機械工学から数学へ、ものづくりの本質を追い求めた学生時代
高専では機械工学科に所属していました。ものづくりを学びたいという思いから選んだ道でしたが、学びを深めていく中で、ある疑問が湧き上がってきたんです。工学ではさまざまな公式を扱いますが、それらは答えを導き出すための道具として使われています。でも私は、なぜこの式になるのか、解き方はなぜそのようになるのかという根本的な部分が気になって仕方ありませんでした。この疑問が、大学編入後に理学部で数学を専攻するきっかけとなりました。一見すると大きな方向転換に見えるかもしれませんが、私にとってはものづくりの本質をより深く理解したいという思いの延長線上にある選択だったんです。
高専5年生から大学卒業まで、テーマパークでのアルバイトも経験しました。たくさんの人に喜んでもらえることにやりがいを感じていて、この経験は後の就職活動にも影響を与えることになります。
就職活動では、機械系、数学系問わず、ものづくりに関わる仕事を軸に企業を探していました。ただ、自分が何を作りたいかと考えた時に、具体的なものの形が思い浮かばなかったんです。高専の機械工学科には、自動車や鉄道、航空機など特定のものが好きでエンジニアをめざす学生も多くいました。でも私は、特定の製品や事業にこだわりを持っていなかったんですね。そんな中で出会ったのがBtoBメーカーでした。幅広い分野において社会基盤を支えることができるという特徴が、社会のためになるようなものづくりに携わりたいという私の思いにぴったり合っていると感じました。この会社を選んだ決め手は、大学のOGが多く在籍しており女性が働きやすい環境であると感じたこと、そして自分が学んできた機械工学と数学の両方を活かせそうだったこと、さらにものづくりの根幹に携わることができるという点でした。工場見学会やOG懇談会でお話しさせていただいた社員の方々が皆、若手から大きな仕事を任されると仰っていたことも印象的で、自ら進んで行動することが求められる環境だと感じ、入社を決意しました。
工場実習から配属へ――現場で学んだメーカーとしての意識
入社後、7日間の集合研修を経て、私は工場実習に向かいました。この1カ月半という期間は、メーカーで働く者としての基礎を築く重要な時間となりました。実際に生産現場での仕事を体験し、現場の改善活動に参加する中で、安全や品質に対する意識の重要性を身をもって学ぶことができました。図面上で描かれた製品が、実際にどのような工程を経て生み出されるのか。その一つ一つのプロセスに携わる人々の技術と情熱を目の当たりにしたことは、開発者としての私の土台を形作る経験となりました。
工場実習を終えた後、住友電工ハードメタルへの配属が決まりました。そこで切削の基礎を学ぶ研修を受け、2024年の入社から現在まで、デザイン開発部インサート工具開発グループで旋削工具の形状開発を担当しています。配属直後から2か月間の仮配属テーマ実習があり、私はとある製品を小型化するというテーマに取り組みました。初めて工具の設計を行う中で、寸法の制約という現実的な壁に直面しました。限られたスペースの中で形状を工夫し、現行品の性能を維持するという課題は、想像以上に難しいものでした。
何度もトライを重ねましたが、結果として目標とする性能には到達できませんでした。現行品では理想のサイズに対応できないという結論に至ったのです。当初は挫折感もありましたが、この経験から重要なことを学びました。トライを繰り返した末に「できなかった」という事実も、開発サイクルを進めるにあたって重要なデータになるということです。あの時の失敗の経験が今の仕事に確実に活きています。
入社前、開発の仕事は黙々と設計に向き合うイメージを持っていました。しかし実際に働き始めてみると、そのイメージは大きく変わりました。顧客のニーズを知るために営業やプランニングの方々と関わり、現場の方々と試作打合せを重ね、量産にあたっては生産技術の方々との連携が欠かせません。試作品の性能テストをする際には一日中現場にいることも多くあります。開発という仕事は、決して一人で完結するものではなく、多くの人々とのつながりの中で成り立っているのだと実感する日々です。
切削工具開発の現場で学んだ、理想と現実の向き合い方
現在はデザイン開発部インサート工具開発グループで、切削工具の形状開発に携わっています。具体的には担当製品の設計、性能評価、ラインアップの検討、そして開発スケジュール管理を行っています。チームでは個人それぞれがメイン担当製品を持ち、その製品開発のスケジュール管理や進捗報告を担当する体制になっています。
正直にお話しすると、開発中の担当製品はまだ世の中に出せていないため、実績という形での成功体験はありません。しかし、ユーザーの求める性能の製品を早くユーザーの手に届けられるよう、日々業務に取り組んでいるところです。開発の仕事では、計画通りに物事が進まないことのほうが多いというのが実感です。理想の形状を設計できたとしても、量産や金型製作が難しかったり、コストがかかりすぎてしまったりすることが頻繁にあります。
とくに印象に残っている失敗があります。生産工場は遠方にあり頻繁に訪問できないため、主にリモートでやり取りをして試作やテストの依頼、形状の相談をしています。ある時、私が形状の修正を依頼したのですが、修正箇所について認識の相違があり、思い通りに修正できていませんでした。その結果、修正の過程をやり直すことになってしまったのです。原因は、一つ一つの設計要素が何のためにその形状になっているのかを伝えられていなかったこと、そして変更後形状の確認を怠っていたことでした。
この失敗から、自分が説明したことを相手が説明できるレベルまで理解してもらえるよう、説明の仕方を工夫すること、そして認識の相違がないか確認を行うことの重要性を学びました。学生時代と比べて大きく成長したと感じるのは、ゴールを意識して行動するようになったことです。学生時代の研究と違い、開発の仕事では、いつまでにどんなものを作るという目標が明確に決まっています。そのため、ゴールから逆算して計画を立てる必要があるのです。うまくいかないことのほうが多いからこそ、そのたびにスケジュールを見直しながら、着実に前に進むことを心がけています。
視野を広げながら、挑戦し続ける未来へ――成長を求める仲間とともに
現在の一番の目標は、主担当として担当している製品を発売することです。入社一年目から新製品開発の主担当を任されたプレッシャーもありますが、目の前に大きな目標があることで、自分自身が成長したいと強く思える環境だと感じています。この目標を達成するために、切削評価には必ず立ち会うようにしています。自分の目や耳で切りくずや加工音、機械の状態を確認することを大切にしているのです。日々の業務の中で、より良い製品を生み出すためには顧客のニーズを直接確認することが必要だと感じているので、今後は開発として営業の方とユーザーに訪問するなど、職務の幅を広げていきたいと思っています。
中長期的なキャリアでは、開発以外の仕事も経験するとイメージしています。開発の仕事は企画や営業、生産技術といった各方面の方々と連携して進めるものです。それぞれの領域を理解し、視野を広げることがキャリアのなかでは必要とされると思うからです。幅広い経験を積むことで、より価値のある仕事ができるようになりたいと考えています。
これから入社される方には、自ら進んで新しいことに挑戦し、成長し続けることを望む人にぜひジョインしてもらいたいです。何事にも興味を持ち、あたりまえのことを疑問に思うことができる人。新しいアイデアや思い付いた手法を実践してみるマインドを持った人と一緒に働きたいと思います。当社では若いうちから大きな仕事を任されます。気軽に相談できる環境があり、自分なりにやってみて、困ったら先輩にアドバイスを貰いながら仕事を覚えていくことができます。また、世界各地に販売拠点や工場があり、グローバルに活躍できるフィールドも広がっています。挑戦を続けたい、成長したいという意欲を持った方と、一緒に新しい未来を切り拓いていきたいと思います。

