大学院へ進学した方の中には、大学院での専攻や研究内容に関連した仕事につく方が多いでしょう。一方で、大学院時代の経験や就職活動を通して、専門分野とは異なる就職先を選択する方もいます。
新しい道を選ぶには不安やリスクを感じている方もいるかもしれませんが、専門分野は異なれど、大学院での活動で得たスキルや経験を活かして活躍している方がいるのも事実です。
この記事では、大学院時代の専攻や研究内容とは異なる分野で活躍する、大学院出身者の経験談をご紹介していこうと思います。キャリアを選択する上でのヒントになることを願っています。
大学院出身者5人の就職経験談
※ 掲載内容は記事公開当時の内容です
▶︎株式会社NTTデータ
事業内容:システムインテグレーション事業、ネットワークシステムサービス事業、その他これらに関する一切の事業
・大学院での専攻・研究:生命科学
・現在の仕事内容:デジタルウェルフェア事業部で開発を担当
2013年にNTTデータへ入社した川岸さん。大学院で研究していたのは生命科学の分野です。ひとつのテーマに対してひとりもしくは少人数で探求していく研究スタイルで、卒業後は専門性を活かしたキャリア選択が一般的でした。そんな環境の中で川岸さんがNTTデータを志望したのは、自分のありたい姿があったからです。
川岸さん 「ひとりではなく、多くの人たちと協力しながら目標へ向かっていく働き方が自分には合っているように思えました。そこには、学生時代に大人数でオーケストラを組み、コンサートを開くといったサークル活動の経験が根底にあります。非常に楽しく、やりがいを感じたことから、大勢と関わり合いながら働きたいと考えるようになりました。
NTTデータを選んだのは、OB訪問などを通してそういった働き方ができる企業だと感じたことが理由です。さらに幅広い業界で事業を展開していることから、自分のめざす働き方を通して社会貢献にもつながると考えました」
入社から8年が経った2020年、川岸さんは現担当へ異動。国の医療施策に関するシステム開発に携わるようになります。
川岸さん 「大学院で生命科学を学んだ経験もあり、命や健康に関わるようなシステムに関わってみたいと思ったことが異動を希望したきっかけです。これまでは重厚長大で、何百人もの規模で取り組むようなシステムに携わり、専門性を深めていくような働き方でしたが異動後は小規模かつ短期間で作り上げていくシステムに。それにともなってオールラウンドな動きが求められるようになったと感じています」(中略)
自らの関心領域に携わるようになったことで、大きなやりがいを感じているという川岸さん。サービスデザインの視点から、時流に合った顧客提案などを積極的に行っています。
→ストーリー:システムを作るのは「人」だから。相手と真摯に向き合い、新たな価値を創出していく
▶︎株式会社TRAILBLAZER
事業内容:鉄道オペレーションの生産性向上及び個客接点・体験に関する企画・開発、JR西日本グループデジタル施策実行支援
・大学院での専攻・研究:途上国や紛争地域の女性やマイノリティの解放や権利向上について学ぶゼミに所属し、法整備支援を学ぶ
・現在の仕事内容:グループマーケティング推進部でデータ活用などを推進
菊池さん 「大学院では、途上国や紛争地域の女性やマイノリティの解放や権利向上について学ぶゼミに所属し、法整備支援を学びました。 相手国に寄り添い、現地の文化や慣習を理解して実用に耐えうる法体系を整え、その国の人々から信頼を得ながら一緒に新しい仕組みをつくるという世界観は、現在の仕事にも通じる部分があります。(中略)
就職活動では、鉄道業界と食品業界を中心にエントリーしていました。全く違う業界のように思われるかもしれませんが、私の中では『エンドユーザーの喜ぶ顔が見える事業』という点が軸となっていました。
鉄道会社のなかでもJR西日本に入社を決めたのは、『弊社は課題が非常に多く、一緒に乗り越えてくれる仲間を求めています。ぜひあなたに仲間になって欲しい』という言葉が印象的だったからです。当時のJR西日本は、福知山線列車事故を重く反省し、安全性の向上を目指して、立て直しを進めていました。人材開発の側面から社内の仕組みを変えることで、安全な社会づくりに貢献できると考えたのです」
→ストーリー:お客様も社員も笑顔に。デジタルとリアルを融合し、グループ全体のデータ活用を加速する
▶︎中外製薬株式会社
事業内容:医薬品の研究、開発、製造、販売および輸出入
・大学院での専攻・研究:ウェット系(生物学的実験)の研究室に所属
・現在の仕事内容:デジタル領域のオープンイノベーションの企画・推進とデジタルを活用する組織風土改革に携わる
学生時代、医学部でがん細胞の転移に関する研究に従事した柳津さん。病院実習をきっかけにデジタル技術の可能性を感じ、卒業後は国内の大手通信事業会社へ。約2年にわたりヘルスケア関連の新規技術事業開発に携わった。
柳津さん 「大学と大学院ではウェット系(生物学的実験)の研究室に所属しており、データ解析などのいわゆるドライ系研究とはまったく縁がありませんでした。ところが、大学院で参加した病院実習プログラムで診断支援AIなど、いくつかのデジタルソリューションが医療の現場で活躍するのを目の当たりにし、IT業界に興味を持つようになりました。
通信大手に入社後は、大学病院やスタートアップと連携したスマートホスピタル事業の企画推進に関わり、ITやAIを活用した効率的な働き方改革、患者さんの経験価値(ペイシェントエクスペリエンス)向上をめざして、さまざまな実証実験などに取り組みました。
日々進化するデジタル技術に関わること自体が刺激的でしたし、医療関係者から、『余裕を持って周囲とコミュニケーションできるようになった』と感謝の言葉をいただいたことも。大きなやりがいを感じていました」
大学院でがんの転移を促進する機序の研究に取り組んだ柳津さん。当時培った経験や知識が現在の業務で役立つ場面が多いと話す。
柳津さん 「第一線で活躍できるほどの専門性はありませんが、研究開発職のメンバーが煩わしいと感じる点など、研究業務を経験したことのある者として感覚を共有できる部分があり、コミュニケーションを取る上で役に立っていると感じます。
また、他社と共同研究を進める際には、知的財産や権利の問題がきわめて重要です。どんな実験や分析が行われたか、どんなインプットがありアウトプットが得られたかを整理するときなどにも、学生時代に身につけた知識が今の業務に活かされています」
→ストーリー:オープンイノベーションでDXを加速。全社の意識改革を通じてめざすヘルスケアの未来
▶︎日本タタ・コンサルタンシー・サービシズ株式会社
事業内容:ITサービス、コンサルティング、ビジネスソリューション
・大学院での専攻・研究:音声信号や生体信号などの解析から知見を得る信号処理の研究に従事し、脳波から痛みを定量化する研究を専門に行う
・現在の仕事内容:建設業向けのデータレイクの構築や運用を担当
2019年に新卒で入社した鍵田さん。大学と大学院では音声信号や生体信号などの解析から知見を得る信号処理の研究に従事し、脳波から痛みを定量化する研究を専門にしていました。日本TCSへの入社経緯を次のように振り返ります。
鍵田さん 「プログラミングや機械学習を用いて解析を進めていく中で、先進的なIT技術に惹かれるようになりました。また、英語力を活かした仕事がしたいとも考えていたんです。IT技術を駆使して活躍できるグローバル企業を探す中で、インドのIT企業のグループ会社という特異性を持つ日本TCSに興味を持ち、インターンシップ参加を経て入社を決めました」
→ストーリー:多様性ある組織で先端技術を駆使し活躍。インド発のグローバルIT企業で歩むキャリア
▶︎パナソニック オートモーティブシステムズ株式会社
事業内容:車載コックピットシステム、ADAS(先進運転支援システム)および関連デバイス、車載充電器、xEV向けシステム・デバイスなどの開発・製造・販売
・大学院での専攻・研究:農学生命科学研究科に所属し、微生物機能について研究
・現在の仕事内容:調達センターの購買部SCM管理課に所属し、BCP(事業継続計画)監査とサプライチェーンの管理を担当
学生時代は農学生命科学研究科に所属し、微生物機能について研究していた高島さん。なぜ研究内容とは異なる業界への就職を決めたのでしょうか。
高島さん 「大学院では、微生物を使った環境浄化をめざして研究に取り組んできました。以前から生命の仕組みに興味があり、特に食に関わる微生物に魅力を感じたことがきっかけです。就職活動では、大学院での研究を活かしてバイオ系のメーカーを志望していましたが、研究室での実験ばかりの日々に息苦しさを感じてしまい、もっと人と直接的に関われる仕事に就きたいと考えるように。
また、技術を極める方たちの仕事を間近で見たい、支援したいという思いもあり、調達部署を志望しました」
→ストーリー:何が起きても製品の生産を止めない。コロナ禍を経て痛感した調達部門の実力
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