際に売場に立って感じたのは、想像をはるかに超える売場の広さと、管理する商品の膨大な量でした。「こんなにたくさんの商品を、日々管理しているのか」という驚きは、今でも鮮明に残っています。
「研修で聞いたとおりにやったらうまくできました」が教育のやりがい
現在は人事グループの採用教育担当として、グロサリーインストラクターという役割を担っています。グロサリーとは、食品や日用品などを扱う部門のことで、私はその部門を中心に、新入社員から入社3年目までの若手社員、新任チーフ(現場の管理職)、中途社員などを対象とした部門教育と、全部門を対象とした研修の運営を行っています。また、社内の昇格要件を満たすための試験の準備・運営も担当しており、社員の成長を支える仕組みづくり全体に関わっています。
この仕事をしていて、もっとも嬉しかった瞬間を挙げるとすれば、研修後に店舗へ確認に訪れた際、若手社員から「研修で聞いたとおりにやったらうまくできました」と言葉をもらった時です。自分が講義した内容が、実際の現場でちゃんと形になっている。その瞬間に、教育担当としてのやりがいをひしひしと感じます。また、若手社員が時間をかけて職場に馴染み、周囲の従業員からも信頼されながら働いている姿を目にした時も、同じように胸が熱くなります。
一方で、苦労したことも正直にお話しすると、研修内容と実際の店舗現場との間にギャップが生じてしまい、若手社員を迷わせてしまったことがありました。教育担当として教えたことと、現場で求められることが噛み合わず、若手社員がどちらに従えばいいのかわからなくなってしまった状況です。その時は実際に店舗に足を運び、現場の従業員と直接対話しながら、双方の認識のずれを丁寧に埋めていきました。その経験から、研修内容を作る際には他部署の方々の意見も積極的に取り入れるようにしています。一方向の視点だけで研修を設計してしまうと、どうしても現場との乖離が生まれやすいと気づいたからです。
若手社員のモチベーションを高めることも、今でも続く課題のひとつです。そこで取り組んだのが、店舗で特定の商品を販売する「売込み企画」です。目標とする販売数を明確に設定し、若手社員自身が成果を数字として実感できる機会をつくりました。販売数が目に見えて伸びた時の達成感は、そのまま若手社員の成功体験となり、仕事へのやりがいにもつながると考えています。
この仕事を通じて、自分自身が大きく成長したと感じるのはコミュニケーションスキルです。学生時代は気の合う友人に囲まれ、どちらかといえば「与えてもらう」環境にいました。しかし社会人になると、自ら動いて教えを請わなければならない場面も多く、人との関わり方を意識するようになりました。店舗担当の頃から従業員同士のコミュニケーションの大切さを伝えてきましたが、教育担当となった今は、その重要性をより強く実感しています。
「人がいい」いなげやで、前向きに食と人と向き合うキャリアへ
今後の目標についてお話しすると、まず直近では教育担当として、より多くの知識と経験を積み重ねていきたいと思っています。現在は部門担当のインストラクター(特定の商品部門を担当し、売場づくりや商品知識を店舗スタッフに指導する役割)として日々の業務に取り組んでいますが、将来的には全体研修の立案・運営にも携わっていきたいというのが、私の中長期的な目標のひとつです。
全体研修で社会人としての心構えや統一した考え方を教えることができれば、店舗において部門の垣根を越えて活躍できる従業員を育てることにつながると考えています。食料品売場や日用品売場など、それぞれの部門がバラバラに動くのではなく、お店全体がひとつのチームとして動ける人材を育成すること。それが私のめざす教育の姿です。そして5年後には、店舗管理職としてお店の現場で活躍したいと考えています。人に教えることが好きな自分が、今度は管理職という立場から現場を支えていく。その姿を目標に、日々努力を重ねています。
これからいなげやへの入社を考えている方に、ぜひ伝えたいことがあります。いなげやは120年以上の歴史を持つ企業で、そこで働く従業員はお客さまのために何ができるかを真剣に考えている人ばかりです。一言で表すなら、「人がいい」会社だと私は思っています。実際に働いてみて感じるのは、さまざまなことにチャレンジさせてもらえる環境があるということです。若手社員であっても、前向きに取り組む姿勢があれば、どんどん新しいことに挑戦させてもらえます。
人と関わることが好きな方、食べることが好きな方にとっては、特に向いている職場だと感じています。新入社員への教育も充実していますので、わからないことは何でも聞ける環境が整っています。
お客さまのために一緒に働きましょう。そのひと言に、私のいなげやへの思いが詰まっています。

