トヨタの電動化を世の中に広めていく、新たな挑戦
私が現在携わっているのは、2024年から展開されている[eTOYOTA]というプロジェクトです。このプロジェクトは、トヨタ自動車が掲げる2030年の電動車販売台数800万台という大きな目標の達成に向けて、電動車の普及啓発を行っていく取り組みです。
TVCMやWEBサイトを通じて、「電動車って何?」「電動車を選ぶとどんなメリットがあるの?」「なぜ今、電動車を選ぶべきなの?」といった、多くの方が気になる疑問に答えていきます。私たちは、一般の方々に電動車の基本的な情報をわかりやすくお伝えすることで、トヨタの、そして日本全体の電動化を推進していく役割を担っています。
プロジェクトチームは、プロジェクトマネジメントのメンバーを中心に、アクティベーションを考えるメンバーや外部のクリエイターの方々で構成されています。さらに、トヨタ自動車の国内営業部門や商品企画部門の方々とも密に連携し、クライアントと一丸となって一から作り上げているプロジェクトです。その中で私は、3名いるストラテジックプランナーの1人として、プロジェクト全体の戦略立案に携わっています。
予算ゼロから始まった、企業の想いを伝えるプロジェクト
このプロジェクトは、当初予算も付いていない状態からスタートしました。最初はプリウスのPHEV(プラグインハイブリッド)の販促を検討していたのですが、トヨタの方々との対話を重ねる中で、単なる1車種の販促活動という視点で考えるには限界があることに気づきました。トヨタが企業として電動車に本気で取り組んでいる姿勢をしっかりと伝えていくべきだという結論に至り、そこからプロジェクトが本格的に動き出すことになりました。
外部のクリエイターの方々との対話の中で、興味深い指摘を受けました。EVシフトや電動化という言葉は世の中でよく使われているものの、実は基本的な部分が意外と伝わっていないのではないか、という点です。そこで、メーカー側の視点ではなく、世の中と同じ感覚で電動車を語るCMを作ることを検討し始めました。
ゼロからの立ち上げだったため、社内外の賛同者を増やしていく必要がありました。特に豊田章男会長の理解を得ることが重要でした。会長はトヨタ単体ではなく、日本全体を見据えて判断される方です。トヨタのクルマの良さを伝えるだけでなく、電動車にはたくさんの選択肢があり、生活環境やクルマの利用状況など、お客様の事情にあわせて選択できること、電動車を持つことによる生活におけるメリットなど、お客様視点での提案を行った結果、「ぜひやっていこう」というお言葉をいただくことができました。
お客様視点で進める、新しいトヨタの挑戦
このプロジェクトは電動車の発売に合わせて展開していく長期的なシリーズとなっています。立ち上げから半年が経過し、少しずつではありますが、確かな手応えを感じています。
トヨタが電動車に本気で取り組んでいるという認識が広まり、BEV(バッテリーEV車)、PHEVの購入意向も徐々に高まってきています。また、社内の販売店スタッフの意識改革という面でも、「トヨタが電動車に本腰を入れているのだから、販売の現場でも積極的に取り組もう」という前向きな変化が生まれています。
特に印象深いのは、社内外から「これまでのトヨタらしくない広告だ」という評価をいただいていることです。従来の広告がメーカー視点で商品の良さを伝えることに重点を置いていたのに対し、このシリーズではお客様が本当に知りたいことは何かという視点で制作しています。
このプロジェクトを通じて、私たちは大切な気づきを得ました。それは「トヨタの独り勝ちを目指すのではなく、お客様一人ひとりが自分のニーズに合った正しい選択ができるようサポートすること」が必要であるということです。
企業の視点ではなく、常にお客様の立場に立って考え、同じ目線で対話を続けていく。この姿勢こそが、これからのトヨタに求められる重要な価値観だと実感しています。
電動車の普及を通じて、持続可能な社会の実現へ
このプロジェクトは単発で終わらせるものではありません。トヨタが掲げる2030年という長期的な電動車の目標販売台数達成に向けて、継続的に取り組んでいきたいと考えています。
私たちトヨタ・コニック・プロは宣伝機能を担い、予算も管理している立場にあります。だからこそ、トヨタとして本質的に取り組むべきことは何かを常に考え続けています。トヨタグループ唯一のマーケティング会社として、常にお客様視点で必要なことを考え、マーケティングやコミュニケーションの価値と役割を拡張していきたいと思います。現在はマネジメントの立場にいますので、同じユニットメンバーや組織全体でこの想いを共有し、行動に移していければと考えています。
電動車比率を高めていくことは、トヨタという一企業の取り組みを超えて、持続可能な社会の実現に向けて必要不可欠なことです。BEVだけでなく、HEV(ハイブリッド車)、PHEV、FCEV(燃料電池車)も含めて、お客様のニーズに合わせた選択肢を提供する。そして、より多くの方々に正しい選択をしていただけるよう、トヨタの想いを丁寧に伝えていく。それが、私たちが目指す未来への貢献だと考えています。

