光への探究心と山岳部での学び、そして社会インフラへの思いが導いた就職活動
学生時代、私は物理学科に所属し、光を使ったセンシング技術の研究に取り組んでいました。この研究テーマを選んだのは、これまで見えなかったものを見えるようにできる技術に強く惹かれたからです。また、その技術は今では世界的に広く使われていますが、所属していた研究グループ発の研究内容であり、最先端の研究に触れられるという点も、私にとって大きな魅力でした。光学全般を勉強する中で、自然と光通信にも興味を持つようになっていきました。
一方で、私は山岳部にも所属していました。メンバーと長期間かけて山々を縦走していくという活動は、研究とはまったく異なる学びをもたらしてくれました。長期間の縦走では、体力面だけでなく、天候やルート状況などの不確定要素に対応するため、チーム全員が自分の役割を果たすことが不可欠でした。私は装備管理と行動計画の確認を担当し、毎日のルート判断や安全管理に責任を持って取り組みました。こうした山岳部での経験を通じて、目標に向かって一歩ずつ着実に積み重ねる力と、任された役割に責任を持ち遂行する姿勢が身につきました。
就職活動を始めた頃、私は人々の役に立つ社会インフラ関連、さらに自分が興味を持っていた光に関する業界がいいなと思っていました。また、基礎研究よりは、よりモノづくりを実感できる製造に近い部門を希望していました。コロナで緊急事態宣言が発令された時期と重なっていたこともあり、リモート面接が増えていきました。このリモート面接がスムーズにできていたのも光ファイバのおかげだと気づき、自分が担当している製品が実際に役立っていたことを、今となれば実感しています。
住友電工については、とにかく規模の大きな会社であり、スケールの大きな仕事ができるのではと期待していました。また、電力/通信ケーブルという大型インフラから水処理や半導体など非常に多種多様な製品を取り扱っており、すべてのセグメントで住友電工ならではの強みがしっかりとあって高い技術力のある会社だと感じました。また、熱意を持って挑めば全面的に後押しする社風があり、「まず、やってみる」という私の理念と同じ考えだと感じました。採用選考では、私の興味や、やりたいことを深く質問していただけたので、自分としてもやりたいことの軸を決めることができました。
現場実習から始まった技術開発の道―地道な積み重ねの大切さ
入社後の研修で最も印象に残っているのは、工場の現場ラインでの実習です。社会人としての基礎的な研修も勿論ありましたが、実際に製造の最前線で働く経験は、その後の私のキャリアに大きな影響を与えることになりました。私が配属されたのはコロナ禍だったこともあり約3週間の実習でしたが、通常であれば6週間という長期間にわたって現場作業を体験するプログラムになっています。
実習先では、自動車、航空機、医療機器、家電、ゲーム機器などに使われる高機能ケーブルの製造ラインに実際に入り、ケーブルの巻取り作業を担当しました。この経験を通じて、どんなに優れた設計や机上の理論があっても、実際にモノづくりをしているのは現場であり、現地・現物をよく理解することがいかに重要かを身をもって学ぶことができました。この学びは今でも私の仕事の基本姿勢となっており、現場の作業者とのコミュニケーションを第一に考えて業務を進めるよう心がけています。
入社後に感じたギャップもありました。"世界初"の製品や研究と聞くと、何か革新的で華やかなイメージを持つかもしれません。しかし実際は、とても地道な作業の繰り返しであり、その積み重ねこそが大切なのだということを、日々の業務を通じて実感しています。技術開発の現場では、派手さよりも確実性が求められ、一つひとつの検証を丁寧に行うことが、最終的に人々の生活を豊かにする製品につながっていくのです。
"世界初"マルチコアファイバ量産化に立ち会った成長の軌跡
本配属後は、製品開発と顧客対応を担当する海外技術部・機能製品グループに所属しています。主な担当製品は海底光通信ケーブルに使われる光ファイバです。現在は主に光伝送システムに必要な周辺機器に使われるマルチコアファイバの開発を担当しています。開発業務以外にも、海外の顧客対応も担当しています。現地を訪問し技術提案、商談、信頼関係の構築など、日々多様な業務に取り組んでいます。
最も印象に残っているのは、世界初となる海底用マルチコアファイバの量産化・出荷に立ち会えたことです。本件の設計面の開発は研究部隊が担当し、私は新製品の成否を決める最も重要な評価である品質評価を担当しました。海底用光ファイバには優れた光学特性に加え、25年間程度の長期使用に耐え得る高い機械・環境信頼性が要求されており、それらを満たすかどうかを評価する業務のため、非常に責任感を感じました。マルチコアファイバでは従来なかった新しい測定項目や測定時の制約があり、工場内でもまだ測定体制が確立されていない状況でした。どのように測定・評価をしていくか、実際に自分で測定器をいじったりすることもありました。答えのない問いに向き合い、試行錯誤を重ねながら進めていくプロセスは、大変でしたが大きな学びとなりました。
無事、初出荷が終わり、しばらく経ってからそれが顧客からのプレスリリースや新聞等に載っているのを見たとき、大きなやりがいを感じました。自分の仕事が人々の生活をより快適で豊かにしていくことにつながっていると実感できた瞬間でした。
学生時代と比べて、自分の成長を強く感じるのは定量的な分析と物事を俯瞰して見ることができるようになった点です。また、コミュニケーション能力も大きく伸ばすことができました。他部署や工場などの事業部全体を統括する仕事が多いので、このスキルを日々活かすことができていると感じています。仕事を通じて、専門的なスキルだけでなく、人と協働するための能力も磨かれていることを実感しています。
専門性と多様性を備えた組織をめざして――未来への挑戦
短期的には、国内外を問わず、さらに多くの顧客への技術提案や製品PRなどの拡販活動を行い、より多くの案件獲得に貢献したいと考えています。そのために現在取り組んでいるのは、営業部隊と一体となってさまざまなレイヤーの顧客との接触を増やすことです。引き合いを受けた際には、その背景にある案件情報や今後の需要動向なども可能な限りヒアリングして、次に繋げていくことを心がけています。この積み重ねが、将来的な案件獲得の大きな力になると信じています。
中長期的には、光ファイバに関する知識だけでなく、光通信システム全体の知識を身につけたいと思っています。ファイバ、ケーブル、光機器など、システム全体を理解し、業界全体の知識をより深めることで、さまざまなレイヤーの顧客への効果的な技術提案や拡販活動ができるようになると考えています。
最後に、採用候補者の皆さんにお伝えしたいことがあります。大学で専攻している研究分野と違うことでも、興味がある分野あればどんどん入ってきてほしいです。当社では、入社後の教育環境がしっかり整っているので、大学までで学べる基礎部分があれば、絶対に活躍できます。さまざまな分野があるので、どんどん新しいことに挑戦でき、失敗を恐れずに挑戦できる環境が整っています。変化を恐れずに新しいことに挑戦できる柔軟性のある方、そしてモノづくりが根幹にあるこの会社で、現場や他のスタッフとのチームワークを大切にし、積極的にコミュニケーションを取れる方をお待ちしています。

