MRの価値を進化させる独自認定制度「MPP」
中外製薬が掲げる「患者さん中心の高度で持続可能な医療」の実現。その最前線に立つMRの新たな指標となるのが、独自認定制度「MPP」だ。
「『患者中心』の医療を実現できるMRを育成するための認定制度です。認定のための研修プログラムを受講するには、年に1度行われる担当製品の専門力テストで一定の成績を収める必要があります。
研修プログラムでは約半年にわたり、『患者思考に立った活動は何か?』を考え、患者さんの想いを知り、『今何ができるのか』を突き詰め、中期医療ビジョンを作るための戦略を組み立てます。そのために不可欠な、『マインド』『知識』『スキル』の3つのトレーニングを通じて醸成し、アセスメント(最終試験)を経てMPP認定に至ります」
患者さん一人ひとりの背景や想いを深く理解し、その真意を医療の未来へとつなげるこの制度。なぜ今、中外製薬はこの変革を推進するのか。
「当社にはもともと『患者中心』という価値観が深く根付いています。MR一人ひとりが常に患者さんのことを想い、行動しており、それこそが当社の強みです。この文化を個人の想いにとどめることなく、営業スタイルとして確立し、中外製薬独自の共通基盤として浸透させる。そのための制度がMPPだと考えています。
デジタルの活用が加速する今の時代だからこそ、戦略的なセールスマーケティングを学び、MRとしてのブランド価値を研ぎ澄ませることで、医療業界で代替不可能な存在であり続ける必要があるんです」
暗黙知から根拠へ。患者さんの声で変わった提案
鎌田は、製薬業界の中でもがん領域のリーディングカンパニーである中外製薬に入社しMPPをめざした背景をこう語る。
「私は、親戚をがんで亡くした経験から『患者さんが疾患と上手に付き合いながら人生を全うするという世界観を創りたい』という目標を持ち、文系出身で中外製薬に入社しました。
しかし30歳を過ぎるまで、自分なりのスタイルがないまま営業活動を行っており、周りからなかなか評価を得られずにいました。その状況に強い危機感を抱くようになり、自らをアップデートするため、まずは自身の強み分析を始めました。さらに、それを強化するために、MPPへの挑戦を決めました。
今後、会社で優れたMRとして価値を発揮していくためには、MPPが明確な基準になるはずと考えたんです。ところが、第1期の選抜試験では専門力テストで落ちてしまって。そこから1年間、悔しさをバネに知識を徹底的に叩き込み直し、第2期でようやく受講の機会をつかみました」
半年にわたるプログラム受講には通常業務との両立が求められるが、鎌田はそれをポジティブに楽しんだと振り返る。
「合格した仲間たちも『楽しかった』と話しています。自分を磨くための時間を会社が支援してくれる、忙しさも時間の使い方のトレーニングだと前向きに捉えれば、充実感が勝ります。自己研鑽を楽しむマインドが鍵だと思います」
充実したプログラムの中で鎌田が最も学びを得たのは、患者さんの話を聞く体験(※)だと語る。
※ 「通常は製薬業界のルール上、MRが直接患者さんと対話することはできない」が、真の患者思考を考える機会として本社主幹で患者団体所属の患者さんの話を聞くプログラムが用意されていた
「病状によってどういう時に気持ちが沈み、どういう時に晴れやかになるのかという生の声をお聞きすることで、自身が描いていた患者像とのギャップに気づかされました。この学びを得たことで、担当先の医師とのコミュニケーションが、症状や患者さんの心情に寄り添った具体的な提案へと、大きく変化しました」
プログラムの締めくくりには、論文、戦略立案、そして医師との模擬面談という3つの関門が立ちはだかった。これらは、患者さんの想いや潜在的なニーズを戦略的に落とし込み、医療関係者と共に最善の医療の在り方を導きだすために必須なスキルである。
「自分の考えを起承転結で語る力や、傾聴力を第三者から評価されるのは初めての経験でした。だからこそ、無事に認定された時の喜びは格別でしたね。MPP認定という客観的な評価は、これまで暗黙知に頼っていた手探りの営業活動が、根拠と自信に基づいた活動へと変わるきっかけになりました」
地域を超え波及するMPPマインド。「チーム中外」として医療関係者と未来を語り合う
MPP認定後の鎌田の活動は、所属する岡山県にとどまらず、営業本部全体へと力強い波及を見せ始める。
「MPP認定者を増やすことは、営業本部としての重要な使命でもあります。私は現在岡山に身を置いているため、中国四国エリア全体のMR育成やMPPマインドの醸成について会議で説明するなど、組織横断的にMPPマインドを現場に落とし込む活動に携わるようになりました。
また、ありがたいことに、他県の支店から『鎌田の営業プロセスを学びたい』『面談に同行させてほしい』といった依頼を受け、実際に私が現場でどのように医師や患者さんと向き合っているのかを見てもらう機会も増えました」
自身でも、エリア全体のMRのスキルに着目し、組織としての課題を主体的に考え行動するように変化したと語る鎌田。
「2025年は、エリアのMR全員で患者さんの心情について考えるワークショップを企画しました。動画を視聴して患者さんの気持ちの浮き沈みを考え、治療データには表れない患者さんの不安や期待を可視化するという取り組みです。捉え方はMR一人ひとりの価値観によって異なります。多角的な視点によって、自分一人では気づけなかった患者さんの悩みやニーズに気づくことが、これからのMRに求められる仮説構築の幅を広げ、医療現場へのより深い価値提供につながると確信しています。
また、私のもとへ学びに来る社員には、営業スタイルだけでなく、まずは自身の資質や強みを明確にし、それをどう磨き仕事に活かすかを考えるようアドバイスしています」
さらに、医療関係者との関係性も、MPP認定を機に医療現場の課題を共に解決し、新たな価値を創り出す、「真のパートナー」へと変化した。
「一番の変化は、顧客と地域医療の将来を一緒に考える機会が劇的に増えたことです。単に今の困り事を解決するだけでなく、『将来この地域の医療をどうしていきたいか』というビジョンを対等に語り合えるようになりました。
その中で、当社の薬や組織体制がどう関わって地域医療のビジョンを築いていくかという『チーム中外』としての深い関係性も築きやすくなったと感じています。こうした変化の土台にあるのは、MPPで習得したPESTやSWOTといった戦略的な分析スキルです。
さらに自分自身で、多様なビジネスフレームワークの学びを深めるなど、『現場の課題を論理的に解き明かすための手法』を自律的に磨き続けたことが、今の確かな自信につながっています。そうして顧客に将来を相談されるようになると仕事が円滑に進みますし、何より仕事がさらに楽しくなり、日々ワクワクしています。
現在は『目の前の患者さんに対する治療戦略を一緒に考えてほしい』といった、より深い信頼に基づいた依頼も増え、MPPとしての活動が確かな信頼関係の源になっています」
「MPPプロ」第1号として。中外製薬の営業モデルで「薬を育てる力」を最大化する
エリアでの確かな成果と、組織への深い貢献。それが認められ、鎌田は自身のキャリアにおいてさらなる転機を迎えることになった。
「全国のMPPの模範として営業モデルを創出する『MPPプロ』の社内第1号に任命されました。数年前から、当社の営業スタイルを確立させて、強固な組織をつくりたいと考えていたので、非常に光栄でした。
MPPプロとしての私の役割は、自ら成果を創出しながら全国にいるMPPと共に弊社の営業モデルを定常化させること。各エリアで個別化しているMRの成果創出の要因、また計画未達の要因までも分析し、中外製薬の営業モデルを体系化・定常化させることがミッションです。そして、誰もが再現できる『ハイパフォーマーの活動モデル』を作成し、業界の新たなスタンダードを創り上げたいと考えています」
MPP、そしてMPPプロとして。患者さん中心の医療と製薬企業としての本質を見つめながら、鎌田は未来のMR像をこう語る。
「今後、私が大切にしたいのは、患者さん思考のその先にある『薬を育てる力』です。単に薬を届けて終わりではなく、その薬の価値を将来にわたって最大化させる視点が不可欠だと考えています。
たとえばリハビリ領域に知見のある先生に対し、当社の薬でQOLが最大化されているのか、リハビリとの掛け合わせで何ができるのかを共に考える。担当する顧客が持つ強みや悩みに応じて、使って終わりではなく、将来を考えたQOL向上まで踏み込んでいく。それによって、薬は真に育っていくのだと確信しています。
さらに、私たちMPPが成果創出モデルを1つでも多く体現し、中外製薬の営業モデルを確立し、浸透させることで、営業活動における『マインド』『知識』『スキル』の向上にも貢献したいと考えています」
最後に、鎌田は同じ志を持つ仲間たち、そして次世代のMRがめざすべき「貢献のあり方」について、自身の想いを語った。
「MRという職業を、子どもたちがかっこいいと憧れる職業にしたいんです。MPP制度は『患者さん思考』という強みをさらに伸ばし、医療業界をも変える力を持っており、それが営業の価値を高めます。
まずは会社、そして自分自身の強みの分析から始めてみてください。自信と誇りを持って、共に新しいMRのあり方を創っていきましょう」
※ 記載内容は2026年3月時点のものです

