小田原から世界へ——ネット通販を通じてhappyを届けたいから始まった
Hameeが本社を構える神奈川県小田原市は、戦国時代から城下町として発展し、今に至るまで多くの産業・文化が育まれてきた歴史深い町。
代表取締役社長の樋口敦士は、この小田原で育ち、先人たちの息づかいを肌で感じながら、自らの手で新しい産業をつくりだすチャレンジをコツコツと積み重ねてきました。
樋口「創業当時からずっと、世界に通用するネット通販企業を、と思ってきました」
そんな樋口の想いから誕生したのがHameeです。
私たちは現在、happy mobile, easy e-commerceを事業ドメインとして、 一般消費者向けにモバイルアクセサリーの企画・販売を、ネットショップ運営者向けにはEC自動化プラットフォーム「ネクストエンジン」の開発・提供を事業として手がけています。
たとえば、累計970万個以上の販売実績を誇るヒット商品「iFace」をはじめとする、おしゃれなデザインと優れた機能性を併せ持ったスマートフォンケース。あるいは、ディズニー、ムーミン、PEANUTSなどの、世界観のあるキャラクターを活かしたスマートフォンアクセサリー。
これらは、Hameeが自信を持って世界に送り出したモバイルアクセサリーです。現在、自社商品を中心に国内外含め40店舗以上のネットショップで販売しています。私たちの名前を知らなくても、Hameeの商品は一度はどこかで目にしたことがあるかもしれません。
その一方で、これまで複数のネットショップを運営してきた経験を生かし、煩雑なショップ運営を簡単・便利に変える画期的なシステムの開発にも力を注いできました。それが「ネクストエンジン」という名のプラットフォームサービスです。
EC自動化プラットフォーム「ネクストエンジン」は「自動化」を旗印に掲げ、Amazonや楽天市場などの大手ECショッピングモールや自社で運営するECサイトの出品・注文・在庫をまとめて管理することができる業界シェアNo.1のクラウドサービスです。 煩雑なECバックヤード業務を大幅にカットすることができます。
また、プラットフォーム化により、EC運営者の業務フローに合わせてアプリによるカスタマイズできる柔軟さが可能となり、2017年4月 現在、2600社以上のEC事業者さまにご利用いただいています。
樋口「モバイルアクセサリーとEコマースの領域で、心を動かす驚きのある商品やサービスを生み出し続けたい。そして手にした人の“クリエイティブ魂”に火をつけたい」
なぜなら私たちは、「ビックバン以来の宇宙の生成・進化の最先端にいて、自分の意志でなにかかを生み出せるすごい存在。人間本来のクリエイティブ魂に火をつけていく」——。そんな世界作りに微力ながらも貢献したい。
過去から未来へ——過去の大きな失敗が今のビジネスモデルを生む
We Create the Best “e” for the Better “e” World.——海外を含めHameeで働くすべての仲間が共有するこのフィロソフィ。これはそもそも、小田原の風土に根ざした考え方かもしれません。
小田原市は江戸時代に、東海道五十三次の9番目の宿場町として栄えました。この時代、小田原で生まれた人物に財政再建の名手・二宮尊徳(金次郎)がいます。
私利私欲ではなく社会に貢献すれば、いずれ自らに還元されることを説く「報徳仕法(ほうとくしほう)」や、小さな努力の積み重ねが大きな収穫に結びつく「積小為大(せきしょういだい)」。
このような尊徳の思想が、私たちが事業を行う環境のすぐ近くにあります。
樋口「そういう考えに自然と触れてきました。しかし、創業時は焦りもあり、早く儲けたかった。それが仇となって、一度大きく失敗しているんですよ」
1997年、就職活動に興味を持てなかった樋口は、大学3年生で個人事業主として事業を開始。はじめはイトーヨーカ堂のようなネットスーパーを立ち上げるつもりでしたが、技術的にも予算的にも厳しくすぐに撤退……。まずは実現可能なビジネスに仕切り直そうと、次に目をつけたのが天然石のアクセサリーでした。
沖縄旅行で見かけた露天商が売っていた東洋的な美しい石を世界に向けて発信しよう——。そこで樋口はインターネット上でコツコツと販売を開始。当時ネットショップの黎明期だったこともあり、地道に売り上げを伸ばしていきます。
そのころ世間では、PHS・携帯電話の市場が拡大していました。そこで、天然石をストラップに仕立てて販売すると、商いはさらに好調に。翌年の5月、樋口は大学4年生で有限会社を設立し、本格的にストラップの企画・販売に力を注ぐことを決めます。
そして転機を迎えたのが6月。法人化後に販売した第1弾商品「ハイビスカス ストラップ」が、思いがけず爆発的な大ヒット商品に化けたのです。
樋口「バンバン売れまくって、取材もいっぱい来て。販売していた渋谷109では連日、大行列をつくるほどの人気商品になって、調子に乗ってしまったんですよ」
しかし夏物デザインだったストラップは、時期を過ぎれば売り上げが収束。次の一手を打ったものの伸び悩み、樋口は焦りはじめます。
これまで、お金を先に振り込んでくれるなら売るという強気の営業をしていたところが、「買ってください」と一転、頭をさげて回るように……。
そんな折、商品を先に渡して代金を後から受け取る「掛け売り」という販売方法を知り、今度は売り方を変えてみることにしました。
樋口「そしたらまた商品がバンバン売れるようになって。商売ってなんて簡単なんだ!!と勘違いしてしまったんですよね」
その年末、3社の取引先から入金されない事態が起こり、いきなり倒産の危機が訪れたのです。原因は送った商品の代金を踏み倒す取り込み詐欺でした。
樋口「自分はヒットメーカーだ、なんて僕は勘違いして欲を出したんですね。その自信と欲と成功への焦りが失敗を招きました」
以来、欲をかかずに小さな努力を積み重ね、自分を過信せず実力に見合った働きで、少しずつ成長しよう、と強く胆に銘じた樋口。このことが、Hameeのフィロソフィにも受け継がれていくのです。
Hameeから他のEC事業者へ——提供したいのは時間の余白と心のゆとり
事業が拡大し、社員が増えていくなか、「人間が本来持っているクリエイティブ魂に火をつけたい」と考えるようになった背景には、これまで一緒に働いてきた社員たちの存在がとても大きく影響しています。
樋口「僕は彼らのクリエイティブな力にいつも驚き続けてきました。自分では決して思いつかない新しいアイデアを考え出し、カタチにしてくれるんです」
しかし気がつくと、社員たちが持っている能力やセンスを、十分に発揮できる環境を作れていないのではないか、と思うようになりました。そのことをもっとも痛感したのは、業容拡大の中での商品の注文数の増加のタイミングでした。あるときのこと——。
もともと複数のネットショップを運営し、受注から出荷までの作業が複雑化していきつつある中で、業務量が増していき、とうとう会社のスタッフ総出で夜中まで働く事態に発展しました。しかも、出荷が遅れたり、間違った商品を送ってしまったり、、
樋口「ご迷惑をおかけしたお客様にはもちろんですが、毎日一生懸命働いてくれている社員に申し訳ない、、と思う日々でした」
商品到着を楽しみに待ってくださっているお客様に誤配送で迷惑をおかけすることを無くしたい。そして、社員には、できるだけ無駄なルーティンワークをなくし、一人ひとりが余裕を持てる環境をつくって、彼らが持っている能力やセンスの発揮できるような、本来やるべき仕事に集中してもらいたい。
そんな思いから、樋口は社内業務を自動化するシステムを探求し始めました。最初は他社の提供するパッケージソフトを導入し、使っていましたが課題の解決には至らず、2002年頃からいくつか開発を外注して試行錯誤を重ねたのち、2005年には本格的に社内で開発をはじめました。
開発は、社内でネットショップの運営を担当する社員の「この作業が面倒!」「こんなことができたらいいな」といった声に、じっくり耳を傾けながら進められました。
「現場の困った」をただ改善するだけといった、受け身の開発ではありませんでした。「ネットショップ運営の質を高め、しかも人手がかからないオペレーションを実現するシステム」をコンセプトに、現状の問題を解決するのはもちろん、未来に起こり得る課題にも解決できるであろうシステムになるよう理想と熱量を持って設計していきました。
その結果、Amazonや楽天市場などの異なる複数のネットショップのデータを、ひとつの画面で見られるだけではなく、注文から出荷までにかかる事務作業や、在庫管理、各商品ページの情報更新などをできるかぎり自動化し人手を省く、画期的なシステムが誕生したのです。当時はインストール型のサービスが主流だったので、このようなシステムの中では、初めてクラウド化されたサービスとなりました。
樋口「自分たちの業務をなんとかしないと、お客様に迷惑をかけてしまう上に、クリエイティブな力を発揮する以前に日々業務を行ってくれている社員が疲弊してしまう…何とかしないといけないという切実な思いからこのシステムをつくりあげました」
開発が進むにつれて、樋口はこのシステムが同じ課題を抱えるEC事業者をサポートできるのではと思い至ります。これがネクストエンジン誕生のきっかけです。
樋口「他のEC事業者も日々の業務が楽になれば、もっとクリエイティブな業務に集中できるはず」
ネクストエンジンからクリエイティブを——驚きの連鎖を生みだしていく
2013年5月。happy mobile, easy e-commerceの頭文字をとったHameeへと社名を変更し、よりクリエイティブな会社へ脱皮しようと決意しました。
樋口「まだまだ途上ですが、最近いちばん“クリエイティブ魂入ってるな”と感動したのが、会社案内なんですよ。原稿の段階で『これ自分たちで作ったんだ!』とは思っていたのですが、完成品をちゃんと見て、改めてそのすごさに驚きました」
ビタミンカラーが眩しいレモンイエローの表紙に、大きく描かれたロゴマーク。ページをめくると、オフィスの模型写真が目に飛び込んできます。そしてロゴを模した建物のなかでは、各セクションで働く人たちの様子をチャーミングに再現。Hameeの事業全体が直感的なビジュアルで表現されています。
樋口「パッと見てほとんどの人は気づかないと思いますが、ポストイットをオフィスのテーブルに見立てたり、色鉛筆を並べてファクトリーのベルトコンベアーにしたりして、細部までつくりこんであるんです。正直、僕は教えてもらうまで分かりませんでした」
この会社案内は、ディレクター・クリエイター・ライター・カメラマン・デザイナーと、全てのパートを私たちHameeの社員で担当しました。自由な発想で、Hameeらしさをギュッと詰めこんだこの会社案内は、ルーティンワークに追われているだけでは、決してできないクオリティだと思います。
樋口「仲間がやることにこれからも心を動かされ、驚き続けたいし、私たち自身が世界中を驚かせ続けたい。手がけるすべての仕事に熱い魂を込めていけば、触れた人のクリエイティブ魂にも火がつくと思っています」
そのためにもネクストエンジンをさらに進化させて、私たちはもちろん、利用されているユーザーがもっともっとクリエイティブでプロフェッショナルな仕事に集中できる世界をつくっていく——。
Hameeはこれから、ネクストエンジンに蓄積されたネットショップのデータを活用し、ショップ運営業務の自動化をさらに進めたいと考えています。そして、人工知能を用いたソリューションの開発へと発展させていく予定です。
またモバイルアクセサリーも、海外子会社を中心に事業の拡大を目指し、世界中の人たちにもクリエイティブ魂のこもった商品を届けたいと思っています。
樋口「人間だけが、まだ見ぬ何かを考え、創り出すことができる。人間は、もの凄い存在です。私たちHameeは、社員自らクリエイティブ魂に火をつけた状態で、IotやBIGデータを活かしたAIソリューションを生み出し続けていきたいです」
Hameeから生まれる「驚き」 のサービス・プロダクトで、ユーザーのクリエイティブ魂に火をつけていく。このノウハウをネクストエンジンに入れ込み、 ネクストエンジンユーザーの、そしてその先のエンドユーザーのクリエイティブ魂に火をつける。これを世界中で実行し、より多くのクリエイティブ 魂に火をつけていくことを目指していきます。
※所属、業務内容は取材時時点の内容となります。
